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(株)リクルートキャリア 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2013年7月24日

今週の相談者

営業経験を活かして転職したいが、一次面接で落ちることが多い大窪さんの場合

大窪佳恵さん
(仮名・27歳)

プロフィール
大学卒業後、生命保険会社に新卒入社し、営業職として丸3年勤務。営業経験を活かして、別の業界に転職したいと考えている。しかし、書類選考は高い確率で通過するにも関わらず、一次面接の段階でほとんど落ちてしまうのが悩み。
現状
  • ・今の仕事が嫌というわけではないが、月々の収入がインセンティブに大きく左右されるため、将来が不安。もう少し安定的な生活が送れる環境に移りたい。
  • ・書類通過率は6割以上。しかし、一次面接の段階で落ちてしまう。「話に一貫性がない」と言われたことがあるため、現職の志望理由、転職理由、志望動機、キャリアビジョンをストーリーとして組み立てて話すようにしているが、それでも結果は芳しくない。
相談者:大窪さんDr.門野

診断スタート

書類は6割以上通るのに、面接では「話に一貫性がない」と。どうすればいい?

新卒で生命保険会社に入社し、約3年間、営業職として勤務しています。今までの経験を活かして、別の業界の営業職に転職したいと思っているのですが、一次面接がなかなか突破できません。

書類選考は通っているのですね。どれぐらいの確率ですか?

書類通過率は6割以上です。予想以上に多くの企業に、面接に呼んでいただいていると思っています。しかし、そのチャンスが全然活かせていない状態です。

6割とはかなりの高確率ですね。ということは、応募書類の内容は今のもので問題ないでしょう。では、一次面接で落ちている理由を、ご自身ではどのように分析していますか?

以前、不採用になった企業から、面接中に「話に一貫性がない」と言われました。それ以降、今の仕事の志望理由と転職理由、応募先企業の志望動機、キャリアビジョンをじっくり考え、ストーリーとして組み立てて話すようにしているのですが、それでも効果がなくて…。面接の初めの段階は反応がいいのですが、話を進めるほどに明らかに相手の反応が悪くなるんです。「表面的なコミュニケーション力はあるが、話してみると浅い」というフィードバックを受けたこともあります。もうどうすればいいのかわかりません…。

なるほど…。ちなみに、転職理由はどのように伝えているのですか?

3年間、生保の営業現場で、営業力を磨いてきました。厳しい経済環境の中、営業目標を大きく外すことはなく、着実に実績を上げてきました。今度は別の業界で、自分の力を試してみたい、そしてさらに営業力を伸ばしたいと考え、御社を志望しました。…企業ごとに多少は変えますが、概ねこのようなことを話しています。

ちょっときれいすぎるかな(笑)。なりたい自分、得たいものがあるけれど、今の職場では叶えられないから、辞めるのですよね?大窪さんが叶えたいことは、何ですか?

…正直に言いますと、今の会社の給与体系が辛くて、辞めたいと思っています。固定給が低く、営業インセンティブに収入が大きく左右されるため、先々の見通しが全く立たずいつも不安で仕方ありません。私はまだコンスタントに営業成績を上げているほうなのですが、一度たまたまその月の契約が翌月にずれてしまったことがあり、その月のインセンティブはゼロ、収入は手取り10万円に届きませんでした。高給を望んでいるわけではありませんが、せめて今よりもう少し変動の少ない給与体系の会社で、腰を据えて働きたいんです。でも、こんなネガティブな理由を正直に言うわけにもいかず、前向きな理由を探して伝えています。

ちょっといじわるな言い方かもしれませんが、いまの環境で営業スキルを磨いていけば、さらに安定的に営業数字を上げられるようになり、給与も今より安定する…とは思いませんか?

おっしゃることはごもっともだと思います。実際、私もそう考え、努力してきました。でも、今の職場は完全個人主義で、チームプレイは一切ありません。周りに同僚や先輩社員はいるものの、ナレッジを共有するシステムや、互いに励まし合って切磋琢磨する社風もありません。だから、果たして自分の営業手法が正しいのかどうかわからなくて…すごく視野が狭くなっていると感じています。もっと周りと協力して、お互いに高め合いながら、スキルアップを目指せる環境で働きたいんです。

だんだん大窪さんの本音が見えてきました。今までは、大窪さんの「辞める理由」が見えないから、企業は採用に踏み切れなかったのだと思いますよ。

そうなんですか…。

これが原因!

「辞める理由」がきれいごとすぎて、本音が見えてこないのが敗因。下手に取り繕わず本心を伝えることで、話に一貫性が出て、コミュニケーションも円滑になる

今の環境では一人で頑張るしかないから、自分のスキルをこれ以上高められるかどうかわからず、不安なのでは?メンバー同士、知恵を出し合ったり、アドバイスし合ったり、成功事例や失敗事例を共有したりしながら、自分の引き出しを増やしてスキルアップしたいのですよね?

はい、その通りです。人と話すことが大好きだから、この仕事に就いたのですが、社内ではほとんどしゃべる機会はありません。もっといろいろ吸収したいのに…。

では、その想いを素直に転職理由として伝えましょう。そして、転職を考えるきっかけになった「収入面の不安」も、一緒に伝えたほうがいいのではないかな。

ええ?ネガティブなことを話してしまってもいいのですか?

大窪さんの場合、上辺を取り繕うような転職理由、志望理由を伝えていたから、大窪さんの本心が読めず、「話に一貫性がない」「話してみるとコミュニケーションが浅い」などの厳しい評価をされてしまったのですから、ここは本音でぶつかったほうがいいと私は思います。転職を考えたきっかけは変動が大きい収入面への不安だったが、営業として力をつけていけば安定的な成果が上げられるようになると思い、3年間努力し続けてきた。しかし、チームワークやナレッジ共有がなく、個人プレイが求められる組織の中で、営業としての視野の狭さや成長の限界を感じるようになってきた。もっと仲間と切磋琢磨し、お互いに高め合える環境の中で、営業スキルをさらに磨きたいと考えた…。このように伝えれば、納得感を持ってもらえると思いますよ。

確かに、私の本心ではありますが…。チームワークやナレッジ共有がある環境で働きたいからなんて、甘いと思われたりはしませんか?

大窪さんは、そのような厳しい環境下で3年間、頑張り抜いてきたという実績があります。収入という不安要素を、自分の力で埋めるべく努力してきたが、いよいよ限界が見えてきた。だから「周りと高め合いながらさらに上を目指せる環境に移りたい」と心底思えたのですよね?それが真実なのですから、胸を張って伝えるべき。本音を隠していると、どうしてもちぐはぐな物言いになってしまいますが、大窪さんの本音が見えれば、企業が受ける印象も変わり、コミュニケーションも円滑になるはずですよ。

わかりました。転職理由と志望動機を見直し、もう一度トライしてみます!

診断を終えて…

マニュアルにとらわれ、自分の将来像をからめて志望動機を作らなければと思っていました。でも、正直ピンと来ていなかった部分があります。Dr.門野に「本音が見えないから落ちていた」と言われ、すごく腹落ちしました。下手に取り繕わず、今の自分の気持ちをぶつけて行きたいと思います。(大窪さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
刑部友康

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