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(株)リクルートキャリア 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2014年3月26日

今週の相談者

編集職のキャリアを積んだが、今後の方向性を決めかねている牧野さんの場合

牧野由加里さん
(仮名・33歳)

プロフィール
新卒で印刷会社に入社し、6年間制作・編集を担当。その後、広告代理店に転職し、広告物やプロモーションサイトの企画・制作・編集業務に携わる。「万年激務」の職場環境を脱するため4月末で退職予定。しかし、今後のキャリアの方向性を未だ定められずにいる。
現状
  • ・現在勤めている広告代理店では主に教育業界を担当。企業パンフレットなどの広告物やサイトの企画はもとより、記事ページの編集・取材・原稿執筆まで幅広く手掛ける。前職の印刷会社でも主に編集業務を担当しており、編集職としてのキャリアは9年になる。
  • ・今までのキャリアを考えると、次も編集職を選んだほうがいいと思っている。しかし、本当に編集の仕事を続けたいのかわからない。何を目指していいか、途方に暮れている。
相談者:牧野さんDr.門野

診断スタート

教育問題に関わりたいという思いが芽生えたが、私のキャリアで目指すのは無理?

新卒で入社した印刷会社に6年勤め、今の勤務先である広告代理店には丸3年勤務しています。担当業務は主に、企業の広報物やプロモーションサイトの企画、ディレクション、編集業務。自ら取材をして記事の執筆もしていました。

ほう、企画という川上から、実際に取材して執筆し、広報物に反映するというところまで、幅広い業務を担当していたのですね。でも今、ご自身のキャリアを再考しようと思われているのですね。広告代理店は4月末で辞めることが決まっているそうですが、次が決まる前に退職を決意したのはなぜ?

仕事自体は楽しいのですが、あまりに激務でして…。実は1年前に過労で倒れ、入院したことがあるのですが、職場復帰後も業務量は変わらなくて。自分なりに業務効率化を図って少しでも早く帰れるよう時間をねん出したのですが、ここにきてさらに業務量が増えてしまい、毎日終電やタクシー帰りが続いていて、この現状は変えようがないなと悟ったんです。今の会社では企画、クライアントへのプレゼン、ディレクション、編集、執筆など一通りの業務を担えたという達成感もあったので、いったん退職して自分のキャリアを改めて考えようと思ったんです。…でも、なかなか今後の方向性がつかめずにいます。

どんな点で迷っているのですか?

今までのキャリアを考えると、編集職を目指すのがベストだと思っています。実際に、知り合いの出版社から声をかけていただいたり、スカウトが来たりもするんです。でも、本当にそれがやりたいのかと問われると、答えに詰まってしまって…。

ほかに興味を持っていることがあるの?

すごく漠然としているのですが、教育問題に携わってみたいという思いがあります。でも、私のキャリアでは、とてもそういう分野は目指せないとも理解しています。私には編集しか道はない、あきらめようと思うのですが、なかなか転職活動に前向きに臨めなくて…。

自ら選択肢を狭めてはもったいないですよ。今ざっと経歴をうかがっただけでも、編集以外にさまざまな道が考えられます。どんな可能性があるのか、探っていきましょう。

これが原因!

自分の経験を職種だけで区切っては、視野を狭めてしまう。やってきたことを改めて紐解けば、可能性の広さに気づけるはず。編集経験と「教育問題に携わりたい」という思いの強さを武器に、新しい世界に飛び込んでみよう。

そもそも、なぜ教育問題に興味を持ったのですか?

