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業務報告、人脈作り 今どきビジネスコミュニケーション手段は?ゆるくつながりしっかり伝える、SNS×メール活用術
社内外問わず、コミュニケーションを交わしていくことは仕事の基本。今世紀以降、メールやチャット、SNSなどデジタルコミュニケーションツールの登場でコミュニケーションスタイルは多様化している。そこで今回、デジタルツールを効果的に活用していくためのヒントについて探ってみた。
(総研スタッフ/山田モーキン)作成日:11.09.05
社内SNSから見えてきた、ソーシャルメディアの活用術
ここ数年で急速に普及が進んでいるSNS。日本国内では一般ユーザー向けに「mixi」や「GREE]、「Mobage」などが急速に普及。その後、TwitterやFacebookの利用が一般ユーザー向けのみならず、ビジネスシーンにおいても急速に活用され始めている。しかしどのメディアも企業のPRやマーケティング活動としての利用にとどまり、メールなどオフィシャルなデジタルツールとして、まだ一般的に広く活用されているとはいえないのが現状だ。
そこで今回注目したのは「社内SNS」。2005年ごろから大企業を中心に普及しだした、その名の通り社内限定のSNS。最近はFacebookなどのB to C向けSNSに注目が行きがちではあるが、着実に社内SNSを導入する企業は増えつつある。またさらに、最新のSNS機能を追加するなど、進化を続けているという。
その具体的な内容や利用実態、また社内SNSならではの活用術に関して、国内初のビジネスSNSを開発した社内SNSの草分け的企業である株式会社Beat Communicationの小石氏に伺った。
株式会社 Beat Communication 広報部 小石裕介氏
株式会社 Beat Communication
広報部 小石裕介氏
「株式会社 Beat Communication」:2004年、世界で最初に社内SNSパッケージを開発・販売した Enterprise2.0のパイオニア。東日本電信電話株式会社(NTT東日本)、株式会社NTTデータ、株式会社損害保険ジャパンなど多くの大手企業にEnterprise2.0を導入している。
“横串”で情報共有する「社内SNS」ならではの4つの特性
今回もまず小石氏から、社内SNSならではの特性についてご指摘いただいた内容を4つに分けてご紹介したい。
その1 業務・技術ノウハウの成功事例の共有
成功事例に基づくノウハウやナレッジを社内SNSのデータベース上に蓄積していくことで、社内での共有、そして組織の底上げに役立つ
その2 知識・経験の継承
同じくこれまで蓄積された知識やナレッジを、次世代の若手社員に引き継いでいくために社内SNSを活用することで組織力の維持・向上を目指す
その3 ひとを探す機能
社員一人ひとりのプロフィールが公開されているため、全く違う組織にいる社員に対しても気軽にコミュニケーションが図れる。それによって社内コミュニケーションの活発化が図れる
その4 問題解決のスピード向上
例えば業務上で何か困ったことがあったとき、社内SNSのQ&Aコンテンツを活用することで目の前の問題を解決できるノウハウを持った社員を探すことができ、問題解決のスピード化を図れる
以上のような点を考察すると、社内SNSならではの特長は「横串で情報共有できる」ということにある。
「そもそも、社内SNSは大手企業を中心に、硬直化した組織体制の活性化や効率的なコミュニケーションの確立を目指して、導入が進められてきた経緯があります。その結果として、上記のようなメリットを享受できるデジタルツールとして社内SNSが広く受け入れられたと思います」と、小石氏も指摘する。
普段会話しない人とコミュニケーションのきっかけづくりを通して、仕事の効率アップ&成果向上に結び付ける
社内SNS「Beaf Office」画面
社内SNS「Beaf Office」画面
現在、社内SNSにはさまざまな機能が盛り込まれているが小石氏いわく、主に活用されている機能は「コミュニティ」「日記」「Q&A」「Wiki」の機能。さらに最近の傾向として、業務に直結しない内容の書き込みからコミュニケーションが生まれ、仕事の効率アップや成果向上につながるケースも増えているという。
「本来、人はコミュニケーションを図りたいという思いを持っているもの。それがFacebook・Twitterなどの外部SNSの急速な普及で、気軽にコミュニケーションができる機会が増えたことで、社内SNSにおいてもより活用していこうとする人が増えているように思います。そうした流れを受けて当社でも今年、新たにTwitterに代表されるミニブログ機能の追加やスマートフォン対応、またさまざまなアプリをカスタマイズできる機能など、最新のソーシャルテクノロジーやサービスに対応した社内SNSを展開していく予定です」(小石氏)

このようにSNSにおいては「横串のコミュニケーション」という独自の特性によって、特に「普段身近にいる人なんだけど、あまり面識がない」といった人を対象に気軽にコミュニケーションを図っていくきっかけづくりに最適なデジタルツールといえよう。
