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実録 求人魂!知られざるエンジニア採用の舞台裏 vol.2 本気の証!一人の応募者にかける社長面接8時間の理由 実録 求人魂!
規模だけを見れば中堅だが、その技術の高さと先進性に基づく開発力によりシステム業界で異彩を放つコガソフトウェア。大手も高く評価する優秀な人材をどうそろえたのか?教育なのか、待遇なのか。どうやら採用時から秘訣がありそうだ。
(取材・文/中村伸生 総研スタッフ/山田モーキン)作成日:08.10.10
今回の求人魂! コガソフトウェア株式会社 エンジニアの資格取得に力を入れる
コガソフトウェア株式会社 情報システム産業における競争力は、どれだけ優秀なエンジニアを抱えるかにかかっているといっても過言ではない。採用活動にはどの企業も力を入れ、中途採用市場も活発。人材は流動的で、エンジニア側からすれば、高い開発スキルを身につければ転職がしやすい業界と言える。言い換えれば、企業はスキルの高いエンジニアをいかに確保するか頭を悩ませている。
そんな状況でありながら、社員数138人足らずのコガソフトウェアには、市場価値の高い国家資格やベンダー資格をもったエンジニアたちが集結している。また、大手を辞めてまで転職したいと応募してくるエンジニアが後を絶たないそうだ。代表取締役の古賀社長にお話を伺うと、そこには人材の採用に対する並々ならぬ思いがあった。
求人背景:クライアントからの高度なスキル要求に応えられるエンジニアを求む!
2000年に2人で創業して以来、全期で黒字決算を続け、現在は138人にまで成長したコガソフトウェア。その成長性以上に注目されているのが、開発力とエンジニアや学生からの人気である。開発力に関しては、著名企業も目を見張る。実際に取引先は大手SIerばかり。それも最新のJava技術を取り入れた先進プロジェクトから次々と声がかかる。こうした高度な依頼案件が押し寄せる中、エンジニアの採用について、古賀氏は次のように言う。
「クライアントは当社にプロフェッショナルなスキルを求めてきます。中途半端な頭数をそろえるだけのような依頼はありません。そんな期待に少しでも応えていくために、採用活動は欠かせません。幸い、当社の門をたたく応募者は少なくないですよ。しかも優秀な方も多い。応募者の中に、中途採用では大手著名企業のエンジニアが目立ちますし、新卒採用では国立・私立とも難関校からの応募が殺到しています」
以上のことだけを聞けば、採用には困っていない人気実力企業という面しか見えてこないだろう。ところが、古賀氏率いるコガソフトウェアは、業界でもその採用にかける意気込みや投資が、けた外れの企業なのである。
古賀詳二氏
コガソフトウェア株式会社 代表取締役社長
古賀 詳二氏
「エンジニアが安心して働ける環境をつくりたい」との思いから2000年にコガソフトウェア株式会社を設立。6人=設立時2人、だった社員は現在130人を超え、経営的には全期黒字決算、売り上げは17.3倍に成長している(2008年3月期実績)。
「コガソフトウェア」の求人魂! その1 ひとりの面接にかける時間が8時間!
一般的にコガソフトウェアの規模であれば、採用活動に際し、最終面接を社長が行うことは珍しくない。その平均時間は1時間から2時間。3〜4時間もかければ、かなり長い部類に入るといえるだろう。ところが、古賀氏はなんと平均8時間の面接をひとりの応募者に対して行うという。それも年間100人前後というからさらに驚かされる。
「一緒にやっていける本当の仲間と出会いたい。そして、そんな方に納得して入社してほしい。このことを妥協したくなかったら、どうしても8時間はかかってしまいます。
面接では、まず転職の動機を聞きます。前職の過酷な労務環境、意欲が満たせない労使双方の意識のズレ、希望がもてない組織構造などが噴出します。そして、そこで、どういう行動を取ってきたかを徹底的に聞き出します。真剣に戦ったか、安易な考えだったのかを判別するためです。そこに本当の人間性が現れると考えています。
次に、コガソフトウェアがどういう会社なのかを紹介します。私からばかりではなく、必ず社員を呼んで、社員側の意見も述べさせます。議論や質問にも応じます。やはり採用は雇用側の一方的なジャッジになってはいけないと思うからです。応募者側にも納得して入社してほしいですからね。
最後に、面接の結果を伝え、今後の成長に向けた課題を共有します。合格者はもちろん、不合格者にも、丁寧に伝えます。課題はヒューマンスキルに関することがほとんどです。ここを改善すれば伸びる、そう伝えます。不合格者にも、課題をクリアしてから再度チャレンジするのは大歓迎だと言っています」

面接では、どんな応募者ともざっくばらんに話が弾むという
意外なことに採用の判断基準の肝は、技術スキルではなく、人間性だと古賀氏は言う。そこをきちんと見るため、あるいは会社の人格を応募者に見てもらうために、8時間が必要なのだろう。でも本当にこの8時間は必要だったのだろうか、活躍中の社員に聞いてみた。
「あらかじめ時間を限定して面接を行うと、片方に納得のいかないまま採否が決まる可能性があります。これを避ける面接を行った結果が、平均8時間なのだと思います」
「履歴書や職務経歴書からは見えない人間性やポテンシャルを掘り起こすには、これくらいかかるものだと思います。応募者からすれば何より古賀社長がどんな人か確認できる。採用側も応募者も、本質を見極めて入社するから、入社後の後悔がほとんどないと思います」
以上の回答は一例にすぎない。ほかの意見も肯定的なものばかりだ。古賀氏の採用に関する考えは、的を射ているようである。
「コガソフトウェア」の求人魂! その2 主要IT資格の取得数だけで決まる給与額!
