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(株)リクルートキャリア 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2014年9月24日

今週の相談者

ホテルに14年勤務。営業職として再スタートを切りたい飯田さんの場合

飯田将史さん
(仮名・40歳)

プロフィール
大学卒業後、損害保険の代理店に営業として4年間勤めた後に、ホテルチェーンに転職。12年間、フロント業務、宿泊プランの立案やネット販促などに携わる。業績不振と経営体制の変更を機に、7月に退職。営業として再スタートを目指すが、一次面接が突破できない。
現状
  • ・ホテル時代は、丁寧な接客を心がけ、お客様の要望を新しいサービスやプランに反映する工夫をしていた。外国人観光客誘致に注力して売り上げUPにも貢献、やりがいも感じていた。しかし、業績不振を受けた効率化重視の経営方針に共感できず、退職を選ぶ。
  • ・お客様ともっと間近で触れ合い、コミュニケーションが取れる仕事に就きたくて、営業職に応募している。書類は約5割の確率で通過するが、一次面接が一度も突破できない。
相談者:飯田さんDr.門野

診断スタート

書類通過率は高いのに、一次面接ですべて敗退。何が原因?

新卒で損害保険の代理店営業に4年間携わった後に、ビジネスホテルチェーンに転職しました。フロント業務のほか、宿泊プランの作成やネット販促などを任され、やりがいある日々を過ごしていました。しかし、経営不振を受けて、効率化を徹底する経営方針に変わってしまい、接客に極力時間は割かない、サービス過多な宿泊プランは排除、ネット販促も一部凍結…など、私が力を注いでいたことがすべて制限されてしまったのです。何よりお客様を大事にしない経営方針に嫌気がさし、7月に退職しました。心機一転、営業職として再スタートを切りたいと思い、応募を続けています。

どんなところに応募しているのですか?

生保や損保が多いですね。以前経験がある分野ですし、お客様とじかに接して、ニーズをじっくり聞き出し、提案を考えることができるからです。30社ほど応募して、半数は面接に進めたのですが、それ以降に進めなくて…。

書類通過率5割ですか!それは素晴らしい。飯田さんの今までの経験が評価されているということですよ。でも、一次面接ですべて落ちてしまうということは、どこかに原因があるはず。…面接で、一番困っていること、課題に感じていることは何ですか?

面接では、志望動機や自己PR、長所短所を聞かれることが多いですが、一番悩んでいるのは志望動機です。「以前、損害保険の代理店営業に関わったときに、お客様に非常に喜んでいただいた経験がある。人生設計に関われるところにやりがいを感じている」と伝えていますが、「その会社ならでは」の理由が伝えられずにいます。

なるほど。今のままだと、通り一遍の回答で、上辺だけ取り繕っている印象を受けなくもありません。また、10数年前の経験をアピールしていて、直近の12年の経験に触れていないことも気になります。飯田さんが次の仕事に何を求めているのか、もう少し掘り下げる必要がありそうですね。一緒に考えて行きましょう。

これが原因!

仕事でのこだわり、工夫して来たことを整理して、次の仕事に求める「軸」を洗い出そう。「それが実現できるのが御社だと思ったから応募した」と伝えれば、立派な志望動機だし、想いも伝わる

そもそも、なぜ12年も経験を積んできたホテル業界ではなく、他業界の営業職に転身しようと考えているのですか?

ホテルの仕事は面白く、12年も続けてこられましたが、「接客して、お客様が喜んでくれる商品やサービスを提供し、その結果対価をいただける仕事がしたい」という想いがベースにあります。前職でも、それは叶えられていましたが、もっと直接的に想いを叶えられるのは営業職だと思っています。ホテル業界自体にこだわりはありません。

ホテルでは、具体的にはどうやって想いを叶えていたのですか?

