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最新! 8つのエンジニア職種から採用動向がわかる!職種別 採用天気予報 [08年10〜12月期]
景気減退と物価上昇が進む中、秋から冬へのエンジニア転職市場はどうなるのか。これまでの市場動向を基に、技術系職種を大きく8つに分け、10月から3カ月間の短期予想を載せた。取材先は各分野のベテラン転職アドバイザーたち。それぞれの分野での求人動向と、企業の求める人材像に注目だ。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/高橋マサシ)
全体動向 景気減速の風向きに怯えることなく、転職活動の正道を行こう
「企業からの求人は、私が入社以来、初めての落ち込み」──人材紹介会社のキャリアアドバイザーが深刻な表情でそう呟くのを聞いた。聞けば2000年の入社で、その年にあったネットバブルの崩壊も、彼の担当業種には影響を与えなかったよう。つまり入社以来、転職マーケットの右肩上がりの成長だけを見てきた彼には、今夏以降の景気減速感の逼迫、それに伴う求人マーケットの低迷は、少々ショックなようなのだ。

 しかし、景気はよいときもあれば悪いところもある。過去にはもっとひどい年もあった。採用数を絞るどころか、大手企業が大幅な人員リストラを繰り広げたのもそう遠い昔の話ではない。グローバル化の度合いを強める経済は、国内需要を見ているだけでは先が読めず、サブプライムローンや原油高など思わぬ外部要因に足元をすくわれることもよくある。だから求人市場は「水もの」とまで言うつもりはないが、景気後退局面にはそれに適した転職ノウハウが求められるというわけだ。
 まさに求職者の転職活動に当てはまること。一生転職しないつもりなら別だが、いずれは転職したいと考える人にとっては、景況の変動はとうに織り込み済みでなければならない。採用枠の減少とはいっても、生産活動の量と質を高めようと考える限り、企業は求人を続けざるをえない。いかなる事態であっても、その狭き門に到達できるだけのスキルを身につけておくくらいの気持ちは必要だろう。

 高い専門知識とコミュニケーション能力、人を束ねる力とものづくりにおける工夫、そして常に技術の進歩を疑わず、その進歩を自らが担うという気概があれば、企業は必ず「その人に会ってみたい」と関心を示すはずだ。
 景気減速傾向の中でもなぜこの企業は人を採るのか、という疑問を突き詰める中に、これからの新しいテクノロジーやマーケットの動向が浮かび上がることもある。今はまだ「べた凪」ではない。風向きが少し変わっただけだと考えよう。逆風を受けてむしろ帆船はスピードを増す。そんな気持ちで、秋以降の転職活動に臨んでほしい。
業界別求人人数の推移と今後の予測
ページ内の各技術分野へリンクします。
業界別求人人数の推移と今後の予測
 ※2007年7月の「IT通信・インターネット業界」の求人人数を0値として、職種ごとの求人数の推移をグラフ化した。
 ※リクルートエージェントのデータ(2008年8月まで)を基にTech総研編集部が作成。
制御系SE
晴れときどき曇り
車載関連製品など好調な製品あるも、全体的には縮小の余波あり
狙われるのはこんな人 チームリーダー・マネジメント経験、画像認識・制御、車載技術
 マーケットは動いていますが、徐々に採用人数が減り始め、難易度は高まってきました。自動車業界は依然堅調というものの、採用企業は一部の完成車メーカーやサプライヤーに限られてきています。家電業界からの求人も横ばい傾向。携帯電話業界も横ばい、減少傾向です。
 以前は設計開発者への求人が多かったのですが、最近は開発力に加えてマネジメント力が重視されているのは、すべての業種に共通する傾向です。20代後半なら4〜5人規模のチームのリーダーまたはサブリーダー経験、30代前半ならより責任のかかる業務経験が重要になります。

 そうした経験をどんな会社で、どのような業務の中で積んできたのかが、採用側としては最も聞きたいところ。それをできるだけ詳しく話すことが面接でのポイントになります。仮に中小の協力会社での下請け業務であっても、そこで実施的なリーダー役をやってきた人や、高い技術領域のプロジェクトに参画されていたなら、十分大手企業へ移るチャンスがあると思います。
 また、企業は採用エンジニアの職場への「定着可能性」を、今まで以上に気にするようになりました。短期間で転職を繰り返す傾向の人は、「いつまでうちの会社にいてくれるだろうか」という不安を呼び寄せることになり、面接では不利になるでしょう。景気の後退感は製造業に大きく影響してくるため、こうした「厳選傾向」は、年度末に向けて厳しくなる可能性もあります。

