管理職を目指す女性へ。独自調査から読む、女性管理職が活躍しやすい環境と心構え

安倍政権が推進する女性の活躍支援策を受け、ビジネスシーンにおける女性の活躍に注目が集まっている。そんな中、将来は管理職になって会社の中で存在感を発揮したいが今いる環境でそれが叶うのだろうか?…と不安に感じている女性も多いのではないだろうか。そこで、リクナビNEXT編集部では、管理職500人にアンケートを取り、彼女たちがどこで活躍しているのかを洗い出してみた。現在の環境が「女性管理職が多く活躍する場所」に近いかどうか、比較してみてはどうだろうか。

2014年2月26日

(調査概要)
調査方法:「リクナビNEXT 管理職実態調査」インターネット上で実施
実査機関:楽天リサーチ
実施期間:2014年1月24日〜1月29日
調査対象:現在課長職以上の役職に就いている管理職500名(男性250名/女性250名)

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株式会社リクルートキャリア
『リクナビNEXT』副編集長 原田芳江

1985年生まれ。2007年神戸大学卒業後、リクルート入社。人事部で新卒採用を経験後、中途採用領域にて転職情報サイト『リクナビNEXT』の企画に携わり、転職者/企業人事/経営者の取材実績多数。2014年1月より『リクナビNEXT』副編集長。

「専門職」×「中小企業」にチャンスあり。転職で役職UPを狙った人も

管理職(課長職以上)500人へのアンケートにより、女性の管理職が多く存在している「環境」が明らかになった。

■あなたの現在の「職種」は何ですか?


男性管理職 女性管理職
1 エグゼクティブ 19.6% 1 財務、会計、経理 24.8%
2 営業、代理店営業、障害、MR 14.0% 2 エグゼクティブ 9.6%
3 経営企画、事業統括、新規事業開発 10.0% 医療、福祉サービス関連
4 公務員、団体職員 9.6% 4 営業、代理店営業、渉外、MR 4.4%
5 財務、会計、経理 3.6% 5 企画、マーケティング、宣伝、MD、バイヤー 3.6%
施工管理 公務員、団体職員

女性管理職の現在の「職種」を見ると、「財務、会計、経理職」が24.8%と最も多く、続いて「エグゼクティブ」「医療・福祉関連職」という結果に。いわゆる「専門職」と呼ばれる職種が上位に挙がった。

■あなたの勤務先の従業員規模は?

■あなたの勤務先の事業区分は?

女性管理職の勤務先の「企業規模」は、10人以下の企業の割合が最も多く、37.6%。30人以下の小規模企業が過半数を占めるという結果になった。一方、男性管理職の勤務先で最も多かったのは3,001人以上の企業33.2%と、女性に比べて大きな差が出た。
勤務先の事業区分(上場企業か、非上場企業か)で見ると、男性管理職の26.8%が上場企業であるのに対し、女性は14.4%。女性管理職は、男性に比べると、「小規模の非上場企業」において多く活躍していることがわかる。

■あなたの現在の年収(手取り)はどのくらいですか?

「現年収(手取り)」額において、男性の平均が890.6万円であるのに対し、女性の平均は618.9万円と200万円以上の大きな開きが出たが、前述の通り給与水準が比較的高い3,001人以上の「大手」と呼ばれる企業の比率の差が、平均給与の差にも表れているようだ。

■初めて管理職に抜擢されたときの年齢は?

なお、「初めて管理職に抜擢された年齢」は、男性が39.8歳、女性が39.2歳と大きな開きはなかった。しかし、「35歳までに管理職になった割合」を見ると、男性が16.0%であるのに対し、女性は26.4%と、10ポイント以上の大きな開きが出た。

これらの結果を踏まえ、「女性管理職が活躍できる環境」について「リクナビNEXT」副編集長の原田芳江は次のように分析する。 「中小企業に女性管理職が多い理由は、従業員数が少ないがゆえに職種異動がなく、専門スキルが磨きやすい環境であることが挙げられます。少数精鋭であるために、社内でその人の代わりになる人材もおらず、そのまま管理職になるケースが多いと推察されます。大規模企業に比べ、管理職になりたいという意欲が強い女性が、早い段階で上位職へと上がっていける環境がより整っているともいえますね」

■役職アップを目指して転職したことがありますか?

