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クラシック環境に設定?不要なデータは削除!コンセントは抜く? 夏を乗り切る!ITエンジニア1000人のPC節電術
今年も暑い夏がやってきた。それに伴い、日本全国で節電を強く意識した生活の工夫が求められている。そこで今回、ITエンジニア1000人に対する調査から、日ごろ実践しているPC節電術を紹介。合わせてその効果の是非についても探ってみた。
(総研スタッフ/山田モーキン)作成日:12.07.03
ITエンジニア1000人のPC節電術公開&節電効果チェック
今年の夏も企業・個人問わず、節電に対する積極的な取り組みが求められている。一般メディアでよく紹介されている対象は、クーラーなどの空調や照明など。しかし「エンジニアライフ応援サイト」を自負するわれらTech総研にとって気になるのは、エンジニアの節電に対する取り組みだ。そのエンジニアにとって、切っても切れない関係なのはPCやその周辺機器。そこで今回、25歳〜39歳までのITエンジニア1000人に対して、普段実践しているPC節電術についてアンケート調査を実施した。その中で代表的な節電術について、いくつかのカテゴリーに分けて紹介したい。
またあわせて、紹介する節電術が本当に効果があるのか?長年、エンジニアとして活躍しながらPCやサーバの節電に関する調査研究に取り組むなど、PC節電ノウハウに精通している、伊勢幸一氏にもチェック&アドバイスをいただいた。