ビジネスホテルではありましたが、接客サービスを重視していました。お客様に対して積極的にコミュニケーションを取り、ホテルに対する要望、希望、不満など生の声を拾う努力をしました。その内容を、接客サービスマニュアルに反映したり、新しい宿泊プランの立案につなげるなどして、集客につなげる工夫もしましたね。例えば、「出張で今度連泊するから、安くしてほしい」という要望を受け、連泊プランを企画し、連泊日数が長くなればなるほど割引額が大きくなったり、朝食サービスなどのオプションが増えるなどのメリットを用意したところ、人気を集めて「また泊まるよ!」の声をいただいたり、販促サイトでいいクチコミを書いていただいたりしました。そこを接点にまたお客様との関係性を深め、要望を聞いて…このサイクルができていました。

なるほど。お話をうかがっていると、飯田さんは「お客様と関係性を築いてニーズをつかみたい」「それを自らのアイディアで工夫してより良い提案につなげたい」「その結果、新しいお客様に来ていただいたり、既存のお客様に喜んでいただきさらにリピートしてもらいたい」という欲求をお持ちだと感じました。これらを軸に求人を探し、実現できそうな会社を選んで応募すれば、想いにフィットするから志望動機も伝え易くなるのではないかな?

おっしゃるとおり。自分が求める方向性が、整理できた感じです…。でも、どんなところが向いていると思われますか?にわかにはピンと来なくて。

軸から考えると、商品よりも、サービスが合っているという印象です。形になって目に見える「商品」よりも、形のない「サービス」のほうが、提案する際に工夫の余地が大きいからです。今応募されている生保や損保は、そういう意味ではあっていると思いますよ。また、「代理店」の形式をとっている業態も、飯田さんに向いているかもしれません。お客様の要望に合わせて、さまざまな商品・サービスを組み合わせて、いくつかのパターンを提案し、喜んでいただくことが可能です。例えば、旅行代理店や広告代理店など。複数の会社の保険を扱う保険ショップなども志向に合いそうです。

代理店は視野に入っていませんでした。旅行代理店ならば、ホテルでの経験も活かせそうです。今までよりも応募先の範囲を少し広げてみたいと思います。…ただ、志望動機については気がかりなままです。想いの軸を、どう伝えればいいのでしょう?

初めに勤めた損保会社の経験をベースにするのではなく、直近のホテル経験を軸に志望動機をまとめましょう。先ほどお話しいただいた、「ホテルでどのように想いを叶えたのか」を伝えればいいと思います。例えば、「ホテルでの12年間の接客・販促経験を通し、お客様とコミュニケーションをとってニーズをつかみ、それに沿ったサービスを行ったり、宿泊プランを立案して提供することに注力してきました。それにより、お客様が喜んでくださり、リピートしてくださることに喜び、やりがいを感じてきました。今度はそれを営業という立場で、お客様のニーズをじっくりと探り、ありがとうをいただくとともに、対価もいただく仕事がしたいと思ったんです。御社ならば、それができると思い、応募しました」などと伝えてはどうでしょう?働く上での自分のこだわり、工夫、努力してきたことをまとめたうえで、「それが実現できる環境だと思ったから応募した」と伝えられれば、十分に納得感があります。

なるほど…腹落ちできました。

そして、志望動機は応募書類に記しておきましょう。飯田さんの想いが書類の段階で伝わっていれば、それを軸に面接での会話は進みます。面接でのやり取りもぐっとスムーズになるはずです。また、可能であれば、ホテル時代に挙げた実績は数字にして、記しておくとなおいいでしょう。例えば、いくつのサイトを使って、年間何万人の予約を得られたのか。年に何本のプランを自ら企画して、稼働率を何パーセント上げたのか…など。それにより、読み手がより臨場感を持って、飯田さんの活躍ぶりをイメージできるからです。

わかりました。企画したプラン本数や運営していたサイト数、予約数の大まかな数字はすぐに書き込めそう。書類を一から見直し、作成し直してみます。

診断を終えて…

転職先への想いはありましたが、うまく軸をまとめられずにいました。Dr.門野とのやりとりで整理できたうえ、志望動機としても伝えられることがわかり、ほっとしています。また、「書類を正すことが面接をスムーズに進めるカギになる」という事実に驚きました。今までは何を聞かれるのかびくびくし、緊張してしまっていましたが、これで少し安心して臨めそうです。(飯田さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
平山諭

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