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(株)リクルート 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2011年4月27日

今週の相談者

病気で前職を退職し10カ月のブランク。今後の方向性に悩む坂崎さんの場合

坂崎彰子さん
(仮名・26歳)

プロフィール
新卒で広告代理店に入社し1年半営業を担当するが、激務により体調を崩し、事務部門に異動。しかし完治せず、2010年6月に勤続2年強で退職する。静養を終え、今年に入って転職活動を始めたが、ブランクのせいか面接の段階で落ちてしまう。
現状
  • ・応募しているのは、前職の経験が活かせる一般事務や、興味があるマーケティングプランナーなど。一番経験の長い営業職には、体調を崩したこともあり苦手意識が強く、応募するつもりはない。
  • ・前職の勤続年数が2年ちょっとと短いうえに、ブランクがすでに10カ月。不利なことはわかっているが、何とか早く仕事に復帰したい。
相談者:坂崎さんDr.門野

診断スタート

事務が安心だが、社外と関わる仕事にも興味…気持ちがちぐはぐで定まらない!

新卒で入社した広告代理店で、営業を1年半と、事務を半年間担当し、昨年6月に退職しました。今度は自分がもっと興味が持てる業界で働きたいと思い、応募を続けているのですが、書類は通過しても面接で落ちてしまいます。

どんな業界、職種に応募しているのですか?

舞台やライブを観に行くのが好きなので、舞台照明や小道具を手掛ける会社やイベント会社が多いですね。職種は一般事務がメインです。あと、学生時代にマーケティングを勉強したので、未経験でもOKとしているマーケティング会社のプランナーなどにも応募しています。ただ、職歴が2年ちょっとと短いし、そもそも企画力に自信がないので、イベント会社やマーケティング会社には「未経験だし、スキル不足では」と判断されてしまっているのかなと…。

社歴は確かに短いかもしれませんが、26歳という若さは大きな武器です。「ポテンシャルが高い」と判断する企業も少なくないはずですよ。

実はもう1つ悩みがあるんです。前職を辞めてから10カ月のブランクがあるのですが、辞めた理由が精神的な病気によるもので…。営業時代は激務続きで、毎日終電か、タクシー帰り。体も心も疲れ果ててしまったんです。そこで、事務部門に異動させてもらい、営業のためのデータ整理などを手掛けていたのですが、病気自体が完治していなかったので半年で辞めてしまいました。

なるほど。離職期間が長いなとは思っていましたが、ご病気だとは思いませんでした。もう大丈夫なのですか?

ハイ。面接に行くと必ずブランクの理由を聞かれるので、「激務続きで体調を壊したため静養していたものの、今は完治している」と答えるのですが、「うちも忙しいし、また体調を崩してしまうのでは?」などと言われてしまって。

退職理由が病気となれば、採用に不安を覚える企業がどうしてもあると思います。ただ、そのような状況にある坂崎さんにも可能性を感じてくれる企業は必ずあるはず。どんどん応募して、そのような企業と出会うチャンスを増やしましょう。面接では「働きすぎで体調を崩したため、しばらく休養して生活リズムを整えた。体調は戻ったので、責任ある仕事に就いて価値を発揮したい」などと伝えるといいでしょう。…ただ、話をうかがっていると、「何をやりたいのか」がイマイチ不明確な印象です。事務のような社内がメインの仕事なのか、それともマーケティングプランナーのように社外の人とも関わる表舞台の仕事がいいのか、どちらですか?

そうですね…デスクワークのような社内でのルーティン業務は苦にならないので、事務は向いていると思うのですが、いつかモノ足りなくなるのではという思いはあります。そのため、興味のあるマーケティングプランナーなどにも応募しているのですが、あまりに社外の人とやり取りする機会が多く、営業的な要素も入ってくると、まだ少し不安が伴います。企画力をつけてバリバリ働き、成果を評価されたいという欲求もあるのですが…うーん、希望を挙げていくとなんだか一つ一つがチグハグだなあ。ブランク期間をこれ以上延ばしたくないので、早く決めたいのに…。

迷う気持ちも焦る気持ちもわかりますが、その場その場の気持ちではなく、「今後のキャリアにつながる働き方」を考えましょう。次の会社選びと、そこでどう働くかは、今後のキャリアを決める非常に大切なポイントですよ。

そ、そうですか…。

これが原因!

