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悩みを打ち明けると、他人が励ましてくれるコミュニティサイト

ヘコむを楽しむリグレトの
ディヴィデュアルが採用強化

「ヘコみ」を楽しむ今注目のコミュニティサイト「リグレト」で急成長中のベンチャー、ディヴィデュアル。人間の自然に近いコミュニケーションサービスを目指し、エンジニア採用を強化するという同社を取材した。

(取材・文・撮影/総研スタッフ 宮みゆき)作成日:09.12.02

“ヘコみ”を共有するサイト「リグレト」で急成長するディヴィデュアル

 ユニークで斬新な切り口とFlashによるポップなインターフェースで大きな話題を呼んでいるウェブコミュニティ「リグレト」。09年11月末現在の会員登録ユーザー数は約20万人、なんと前月比600%という驚異的な成長率をたたき出している。

「リグレト」は、生きていれば誰にでもある日々の悩みや後悔などを匿名で打ち明けると、他のユーザーが慰めやはげましの言葉をかけてくれるサイト。例えば「二股され別れた彼氏に『あっちとも別れたくないけどお前とも別れたくない』と言われました。殴ってもいい?」という投稿に対して、「握りこぶしでアッパー♪」「手が痛くなるから道具使いなね(^∀^)」「もちろん◎グローブつけて殴ると痛くないかも(笑)」というような応援コメントが矢継ぎ早に返ってくる。そのなぐさめに「ありがとう」をクリックして、感謝の気持ちを伝えることができるという、まさに「ヘコみ」を楽しむ「一期一会のヘコミュニケーション」が展開されている。

「『リグレト』では、善意のフィードバックを誘発する『ささやかな気持ちのやりとり』が行われています。日々の悩みや後悔を投稿すると、どこかの誰かが一緒に泣いたり怒ったりしてくれる。そうすると、今度は同じように悩んでいる誰かを自然と応援したくなるんですよね」と、語るのは『リグレト』を運営するディヴィデュアル代表取締役の遠藤拓己氏。このユニークなサービスは、どのような背景・コンセプトから誕生したのだろうか。

遠藤 拓己氏

株式会社ディヴィデュアル
代表取締役 遠藤 拓己 氏

国立音楽大学を卒業後、文化庁派遣芸術家在外研修員として英国・インド・フランスに留学。以降、ヨーロッパを拠点に活動。2006年には独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の未踏ソフトウェア創造事業に採択、スーパークリエーター。

「いきるためのメディア」を作りたい

 遠藤氏は国立音楽大学を卒業後、ヨーロッパを拠点にアーティストとして活動。2006年には独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の未踏ソフトウェア創造事業に採択され、スーパークリエーターとして認定されている。
 ディヴィデュアルを設立したのは、2005年末に一時帰国した日本でドミニク・チェン氏と出会ったことがきっかけ。ドミニク氏は日本生まれのフランス人で、遠藤氏と同じく、IPAの未踏IT人材発掘・育成事業採択、2008年に認定されたスーパークリエーターだ。

「起業前はフリーランスのメディア・アーティストとして欧州を拠点に活動していました。2005年末に展覧会のために一時帰国をした際、メディア文化研究者のドミニクと出会い、以降、東京に住むフランス人であるドミニクと、パリに住む日本人である僕との間で、社会を取り巻く様々な事象についての間断ない対話が始まりました。やがてお互いの中に、長期的な運動体を創出し、そこをプラットフォームに「いきるためのメディア」を社会に実装していこうという機運が高まり、2008年の春、株式会社ディヴィデュアルを興しました」(遠藤氏)

 ディヴィデュアル設立当初は、テキストを入力する過程のプロセスをその時間情報と共に記録し、再生可能にすることで創造の秘部に迫るソフトウェア「TypeTrace」プロジェクトを展開。当時は「リグレト」のことは頭にもなかったという。
「リグレトのアイデアは、友人から聞いた『でもよかった!』というライフハック術から触発されたものでした。それは例えば『仕事で失敗しちゃった』、『大好きなあの子に振られてしまった。。。』といった日々のヘコみに対して『でもよかった!』という言葉をつなげ、『でもよかった!失敗しなければ学べないこともあるさっ』とか、『でもよかった!これは新しい恋の始まりなんだっ』と、出来事のポジティブな側面に注目するというものでした。その話を聞いたとき、直感的にこれは面白いなと思ったんです」(遠藤氏)

 開発当時のコードネームは「demoyokatta.com」。夏休みを利用してチーフ・クリエーターの山本氏が3日間で作り上げたものを友人限定で公開したところ、あっというまにクチコミが拡がり、2日後にはYahoo!のトップページに掲載されサーバーがダウン。その反響に驚きながらも体制を立て直し、現在に至っている。

ドミニク・チェン(Dominick Chen)氏

取締役/共同設立者
ドミニク・チェン(Dominick Chen)氏

フランス理系バカロレア取得後、UCLA-Design/Media Arts学科卒業。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)未踏IT人材発掘・育成事業採択、スーパークリエーター。

