連載化! Dr.門野の転活悩み相談 あなたが受からない理由、診断します

転職活動の悩み、何でも相談してください

(株)リクルートキャリア 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2013年10月9日

今週の相談者

演劇の道をあきらめ正社員として就職を目指すが、面接で落ちる武田さんの場合

武田優子さん
(仮名・29歳)

プロフィール
大学時代から劇団に所属。卒業後はIT企業の営業や派遣社員として働くかたわら、演劇を続けてきた。しかし、30歳を前に演劇の道をあきらめ、正社員として就職することを決意。書類通過率は7割と高いが、面接が通らず悩んでいる。
現状
  • ・大学卒業後はIT企業に就職。5年間営業として勤務。その後、演劇にもっと力を入れたくて、派遣社員となり、出版社の編集担当として3年、ゲーム会社のイベント企画として1年働いてきた。この経験を活かし人事や広報などの事務部門の職に就きたい。
  • ・大学時代から約10年間、舞台一本で生きていくことはスッパリあきらめた。本腰を入れて働きたいと思っているが、面接に落ち続けるのはキャリアに一貫性がないせいだろうか。
相談者:武田さんDr.門野

診断スタート

書類通過率は約7割と高いのに、面接の段階で落ちてしまうのはなぜ?

大学時代から、ずっと劇団に所属してきました。いつかは演劇の仕事一本で頑張りたいという思いを持って努力してきましたが、約10年間やってみて、演劇の世界で食べていくのは無理だと気づいたんです。そこで、その道はスッパリあきらめ、20代のうちに正社員になろうと決め、転職活動をしていますが、書類は約7割通過するものの面接が突破できません。

書類通過率7割とは、高水準ですね!(応募書類を見ながら)劇団に所属し、舞台に立ちつつも、武田さんはずっとフルタイムで働いておられたのですね。

はい。大学卒業後は、IT企業に就職し、ネットワークシステムの営業に5年間携わっていました。当時は土日を演劇に費やしていたのですが、仕事が忙しくなってきたのを機に退職し、比較的時間の融通が利く派遣社員として出版社、ゲーム会社で計4年間働きました。

なるほど。これらの経験が評価され、面接に呼ばれているのでしょうね。どういう会社や職種に応募しているのですか?

当初は、業界は問わず、人事や広報などの事務系の正社員に応募していました。しかしあまり書類通過率がよくないので、出版社のWebメディア担当者やゲーム会社の企画、広告代理店の営業など、今まで経験してきた業種・職種に応募してみたところ、通過率がぐんと上がりました。人事や広報も、今まで勤めたことがあるIT業界や出版、ゲーム業界は面接に呼んでもらえました。でも、一次面接でほとんど落ちてしまうんです。

さまざまな職種に応募しているようですが、本当に就きたい職種は?

できれば、事務系の仕事に就きたいです。営業、編集、イベント企画といろいろな仕事を経験しましたが、一番自信があり、やりがいも感じられたのが、社員の補佐やサポート的な役割でした。人事や広報としての経験はありませんが、適性があると思うので、ぜひ頑張ってみたいと思うんです。

その話って、面接のときに実際にされています?

はい…イマイチですか?

世の中にある仕事って、ほとんどが「サポート」ですよ。営業だって、お客様の課題解決のサポートでしょう?「サポート業務が得意だから事務」と言われても、志望動機にはなりません。面接担当者としては「事務ではなく、ほかの職種でもいいのでは?」という感想を持ってしまいますよ。

なるほど、確かに…。どういう仕事を目指したらいいか、わからなくなってきました…。

これが原因!

「社内でのサポート業務に就きたい」理由が希薄。今までの業務の中で工夫を凝らし、「ありがとう」と感謝されたシーンを書類に盛り込み、仕事へのスタンスをアピールしよう

武田さんが次の仕事に望むことを、今一度ひも解いてみましょう。本音で自由に、求めるものを話してみてください。

やりたいのは、サポート業務に変わりはありません。ただ、長く腰を据えて働きたいので、顧客をサポートする営業の仕事よりは、社内で社員のサポートをする内勤の仕事に就きたいです。営業時代、顧客の要望に対応するためにどうしても時間が不規則になり、体力的にキツかったので…。また、できれば派遣社員として経験した出版やゲーム業界は避けたいですね。いずれの会社でも「正社員にならないか」と声をかけられたのですが、ものすごい業務量で体を壊す社員を何人も見ていたので、不安で…。多少の残業ならばもちろん厭わないのですが。

