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あらゆる産業分野であらためて注目される環境関連技術。CO2排出をセーブし、より安全で高効率のエネルギー利用技術を開発することは、エンジニアに求められる最大の使命だ。環境にかかわるエンジニア、新たな採用ニーズを探る。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/設楽政浩)作成日:09.09.09
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地球温暖化が確実に進んでいることに、異を唱える科学者は、ごく一部をのぞきほとんどいない。温暖化対策はすでにサイエンスの問題ではなく、ポリティクス(政治)の課題となりつつある。いやこれからは排出権取引など経済手法の領域に入ってくるという人もいる。
観念論や理想論ではなく、人々がふだん手にする製品や道具を通して、温暖化対策が行わなければ、地球の平均温度はこのまま上昇を続けるしかない。エンジニアの役目はここにある。 |
「オートモーティブ社自体にもエンジンECUなどの開発実績は20年以上あります。しかし、グループ内に蓄積された技術を車に応用・展開するためには、高度な信頼性や長期保証など、車ならではの難しさを超えていかなくてはなりません。その課題を事業横断的にとらえていく視点が必要でした」 パナソニックは2009年度を最終年度とする中期経営計画「GP3計画」のなかで、「ABCDカルテット」と呼ばれる4つの重点事業を掲げてきた。Aはアプライアンスソリューション(生活家電)、Bはブラックボックスデバイス、Cがカーエレクトロニクス、DがデジタルAVネットワークスだ。今年度からは新たに「E」を頭文字とするエナジーソリューション事業を加え、「ABCDEクインテット」と呼ぶようになった。 今回のオートモーティブ社内における事業開発センター創設も、エナジーソリューション事業への注力と連動した動きといえる。カーエレクトロニクス、エナジーソリューションを含めた車載関連事業は、これからの成長分野として経営トップの関心度も高いという。
日本を支える自動車産業だが、温暖化防止とエネルギー問題という差し迫った危機に対して大きな変換が求められている。次世代のクルマはハイブリッド車にしてもEV車にしても間違いなく電気エネルギーが主役になってくる。エネルギーの制御をよりうまく行った企業こそが、次の時代の覇者になる可能性がある。そうしたマクロな視点を持ちながら、新しいシステムの開発に取り組むチャレンジスピリットのあるエンジニアが今求められている。 |
太陽光発電では、パネル設計技術に関心が集まる。不況の真っ直中にある半導体製造装置メーカーが、太陽光パネルに事業を拡大したというニュースもあった。微細加工、製膜技術、クリーンルーム設計など半導体製造で培った技術が、そのまま太陽光パネルでも活かせるからだ。 「ただ、太陽光は原子力などに比べて、経験者を求める傾向が強く、採用条件が高く、ピンポイント」と竹内さんは指摘する。 循環型自然エネルギーのもう一つの担い手と期待されるのが風力発電。「原子力、太陽光ほどではないが、発電装置メーカーから保守メンテナンス分野の企業まで、求人は続いている」という。
また、エレクトロニクス分野での電源制御技術も、省エネという観点からあらためて関心が高まる。コジェネレーションなど高効率のエネルギー供給システムが広まる中、電気工事士やボイラー・タービン関連の技術資格を求める企業も増えている。さらに環境技術の専門家という意味では、製造工程から排出される有害物質管理や、環境マネジメントシステムの経験者の活躍の場も広がっている。
「以前から、専門を問わず、広く環境技術にかかわりたいというエンジニアは多くいました。自分の技術で社会に貢献したいという思いがみなさん強いのです。彼らの活躍の場がようやく本格的に広がりつつあるという実感がします。環境対策をたんにイメージアップのためにいう企業もありますが、この不況期でもあえて求人を出す企業は、それだけ本気の証拠。そこから生涯にわたる活躍の場を選び出す、今は絶好のチャンスと言えます」 |
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