ちなみに、「役職アップを目指して転職したことがあるか」という問いに対しては、18.0%の女性が「ある」と回答。そのうち「実際に役職アップできた」人は75.6%に上り、「役職アップの見込みがありそう」と答えた人を加えると82.2%という確率になっている。
役職アップを実現したいけれど、自社ではそれが叶いそうにない…という場合、転職という方法を検討するのも一つの方法かもしれない。


管理職を目指したい女性へのメッセージ

<女性ならではの特性を活かそう>

「変なプライドがないのが女性の利点の一つであるので、そこを活かしつつ、自分も周りも楽しく仕事できるようにすること。女性であることに甘えず、男性の特質を理解すること」(41歳/女性)
「女性の繊細さ、気づかいなど男性に欠ける部分を発揮することです」(54歳/女性)
「無理に男性と同じ土俵で勝負する必要はなく、仕事のできばえ、アイデア、気付き、など、十分独自性が活かせると思います」(57歳/男性)
「すぐに感情的にならず、論理的な思考、話し方を必要に応じて使えるようにすると年配世代の男性管理職からの信頼も得やすい気がします。必要以上に“女”をアピールしないことも同性社員からの印象を損ねにくく、仕事がしやすいと思っています」(31歳/女性)
「感情にとらわれて周りが見えなくなり、全体を見ての冷静な判断ができなくなってしまうのではなく、相手の年齢に関わらず、意見・アドバイスを聞くことができる柔軟性が必要不可欠。そのうえ、どんな相手とも仕事ができるコミュニケーション能力や、ストレスをうまくコントロールしてつぶれない強さも必要」(51歳/女性)

<健康管理も大事な仕事>

「体調管理がとにかく重要。総じて女性のほうが男性より体力的に劣ることが多い。また、歳を追うごとにホルモンバランスが崩れ、自分では予期しなかった不調が来る場合がある。20代から、栄養バランスのとれた食事、適度な運動を心がけること。頭より、業務速度より、『健康』がすべてにおいて長続きしていくコツだと思う」(42歳/女性)

<家族の協力は不可欠>

「女性が管理職になると、なぜか家庭や自己犠牲が前提で、家庭と両立とかも前提で、男性以上に勝手に重荷を背負わされます。ここは気負わず、女性とか意識せず、人として仕事をすること、家事と同じで効率よく」(43歳/女性)
「育児休暇など、しっかりしてるところを選ぶべき。家庭をなるべく犠牲にしないように。子どもはいつまでも産めるものじゃない」(31歳/女性)

女性管理職の登用が進んでいる現在においても、周囲から「女性だから」という固定概念で見られてしまうケースは少なくないだろう。ただ、それにとらわれすぎていては状況は変わらない。皆さんのアドバイスを鑑みると、女性ならではの感性を活かしつつ、目の前の仕事に全力で取り組み続けることが、管理職への近道であるようだ。

最後にもう一つ、今回のリクナビNEXTアンケートの中から声をご紹介したい。リーダーとして活躍してきた先輩ならではの、女性ビジネスパーソンへのエールだ。

「女性だから、男性だからなどという固定概念は捨てて、どんどんチャレンジしていただきたいです。何事も初めから上手くことが運ぶことはないですし、たとえ障害があろうともそれであきらめないでいただきたいです。女性が結婚か仕事かというどちらかを選択しなければならないような環境は時間がかかっても変えていきたいです。同じような志の方のご活躍を願っています」(29歳/女性)

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