転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > どんな仕事がしたいのかわからず、応募先が定まらない
(株)リクルートキャリア 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2014年5月14日
千葉宏幸さん |
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新卒で入社したメーカーで、自社技術の知的財産管理の仕事に携わる。キャリアチェンジをしたいと考え、4月いっぱいで退職し転職活動を始めたが、自分が何をしたいのかがわからず、応募先を決めかねている。自己PRのポイントもつかめていない。 | |
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千葉さんは、メーカーで技術に関する知的財産管理に携わられたのですね。専門的なお仕事ですが、キャリアチェンジをしたいと?
はい。もともと目指していたわけではなく、たまたま配属されたのが知財だったんです。おそらく大学時代に学んだ機械工学の知識が買われたのだと思います。自社の技術に関連する技術情報を収集して、それをもとに技術戦略を考えるのが仕事でした。せっかく配属されたからには頑張ろうと努力してきましたが、毎日変化のない仕事に物足りなさを感じるようになってしまって…。会社として知財に力を入れているわけではなく、部署としての方向性も見えませんでした。3年間勤めましたが、キャリアチェンジをするなら今しかないと思い、先月退職しました。しかし、自分は何がやりたいのか、何が向いているのかわからず、今になって悩んでいます。活動を始めたら見えてくるかもしれないと思い、総務や人事といった管理部門や、営業職などに応募してみましたが、書類選考はそこそこ通過するものの、志望動機があやふやなためか一次面接で落ちることが多くて…。結局、未だにやりたいことが見つかっていません。
なぜ管理部門や営業職に応募してみたのですか?
管理部門については、前職では知財は管理部門の範ちゅうだったので、もしかしたら経験が活かせる場面があるのではと考えました。営業は…向いているとは思いませんが、「仕事といえば営業」という意識があり、一度は経験してもいいのではないかと。
なるほど。少しでも「やってみたい」と思ったわけではないのですね。
はい…。少し変わっているかもしれませんが、今まで「仕事なんだから、やりたくないこともきっちりこなすのは当たり前だ」と思ってきました。学生時代からそんなスタンスで、苦手な科目にも黙々と取り組むタイプでした。だからこそ、「何がやりたいの?」と言われると困ってしまって…。どんな仕事も、就けばきっと真面目に取り組めると思うのですが。
いい心がけですね。世の中で、本当にやりたい仕事に就けている人は、ほんの一握りです。「初めはそうでもなかったけれど、やっている仕事が好きになった」というのが最高だと私は思います。まずは与えられた役割をしっかりこなせば、さらに大きな仕事が来るようになる。それを繰り返せば、責任のある、やりがいの大きな仕事が回ってくるようになり、今の仕事が「天職」になります。…ただ、少なくとも転職活動においては、「これがやりたいから、御社に応募する」と伝える必要がありますね。千葉さんの「軸」がどこにあるか、探っていきましょう。
軸、ですか…。
千葉さんはまだ28歳と若く、かつ転職も初めてですから、未経験職種であってもポテンシャルが買われ、採用される可能性は大いにあります。実際、応募先や志望動機が定まらない中でも、書類選考は通過していますものね。でも、せっかく3年の職務経歴があるのですから、3年間で培ったものを活かせそうな分野を探し、応募したほうが、一連の行動に筋が通ります。…仕事を通じて、これは好きだ、得意だと感じたことを、教えていただけますか?
そうですね…(熟考)。調査や研究といった、一つのものを探求するのは得意だし好きですね。そして、その中で新しい発見が得られることに喜びを感じます。前職も、知財に関する業務自体は嫌いではありませんでしたが、毎日同じことの繰り返しで新しい発見や変化が得られなかったのが辛かったですね。
なるほど。では苦手だと感じるものは?
対人交渉ですかね。一人でコツコツ取り組む仕事が多く、不特定多数の人と会って話をしたり、交渉する機会は少なかったのです。実際、プライベートでもそこまで社交的なタイプではありませんね。
なるほど。だとすれば、今応募している営業職は、そんなに向いていないのではないかな?対人交渉はあらゆる業務において必要ではあるものの、営業職においては必要不可欠ですからね。千葉さんが未経験で飛び込むには、少々難易度が高そうです。
言われてみれば…。
好きであり、得意な分野をうかがっていると、研究や調査の仕事が向いているのではと感じました。いかがでしょうか?
確かに、そうかもしれません。前職でも、技術情報を集めたり、文献を読んで戦略を考えたりするのは好きでした。
研究や調査にコツコツ取り組んだ結果、新しい発見が得られる役割であれば、やりがいが得られそうですよね。研究・調査職という職種で検索したり、コンサルティング会社やリサーチ会社、シンクタンクなど業態自体が研究・調査に関する分野を選ぶのもいいでしょう。前者は、メーカー系であれば自社に研究・調査部門を持っているところが多いはずですよ。機械系メーカーであれば、学生時代に学んだことや前職の業界知識も活かせそうですよね。
なるほど…漠然と思っていたことが、具体的な軸になりました。研究や調査に関する求人は今まで見ていなかったので、積極的に探しに行こうと思います。
一つひとつの求人を見るときには、「新しい発見や気づきが得られそうな業務かどうか」で判断するといいでしょう。それが千葉さんのもう一つの軸であり、前職を辞めた理由でもありますよね?そして面接の際には、一つのテーマを探究し、リサーチすることが得意であり、前職でもやりがいを感じていたこと、しかし新しい発見が得られず変化がない環境に手ごたえを感じられず、退職を選んだことを話したうえで、「御社には、一生懸命業務に取り組んだ結果、新しい発見が得られ、成長できる環境があると感じた」と伝えましょう。「辞めた理由」と「入る理由」が明確になり、しかも筋が通ります。
おっしゃる通りです。そのような視点で求人を探し、面接でも思いを伝えたいと思います。
千葉さんは、見るからに真面目なタイプで、話をしてみると誠実さが伝わってきます。面接に進み、しっかりと自分の軸を伝えられれば、内定は近いと思いますよ。
自分の好き、嫌いを整理することで、方向性がつかめてきました。今までは軸など全く見えなかったのに…自分の中に合った答えを、言葉にしてもらったのだと感じます。研究や調査分野を中心に、新しい発見が得られそうな環境をじっくり探したいと思います。(千葉さん)
- EDIT
- 伊藤理子
- DESIGN
- マグスター
- ILLUST
- もりいくすお
- PHOTO
- 中 恵美子