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あなたはスカウト?人材バンク?ヘッドハント?ベールに包まれた転職手段の効能徹底比較
あなたが転職するとしたら、どんな手段を使いますか? スカウト、人材バンク、それともヘッドハント? これらの手段の違い、そもそもちゃんと理解しています? 実はこれらの手段には技術領域の広さや転職への緊急度などによって、向き、不向きがあるんです。
(取材・文/総研スタッフ 関洋子) 作成日:04.11.24
エンジニア 転職手段の実態
転職手段はネット利用が増えている
 転職を考えてみようかな──。そう思ったとき、読者のみなさんはどんな行動を頭に思い浮かべるだろうか。

 そこで実際に、Tech総研が2004年7月24日〜8月1日にエンジニアの転職手段に関する調査を行ったところ、最も利用された手段は転職サイト「リクナビNEXT」。そのほかの転職サイトも含めると、約4割にも達する。そして、2番目にランキングされているのが、「リクナビNEXTスカウト」だ。つまり、エンジニアの転職は、よりネット利用に傾いているといえる。
エンジニアの転職手段
転職への動機や緊急度で転職手段は変わる
 しかしこれらの転職行動は、転職する動機、転職への緊急度などによっても本来、変わってくる。例えば、「やっぱり働くなら、●×会社だよ」というのであれば、直接、●×会社のホームページにアクセスすればよいだろう。しかし「自分に合った会社」や「自分のスキルや経験が生かせ、やりたいことができる会社」「自分を必要としている会社」で働きたいというような気持ちから転職を考えるのなら、直接応募というわけにもいかない。

 またTech総研の読者にも多い、「今すぐというわけではないけど、ここ1年以内にどこかいいところがあれば転職したいな」という「潜在転職派」であれば、スカウトサービスに登録する、人材バンクを使う、ヘッドハンティング会社を利用する、という3つの手段を理解しておいて損はなさそうだ。
 そこでこれら、「潜在転職派」に合う3つの転職手段、スカウト、人材バンク、ヘッドハントについて、それぞれの効能を探っていきたい。
3つの転職手段の効能比較
 これら3つの転職手段の詳細を明らかにするために、スカウトについてはリクナビNEXT編集長・岡崎仁美氏、人材バンクについてはリクルートエイブリックの鶴巻百合子氏、ヘッドハントについては、アイテックの清野義則氏にお話を伺い、その内容を効能と注意事項にまとめた。
その1 スカウト
効能
スカウトの第一の魅力は、就業中でも人知れず、転職活動ができること。エンジニアの場合、いったん、プロジェクトが始まってしまうと、なかなか自由になる時間がとれないことも多い。そんなときに転職活動したいと思っても、人材バンクに足を運んだり、転職サイトをじっくり見たりということはなかなかできない。しかしスカウトであれば、Webに登録するだけで、容易に転職活動ができる。

第二に自分ではなかなか気づかない、思わぬ転職先が見つかること。つまり自分の可能性を知ることができる点だ。特に30歳以上のエンジニアの場合、新卒時に自分で就職活動した経験のない人も多い。そういう人にとって、転職活動自体が不慣れなため、不安に感じるだろう。スカウトの場合、企業からのオファー待つだけなので、かなり不安は軽減されると思われる。またオファーが届く数によって、ある程度、自分の市場価値を知ることもできるというのもメリットだ。
注意事項
特に注意してほしいのは「オファーのすべてが、企業からのプロポーズではない」という点。つまり、企業から届いたオファーは、「あなたを採用します」というオファーではなく、お互いを知ろうという機会を提供されただけの場合もあるということだ。

次に大事なことは、一度、登録した履歴書を放置するのではなく、こまめにバージョンアップすること(履歴書の書き方については、Tech総研の記事、「企業にスカウトされるレジュメ作成術【レジュメ大解剖編】」を参考に)。企業は履歴書で、新しい技術をどれだけキャッチアップしているか見ているからだ。
●スカウトの流れ
岡崎仁美氏
リクルート
リクナビNEXT編集長
岡崎仁美氏
その2 人材バンク
効能
人材バンクの第一の特徴は、企業側と求職者双方のニーズや意向を把握し、双方にとって最も良い結びつきを創る役割を担うことだ。求職者は登録後に専任のキャリアアドバイザーより多岐にわたる転職活動へのサポートが受けられ、一人の転職活動では得られない情報やアドバイスなどが得られる。

第二の特徴は、スカウト同様、自分では気づかない選択肢や視点が広がること。例えば小規模の企業で働いている人が自分で転職活動をする場合、どうしても大企業への転職は選択肢から外して考えがちだ。しかし、企業が求める条件とその人が持つキャリアや知識が合致していれば、出身企業の規模は本来、関係がない。そういう自分ではなかなか考えない企業への転職の可能性や選択肢を広げてくれる。また、リクルートエイブリックでは求職者に対して転職支援サービスの一環で模擬面接を行う場合も多い。面接に自信のない人にとっては心強い。そのほか、職務経歴書などの書き方もチェックしてくれる。
注意事項
キャリアアドバイザーがいるとはいえ、例えば「どうして自分は転職したいのか」「転職によって何を実現したいのか」など、転職理由をある程度明確にしておくこと。そうすることによって、キャリアアドバイザーからより適切なアドバイスをもらうことができるからだ。

