リクナビNEXT 管理職を目指す?目指さない?女性のキャリアの「選択肢」

女性ビジネスパーソンのキャリアには、さまざまな選択肢がある。現場の最前線でバリバリ働いたり、専門性を磨いたり、アシスタントとしてチームを支えたり。フルタイムで働く以外にも、時間を区切ってマイペースで働く方法もある。そんな中、「管理職に昇格し、メンバーを率いる立場になる」のもキャリアの選択肢の一つだ。今回リクナビNEXT編集部では、管理職として活躍する500人に、「管理職の仕事」に関するアンケート調査を実施。そのリアルな声から「女性管理職のメリット、デメリット」を洗い出してみた。今後のキャリアを考える上での、判断材料の一つとして活用してほしい。

2014年2月26日

(調査概要)
調査方法:「リクナビNEXT 管理職実態調査」インターネット上で実施
実査機関:楽天リサーチ
実施期間:2014年1月24日〜1月29日
調査対象:現在課長職以上の役職に就いている管理職500名(男性250名/女性250名)

「管理職になって犠牲にしたもの」は趣味、健康、食生活
「得たもの」は裁量権や責任ある仕事

「女性が管理職になるのは、難易度が高い」――そう捉えている若手ビジネスパーソンは少なくないだろう。男性に負けないよう、昼夜なく働く必要があるのでは?家庭との両立は難しいのではないだろうか…などの印象を持つ人が多いだろう。

■管理職になって、犠牲にしたものはありますか?

その印象の「実際」を測るため、「管理職になって犠牲にしたものはあるか?」と聞いてみたところ、女性管理職の54.0%が「犠牲にしたものがある」と回答した。男性管理職のほうが64.4%と高いものの、半数以上の人が何らかのものを犠牲にしたという。

■具体的に「犠牲にしたもの」とは?

「犠牲にしたもの」内容を具体的に聞いたところ、男女に差が見られた。女性管理職の1位は「趣味に費やす時間」、2位は「健康」、3位は「食生活」であるのに対し、男性管理職の1位は「配偶者との時間」、2位は「趣味に費やす時間」、3位は「子どもとの時間」だった。

男性管理職の場合、配偶者である妻が専業主婦、もしくは家庭を優先しパートなどの働き方を選択しているケースが多いため、女性に比べて健康や食生活の割合は低く、どちらかというと家族との時間にひずみがいくようだ。一方の女性管理職は、仕事も家事もこなさねばならない人が多いため、忙しさの代償として「自分を犠牲にせざるを得ない」ケースが増えていると推察される。

  

■管理職になって、得たものはありますか?

     
  

ちなみに、「管理職になって得られたもの」の有無についても質問したところ、女性管理職の70.0%が「得たものがある」と回答した。男性管理職のほうが75.2%と高いものの、男女ともに7割以上の人が管理職になって何かを得たという結果となった。

  

■具体的に「得たもの」とは?

  

具体的に「管理職になって得られたもの」を聞いたところ、1位は男女とも「自分の裁量でできる仕事の範囲が広がった」だったが、男性管理職の2位が「給与が上がった」だったのに対し、女性管理職の2位は「責任ある仕事を任されるようになった」だった。男性に比べて女性は、給与よりも仕事自体に満足をしていることがわかる。

■婚姻状況

■子供の有無

また、「現在の婚姻状況」を聞いたところ、男性管理職の82.8%が既婚だったのに対し、女性管理職の既婚率は48.8%と、30ポイント以上の大きな差が付いた。「自由な時間が少なくなり、当時の恋人と疎遠に」(58歳/女性)、「仕事に集中するあまり、早朝から深夜まで仕事をしてしまい、結婚を考えるヒマがなかった」(47歳/女性)などの声が聞かれた。なお、離死別経験者の割合も15.6%と男性に比べて高く、女性の場合は「管理職になったことで忙しさが増し、離婚に至ったケース」が多いと見られる。また、男性の8割に子供がいるが、女性は子供がいない人が過半数という結果になっている。


でも「管理職になってよかった」が70.0%、「生まれ変わってもなりたい」が64.0%

■「管理職になってよかった」と思うことはありますか?

■生まれ変わっても管理職になりたいですか?

管理職という重責を請け負うために自分のことを犠牲にし、仕事と家庭を両立する苦労も男性に比べて多いという、女性管理職。しかし、そんな状況下においても「管理職になってよかった」と感じている人が多いのが印象的だった。

「管理職になってよかったと思うことがある」と答えた女性管理職は70.0%。男性管理職の75.2%と同水準の高い数値だった。しかも、女性管理職で「生まれ変わっても管理職になりたい」と答えた人も64.0%に上っている。
ちなみに、「管理職になる直前、不安や戸惑いがあった」と答えた女性管理職は43.2%。半数近くの人が不安に感じていたものの、実際に管理職を務めてみて、メンバーのままでは得られない「やりがい」や「醍醐味」を感じている人が多いようだ。「生まれ変わっても管理職になりたい」理由を、いくつか紹介したい。

だから「生まれ変わっても女性管理職になりたい」!

<部下を育てる楽しさ>

「部下の笑顔、頑張った涙、協力など、お金や辛さに関係なく素敵なものに出会えたから」(37歳/女性)
「たくさんの個性を活かしつつひとつのチームとしてまとめあげ、成果を出すことへの充実感」(50歳/女性)

<裁量権が大きい>

「管理職だからこそ仕事に関しての決定権を持てる。また、女性で管理職ということが同性からのイメージアップにつながり、一目置かれる存在になっていると感じる。公共の場においても、管理職ということが信頼につながるケースも少なくない」(60歳/女性)
「やりたいことや方向性をある程度自分自身で決められるし、年相応の生活もできるようになった」(48歳/女性)
「専門的に突き詰めた仕事をしたい、と思ってきたが、会社においては、ある程度の権限がないと、思うようなことに取り組めない、実現できないから」(57歳/女性)

<人脈が広がり、視野も広がることで成長できる>

「会社員だと歯車の仕事が多く、いろいろなしがらみが多いが、管理職になり範囲も人脈も広がることで自分が成長でき、全体が見えるようになった」(56歳/女性)
「学ぶことが多く、自分の成長を感じられる。同年代の友人よりも早く出世をした分、明らかに考え方が上をいっていると感じる」(41歳/女性)

女性のキャリアの選択肢が広がるなか、安倍政権が推進する女性の活躍支援策などを受けて「女性管理職」になるチャンスが高まりつつある。
管理職になれば、裁量がぐんと増すが、それだけ責任の範囲も広くなる。アンケートに答えてくれた多くの女性管理職が実感しているように、プライベートの時間や自分へのケアの時間を仕事に割かねばならないこともあるようだが、自身が決断し、実行したことが成果につながったり、日に日に成長していく部下を間近で見られる喜び、やりがいは何物にも代えがたく、それらが『管理職としての苦労』を上回っているようだ。
実に6割以上の女性が「生まれ変わってもなりたい」という管理職。キャリアの選択肢の一つに、加えてみてはいかがだろうか。

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伊藤理子
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