 このような時期にあっても、先に挙げたように、マネジメント力をもつ人への注目は高く、また技術分野では、画像系の組み込みエンジニアの需要は依然高いものがあります。画像技術はさまざまな製品に組み込まれておりますが、例えば最近注目の高い車庫入れサポート装置などは、画像認識とカメラ技術を車に応用するもので、高度なエンベディッドの技術が求められます。
 画像技術はひとつの例ですが、「これから技術力やマネジメント力を高めていきたい」という場合は、メーカーであれソフト会社であれ、その会社でどのような経験が積めるかという情報を集めながら積極的に行動するとよいでしょう。
制御系SEの求人情報 リクルートエージェント
ITカスタマーマーケット
キャリアアドバイザー
畠田 仁氏
畠田 仁氏
アプリ系SE
晴れときどき曇り
大手SI企業の採用基準は高まるが、特化型ベンダーは元気
狙われるのはこんな人 仕事が取ってこられるエンジニア、特定分野に精通した技術や経験
 全般的な景気悪化の影響か、IT・システム業界にも以前ほどの元気がありません。もちろん大手SI企業には仕事があるのですが、以前なら外部の独立系ソフトハウスにも回せるだけの量があったのが、最近はそれがなくなったため、系列以外の企業への外注を減らす傾向が見られます。いわゆる冠系SI企業でも、親会社の事業を請け負っている部門は元気で、人ももっと欲しいが、グループ外からの受注をメインにしていた事業部門はそうでもない、という状況が続いています。
 それがエンジニア採用にも影響を与えています。昨年、一昨年のような大手SI企業における、第二新卒や経験の浅い若手の大量採用はほとんど見られなくなりました。同じエンジニアを採るなら、リーダー経験、マネジメント経験のある人をという志向性が強く感じられます。一口にいえば、与えられた仕事をこなす以上に、仕事そのものを取ってこられるような人が欲しいということでしょう。

 大手でさえそうなのですから、独立系や中小のソフトハウスの現状は推して知るべし。待っていれば大手からの仕事が受注できるという状況ではもはやないのです。エンジニア採用数の減少、採用基準の高度化はここでも顕著です。
 こうした中でも強い求人意欲がうかがわれるのは、ニッチながらも高いシェアをもつ自社パッケージを擁する企業や、金融業界のフロントシステムで高い実績をもつような特化型ベンダーです。あるいは、特定の業務領域に専門特化したブティック型コンサルティングファームでは、コンサルタント以外のITエンジニアの求人が活発になってきました。つまりは「自分たちの強みをもつ会社」です。

 こうした企業にとっては、大手が採用を渋りだした昨今の状況はまたとない採用チャンスでもあり、積極的な人材募集を行っています。その多くは規模的にはまだ小さな企業ですが、だからこそ、入社すれば若いうちからマネジメントスキルが磨かれ、スペシャリストへの道も歩めます。
 これらの企業は知名度が低いために一般的な情報が少ないものです。また。会社と技術者の双方の意向を、十分にすりあわせることも不可欠になります。採用条件は満たしていないものの、「該当分野での強み」をアピールして採用に至るケースもありますので、情報を集めて積極的に行動することが先決です。
アプリ系SEの求人情報 リクルートエージェント
ITカスタマーマーケット
グループマネジャー
江川理絵氏
江川理絵氏
コンサルタント
晴れ
実効性のある業務改革が求められ、即戦力採用が強まる
狙われるのはこんな人 製造・流通・金融業の業務知識。上流工程からのシステム構築経験
 コンサルタント業界全体の活況は続いていますが、求人の傾向には変化が見られます。顕著な動きは、第二新卒層の採用が少なくなっていること。若手を大量にプールしておいて、飛び込んできた案件にアサインするというより、それぞれの案件にフィットした即戦力人材を採用したいというニーズへの変化が見受けられます。
 また、これまでITスキルなどテクノロジーベースの知識や経験を重視していた大手会計系ファームが、業務知識に重きを置くようになったのも最近の変化でしょう。例えば、銀行に長く勤務し、豊富な金融業務の知識を持ちながら業務改革のプロセスに通じている人材は、ファーム各社から高い引き合いがあります。

