転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 書類通過率は高いものの、一次面接でほぼ落ちてしまうのが悩み
(株)リクルートキャリア 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2015年2月4日
二宮弘蔵さん |
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大学卒業後、アミューズメント会社に就職するが3カ月で退職。社労士事務所にアルバイトとして入社し正社員登用を目指していたが、経営悪化を受けて退職。昨秋から企業の総務人事部門を中心に応募しているが、一次面接でほとんど落ちてしまうことに悩んでいる。 | |
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社労士事務所で1年間、アルバイトとして事務を経験しました。1年後に正社員登用があると聞いていたのですが、経営悪化によりそれが難しくなったことから、退職して本格的に転職活動を始めました。社会保険に関する知識を活かしてステップアップしたくて、一般企業の総務や人事、労務関係の部署や、人事労務のアウトソーシング会社などに応募していますが、一次面接でほとんど落ちてしまいます。
今までどれぐらいの企業に応募したのですか?
昨秋から今までに約50社に応募し、半数は面接に進みました。でも、一次面接を通過したのは2社のみ。せっかく20社以上の面接に呼ばれたのに、チャンスを活かし切れていないのが残念で…。
面接を振り返ってみて、自分ではどこに原因があると分析しますか?
自分の想いばかりを伝えているのが原因ではないかと、最近思い始めています。アルバイトという立場ではありますが、1年間、みっちり社会保険、労働保険に携わってきました。経験を活かして頑張りたい!という想いを前面に出しているのですが、空回りしているような気がします。もっと応募先企業のことを調べ、企業にあった経験やスキルをアピールすべきですよね。
確かにおっしゃる通り。応募先企業のことを調べ、その中でどう活躍したいと思っているのか具体的に伝えるのは、基本中の基本ですよ。…いま、「経験を活かして」とおっしゃいましたが、どういう経験をアピールしているのですか?
1年間、社会保険、労働保険に特化し、自信を持って一通りの業務に取り組んできました。入社と同時に社会保険労務士の勉強も始め、資格を取るべく努力しています。これらの経験と知識は、御社においても活かせる…と伝えています。
うーん…。それはちょっとはったりすぎないかなあ?厳しい言い方かもしれませんが、社会保険に携わるようになってまだ1年ですよね?社会人歴自体もまだ2年目です。応募先企業は、そんな第二新卒世代にそこまでスキルや経験をアピールされても…と戸惑ったのだと思いますよ。
では、何をアピールすればいいのでしょう…?
1年間とはいえ、努力を続けてきました。社労士の勉強に熱心に取り組んでいたことが評価されて顧客企業を20社担当し、部長クラスの方々とやり取りをしてきました。
社会保険周りに関する課題をヒアリングして、その解決策の提示などもされていたのですか?
いえ、それは営業の担当でした。私は営業担当と連携を取り、毎月20社分の給与データを入力したり、社会保険、労働保険についての書類作成や申請などを担当していました。そういう事務手続きに関するやり取りや質問対応は、すべて私が責任を持って行っていました。
なるほど。それも大切な役割ではありますが、課題のヒアリングや解決は担当せず、事務方のみを担当していたのであれば、「自信を持って一通り取り組んできた」とまでは言い切れませんよね?
確かにおっしゃる通りです…。もっと幅広い業務、責任ある業務を任されるようになりたいです。
二宮さんはまだお若い。無理に経験をアピールするよりも、今おっしゃった成長意欲をアピールしたほうが、想いが伝わると思いますよ。例えばですが、私ならばこう伝えるかな。「社会保険、労働保険に関わる仕事に就き、この分野にまつわるさまざまな課題にこたえられるようになりたいと思うようになった。社労士事務所で顧客企業相手に専門知識を磨くよりも、企業の現場で働く社員の声を聞きながら、社会保険周りだけではなく、より良い労働環境づくり全体に注力したいと考えている」…とかね。
まさに私が考えていることです!
それはよかった(ニッコリ)。さらに、「仕事において心がけたこと、工夫したこと」や「特に思い出に残っているエピソード」などを伝えるといいでしょう。20社の事務作業を毎月一人で担当するのはなかなかの重労働。効率化のための工夫や努力をされたのでは?また、自分の成長につながったご経験もしたのではと推察します。具体的なエピソードからは二宮さんの人柄が伝わりますし、「うちの会社でも努力や工夫をこらして、早く仕事をキャッチアップしてくれそうだ」と評価されます。応募書類の段階で記しておくと、面接で聞かれ、話が盛り上がるはずです。今までのご経験を棚卸し、言葉にできるぐらいにじっくり振り返ってみてください。
わかりました。早速考えてみます。
社会保険労務士の勉強をしていることも応募書類に書いておくと、成長意欲がアピールできますよ。「何年何月に受験予定」など、取得目標も合わせて示しておきましょう。
考えてみれば、1年ほどの経験で「スキルを活かせる」とは言えませんね。企業のことを調べ切らないまま、想いをゴリ押ししていたことも反省しています。もっと成長意欲を示して、一日も早く戦力化したいと伝えたいと思います。また「話したいことすべてを話さないで、結論から話すように」と言われたのも今日の収穫。伝え方も改めて勉強し直します。(二宮さん)
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- 伊藤理子
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