また現在広く普及しているTwitterや、先ほど触れられていた今後展開予定のミニブログ機能のように、つぶやきながらコミュニケーションを図っていくスタイルが、SNSの可能性を大きく広げる可能性がある。例えば何か知りたいことがあっても、メールや電話で直接質問するには大げさすぎる。そんなとき、もっと気楽な感じでゆるくコミュニケーションできるツールとして、ミニブログ機能を活用するなど、これまでコミュニケーションすることに抵抗があったような目的や内容でも気軽にコミュニケーションできることで、さらにコミュニケーションのきっかけづくりのハードルを下げる効果が期待できるのだ。
その結果、コミュニケーションを通して先ほどあげた4つのポイントで、仕事の効率アップや成果の向上に結び付けていくことが、SNSならではの活用術といえるだろう。
2.最も多くのビジネスパーソンが利用するコミュニケーションツール「メール」の活用術
ビジネスにおける、デジタルツールによるコミュニケーションの最もポピュラーで歴史のあるもの、といえば「メール」だ。今回取材したビジネスメール教育専門企業「アイ・コミュニケーション」が実施した「ビジネスメール実態調査2011(調査対象:仕事でメールを利用するすべての人 有効回答数:1033)」によると、仕事上の主なコミュニケーション手段のベスト3が、「1位:メールを送る(98.55%) 2位:電話をする(92.74%) 3位:会う(88%)(※複数回答)」で、ほぼすべてのビジネスパーソンがメールを日常的に使用していると言える。
今回、注目したのは「メール」というひとつのデジタルツールが、チャットやSNSなどほかのコミュニケーションツールに比べてどのような特性があるのか?またその特性を踏まえた上で、どのような活用スタイルがベストなのか?その2点について、先述したアイ・コミュニケーション代表の平野氏にアドバイスをいただいた。
(※ちなみにメールの具体的な記述マナーやアドバイスに関しては、こちらの記事をご参考いただきたい)
有限会社アイ・コミュニケーション 代表取締役 / ビジネスメールマナー推進協議会 会長 平野 友朗氏
有限会社アイ・コミュニケーション 代表取締役 / ビジネスメールマナー推進協議会 会長
平野 友朗氏
メールを活用した営業手法には定評があり、ウェブマーケティングとメールを駆使して5,000社の顧客を開拓。メールの可能性に着目し、蓄積したメールでのコミュニケーション手法を集約したビジネスメール教育プログラムを開発。個人のメールスキル向上から組織のメールルール策定、メールの効率化による業務改善までを手掛ける。インストラクターの育成にも注力。メール教育に力を入れる企業や団体へのコンサルティングや講演・研修回数は年間70回を超える。ビジネスメールをeラーニングや通信講座で学ぶ教材開発にも協力。
「メール」ならではの3つの特性
今回、平野氏からメールならではの特性において指摘していただいたことを大きく3つに要約して紹介したい。
その1 最も“オフィシャル”なデジタルツール
デジタルツールの中では最も歴史のあるメールは90年代の登場時、まだ今のように一人ひとりに専用アカウントがなく、あくまで「リアル・コミュニケーションを補完するツール」という脇役的な位置づけだった。しかしビジネスシーンにおけるネットの急速な普及により、メールという新たなデジタルツールが市民権を得ることに。現在では、初対面の相手に対する最初のコミュニケーションとしてメールが活用されたり、また公的な報告や告知事項を伝達するためのツールとしても業種や職種、また世代を問わず活用される最もオフィシャルなデジタルツールとして活用されている。
その2 長期間に渡って記録を残せるアーカイブ性&膨大な記録の中から容易に検索できる
例えばチャットやSNSの場合、相手とのコミュニケーション記録はある程度記録されるが、タイムラインに沿って一定期間を経たデータに関しては抹消されてしまうケースがほとんど。その点、メールに関しては決して無制限というわけではないにしろ、かなり過去のメール送受信記録が残されるため、「情報のアーカイブ」という観点でみると、非常に効果的なツールだ。なおかつ検索性にも優れるため、「誰といつ、どんなやり取りをしたのか」といった重要な情報をすぐに引き出すことができるのも、ビジネスにおけるコミュニケーションツールとしてのメールの価値をさらに高めているといえるだろう。
その3 セキュリティ面における信頼性
情報化社会の昨今、情報漏えいなどのセキュリティ対策ニーズは年を追うごとに高くなっている。今話題のSNSなどのソーシャルコミュニケーションの場合、気軽に多数の人とコミュニケーションが取れるメリットもある反面、気軽さゆえの気の緩みなどから大事な情報を外部に安易に露出させてしまう危険性も。その点、メールも全く危険性がないわけではないが、送信する相手は個人、もしくはある程度限定されたグループになるため、送信先さえ常に注意すれば大事な情報に関して外部に広く情報漏えいするリスクは、他のデジタルツールに比べて少ない。
とにかく公的なコミュニケーションでは、メールを積極的に活用するべし
インフラエンジニアのための勉強会by株式会社ハートビーツ 「実はメールの活用術だったり、メールの文面が非常に洗練されていてうまい人とそうでない人、この両者には実際に会って会話する“リアルコミュニケーション力”の優劣は、あまり相関しません。そのため、せっかくコミュニケーション力があるにもかかわらず、メール活用が下手だとビジネス上、本人にとって損をすることもおおいのです」と平野氏が語るように、メールの活用術をどれだけ習得しているかによってビジネスでの成功は大いに影響されると言える。