しかし登録したからといって、必ず転職先を紹介してもらえるというわけではない。例えば、「あと1、2年、今の会社で力をつけてからの転職の方が選択肢も広がるのでは」とアドバイスされることもあるのだ。また、キャリアアドバイザーとの面談などを行うため、実際に現地に出向かなければならない。
人材バンクの流れ
鶴巻百合子氏
リクルートエイブリック
広報室
鶴巻百合子氏

その2 ヘッドハント
効能
ヘッドハントは登録型の人材バンクと異なり、スカウト型の人材紹介業である。基本的にヘッドハントされる人材とは、企業が求める人材を探してくるため、一般の公募では見つからないような特殊なスキルや技術をもっている人といえよう。つまり、ある企業が新規事業を立ち上げ、それに必要なエンジニアを募集したいが、公募すると事業戦略までが明らかになってしまうこともある。そういう場合に、企業はスカウト型の人材紹介会社、いわゆるヘッドハンティング会社に依頼をすることが多い。つまり最大の特徴は、オープンになっていない求人に出合う可能性があるということ

また各ヘッドハンターは得意分野(業界、技術)をもっている。したがって、声をかけられた場合は、技術やスキルなどの専門分野に関する話をしても、十分、理解可能。若年層よりもPMクラスなどベテラン層が多い。
注意事項
ヘッドハンターから声がかかった場合は、履歴書と職務経歴書は必ず持参すること。またヘッドハンターから声をかけられたからといって、募集企業に指名されたとは思わないことも重要だ。企業の指名によるヘッドハンティングはエグゼクティブクラスでは行われているが、エンジニアクラスでは、ほとんどないというのが現状だ。企業は「こういうスペックの人材が欲しい」というオーダーを複数のエージェントにかけるからだ。

もちろん、ヘッドハンターと話をする機会があっても、必ず紹介してもらえるというわけではないことも理解しておきたい。
ヘッドハントの流れ  
清野義則氏
アイテック
人材事業部 部長
清野義則氏

3つの転職手段効能比較
  転職行動の手軽さ 転職行動の即効性 転職先のバラエティ度
スカウト
人材バンク
ヘッドハント
×*
×*
*ヘッドハントは能動的な転職手段ではないため
タイプ別おススメ転職手段
意思決定や情報収集力でもタイプが分かれる
 ここまで3つの転職手段の効能を見てきた。では、それぞれの手段はどんな転職行動をする人にマッチするといえるのだろうか。リクルート・ワークス研究所の主任研究員・豊田義弘氏に話を伺った。

「まず、意思決定や情報収集力に対する積極性でタイプが分かれると思います。例えば自分で何事も決められるという『自分が基準で決められる』人は、スカウトが向いているように思います。一方、周囲の意見を参考にして決めたいと考える『人の意見も聞きたい』人は、キャリアアドバイザーのいる人材バンクが合うのではないでしょうか。またヘッドハントの場合、転職者は受け身という形になるので、やはり『人の意見も聞きたい』人に合うでしょうね」


今すぐ転職派なら人材バンク、専門性が高いエンジニアならスカウト
豊田義弘氏
リクルート ワークス研究所 主任研究員
豊田義弘氏
1983年、東京大学理学部卒業後、リクルートに入社。大手企業の新卒採用戦略、広報計画業務に制作ディレクターとして従事。その後、就職情報誌の編集業務に携わる。現在は研究員として、組織・人材マネジメントの未来形、雇用構造の変化、若年層のキャリアデザインなどを探索中。
 また「転職への緊急度によっても、3つの転職手段を使い分けることができるでしょう」と豊田氏。例えば「今すぐ転職したい」というように、転職への緊急度が高い場合は、人材バンクが最適だ。前出の鶴巻氏によると「転職期間は短く、登録してから内定がでるまで平均2カ月」だという。したがって、半年以内に転職したいという人には、おススメといえるだろう。スカウトやヘッドハントの場合、希望と合致する話がくれば、人材バンクと同様の期間で転職が可能だが、話がこなければそれまでだ。

「さらに技術領域の汎用度によっても、違いがでますね」と豊田氏。
「例えば携わっている技術や業界がニッチで専門性が高くなればなるほど、人材バンクやヘッドハンターの中に、その技術を本当に理解できる人は少なくなります。このような専門性の高い人にとって最適なのは、スカウトです。スカウトなら、技術のわからない人に話をするという心理的ストレスがありませんから」

「生涯一つの会社で終える」という選択肢もある。しかしそうしたいと思っても、業務の縮小や倒産、合併など、自己都合ではなく転職を余儀なくされることもある。「転職」を頭の片隅に置いておくことは、エンジニアにとって基本のリスク管理といえるだろう。そんな「今すぐ転職ではない人」にとって、おススメなのがスカウトだ。キャリアの棚卸しをするという、気楽な気持ちからスタートしてみてはいかがだろう。
■技術の専門性×就職への緊急度で見る転職手段の分布
■技術の専門性×就職への緊急度で見る転職手段の分布
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関洋子(総研スタッフ)からのメッセージ
「転職しなくちゃ」と本気で思わないと、転職活動ってなかなかできないですよね。でもスカウトなら、「転職は今でなくてもいいところがあれば……」という人でもOK。これを機会にスカウト登録してみてはいかがでしょう。特にエンジニアの場合、専門領域が明確なので、スカウトという手段がぴったりだと思います。おススメします。

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