※今回ご紹介する、ITエンジニア1000人から寄せられたPC節電術の実際の効果について、以下の分類でそれぞれ表記しているので、合わせて参考にしてほしい
○ 効果あり
△ それほど効果はないが、間違っているわけではない
× 間違っている
伊勢幸一氏
PC節電術アドバイザー
株式会社データホテル
情報環境技術研究室
執行役員 CTA 室長
伊勢幸一氏
【PC節電術その1】これが一番!とにかく小まめに電源を切る
●使わない時間帯は必ずシャットダウンする(△)●コンセントを抜いたり、個別に電源を切りかえられるコンセントを使用(○)●スイッチつきコンセントを使用することで、待機電流の発生を抑える(○)●シャットダウンではなく、休止機能(スリープ)で電源の使用時間を短くする( △)●連休前にはPCや周辺機器のコンセントを抜く(○)●電気使用量を管理できる電源タップを購入(○)●帰る時は必ずコンセントから電源プラグを抜く(○)
今回の調査結果で最もエンジニアが実践していたコツは、電源プラグをコンセントから抜くこと。こまめに電源を切ることが、最も節電効果が高いという意識を持って取り組んでいるエンジニアが多かったが……。
【伊勢氏チェック!】「電源を切る」が最大の節電術だけど「コンセントから直接抜く」のはNG
PC最大の節電術は、シンプルですが「電源を切る」に尽きます。ただし問題なのはその切り方。コンセントから直接アダプタを抜いたり、差したりするやり方もありますが、これはパワーサージやスパークなどの負荷を電源回路にかけてしまうため、あまり推奨できません。そこでオススメなのがコメントにもある「スイッチつきコンセント」。これなら安全かつ簡単に電源の切り替えが可能です。基本は「出社時に電源を入れ、退社時に電源を切る」でしょう。
【PC節電術その2】スリープVSスタンバイVSスクリーンセーバー どれが1番?
●スリープモードの使用および、スリープモードに入る時間を短く設定(△)●なるべく電源を切らずに、スリープにする(△)●離席時はいつもスタンバイモードにしておく(△)●スクリーンセーバーはブランクに設定。壁紙は使用しない(×)●スクリーンセーバーに切り替わる設定時間を短くする(×)●昼休みになると自動的にスタンバイモードになるマクロを社内に配布(△)●スタンバイモード移行までの時間を5分短縮(△)
電源を切るよりも手軽にできる、こうした切り替えノウハウ。今回の調査でも電源を抜くノウハウとの合わせ技で活用しているエンジニアが多くいたが、その効果は……。
【伊勢氏チェック!】基本、どの状態でも電気を消費している!
スリープやスタンバイモードでも毎時0.03〜0.05A程度、電力を消費していることになるので、節電効果としては両者に大きな差はありません。やらないよりは節電効果があるのは確かなので、例えば、15分入力しなければ自動的にスリープ設定にするなどすれば、それなりの効果が見込めます。また、スクリーンセーバーに関しては100%、CPUやファンが動作しているので節電効果はありません。なので例えば大容量のデータの保存やダウンロードなど、電源を落とせない状況を周囲に示すためのようなケースで利用するのが本来の使い方でしょう。
【PC節電術その3】ディスプレイの設定でコツコツ節電!
●ディスプレイは待機状態にしない(×)●3分放置で電源オフするように設定( △)●ディスプレイの輝度を暗めに設定( △)●背景を黒やグレーに設定(×)●デュアルモニタをやめて、一台に(○)●Windowsをクラシック環境に設定(×)●トイレに行く短時間でも、使わない時はディスプレイの電源を切る(○)●デスクトップ上のアイコンの数を減らし、壁紙をシンプルなものにする(×)
ディスプレイの設定環境を気にするエンジニアが多かったのも、今回の調査結果の大きな特徴。常に発光している状態で、直接目にしているディスプレイの消費電力を削減したいと思うのは自然な気持ちではあるが……。
【伊勢氏チェック!】輝度設定はあまり効果がない
アンケートでよく見られた「ディスプレイの輝度を暗めに設定」するという方法ですが、私が以前、PC節電効果を測定した限りでは、あまり大きな節電効果は得られませんでした。あと暗めの色を設定するというのも、例え画面が暗くてもその色を出すための給電は行われているので、それほど大きな節電効果はありません。それよりも電源をこまめに切ったり、無駄なアプリやデータを削除した方が、節電の効果としては期待できるでしょう。
【PC節電術その4】ノートPCやモバイルならでは。バッテリの効果的活用で節電!
●空調が効いているサーバールームにノートPCを持ち込んで作業(△)●夜間充電して、昼間のピーク時間帯(13〜16時)にバッテリ充電を使用(△)●PCでやっている(動画鑑賞・チャット等)をモバイルでやるようにして節電(△)●不必要なソフトはインストールしない(△)●CPUクーラー部分は年に数回、きれいにする(○)●バッテリはある程度使っていないとすぐダメになるので、フル活用を行うことで寿命を延ばす(×)●フル充電したらコンセントを抜き、ゲージが少なくなったらまた充電の繰り返し(△)●起動時に最も電気を使うので、持ち運ぶときはスタンバイモードに(△)
ノートPCで普段から仕事をするエンジニアも少なくない一方、ノートPCならではの節電ということで、特にバッテリの使用方法についての工夫が多かった。しかし伊勢氏からの指摘では……。
【伊勢氏チェック!】バッテリをなるべく使用しない方が節電効果は高い
「バッテリを使うな!」というと、ノートPCを使う意味があるのかと突っ込まれそうですが(笑)、実は私も自分のノートPCは通常、バッテリーを外して使っています。大きな電気の消費ロスのひとつとして「変換時」が挙げられます。変電所やAC⇔DCに電気が変換されるたびにロスするわけですが、それはバッテリに電気が蓄電される時も同じ。しかもバッテリの場合、放出電を繰り返すほど劣化して蓄電効率が悪化するので、節電のことを考えればなるべくバッテリの使用は避けた方が無難です。ただしコメントにもあったように、電力消費ピーク時だけ夜間に溜めた電力をバッテリで使用する方法は効果的だと思いますね。
【PC節電術その5】SSD、仮想化、最新CPUへの切り替え…最新テクノロジーで節電!
●開発用・OA用・テスト用と複数のマシンを使っていたが、仮想化して1台に統合(○)●会社としてWindows7に全員アップデートして、節電性を高めた(△)●core-i5に変えて動作クロックの引き下げにより消費電力を少なくするとともに、21時以降はサーバの電源を落とす(○)●リモートで電源管理( △)●節電アプリをインストール(△)●HDDからSSDに切り替え(△)●「エネパルPC」に設定。毎回節電の削減率が表示される(△)
【伊勢氏チェック!】仮想化は節電にとって非常に効果的なノウハウ
PCもそうですが特にサーバのように24時間、電源を切ることが難しい機器の場合、仮想化で実機の稼働台数を削減するのは、節電にとって大きな効果があります。フロントエンドやファイアーウォール、キャッシュ、データベース等様々な機能が稼働するサーバはとにかく1台でも「電源ON」の台数を削減することで節電効果は倍増する上、ランニングコストの面からも効果的なので、可能な限り仮想化することが望ましいですね。また上記のような最新機器やソフトへの切り替えも、相応の節電効果は見込めます。
【その他のユニークPC節電術】PCを使う前に、自分の頭を使って節電?
●PCをつけずに瞑想(○)●PCの下にスノコを敷いて、冷却効率が上がるようにする(△)●無駄な周辺機器をつなげない(○)●OSの無駄な動作や演出、お節介機能はすべて切る( △)●扇風機を回して、風をPCにあてて冷却する(△)●ショートカットを覚えて効率的に作業する(△)●IT業界は残業するだけで節電にならないので、即対応等の顧客のわがままを封じる&規制する法律を設ける(○)
節電というよりは、どちらかというと「効率」を重視したノウハウも見受けられた。しかし伊勢氏が「特に『PCをつけずに瞑想』には思わず納得してしまいました」と、大きくうなずく口コミも。
【さいごに】伊勢氏からのPC節電術の極意“タップ切り替えで給電をシャットアウト”
最後に改めてPC節電術の極意について伊勢氏に伺ったところ、「給電をシャットアウト」することだと断言する。
シャットダウンやモニタ本体の電源を切っても、コンセントに繋がっている状態であれば常時、給電は行われている。もちろん、それにはソフトウェアの自動更新など給電する必要のある事情もあるが、何もすべてのPCが常時、給電状態になければまずいということではない。そこで効果的なのは、スイッチの切り替えひとつで電源の入出力を容易にできるタップ。単に機能的な面だけでなく、「今スイッチがどの状態にあるのか?」目で見てわかることで、節電意識の向上につながる効果も大きい。
またあわせて伊勢氏が「ひとつの理想」と前置きした上で語ったのは「一括変圧施設やシステムの開発」を挙げた。先ほども紹介したとおり、電気を変圧する時とAD/DC変換時に大きな消費ロスが生じる。このロスをできる限り少なくするための施設やシステムができれば、それだけで莫大な節電効果が見込めるという。

まずはこの夏、身の回りでできる節電術として、「給電をシャットアウトする」という意識をいつも持つことが大切なようだ。オフィスから帰る際には電源を忘れずに切ることが、最も手軽でかつ、最大の節電効果を得られるコツだろう。
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山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ 山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ
今年と限らず、今後も仕事や生活をしていく上で節電を意識していくことは、避けては通れない道だと思います。その中で今回の調査結果で感じたのは、予想以上にエンジニアの皆さんの節電意識が高いこと。にもかかわらず、実は実践している節電効果はあまりない事実を知った時、「もったいない!」と唸ってしまいました。私自身も今回のノウハウをまずはこの夏、実践していきたいと思います。

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