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(株)リクルート 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2012年6月13日

今週の相談者

26歳で正社員経験なし。営業職を目指すが面接で落ちてしまう曽根さんの場合

曽根和喜さん
(仮名・26歳)

プロフィール
大学時代は新聞記者を目指していたが、就職活動は全滅。卒業後、アルバイトや派遣社員として、学習塾スタッフや半導体部品の品質管理などを経験。業務のかたわら、営業職を目指して就職活動を続けているが、書類は通過するものの面接が一向に通らない。
現状
  • ・新聞記者への夢はあきらめ、営業職に方向転換しようと考えている。しかし、スカウトにレジュメを登録しても、営業職ではなく、派遣社員として経験した品質管理のオファーばかりが来る。未経験者が営業を目指すのは難しいのだろうか?
  • ・そもそも就活時から面接が苦手。どうやって自分の思いを伝えればいいのかわからず、悩んでいる。
相談者:曽根さんDr.門野

診断スタート

書類通過率は3割程度だが、どれも盛り上がらずに終わってしまうのが悩み

大学時代は新聞記者を目指していましたが、就職活動では1社も内定をもらえず、卒業後は自分に何が適しているのか探すためにアルバイトや派遣でいろいろな仕事を経験しました。この2年間で学習塾のスタッフや、半導体部品の品質検査や管理、コールセンタースタッフなどを経験しましたが、営業職に興味を惹かれるようになり、数カ月前から転職活動を始めています。しかし、書類は通っても、面接が突破できません。

書類通過率はどれぐらいですか?

今までに3〜40社に応募して、面接は10社ぐらい進んでいます。しかし、1社を除いてすべて一次面接落ちです。就職活動のときも一次面接で落ち続けた経験があるので、苦手意識があるんです。志望動機は、自分の営業活動を通して社会の問題を解決したいと伝えていますが、反応がイマイチですし、全体的に話が盛り上がりません。

なるほど。そもそもなぜ、営業職に就きたいと思ったの?

新聞記者を目指したのは、自分が取材して記事として発信することで、社会のさまざまな課題を解決するきっかけを作れると考えたからです。でも、卒業後にいろいろな仕事を経験し、どんな仕事であっても、課題解決につながる働きはできると気付いたんです。なかでも営業職は、さまざまな顧客の課題を解決する立場ですよね?自分の働きにより、日本企業を元気にできればと思って、営業職を志望しました。…でも、こんなに応募しても一向に内定につながらないということは、正社員としての経験がないのがネックなのでしょうか?それとも、いろいろな仕事を転々としたから、社会人としてのスキルが不足していると思われているのでしょうか?

曽根さんはまだ26歳と、十分にポテンシャルを感じてもらえる年齢です。正社員経験がないことが、根本的な問題とは思えません。そもそも、企業は第二新卒層にスキルなんてそうそう求めていません。企業が知りたいポイントと、曽根さんのアピールがかみ合っていないから、落ちているのだと思いますよ。

…では何を伝えればいいのでしょう!?

これが原因!

第二新卒層に対しては、企業はスキルではなく仕事に対する思いや覚悟を知りたい。今に至るまでの心の変化とともに伝えれば、志望動機に筋が通る

第二新卒層を採用する場合は、スキルや経験よりも、その仕事に対する「思いの強さ」や「覚悟」が知りたい。2年以上の間、アルバイトや派遣社員としていろいろな仕事を経験してきた曽根さんが、なぜ営業職として就職を目指すのか、心の整理がどれだけできているのかを判断しようとしています。一方で、曽根さんの応募書類を見ると、アルバイトや派遣社員で経験した仕事内容を羅列しているにすぎません。単に、「仕事を転々としてきた一環で、営業を選んでいる」だけのように見えてしまい、就職への腹決め、営業職への本気度が伝わってきません。だから、ポテンシャルに期待して面接に呼んでみたものの、どこに焦点を当てて質問していいのかわからず、落ちてしまっていたのだと思いますよ。

そんなつもりはなかったのですが…。

仕事内容の説明よりも、「いろいろな仕事を経験したうえで、なぜ営業にたどり着いたのか」という思いの変化をアピールすべきです。書類に書いておけば、それを前提に会話が進みますし、もし書類で書いていなくても、面接時に今に至るまでの心の変化と営業に対する思いを伝えれば、理解してくれる企業は増えるでしょう。

先ほどお話しした、「社会の課題を解決したい」という思いに間違いはないのですが、それを書類に書けばいいのでしょうか?

なぜ「ほかの仕事でも社会の課題を解決できる」と気付いたのですか?「気づき」のきっかけと心の変化が具体的に知りたいところです。

学習塾でのアルバイトは、普段の授業に関する生徒の相談を受ける役割だったのですが、「この問題がわからない」という質問にただ解答するだけでは、根本的な解決にはなりません。生徒の普段の勉強法や苦手分野、目指す進路までヒアリングして、「こういう考え方で解くべきだ」「この科目にはもっとこういう視点で取り組んだほうがいい」などのアドバイスを心がけました。その結果、生徒の学ぶ姿勢が変化し、成績が上がった時に喜びを感じたんです。この「個人の課題解決に一役買うことができた」経験がそもそもの発端でした。その後取り組んだ、半導体部品の品質管理の仕事では、技術を用いて社会の課題を解決するという方法もあるのだと気付かされました。つまりは、世の中の仕事は、どんなものでも大なり小なり、社会の課題を解決するために存在していると気付いたんです。そこで、「より大きな影響を社会に与える可能性がある仕事」を考えたとき、日本企業の課題を解決する法人営業職ではないかと思ったんです。

なるほど。企業に一番訴えたいのは、そこですよね?大学時代は新聞記者にこだわり過ぎていたが、社会に出ていろいろな仕事を経験する中で、どんな仕事であっても社会の問題解決につながる働きができると気付いた。できるだけ広く社会に貢献できる力をつけたいという気持ちが固まったので、法人営業として就職を志した。御社は○○という商品を企業に提供することで、こういう問題の解決に貢献されていると思ったから、御社で頑張りたいと思った…こう言われたら、どうでしょう?単に「社会の問題を解決したいから」と言われるよりも、志望動機に筋が通りますよね?卒業後に紆余曲折してきた経験もプラスに働きますし、何より、「この仕事に就きたい」というブレない気持ちが伝わります。これを書類でも、面接でも伝えるといいでしょう。

以前から思っていたことではあったのですが、うまく表現できずにいました。まさにおっしゃる通りなので、書類の段階から見直したいと思います。

ぜひ。そうすれば書類通過率はもっと上がるはずですよ。また、自己PRの内容も見直しましょう。現状は「新しいことをどんどん勉強し、吸収するのが得意」とありますが、学習塾の経験から「相手の課題を見つけ出すのが得意」としたほうが、志望動機と関連づけられていいのではないかな?上っ面なコミュニケーションではなく、さまざまな角度からヒアリングをして本人も気づかない課題を見つけてアドバイスしたのですよね?そのスタンスは、法人営業でも活かせるはずですよ。

診断を終えて…

新聞記者志望だったのに自分の思いを言語化するのが苦手で…。上辺の思いだけしか伝えられていなかったことに、今さらながら気付かされました。今回、Dr.門野に言語化していただいたことで自信が付きました。気負い過ぎることなく、今の気持ちを企業に伝えたいと思います。(曽根さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
TAKE

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