 こうした変化を促したのは、顧客であるクライアント企業の意識の変化でしょう。これまでのように提案書を書いて終わりではなく、提案書+システムの提案、さらにシステム運用から新たな業務改革のニーズを引き出していくような、システムライフサイクル全体にかかわる、息の長いコンサルティングが求められるようになっています。言い換えれば、業務改革提案により高い実効性、「本当に動くシステム」が求められているということです。
 それに対応してファーム側も、戦略策定から設計、導入、運用、保守に至るまでサービスラインを総合化する動きが見られます。特に大手会計系にはその傾向が強く、システム運用で顧客に張りつきながら、新たな業務改革のニーズを掘り起こしていくようなビジネススタイルを強めています。
 こうしたスタイルでは、人員を大量に投入してシステムをデリバリーする力だけでなく、本当に業務がわかるコンサルタントの存在が欠かせません。それが、即戦力採用にシフトしていく理由のひとつだと考えています。

 こうした傾向は年度当初から感じていたもので、秋以降も加速すると見ています。コンサルティング業界全体の採用傾向は、量よりも質に転じているとはっきり言えます。
 事業会社からコンサルティングファームを目指す人には、これまでの社内向けノウハウをより企業横断的に適用して、より大きな業務改革に携わりたいという志向をもつ人が多い。変化感やスピード感のある職場で、プロフェッショナル性の高いキャリアを積みたいという人には、大きなチャンスです。ただ、採用基準は高くなっているので、それなりの即戦力性やスペシャリティを身につけないといけません。
 この即戦力性や専門的な業務知識、コンサルタントとしての素養は、現在の職場にいても十分に身につくものです。常に経営視点で自分の担当業務を見直し、業務への携わり方を意識的に変えていく。こうしたマインドセッティングが重要になります。
コンサルタントの求人情報 リクルートエージェント
総合企画部
リクルーティングアドバイザー
山崎まり子氏
山崎まり子氏
ネットワーク
晴れときどき曇り
ポテンシャルではなくリーダーやマネジメント経験が不可欠に
狙われるのはこんな人 IPおよびネットワーク層から上の技術、サーバの仮想化技術など
 企業側の採用意欲は決して衰えているわけではないが、採用基準、つまり人材に求める目線やハードルが高くなっているというのが第一印象です。昨年同期当たりは、20代前半はポテンシャルだけでも採用されていたのが、より経験値や知識が求められるようになりました。20代後半から30代にかけてはチームリーダー経験、30代半ばになると10〜15人程度のマネジメント経験がないと、どんなに高いスキルの人でもなかなか採用に至らないという状況も生まれています。
 その理由としてよく聞くのは、これまで第二新卒を含むポテンシャル層はずいぶん採用してきたが、今度は彼らを育てたり、取りまとめていく立場の人材の不足が目立ってきたので、その層に採用をシフトさせたというものです。また、昨年まで大量に採用があった金融機関向けの構築案件が、業界的に一段落ついたことも大きいようです。これについては、大手SI企業における大量採用はめっきり減り、一部中途採用を中止した企業も見られます。

 こうした中でもよりニーズが高いのはサーバの経験や知識です。ネットワークだけの知識だけではやはり弱い。サーバ技術ならWindows系でもUNIX系でもよいので、それらを身につけておくことがこれからは不可欠ともいえます。
 景気の悪化感もあり、転職を先延ばししようと考える人もいると思いますが、来年になれば景況が大幅に好転するという材料は見られません。私どもに相談にお見えになるエンジニアには、いずれ転職をしたいと考えているのであれば、早い方がベターだと申し上げています。過去に転職経験がある人ほど、かつての潤沢なマーケットの印象と今との違いに驚くでしょう。そういう状況ではないことをまず認識し、発想の切り替えをお願いしています。

 この時期に転職に勝つためには、書類の作り方や面接での話し方など、いくらでも工夫できるところはあります。キャリアの棚卸しをより精密に行い、技術スキルの話だけではなく、これまでのリーダーやマネジメントの経験を強調するような形で自分をアピールするのもひとつの方法です。何を強調すべきかを一緒に考えながら、アドバイスをより丁寧にするよう心がけています。
ネットワークの求人情報 リクルートエージェント
ITカスタマーマーケット
キャリアアドバイザー
池尻マキ氏
池尻マキ氏
電気・電子系
曇り
曇りに転じた業界では30代以降のエンジニアがもてはやされる
狙われるのはこんな人 ハードとソフトの両輪にわたる技術、PLやPMとしての豊かな経験
 エンジニア採用に一服感が出てきて、量的確保より質の充実へシフトするというのが、エレクトロニクス系求人の今期の予想です。通常ですと、新卒採用業務が一段落した6月あたりから中途採用の案件がどっと出てくるものなのですが、今年は勢いがありませんでした。