広告代理店では丸3年間、教育業界を担当していて、大学や高校、教育サービス会社などさまざまなクライアントと接しました。また、前職の印刷会社でも学校のパンフレットをいくつか手がけたことがありました。その中で、中学生や高校生と話す機会も多かったのですが、世の中を知らないまま、自分たちの将来を半径1メートルの知識で決めつけてしまっている現実がある一面に気づきました。「偏差値がこれくらいだからこの学校へ行くに決まっている」とか、世の中のごく一部しか知らないのに「やりたいことなんてない」と高校生に言わせる“雰囲気”を、われわれ大人たちが作ってしまっている。進路について、将来について、きちんと知る機会があれば、さまざまな選択肢が広がるのに!と歯がゆさを覚えました。そこから、「自分の力で、この問題を少しでもなくしたい。教育という側面から、日本という国をよくしたい」という思いを持つようになったんです。…とはいえ、私のキャリアではそんなことに関わるのは夢のまた夢だと思っています。

そうでしょうか?私はそうは思いませんよ。…そもそも、「自分のキャリアでは編集職しかない」とおっしゃっていますが、編集経験、スキルは牧野さんの「武器」だと捉えましょう。クライアントの意向を汲み、やり取りをして、集めた情報を整理して広報物などの作品を作り出し、ターゲットである読者の行動化を促す。これはどんな分野のどんな仕事でも必要とされるスキルです。もっと視野は広く持つべきですよ。

そうでしょうか…。

はい。職種で言えば、編集だけでなく、企画や広報、宣伝などは即戦力として行けるでしょうし、営業や渉外などでも評価されるはずです。まずは自分のキャリアに自信を持ってください。そのうえで、その武器を持って教育関連業界にアプローチするのです。

未経験業界ですが、大丈夫でしょうか??

もちろんです。学生に向けて情報発信し、ターゲットの心をつかんできた経験は、学習塾など「生徒を集めたい」企業では高く評価されるでしょう。学生をターゲットにした商品やサービスを手掛ける会社でもいいでしょう。中高生の「生の声」に触れ、問題意識を覚えた経験は貴重です。また、行政もあり得るのではないかな。民間企業出身者が各地方自治体において採用されるケースは少なくありません。教育機関への配属を目指したり、教育環境整備に携わるチャンスもあります。「壮大な夢ではありますが、前職での経験からゆくゆくは教育問題の解決に少しでも尽力したいと思っている。夢に近づく第一歩として、御社において経験やスキルをフルに発揮したい」と伝えれば、思いを評価してくれるところは多いでしょう。

確かに、言われてみれば…。でも、先ほど「今の会社ではやるべきことを一通りやった」とお話ししましたが、振り返れば、「もっとやれることがあったのでは?」と後悔することも多いんです。うちの会社は、カスタマーの行動などに関するさまざまなデータを持っていて、それを分析して仮説検証を立て、一つひとつの企画を作り上げてきました。でも、もっといろいろなデータを多方面から精緻に分析すれば、違う企画が立てられたのではないかと思ったりもします。日々の仕事に追われて、さらに一歩突っ込んだ分析ができなかったのは心残りですね。…こんな状態の私が、転職活動において胸を張って「あれもできます、これもできます」と言っていいものかと…。

今のお話は、逆に書類などで積極的に伝えてはどうでしょう?今までやってきたことを自信を持ってアピールしつつも、「やりきれなかったこと、心残りであること」も合わせて記入し、「次の職場ではこの“心残り”を埋める働きをしたい」と伝えられれば、ポテンシャルを感じてもらえますよ。

なるほど…だいぶ視野が広がりました。アピールできることはたくさんあるのですね。

その通り。牧野さんはコミュニケーション力が高く、思いを伝える力がある。教育問題に気づいたときのエピソードを語る姿には、実に思いがこもっていました。その「熱い思い」は、編集力と同じぐらい牧野さんの強い武器になるでしょう。応募書類が通過し面接の機会が与えられたら、内定はすぐだと思いますよ。

ハイ。自信を持って、一歩踏み出してみます。

診断を終えて…

一人で考え込むばかりでは、視界が開けませんね。「自分には編集しかない」と思い込んでいましたが、Dr.門野と話す中で新たな可能性に気づけました。やりたいこととできることをバラバラに考えるのではなく、「自分の経験は、この業界でも活かせる」と自信を持って伝えたいと思います。(牧野さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
平山諭

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