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(株)リクルート 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2010年10月6日

今週の相談者

司法書士事務所を辞め、一般企業に転職したいが書類で落ちてしまう松下さんの場合

松下卓巳さん
(仮名・30歳)

プロフィール
大学法学部卒業後、外食チェーンに入社。10カ月勤めたのちに以前からの希望だった司法書士事務所に転職し、不動産登記の事務を担当。働きながら司法書士合格を目指す。4年半勤務し行政書士の資格は習得したものの、将来を考え一般企業への転職を考えている。
現状
  • ・司法書士の試験にはなかなか合格できず、プロを目指すのは難しいと実感。30歳になり、先を考えると一般企業に転職したほうがいいと思い始めている。
  • ・経験を活かせる職種と言えば、法務。法務を中心に30社以上に応募しているが、なかなか面接に進めない。一般企業での実務経験がないことがネックなのだろうか?
相談者:松下さんDr.門野

診断スタート

経験を活かせそうな法務職に応募しているが、面接に呼ばれないのはなぜ?

司法書士事務所で4年半、働いてきました。不動産登記の申請書の作成や、顧客とのやり取り、法務局への登記申請などを担当し、顧客の要望や課題の解決のために迅速な対応を心がけてきました。しかし、あまり忙しい職場ではなく、成長が感じられなくて。一般企業に転職したいと思うのですが、書類が一向に通らないんです。

司法書士事務所ですか。司法書士合格を目指していたの?

はい、そうです。しかし、なかなか合格できず…。自分には向いていない気もしてきたので、プロの道はきっぱりあきらめようと。もう30歳ですし、今後を考えたら今がキャリアチェンジの最後のチャンスかなと思っています。

どんな職種に応募しているの?

今までの経験を活かせるのは、法務しかないなと思って。法務職の募集に、すでに30社以上応募しています。でもほとんど書類落ち。やはり実務経験がないと厳しいのでしょうか?

まずは書類を拝見しましょう。…ん?なんだかずいぶんあっさりしていますね?

そ、そうですか?一応、初めに職務要約を入れて、「経験を活かして法務職として頑張りたい」という意欲もアピールしてみたのですが。

肝心の、司法書士事務所でのご経験が、あまりにあっさりまとめられていますね。「登記申請書類の作成」「顧客説明」「法務局への登記申請」と箇条書きで書かれているだけで、わずか数行で終わっているじゃないですか。…うん?その下に書かれているのは?

実は現職の前に、10カ月間だけですけれど外食チェーンで働いていました。法務職候補として入社したのですが、現場からなかなか戻してもらえなかったので退職しました。

4年半の経験より、10カ月の外食チェーンの職務説明のほうが長いじゃないですか(苦笑)。司法書士事務所の経験を活かしたいならば、当然ながらそちらのアピールを厚くすべきです。今のままでは、「4年半もいてこれしか書くことがないの?」という印象しか残りませんよ。「電話応対、顧客対応」なんてことも書かれているけれど、これってアルバイトでもできることですよね?

確かに…。

司法書士の勉強を続けてきたバックグラウンドはあるし、顧客の課題解決のために努力して来たんでしょう?もっと松下さんならではのウリをアピールすべきですよ。

これが原因!

法務の知識、経験がウリなはずなのにアピールがあまりに弱い。強みを整理してPRを。金融・不動産系の営業職やコンサルタントなど、法務以外の道も検討しては?

具体的には、どのようにアピールすればいいのでしょう?

現状だと、松下さんが「何ができる人なのか」が伝わってきません。法務関係の知識が、松下さんの武器ですよね?ただ「登記申請書の作成」と一文で終わらせるのではなく、どれぐらいの案件を抱えている事務所で、そのうちのどれほどを任されていたのかまで記しましょう。業務において何を大切にしてきたのか、どういう気持ちを持って業務に臨んでいたのかもアピール材料になります。先ほど、「顧客の課題解決のために迅速に対応してきた」とおっしゃいましたよね?そういうことも書き入れるべきです。

言われてみれば…。自分ではなかなか思いつきませんでした。

振り返ってみれば、1年目に比べて任されるようになったこと、成長したことがたくさんあるはず。まずはそれを書き出してみては?そして自分で自分の強みを整理し、一番表現しやすい方法でアピールしてみましょう。年々任される範囲が着実に増えていることを、時系列にアピールするのでもいいですし、司法書士の先生を支えて業務を円滑に回すため、自分なりにどんな工夫を凝らしたのかをアピールする方法だってあります。

そうか…。いろいろなことを手掛けてきたので、頭が整理できていませんでした。一度書き出してじっくり考えてみます。

松下さんは、本当に法務職に就きたいの?その割にはアピールが弱いし、話を聞いていても、まだ気持ちがグラグラ揺れている印象なんだけれど。

実は…正直言って、法務にそこまでこだわりはないんです。営業でもいいし、ほかの事務系職種でも、やりがいを持って取り組める仕事ならば挑戦したいと思っています。でも、今までの経験を活かせるのは法務ぐらいだし、別の職種に応募しても通らないと思って。

いや、法務以外にもいくつか道はあると思いますよ。まず考えられるのは、不動産や信託銀行など今までの知識が活かせる営業職。「法務の知識がある営業職」は少ないから、重宝がられる可能性はありますよ。あとは、総務などの管理部門、法務関連の知識を活かせるコンサルタントなどもあり得るでしょう。

なるほど…。

ただ、いずれの道に進むにしても、「司法書士の道はきっぱりあきらめ、別のキャリアを踏みたい」という決意を、書類の初めで伝えることは重要ですよ。今の書類では、その腹決めが見えないので、「うちに入社しても、また司法書士に戻ってしまうのでは?」と危惧した企業もあると思います。まずは冒頭で「腹決め」を示し、続く職務内容説明で、法務関係の知識をしっかりアピールする。これだけで書類通過率はぐんと上がるはずです。

わかりました。少し光が見えてきました。

松下さんはまだ30歳ですし、直近の職務経験は4年以上で在職中でもあります。ベースとなる知識と資格もあるし、ご自身は自信がなさそうですが転職市場における価値は決して低くありませんよ。ご自身の経験に自信を持って、アピールしてくださいね。


診断を終えて…

今までの経験についても、今後のキャリアプランについても、自分の中でまだまだ整理ができていませんでした。だから書類もブレてしまったのですね。初めからもう一度見直し、しっかり「キャリアチェンジへの覚悟」も伝えたいと思います。(松下さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
TAKE

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