 もちろん現場には採用ニーズはあるのですが、採用基準が上がったため、既に「書類が通らない」「面接が厳しくなった」という声が随所で聞かれるようになりました。この背景には自動車業界や工作機械業界の成長が減速しつつあるなど、景気見通しの悪化があります。経営幹部層が人を増やすことに躊躇しているわけです。
 夏場の北京オリンピック景気に期待する向きもありましたが、結局は不発に終わりました。景気がこれから急回復する材料は少ないので、この苦戦状態はしばらく続くと見ていいでしょう。

 業績を上げている企業は今後も採用枠を維持するでしょうが、業績が悪化する企業の中には中途採用の中止に転じるところもあると見ています。また、以前のような20代半ばまでの第二新卒求人は激減しており、むしろ30代前後から40歳にかけての経験豊かなエンジニアに関心を向ける企業が増えてくるのも、今期の特徴と言えます。
 経験者へ採用がシフトしていくのは、やはり確かな現場経験と、チームやプロジェクトを引っ張るリーダーシップやマネジメントスキルを重視しているからでしょう。逆にいえば、これまで年齢の問題で転職を躊躇していた30代エンジニアには、新たなチャンスが巡ってきたともいえます。
 これまでのキャリアをもう一度見直し、技術の専門性や発展性に加え、リーダー経験やマネジメントスキルに重点を置いてアピールすることが、面接突破の重要な鍵を握ることになります。
電気・電子系の求人情報 リクルートエージェント
EMC・メディカルカスタマーマーケット
グループマネジャー
勝田 健氏
勝田 健氏
機械・メカトロ系
晴れときどき曇り
建機業界の設計職や化学業界の生産技術職が好調に
狙われるのはこんな人 機械設計、設備設計や工程設計などの生産技術に加えて「人物力」
 これまで機械・メカトロ系エンジニア求人の最大の需要先であったのは自動車業界です。相変わらず牽引役を果たしているとはいうものの、採用ニーズは少し落ち着いてきました。それと反比例するかのように増えているのが、建設機械業界からの求人です。BRICs諸国における建機需要は高止まりで、日本メーカーの生産意欲も強い。
 建機は自動車と要素技術が似ているだけでなく、自動車よりもメカ的な色彩が強い分野ですから、自動車業界しか頭になかったエンジニアにはぜひ注目してほしいと思います。
 発電分野などの重工業業界からの求人も相変わらず堅調で、時流に乗った「特需」に近い傾向もあります。また、電池や液晶フィルムなど化学系企業における機電系エンジニアの求人にも注目したいところ。電池やフィルムは化学的なプロセス開発を経た後は量産工程が必要なので、そのための生産技術が不可欠です。そこに機械系エンジニアの活躍の場があるのです。

 ただ、メカ系の求人市場を全体的に見れば、工場設備系の減速や半導体製造装置関連の激減などがあり、曇りの部分が増えています。自分の活躍のフィールドをより広く見通すことが必要になるでしょう。
 採用選考に当たって人物を見る採用側の視点が、徐々に厳しくなっています。1次選考では高評価だったのに、最終面接ではおそらく「上」からの指示で「待て」がかかるとか、数カ月前なら採用に至ったはずの人が落ちてしまうなど、雲行きの変化を感じます。それでも秋口はまだ求人が出ているでしょうが、半年先になるとわかりません。風向きが悪い方向に定着しないうちに、転職に関心があるのなら、まずは受けてみるというぐらいの素早いリーチの姿勢が重要になっています。

 技術があれば委細は問わないという採用姿勢が、技術+人物へとシフトしています。ここでいう「人物」とは、技術的なバックグラウンド、視点、対応力の広さのことを言います。例えば、3D-CADを使った機械部品設計が本職ではあるが、量産工程にも関心があり、同じ機械部品を設計するのならより量産がしやすく、品質保証的な観点からも作りやすいものを設計できる。こうしたエンジニアのことです。工場のラインを一から立ち上げた経験やPMなどの経験が、ここでは重要なアピールポイントになるでしょう。
機械・メカトロ系の求人情報 リクルートエージェント
EMC・メディカルカスタマーマーケット
グループマネジャー
原健人氏
原健人氏
半導体系
晴れときどき曇り
省エネや環境意識の高まりで、パワー系半導体デバイスに熱い視線
狙われるのはこんな人