そこでデジタルツールの中で、メールを積極的に活用していくポイントとなるのは、これまで触れてきたとおり「公的な内容」に関する情報伝達やコミュニケーションは、まずメールを活用していくということにつきる。
「報告」「依頼」「謝罪」など、さまざまなビジネス文書を相手に対して送る場合、今後もメールがその主たる役割を担う重要なデジタルツールであり続けるだろう。
仕事はメール、プライベートはSNSエンジニアのメールとSNSの使い分け例
最後に、エンジニアが実践している具体的なメールとSNSの活用法について紹介したい。
リクナビNEXTのFacebook公式ページにて実施したアンケートによると、メールとSNSの使い分けの基準について以下のような結果に。
25票 仕事はメール。プライベートで共有したいことはSNS。プライベートで秘め事はメール
14票 直接業務にかかわる連絡事項についてはメール。「知っておいた方がいいよ」的な情報共有レベルはSNSで使い分け
2票 上司に対してはメールで連絡事項を伝え、同僚や部下に対してはSNSで情報共有する使い分け
1票 外部のお客さんやなじみの薄い社員に対してはメールで、なじみの深い社員や外部スタッフに対してはSNSで使い分け
また、エンジニア数人にヒアリングしたところ、以下のような使い分けスタイルが見えてきた。
ITコンサルタント
メール タグ付けと検索の使い勝手を考えると、仕事ではまだまだメールを使うことがほとんど。メールは毎日見ていることを前提に使っているので、急ぎや大切な用件は必ずメールです。SNSの場合放置されてもあまり強くは言えませんので。
SNS 社内SNSを使う場合は趣味などどちらかというと業務外のことが多いですね。
複数人でのディスカッションや公開することで周りを巻き込みたい時なんかにも有効かと。
SE
メール 主にクライアントとのやり取りや、社内の関係者に用件のみを伝える場合はメールを使用。SNSは社内システムのため、外部のお客さまとフォーマルなやり取りには向いていない。
SNS コラボレーションツールという理解で協業(共同作業)に活用。ルーティンワークであれば、部署やチームの知恵・スキルで対処可能だがエンジニアの場合、新しい事態に対処すべき局面が必ず訪れる。そうした時に、他部署や知識・経験を持つ人間の知恵・スキルを活用するかが重要になる。それを容易にしてくれるのが社内SNS。
また、プロジェクトによっては地理的、時間的な壁によってなかなか情報の共有が難しいが、SNSを使えば容易にコラボレーション(共同作業)が行える。
PM(中国出身)
メール 開発のマネジメントを行う際に、仮にMTGで口頭やチャットなどで目的やタスクの内容を全メンバーに共有したとしても、事後にかならずメールをもう一回送ります。本当に重要な情報だから自分と相手の理解を深めるための再度確認の手段として認識しています。
ただ、緊急に個別メンバーに特別な作業をお願いするときにはチャットを使います。欧米や中国ではQQ、SKYPE、MSNなどのチャットソフトで仕事のやりとりや資料の共有などを行うことが一般的になっており、何かあっても迅速に対応できます。しかし日本企業の場合、メールがメインで日本語の性質もあることから実際の業務において、不要な挨拶文や敬語など気遣わないといけない部分が多すぎて仕事の効率を悪くさせます。たまに一日の仕事はメールで上司に「ほうれんそう」するだけで終わることもあります。
SNS 会社によって違うと思いますが、うちの場合はほぼ外部へのアクセスが禁止。社内SNSはありますが社員に興味がないのか、忙しすぎて存在自体を知らない人が多いです。 今googleなどが検索できない、SNSにしか載っていない技術の紹介や使用実績がたくさんあります。最新技術を使って開発を行う企業にとっては、技術系の問題点や最新情報についてSNSで共有し、同じ技術に関心を持つ人達と一緒に議論してスキルアップするには必須な手段だと思います。
以上、今回はデジタルツールの活用術、特にメールと社内SNSにフォーカスして紹介してきた。その結果、「プライベート寄りかつ、多人数間のコミュニケーションを重視したSNS」「パブリックかつ個人間のコミュニケーションを重視したメール」それぞれに特長がある。両者のメリットを理解した上で、後は自分のワークスタイルや会社の組織風土を考慮した上で、うまく使い分けていく判断ができるかどうかが、仕事の成果やキャリアアップにも大きな影響を及ぼすことだろう。
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山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ 山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ
最近、Facebookを少しずつ利用し始めているのですが、さまざまな人がさまざまな動きや考え方を瞬時に共有できることに、時代の流れを感じています。しかしその一方、メールならではのメリットも依然として色褪せていないこともあり、今後さらに多様化するデジタルツールの活用術に注目が集まるはずです。ただしその前提となるのはやはり、リアルコミュニケーションを大事にするということではないでしょうか。

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