武田さんの思いを整理すると、「腰を据えて長く働きたいから、激務すぎない環境で自分のペースを守りつつ頑張りたい」「仕事で関わる人に“ありがとう”と言われる仕事がしたい」ということになるかな。…となると、「経験が活かせるから」と出版、ゲーム業界に応募している現状は、いささか矛盾していますね。いくら書類通過率が高くても、ご自身の意向に沿わないならば止めたほうがいい。それよりも、メーカーを狙ってみてはどうかな?製造ラインを持っているため、勤務時間が比較的規則的ですし、会社の体制もしっかりしている企業が多いです。「老舗」というキーワードもおススメ。その道で何十年と、地に足をつけて努力してきた企業ならば、腰を据えて働ける環境がある可能性が高いでしょう。

確かにおっしゃる通りです。早く就職先を見つけたいと焦ってしまっていました。応募先は再検討したいと思います。

それにしても、派遣先の2社から正社員に誘われるなんて、素晴らしい。武田さんは真面目に仕事に取り組んでこられたのですね。きっと、社内の人に「ありがとう」と言われるべく、仕事においてさまざまな努力や工夫をこらし、改善を進めてきたのでは?そういうシーンを洗い出し、応募書類の段階でアピールしておきましょう。武田さんの仕事に対するスタンスがわかりますし、「社内でサポート業務に就きたい」理由の裏づけになりますよ。

わかりました!

…先ほどから思っていたのですが、さすが演劇経験者だけあって、武田さんは声がとても美しいですね。声そのものが耳に心地いいし、滑舌も非常にいい。その声を活かした仕事もアリなのでは?

実は、ちょっと考えたことはあります。営業時代に電話で新規開拓営業をしていたのですが、「きれいな声だね。ならばちょっと話を聞いてみようかな」と言われてアポが取れたり、客先から「あのきれいな声の営業担当者、いる?」と電話がかかってきたりしたんです(笑)。前職のゲーム会社でも声が評価され、ユーザー向けのイベントを企画するだけでなく、司会進行も任されていました。

それはすごい!その美声は武田さんの武器ですね!販促企画系の仕事や、コンピュータやソフトウェアの導入セミナー講師なども向いているでしょう。「販促企画を立てるだけでなく、イベントで顧客の前でプレゼンテーションもできます」などとアピールできますよね。営業でも確実に力を発揮できると思うので、先ほど挙げたような、メーカーや老舗系企業など「激務ではない業界の営業」も視野に入れてはどうかな。

なるほど!視野が広がってきました。

その「声を評価された」エピソード、ぜひ応募書類に書き加えましょう。声を活かす仕事だけでなく、その他の職種においても「情報を自ら発信し、相手に伝える力がある人」「社外の人にも社内の人にも、気持ちのいい対応ができる人」と好感をもたれるエピソードになります。それに、「どんな声なのか、直接会って聞いてみたい」と、面接に呼ばれる機会も増えると思いますよ。

なんと!それは書かなくちゃ(笑)。

診断を終えて…

難易度は高いが事務系分野で突き進むべきか、経験が活かせる分野で早く正社員になるべきか、迷っていましたが、自分の志向を整理してもらい進むべき道が見えてきました。声に関してほめていただけたことを機に、自分の新しいアピールポイントにも気づけました。今一度、自分の方向性を考え、書類も書き直してみます。(武田さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
平山諭

会員登録がまだの方

会員登録(無料)

会員登録がお済みの方

「今すぐ転職」にも「いつかは転職」にも即・お役立ち!リクナビNEXTの会員限定サービスに今すぐ登録しておこう!

1転職に役立つノウハウ、年収・給与相場、有望業界などの市場動向レポートがメールで届きます

2転職活動をスムーズにする会員限定の便利な機能

・新着求人をメールでお届け

・希望の検索条件を保存

・企業とのやりとりを一元管理など

3匿名レジュメを登録しておくとあなたのスキル・経験を評価した企業からスカウトオファーが届きます

会員登録し、限定サービスを利用する

※このページへのリンクは、原則として自由です。(営利・勧誘目的やフレームつきなどの場合はリンクをお断りすることがあります)