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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2010年11月17日
塚原光弘さん |
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ゲーム制作会社で8年間、ゲームソフトの品質管理を担当。アルバイトから契約社員となり、アルバイトのマネジメントなども手掛けたが、経営不振により3カ月前に退職を余儀なくされる。同職種での転職を目指しているが、一次面接から先に進めずにいる。 | |
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ゲーム制作会社で長年、ゲームソフトの品質管理を担当してきました。実機やテストツールを使い、ソフトに不具合がないかを検査する仕事です。しかし、会社の経営不振を受けて、品質管理部門を外注することになり、退職を余儀なくされました。できれば、同じ仕事に就きたいのですが、どこも品質管理を内部で持つ余裕がないようで、求人が少なく…。ソフトウェアの品質管理などにも応募していますが、なかなか決まらないんです。
どれぐらいの会社に応募したの?
30社ほどに応募して、10社は面接まで進みました。でも、すべて一次面接落ちです…。
どういう理由で落ちていると分析していますか?
そうですね…。前職では、テスター業務を担当するアルバイトのリーダーを任され、多いときで50人ほどのチームの取りまとめをしていましたが、応募先企業には、私の経験より一つ上の役職を求められている気がします。私では力不足だと、思われているんじゃないでしょうか。私自身も、次の職場ではマネジメント力をもっと磨きたいと思っているのですが…。
でも、企業は塚原さんの書類を見て、面接に呼んでいますよね?アルバイトをまとめてきた経験を評価し、「この人ならばうちのマネジメントも任せられるのでは」と思ったはず。だから、経験のせいではありません。面接でのやり取りのどこかで、ギャップを感じたのでしょうね。
はあ…ギャップですか…。僕、かなりの口下手なんで、頼りないと思われるのかな…。
面接では、どんな質問をされることが多いですか?
志望動機や、やってきた仕事の内容、あとは長所と短所、仕事での失敗談、なんて質問が多いですね。
経験者採用の面接なのに、定番の質問が多いですね…。今でも書類通過率は3割以上と高いですが、もっと応募書類の内容を充実させたほうがよさそうですね。そうすれば、面接でのやり取りも変わってくるはずですよ。
そうですか…。
(応募書類を見ながら)一つのゲームソフトをテストするのに、数カ月間かかるのですね。そのテスト期間の計画を立てることにも関わっていたのですか?
はい。ゲームの仕様書を見て、どういうチェック項目が必要かを洗い出し、工程を考え、どれぐらいのテスター数を確保すればいいのか、計画を立てていました。
そういうのは、仕様書を見ればわかるものなのですか?
経験からだいたいつかめるものです。そのゲームならではのチェック項目ももちろんあるので、開発部署に確認を入れつつ、どうすれば高品質を目指しつつもスケジュール内に収められるか、一番効率のいい方法を考えました。
スタッフをどうまとめていくかも、大切な要素になりますね。リーダーとして、塚原さんが一番大事にしていたことは何ですか?
スタッフへの情報共有の徹底と、モチベーションの管理です。品質管理として、ゲームの品質には妥協はできません。些細な不具合も見逃さないために、そのゲームに対する情報はどんなに小さなものでも共有しました。一方で、テスターの仕事は、ひたすらゲーム内のマップを歩き回ったり、アイテムやツールを使いまくって不具合を見つけるという単純作業。朝から晩まで、何日もこの作業が続きます。ストレスがたまりやすいので、合い間合い間にスタッフの様子を見て、雑談をしてガス抜きをしたり、煮詰まっているようだったら別の作業を自由にやらせて気分転換をさせるようにしました。
みんなに自由にやらせたら、スケジュールに支障が出るんじゃない?
そのあたりは、大丈夫です。常に軌道修正して計画を見直し、人員配置をやりくりして調整していたので。
なるほど。今の話を聞いていると、塚原さんはスケジュール管理も、メンバーのマネジメントも責任を持って手掛け、プロジェクトを一人でしっかり回してきたという印象です。そういうことを、自己PRとして書類でアピールしないともったいないですよ。今の書類で書かれている自己PRは、「情報収集力」「論理的思考力」「リーダーとしての責任感」などが書かれていますが、通り一遍の内容で誰にでも書けそうです。それよりも、今お話しいただいたものをアピールするほうが、各段に仕事ができそうじゃない?
は、はあ…そうですか。
ご自身でもおっしゃっていましたが、塚原さんは大人しくてやや口下手ですよね。面接の場で、うまく思いを言葉にできない場面も多かったのでは?でも、「仕事で大切にしてきたこと」などを語っている姿は、実に堂々としたものでした。言葉にもよどみがなかったですよ。それをしっかり応募書類でアピールしておけば、その部分について重点的に面接で聞かれます。自分が一番自信を持って話せるテーマの土俵に、相手を乗せることができます。
確かに…。
今までは、応募書類の中に質問の材料があまりなかったから、企業側も困って、いろいろな方向から質問を投げかけて探ろうとします。うまく答えられない質問が出てくると、塚原さんの大人しい雰囲気と相まって「マネジメントを任せるのは不安」という印象を与えてしまうんです。「自信を持って話せるから、ぜひ面接で聞いてほしい」と思うことを書類に示しておけば、自分のペースに巻き込めるし、「少し大人しそうだけど、やるべきことは責任を持ってしっかりこなしてきた人だ」という印象になるはずですよ。
…何か少し、光が見えてきました。
口下手な人こそ、応募書類でできるだけ自己PRしておくべきですよ。採用担当者につっこんでほしいポイントをアピールして、そこを質問してきたら「しめしめ」と(笑)。面接でも緊張しすぎることなく、大きく構えられると思いますよ。
ハイ、わかりました。
面接の機会が増えれば、トークも磨かれるから、あとはどんどん応募することですね。ゲーム、ソフトウェアの品質管理はもちろんですが、もし興味があれば、コールセンターのスーパーバイザーにも応募してみては?たくさんのスタッフを取りまとめてきた経験が活かせると思いますよ。
今まで落ち続けたのは、書類でのアピールが弱かったことがそもそもの原因なのですね。自分では売りだと思わなかった部分、アピールすべき経験にも気づけました。応募書類をまとめ直し、心機一転、転職活動を頑張りたいです。(塚原さん)
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- 伊藤理子
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