まずは働くことに慣れつつ、経験を増やすことが大切。初めに事務系の仕事で体制を整えつつ必要な経験を積み、2〜3年後に「本当にやりたい」と思った仕事を目指しては?

今までの話を整理すると、今の坂崎さんは「企画力をつけたい」「社内をベースに、社外の人とも多少は係わりつつ価値を発揮したい」という思いがあるようですね。一方で、前職での経験が短いうえに、病気療養後久々に仕事に就くことに少し不安も持っておられます。だから、次の一歩が非常に大切だし、今後を左右することになると思うんです。

どんな一歩を踏み出せばいいでしょう?

私がお勧めするシナリオはこれです。まずはSTEP1として社内で働ける事務職など、安定的に価値を発揮できる環境でご自身の体制を整え、その経験を活かして2〜3年後にSTEP2として社外の人と関わるような業務に転職する…というものです。2〜3年後といっても、坂崎さんはまだ28歳か29歳。「まだまだこれから」の年齢です。

なるほど…。

広告代理店を経験されているので、STEP1の事務職は広告業界かその周辺を狙うといいでしょう。業界のことがわかるし、営業のサポートとしてデータ整理をこなしてきた経験もある。また、坂崎さんは営業経験がおありになるから、こうやって話をしていてもコミュニケーション力があると感じます。体調を崩す前は、しっかり仕事をこなしてきたのですから、早晩、その頑張りを認めてくれる企業が見つかりますよ。ただ、しばらく活動を続けてもどうしても面接が通らないようでしたら、派遣社員という道も検討してはどうでしょう?

派遣ですか!?今まで考えたこともありませんでした。勤務先の雰囲気もわからぬまま派遣されるのは、ちょっとこわいです…。

いきなり派遣されることはありませんよ。派遣前に必ず、顔見せのような面談の場が設けられるので安心してください。また、派遣は勤務時間も読みやすいし、有期なので職場復帰のリハビリにも向いていると思います。ただ、事務の正社員にせよ、派遣にせよ、そこで漫然と仕事をするのではなく、日々の仕事の意味を考え、坂崎さんならではの工夫を凝らすこと。「自分が介在したことで会社にこんな影響を与えられた」と自信を持って言えないことには、ご自身が望むSTEPには進めません。

確かにそうですね。今回、初めて職務経歴書を書いてみて、自分が介在した価値を書けないことに気付きました。毎日がいっぱいいっぱいで、そのような意識を持って働いていなかったんです。

例えばですが、私の部署の事務スタッフに、毎週1つ「変える」をミッションにした人がいます。変えるといっても、いろいろな方法があります。「新しい業務を増やす」「無駄を辞める」「既存のものを改善する」…これらはすべて「変える」ことです。これを半年間続けたとき、彼女の視点は一スタッフのそれではなく、チーム全体を見渡す「チームリーダーの視点」になっていました。与えられた業務をただこなすのか、何かしら自分なりに工夫しようと努力するのか…この心がけひとつで、同じ役割でも身に付くスキルは全然変わってきますし、この過程こそが「企画力」の鍛錬になります。後者のような働き方を心がければ、次の転職でアピールできる要素がぐんと増え、次のSTEPが開けてきますよ。

なるほど!わかりました。これからの方向性が見えてきた気がします!

よかった(笑)。坂崎さんは受け答えがしっかりしているし、会話のキャッチボールも上手なので、病気やブランクを気にし過ぎることなく、面接にもぜひ自信を持って臨んでください。

診断を終えて…

今後のキャリアプランについてずっと悩んでいましたが、2ステップで考える方法もあると気付き、視野が広がりました。コミュニケーション力に関しても「大丈夫」と言われて少し自信が持てるようになったので、臆することなく前に向かっていきたいです。(坂崎さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
TAKE

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