転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 派遣社員とアルバイト経験しかないが、正社員として就職したい
(株)リクルートキャリア 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2015年2月18日
三輪加奈子さん |
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デザイン学校卒業後、いくつかのアルバイトを経験。Web制作スクールに1年間通い、正社員を目指すも、就職先が見つからず派遣社員として3社でWeb更新やECサイト運営などを経験する。30歳を前に再び正社員を目指しているが、面接で落ちてしまうことが多い。 | |
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デザイン学校を卒業後、就職活動をしたのですがうまくいかず、2年間小売店などでアルバイトを経験。その後、Web制作を学ぶために1年間学校に通い、知識を活かせそうな会社の正社員募集に応募したのですが、なかなか決まらなくて…。派遣社員として、3社でWebページの制作や更新作業、ネットショップの運営業務などを担当しました。もうすぐ30歳になるので、直近の派遣先が契約満了になったのを機に再び正社員としての転職活動に臨んでいますが、面接落ちが続いています。
書類通過率は、どれぐらいなのですか?
Web系の知識を活かせそうな職種、中でも前職でのネットショップ運営にやりがいを感じていたので、ネットショップ系の求人に積極的に応募しています。半数以上は面接に呼ばれていますが、ほとんど一次面接で落ちてしまいます…。
書類通過率5割とは、すごいですね!でも面接で落ちてしまうということは、どこに原因があると自己分析していますか?
正社員になりたいと思いながら、アルバイトや派遣経験を重ねてきてしまったのが原因ではないでしょうか。派遣契約であり私の意志ではないのですが、長いところでも1年程度の勤続期間しかなく、「採用しても長く続かないのでは」と思われてしまっているのかも…。
それが理由ではありませんよ。書類選考の段階で、三輪さんの職務経歴や勤続年数は理解しているはず。そのうえで面接に呼んでいるのですから、別の理由があるはずですよ。面接では主にどんなことを聞かれますか?
直近のネットショップ運営の仕事内容や、志望動機ですね。仕事内容については、自社サイトの運営やメルマガの作成・配信を行っていたことをお伝えしています。志望動機は、Web制作スクールに通い、Webページの更新やネットショップ運営の経験を積み、ネット回りの知識があること、そして志望会社で扱っている商品やサービスが好きであることを理由に挙げています。
なるほど…応募書類の内容も併せ、責任ある仕事を任せにくい印象を与えてしまったのかもしれませんね。そのために、ほかの応募者に競り負けてしまったのだと思います。
ええ?どこでそう判断されてしまったのでしょう?
応募書類を拝見すると、ネットショップ時代の経歴紹介欄には「ネット画面の更新」「バナー作成や画像の処理」「メルマガ作成・配信」「顧客からの注文処理やメール対応」などと記されていますが、いずれも「作業」という印象を受け、責任ある仕事に携わっているようには見えません。ただ、三輪さんはまだ20代と若いし、長年ネット関係の業務に携わってきた経験を見たいと思い、ポテンシャルを買われて面接に呼ばれているのでしょう。しかし、面接でのやり取りで物足りなさを感じてしまったため、落ちているのだと思いますよ。
自分では、一生懸命アピールしているつもりだったのですが…。
先ほど、ネットショップの運営にやりがいを持っていたとおっしゃいましたが、どんな業務にやりがいを感じていたのですか?
ネットショップに関係するあらゆる業務に携わっていたのですが、特にメルマガは私一人の担当だったので、やりがいを持っていましたね。初めは、ただ商品案内をまとめていたのですが、それだけでは開封してもらえないことに気づき、メールのタイトルを工夫したり、開封して下さったほうが興味を持って下さるように世間話を入れたり、商品の豆知識や開発裏話を入れてみました。すると、開封率が上がり、メルマガ配信後に売り上げがぐんと伸びる商品が増えるなど、目に見えて効果が出たんです。上司に褒められることも多く、もっと工夫を凝らそう!と奮起できました。
いいご経験ですね!そういう具体的なエピソードを応募書類に書いておきましょう。できれば、開封率がどれぐらい上がったのか、メルマガ後に売り上げが上がった商品の具体例なども入れられるといいですね。具体的な活躍イメージが湧くし、その内容について質問される率が上がるので面接がスムーズに進むというメリットもありますよ。…ちなみに売り上げ目標はどれぐらいだったのですか?
いえ、派遣社員なので、売り上げ目標は持っていませんでした。私の上司に当たる社員が目標を持たされていたようですが、私まで下りてくることはなかったです。私としては、それが少し残念で…。私にも目標を共有し、責任を持たせてくれたら、それに沿った形で、サイト画面のデザインやメルマガについて、もっと新しいアイディアを出したり、工夫を凝らすことができたのではないかと。
いいですね!その気持ちこそが、三輪さんが正社員を目指す理由なのだと感じました。志望動機として伝えてはどうでしょうか。例えば――派遣社員では、売り上げ目標など責任を負うことがなく、メルマガなどの工夫で顧客を増やすのが精いっぱいだった。でも、私は目標達成のために頭をひねってさまざまな工夫やアイディアを凝らしたい。派遣時代のさまざまな経験を活かして正社員になり、御社のネットショップ運営においても目標数字に責任を持って働きたいと思っている…こんなふうに志望動機を伝えられれば、「この人ならば、会社に貢献してくれそうだな」「任せてみたいな」という印象を与えられるでしょう。そのうえで、「御社の商品やサービスが好き」「だからこんな工夫を凝らしてみたい」と伝えれば、さらにやる気が感じられます。
なるほど…そういう伝え方をすればいいということに、全く気づけませんでした。
迷ったら、「自分が人事だったら、どういう人を採用したいか」という視点で考えるといいですよ。単に「知識と経験があって、御社の商品が好き」という人よりも、「もっと責任を持ちたい、自分でどんどん工夫を凝らして数字を追いたい。御社の商品が好きだから、御社でこそ力を発揮したい」と言われたほうが、ぐっときますよね?
おっしゃる通りです。応募書類も志望動機も、改めて練り直してみます。
Dr.門野とのやりとりを通じて、「アルバイトと派遣経験しかない」ことに自分自身が一番捉われていたのだと気付きました。自分なりに工夫を凝らしてきたこと、そして派遣の責任領域の狭さに物足りなさを感じていたことを、しっかり伝えるべきでした。まずは書類を見直し、面接にも自信を持って臨みたいと思います。(三輪さん)
- EDIT
- 伊藤理子
- DESIGN
- マグスター
- ILLUST
- もりいくすお
- PHOTO
- 中 恵美子