リグレト

「リグレト」携帯画面

完全匿名、だけど荒れない「リグレト」の画期的なコミュニケーション設計とは

「リグレト」は匿名での投稿であるにも関わらず、サイトが荒れない。赤の他人が寄ってたかってはげましてくれるコミュニケーション設計の秘訣は、ほっとするような癒し系のサイトデザインにあるようだ。

「ほっこりする一筆書きのゆるいキャラクターや手書き風フォントなどを使うことでサイトにアナログ感をあふれさせ、同時に、Flashの強みであるインタラクションデザインについても『かちっとし過ぎない』よう心がけました。そこに集まる人達が、みんなでわいわいとお話している雰囲気をウェブにも実現したい、という気持ちがありましたね」と語るのは、チーフ・クリエーターの山本氏。

 山本氏は入社前、フリーランスのクリエーターとして幅広く活躍していた。20歳過ぎからまったくの独学で『noughts.jp』を開発、運営し、その天才的なセンスに注目した多くの大企業から誘いを受けていた。そんな山本がすべてのオファーを断り、生まれたてのベンチャー企業ディヴィデュアルに参画した理由が興味深い。
「会社に入るということは、僕にとって大きな冒険でした。それまではフリーの立場でマイペースを貫いてきたわけですし、悩みましたね。決断の決め手になったのは『いきるためのメディアの創造と散種』という、ディヴィデュアルのミッションに他の会社にはない魅力を感じたからです。アートの実践や研究を出自とする創業メンバーの二人が自らの世界を飛び出し、今、目の前でダイナミックに動き続けている社会の中に果敢に飛び込んでいこうとする姿を見て『この人達となら、一緒に1つの大きな夢が見れるかもしれない』と思ったんです」

「学校に一人か二人は必ずいるコンピュータ好きって、その仲間内だけで盛り上がりがちじゃないですか。僕もそんなコンピュータ好きの一人だったんですが、自分の好きなことの面白さを、どうせならもっと多くの人にも知ってほしいって思っていました。だからディヴィデュアルの“アートから社会へ”というスタンスにはとても共感し、ディヴィデュアルのメンバーとして、インターネットの可能性をしっかりと社会と接する形で伝えていく決意をしました」(山本氏)

山本 興一氏

取締役/チーフ・クリエイター
山本 興一氏

2005年に「交換絵手紙」、2006年にはイラストの執筆をそのプロセスとともに共有できるウェブサービス「noughts」を立ち上げ、現在までその運営を行う。ウェブデザイナーとしてはPaperboy&co.、Pied Piper、NHKなどのプロジェクトに参画。

リグレトなんでも相談カフェ

「リグレト」なんでも質問カフェ

ディヴィデュアルの成長を支えてくれるエンジニアがほしい

 現在『mixi』上で展開しているリグレトのミクシィアプリモバイル版も大変興味深い。通常『mixi』では、マイミクと呼ばれる知人・友人との間での顕名を前提としたコミュニケーションが行われるが、ディヴィデュアルはそこに、匿名による一期一会のコミュニケーション空間を提案した。
「お互いがどこの誰だか分からないからこそ送りあえる優しさや思いやりもある。『mixi』を学校の校庭や教室に例えると、リグレトは校舎の屋上みたいな場所。顕名/匿名の単純な二項対立に陥らない形でうまく共存していけるのではないかと考えています」(遠藤氏)

 ディヴィデュアルは、この秋から本格的にビジネスを展開していく。主戦場はモバイルだ。「収益の核となるのはアイテム課金です。リグレトの心臓部はユーザー同士のコミュニケーションなので、そこに上手に収益の仕組みを組み込んでいきます。1月には、モバゲータウン版リグレトのリリースも予定しており、3月末までに100万ユーザーを超えるサービスを目指しています」(事業開発部長/佐藤氏)

 その目標に向けて、ディヴィデュアルは新たにエンジニアの募集を開始した。ソフトウェアエンジニアにとっては、数十万人の会員が急激なスピードで数百万規模に成長していく一番刺激的なタイミングに立ち会う、またとない機会だ。
「日々増大するトラフィックをさばくために必要なサーバーパフォーマンスの改善やスケーラビリティ対策、集積される膨大かつ独自性の高いログデータのマイニングや解析などの業務には、急成長するサービスならではの醍醐味があります。ウェブ業界での実務経験がある人はもちろんのこと、自然言語処理や人工知能界隈に興味のあるエンジニアの方たちにとってはまさに、宝の山を発掘するような興味深い仕事になるのではないでしょうか」(ドミニク氏)

 ディヴィデュアルでは前歴を問わない。自分の成長がサービスをも成長させていく。そんな成長曲線を味わいたい創造的なエンジニアにとっては、大いなるチャンスといえるだろう。

佐藤 裕介氏

ディレクター(事業開発担当)
佐藤 裕介氏

2008年よりGoogle,Inc.にて広告製品のセールスマーケティングを担当。日本およびアジア太平洋地域における新規広告主の売上責任者を務める。Google入社以前はスポーツ自転車のリユースマーケット創出に尽力。

オフィス

ディヴィデュアルのオフィス

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