デバイス設計・開発、アナログ回路設計、パワー半導体開発経験者

 環境問題や省エネへの関心から、主にモーターを効率よく回す用途で使われるパワー半導体があらためて注目されています。このパワー半導体は、電力変換、降圧などにも用いられる技術。重電系企業からパワー系半導体デバイス開発のためのエンジニア募集が出ており、好調をうかがわせます。
 とはいえ、前期に比べると全般的な求人数は少し減ると予測します。半導体大手のひとつが四半期決算で赤字を出すなど、積極的な設備投資をしていたものの外部環境が厳しいので、採用計画を見直す動きもあります。半導体製造装置はより深刻で、半導体事業だけでは苦しいと、次世代関連の新分野に乗り出すところもあるようです。

 半導体エンジニアの求人は大きく半導体デバイスメーカーと、それらを製品に組み込む家電、自動車、PC機器などのセットメーカーにおける、内製の半導体部門があります。
 半導体デバイスメーカーに関してはここ数年で再編が進み、優勝劣敗がはっきりしてきました。数は少なくなったものの、それだけセットメーカーとの力関係では優位性をもつようになっています。携帯電話の画像周りの半導体はこの会社というように、グローバル規模で寡占的なシェアをもつ企業もあります。
 そのため、本当にデバイスを一から作りたいのなら、やはりデバイスメーカーに行くしかないと、セットメーカーを辞めて移る人も多いと聞いています。このあたりは、自動車業界における完成車メーカーとサプライヤーの関係に少し似ています。

 もちろん、半導体デバイスそのものよりも、完成品のほうに関心があるエンジニアもいるでしょう。そういう人はセットメーカーからの求人を待つべきで、車載半導体では依然として活発な求人が出ていますが、全体的に見ると圧倒的にデバイスメーカーサイドからの求人のほうが多いというのが現状です。
 転職で最も評価されるのは半導体デバイスの設計・開発経験で、パワー系の経験者なら引く手あまたでしょう。また、アナログ回路の経験者も市場では希少価値をもっています
半導体系の求人情報 リクルートエージェント
EMC・メディカルカスタマーマーケット
グループマネジャー
勝田 健氏
勝田 健氏
化学・材料系
晴れときどき曇り
ディスプレイや各種電池などの業界で次世代技術を目指せ
狙われるのはこんな人 薄膜デバイス、電池関連技術、石化のプロセスエンジニアリングなど
 昨年までこの分野を引っ張ってきた大手化学系企業の求人は落ち着いてきました。ポスドクの研究者も含め、まだまだ人を採りたいというニーズはあるものの、その勢いは少し減速しています。とはいえ、全体には高位安定という状態でしょう。
 技術分野で見ると、これまで大量求人を支えてきたのはFPD向けの開発エンジニア求人。最近は次世代ディスプレイである有機ELの事業が各社で立ち上がることで、TFT、半導体、フィルムなどの薄膜デバイスに関連する、プロセス開発経験者の募集が増える傾向にあります。そこでは、CVD装置やスパッタリング装置の技術なども重要な要素になるでしょう。ただ、今後は次第に基礎研究段階から量産工程にかかわる求人にシフトしていくと見られます。

 もうひとつの重要な技術分野が電池です。リチウムイオン電池ひとつとっても、材料開発から、組み合わせ、量産技術、品質保証と安全性確保など、企業はまだまだやらなければならないことが多く、技術者の中途採用にも積極的です。また、各完成車メーカーの燃料電池開発も本格化してきました。
 それに劣らず家庭用燃料電池の開発も急ピッチで進んでいます。また、「全固体電池」や「金属空気電池」など次世代2次電池の基礎研究も各社でスタートしており、これからの動きに注目しています。
 電池の分野ではたとえ実務経験がなくても、電気化学や無機材料の基礎がわかれば十分に採用チャンスがあります。

 石油化学分野に目を転じてみると、ここでも原油高や環境意識の高まりで、収率改善の動きがますます高まっています。よりプロセスエンジニアリングが重要になるわけで、石化プラントエンジニアの需要は今後高まっていくと見ています。また、鉄鋼材料の高騰を受けて、エンジニアリング・プラスチック技術のさらなる高度化が求められるようになりました。鉄を代替するプラスチック技術で、関連求人がちらほら出てきています。
 ミニブームとも言えた旺盛な化学求人は落ち着くことで、むしろじっくりと職場を選べる状況が生まれています。10年後、20年後の次世代技術に自分はどうかかわっていくか、そういう中長期視点で転職を考えるのにふさわしい秋かもしれません。
化学・材料系の求人情報 リクルートエージェント
EMC・メディカルカスタマーマーケット
グループマネジャー
原健人氏
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