転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > やりたいことがわからず、今後の進路を考えあぐねている29歳
(株)リクルートキャリア 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2014年4月9日
小暮友也さん |
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新卒でIT関連会社に入社。4年間ソフトウェアの営業に携わるものの、自分に合うと思えず退職を選ぶ。現在、居酒屋のアルバイトをしながら今後のキャリアを考えているが、何をやりたいのか、何が向いているのかわからず、転職活動は滞り気味。 | |
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大学卒業後、IT関連企業に入社し、ソフトウェアの営業を約4年間担当しました。営業成績はよかったのですが、どうも自分にしっくりこず、昨夏に退職を選びました。しかし、自分は何がやりたいのか、何に向いているのかがわからなくなり、転職活動が全然進まなくて困っています。
新卒で入社した会社を選んだのは、どういう理由からですか?
大学時代の4年間、個人宅への浄水器営業のアルバイトで学費を稼いでいました。成績はアルバイト20人中トップで、「営業は自分に向いているのでは」と思ったんです。そこで、営業ができそうな会社に業界問わず応募し、最初に内定が出た前職を選びました。
でも、楽しいとは思えなかったのですね。
はい。そもそもITには詳しくなかったのですが、入社すれば何とかなると思っていました。でも、4年間全く思い入れを持てなくて…。学生時代は楽しいと思っていた営業自体も、あまり面白いと思えなくなったんです。営業成績自体は良かったものの、私のそういう冷めた態度が鼻についたのか、3年目ごろから上司からパワハラを受けるようになってしまい、「仕事は楽しくないし、我慢しても仕方ない」と次が決まらぬまま退職を選びました。
なぜ、学生時代の営業は楽しくて、前職での営業は楽しくなかったんでしょうか。思い当たることは、ありますか?
う〜ん…(熟考)。前職は営業先が決まっていて、ルートセールスのようなものだったから張り合いがなかったですね。定期的に営業先を訪問して、更新の注文をいただいて、たまにご紹介で新規をいただくことはあっても、基本的には同じクライアント先をひたすら回るという感じでした。また、体育会系の社風で、上司が部下をどなるのは日常茶飯事。社内の雰囲気はいつもピリピリしていて、その中に身を置くのも嫌でした。社風って、大事ですね…事前に社風をしっかり調べて、もっと風通しがよく、社員同士仲のいい会社を選んで入社すべきでした。
なるほど。では学生時代の営業は、張り合いがあったということかな?
はい。個人宅への飛び込み営業だったので、ほとんどが門前払いだったのですが、初対面の人とコミュニケーションを取り、少しずつ心を開いてもらえるのが楽しくて、4年間続けることができました。頑張れば頑張った分、収入にも反映されるので、やりがいもありましたね。
今教えていただいたお話が、小暮さんがやりがいを持てる仕事のポイントだと感じました。このポイントを満たせそうな業界や仕事にアプローチしてみてはどうかな?
え?浄水器の営業を目指すということですか?うーん、学生時代と同じ仕事をするのはちょっと…。
いえいえ、浄水器営業のときにやりがいを感じていたポイントを洗い出し、それに合った仕事を探す、ということです。小暮さんのお話から、私には「御用聞きのようなルートセールスは嫌」「風通しがよく、社員同士の仲がいい環境に身を置きたい」「人とじっくりコミュニケーションを取りながら関係性を深めたい」「頑張った分は収入に反映される仕事がしたい」という4つのキーワードが見えましたが、いかがですか?
確かに…おっしゃる通りです。
御用聞きではなく、自分から提案できる営業。かつ、人と接することで関係性を深めることが大切な仕事で、頑張った分は給与に反映される…と考えると、不動産や金融業界の営業などが向いているのではないかな?特に不動産の営業は、お客様の家族構成や仕事内容、人生設計などをじっくり聞き出し、それに沿った提案をする必要があるので、小暮さんの意向に合っている気がしますね。
言われてみれば、私に合った環境があるような気がします。不動産ならば取引額が大きいので、成果を給与で還元してくれそうですし。でも、不動産会社はどうも体育会系なイメージはありますね…。
確かにそういうイメージはあるかもしれませんが、すべての不動産会社に当てはまるものではありません。できるだけ多くの企業に応募し、面接の場で自分の目で見て、社風を判断しましょう。不動産業界に限らず、先ほど洗い出したポイントに合いそうな企業があれば、どんどん応募してみることをお勧めします。企業にたくさん足を運べば、「ここは自分に合いそうかどうか」が徐々につかめるようになるでしょう。
わかりました。まずは、今言われてみてしっくりきた不動産業界を中心に、いろいろな業界、企業を見てみます。
小暮さんは、大学時代も前職でも、営業成績は良かったのですよね?応募書類では、営業数字をアピールするだけでなく、なぜ好成績を挙げられたのか、その理由も記すといいでしょう。何にこだわり、どういう工夫を凝らしたから、お客様の信頼を得られ、懐に入り込むことができたのか。振り返ってみて自分なりに分析し、書類でアピールすれば、「その工夫やこだわりを武器に、うちでも活躍してくれそうだ」と思ってもらえますよ。
う〜ん…常にお客様の視点に立ち、競合のことも頭に入れながら、自社商品のメリットを伝えてきたからかなあ…。今までちゃんと考えたことがなかったけれど、これを機にじっくり振り返ってみます!
ぜひ。29歳ならば、まだポテンシャルが評価される年齢です。ましてや営業として頑張りたいという意欲があり、業界は違っても活かせそうなこだわりや工夫などの「ポータブルスキル」があれば、内定はそう遠くないと思いますよ。
前職に対する物足りなさを分析することで、自分が求めているものが見えてくるとは、思ってもいませんでした。言われてみれば、不動産業界は自分の志向に合っている気がします。もちろんほかの業界にも目を向けながら、さまざまな会社に会い、自分に合った1社を見つけ出したいと思います。(小暮さん)
- EDIT
- 伊藤理子
- DESIGN
- マグスター
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- もりいくすお
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- 平山諭