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(株)リクルートキャリア 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2013年5月15日

今週の相談者

ホテル業界から転身を志すが、何の仕事が向いているかわからない木下さんの場合

木下真純さん
(仮名・27歳)

プロフィール
大学卒業後、大手ホテルに入社し、3年間レストランやパーティ会場でのフロアサービスを担当。その後、海外リゾートホテルで1年間働く。今春帰国し、ホテル以外の業界での就職を目指しているが、自分が何に向いているのかわからず、応募に踏み切れないでいる。
現状
  • ・ホテルでの接客サービス業務にはやりがいを持っていたが、休みがままならず、拘束時間も長いため、体力的にきつくなってしまった。全く違う業界に移るならば、今のうちではないかと考えている。
  • ・とはいえ、自分がどんな仕事に向いているのか、そもそも何がやりたいのかピンと来ない。そのため、なかなか応募先が絞れず、転職活動が進まずにいる。
相談者:木下さんDr.門野

診断スタート

ホテル経験しかないので、他業界にアピールできるスキルがない…

新卒で大手ホテルに入社し、3年間、レストランやパーティ会場などでのフロアサービスを担当しました。その後、1年間、アジアのリゾートホテルで1年間フロントスタッフとして働き、今春帰国しました。今度は、ホテル業界以外で働きたいと思い、転職先を探していますが、ホテルでの経験しかないので、異業界に対して何をアピールしていいのかわかりません。

就職されたのは、人気のラグジュアリーホテルですね。私もいつかは泊まってみたいと思っているんですよ。…でも、ホテル業界以外へのキャリアチェンジを考えているのですか?

はい。ホテルでの仕事は、とてもやりがいがあったのですが、休日が少ないうえに1日当たりの拘束時間も長く、体力的にきつくて…。先々を考えたら、今のうちに違う業界に移ったほうがいいのではないかと思ったんです。でも正直、自分が何をしたいのか、全く見えていません。

漠然と思い浮かべている仕事はあるのですか?

本当に漠然とですが…営業職か事務職がいいのではないかと考えています。営業職は、今までの接客経験も多少なりとも活かせるのではないかと思います。事務職は、社内の方々をサポートする仕事ですよね?ホテルでの仕事は、「お客様に気持ちよく滞在してもらうためにサポートする」仕事なので、近しい部分があるのではと思ったのです。でも、営業も事務も、すごくやりたい仕事か?と言われると、そういうわけでもないんです。そもそも、営業や事務としてアピールできることもありませんし…。

少し掘り下げたほうがよさそうですね。…では、そもそも大学卒業後にホテル業界を目指したのはなぜですか?

多くの人と出会い、相手を笑顔にできる仕事だと思ったからです。ホテルは、人が癒しを求めて訪れる場所。お客様の楽しく、幸せな瞬間に関わりたいと思ったんです。実際、お客様から笑顔で「ありがとう」と言われる場面が多く、何よりの喜びを感じられました。

いいお話ですね。では、その後海外のホテルを目指したのはなぜ?なかなかのご決断だったかと思いますが。

うーん…そこまででは…。私の父は商社勤めで、子どものころに海外に住んでいた時期があったのです。中学入学以降はずっと日本にいますが、父は今でも単身でいろいろな国を飛び回っています。だから、海外に対してそんなにハードルを感じないんですよ。身近な存在というか。

ほぅ、なるほど。木下さんの軸が、少し見えてきましたよ。

軸、ですか…?

これが原因!

「どの職種ならば自分にも応募できそうか」という視点ではなく、「自分の強み」「仕事にかける思い」を認識し、それを軸に求人を探そう

今までのお話から、木下さんが好きなこと、やりたいことで、いくつかキーワードが見えてきました。「サポートしたい」「介在価値を感じたい」、そして「海外」です。お客様が笑顔になれるように誠心誠意サポートし、「ありがとう」と言われることで介在価値を感じられる、そんな仕事にやりがいを感じるのですよね?そして、「海外が身近な存在」なんて、そうそう言えるものではありません。木下さんならではの強みだと思いますよ。

強みかどうかはわかりませんが、そう言われれば、確かに好きなこと、やりたいことではありますね…。

日本と海外をつなぐ仕事なんてどうですか?旅行関係や、輸入業者、日本企業の海外事業担当者や海外営業もいいかもしれない。日本の名だたるホテルで修業を積み、海外でさらにサービススキルを磨いてきた経験が、フルに活かせるでしょう。そして、「日本と海外をつなぐ中で、多くの人々を笑顔にできる」のではないかな?今や多くの日本企業が海外市場を目指しているので、チャンスも多いと思いますよ。海外出張や赴任が苦にならないことも、企業にとっては高ポイントです。

でも、海外関係の仕事は、かなりのスキルが求められますよね?私、自分のスキルに全然自信がないんです。職務経歴書をまとめる際に、むりやり自己PRをまとめてみましたが、異業界では活かせないのではないかと…。それに、数字などで示せるわかりやすい成果がないので、アピール力に欠けると思うんです。

数字で示せる成果は確かにアピールとなりますが、企業から見れば判断材料の一つに過ぎず、それですべてが決まるわけではありません。それよりも、木下さんが追求してきたのは「質」ですよね?お客様がゆったり寛げ、笑顔になれるという高品質のサービスに注力し続けてきた。だから、数字ではなく「質」を追える環境を目指すべきでは?サポート、介在価値、海外、そして、サービスの質。ざっくりとでもこのように自分の「軸」を認識しておくと、求人を見たときに「これは自分に合うのでは?力が発揮できる場所では?」と“気づく”ことができます。

なるほど…。

(職務経歴書を見ながら)むりやり書いたなんて言っていたけれど、この「ホテルのレストラン、パーティで鍛えた気配り、目配りには絶対の自信がある」という自己PR、素晴らしいじゃないですか。目の前のお客様を最高のホスピタリティーで満足させつつ、店内やフロア全体をも見渡し、行動してきたのですよね?

は、はい。そのように心がけ、行動してきましたが、ウリになりますか…?

もちろんです!これに、実際のエピソードをつけ足せれば尚いいですね。状況対応力の高さがリアルに伝わりますよ。それに、志望動機にもつなげられます。例えば「営業事務の経験は確かにありませんが、周りへの目配り、気配りには絶対の自信があります。営業担当者をお客様と捉え、誰がどんなものを求めているのか、自ら察知して動くことができます。御社の営業部門の中で、ラグジュアリーホテル並みの気配り、目配りを徹底し、営業担当者みんなを笑顔にしたいと思い、応募しました」と言われたら…どうでしょう?ぐっと来ませんか?

確かに…ちょっとぐっと来ます(笑)。

ほかの職種に応募する際も同様です。自分の「軸」に引っかかった求人であれば、その軸と、自己PRを組み合わせ、志望動機として伝えればいい。どれも立派な木下さんのアピールポイントなのですから、難しく考える必要はありませんよ。

わかりました!少しだけ自信がついてきました…。

それはよかった。あとは、軸に合うなと思った求人には、どんどん応募してみることをお勧めします。職種を問わず数多く応募してみて、多く書類通過した職種には「より適性がある」と判断できます。ぜひ焦らず、気弱になることなく、じっくりと自分が活躍できる場所を見つけてくださいね。

診断を終えて…

自分のスキルが通用するのはどこか?という視点のみで考え、悩み続けていましたが、今回「仕事にかける思い」を無視していたことに気づかされました。これに気づけただけでも、私としてはかなりの前進です。今回整理できた「軸」を大切に、気持ちを新たに転職活動に臨みたいと思います。(木下さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
設楽政浩

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