コガソフトウェアの採用魂を現わすもうひとつの常識外れが、給与額の算出方法だ。中途採用の場合、面談内容の中で必ず折り合いをつけなければならないのが待遇に関することである。希望額と提出額に大きな相違がないことが望ましいのは言うまでもないが、そのためにも重要なのは双方納得のいく算出方法ではないだろうか。
コガソフトウェアでは、誰もが納得できるクリーンで明快な給与額の算出方法を採用している。基本給は均一。そこからの上積みはすべて資格手当というものだ。それも半端な数字ではない。この毎月の資格手当だけで25万円に到達する社員もいるのである。年収にして300万円相当である。この人事考課を採用した古賀氏は、その理由を次のように語ってくれた。
「IT関連で市場価値の高い資格を取得することはプロの証だと考えています。医師や弁護士、会計士など、世の中で専門性が高く評価される職業のほとんどは、その認定資格を取得したプロです。難しい試験に合格したからスキルが認められる。それは、ITでも同じだと思うのです。そして、プロには相応のペイが必要です。だから資格手当をはずむのです」
このフロアにいる社員はほとんど、入社後に何らかの資格を取得している
実際にコガソフトウェアには経済産業省のシステムアナリストやシステム監査以下、一種以上の技術者資格をもつエンジニアが数多く在籍している。ほかにもIBMのDB2グローバルマスターのエキスパート以上が18人、オラクルマスターのゴールド以上が11人、MBAの取得者もいる。もちろん複数の資格を重複してもつ社員も含まれるが、138人の企業とは思えない資格取得実績だ。
「自らの待遇を向上させるには、資格取得に向けて勉強すればいい。これほどシンプルなモチベーションのもち方はありません。スキルアップに対する前向きな意欲が社内にあふれています」
そう語る古賀氏に、管理職やリーダーの選抜でヒューマンスキルを問わないのかと聞いたところ、同社では技術力の高い者が自然とリーダーシップを発揮するそうだ。だからこそ、採用の初期段階でヒューマンスキルを重視するのかもしれない。
今後の展望:受託開発から市場開発型企業へ
ソフト開発企業として、業界内でも高い存在感を示し始めたコガソフトウェア。古賀氏のビジョンは次のフェーズに入ったようだ。RFPが整った情報システムの受託開発企業から、社会の新しいITニーズをとらえて、ソフトウェアの開発力で事業を創造し、社会に貢献していこうという市場開発型企業への転換が子会社を通して着々と進んでいると古賀氏は語る。
「いま、東京大学と共同で、在宅医療を支援する遠隔診断システムに不可欠となる、ウェアラブルコンピュータの開発に取り組んでいます。日常活動する被験者に装着し、心電図の波形を遠隔のサーバーに送信して心疾患等を検知するシステムです。今後、このシステムの普及により、ITが異業種と結びつき、新しい領域を開拓、しかも社会貢献につながる成功モデルになればいいと考えています。このように受託開発ではなく自らが起点となる開発には、夢があります。日本には数多くのIT企業があります。その一部でもこうした創造的なビジネスに向かえば……ITと異業種のコラボは日本再生のキーワードといえるかもしれませんね」
「正しい理念のもとに行動し、社会に貢献する会社でありたい」と持論を熱く語る古賀氏。
今回の求人魂! 企業の人格を上げるために不可欠な、「納得して成長していく人材」の確保のためには、ひとり8時間の面接も長くない。
ひとりの採用の面接に8時間かける古賀氏。8時間といえば、ほとんどまる一日。それを1年に100人以上こなすというから、社長業の約3分の1は採用に割いていることになる。いかに人材が最重要とされる情報産業といえども、力の入れ方は尋常ではない。そもそも古賀氏は、単に利益を上げるとか、経営を安定したいといった一般の経営者とは目線が大きく違う。クライアントや大手SIerが主導するビジネスモデルから脱却し、異業種と結びついた新事業による社会貢献で「企業の人格」を上げたいという古賀社長の向上心が、“熱い採用”を続けさせているのだろう。
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