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(株)リクルート 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2010年8月25日

今週の相談者

PR会社から企業の広報担当に転職したい。しかし一向に書類が通らない遠山さんの場合

遠山久志さん
(仮名・27歳)

プロフィール
大学卒業後、ソフトウェア会社などの営業職を経て、PR会社に転職。クライアントの広報PR・宣伝活動を2年間担うが、会社の経営不振により今年4月にやむなく退職。前職での経験を活かし、一般企業の広報担当を目指すが、書類選考の段階で落ち続けている。
現状
  • ・PR会社時代には、さまざまなクライアントを担当。2年間顧客のPRのために努力してきたが、書類が一向に通らないのはなぜ?
  • ・PR会社に転職する前に、3社で営業を経験。いずれも1年ほどで退職した。27歳という年齢の割には転職回数が多いことが、不利なのだろうか。
相談者:遠山さんDr.門野

診断スタート

2年間、PR担当として場数を踏んだ自信はあるのに、書類落ちばかりなのはなぜ?

今年の4月までPR会社に勤め、2年ほど企業の広報PR・宣伝を担当していました。仕事はやりがいがあったのですが、会社の経営悪化により給与の遅配まで発生し、やむなく退職。今度は自社の商品やサービスをPRしたいと思い、一般企業での広報宣伝職中心に転職活動をしていますが、全然書類が通らないんです。

広報・宣伝職だけに応募しているんですか?そんなに求人数が多い職種ではないよね。

はい。なので営業職にも少しだけ応募しています。短い期間ではあるのですが、PR会社に入る前にソフトウェア会社や情報通信会社で営業をしていた経験があるので。でも、できれば広報系の仕事に就きたいんです。プロモーション手法を考えて実行し、それが反響となって返ってくるのが楽しくて。

PR会社では、どんなことを担当していたのですか?

クライアント企業の広報代行です。広報素材の選定から、ニュースリリースの作成、各メディアとの折衝など広報PR活動全般を担当しました。学校のブランディングや芸能人のPRなどの経験もあります。…このようにさまざまなクライアントを担当し、2年とはいえ場数も踏んできたのですが…広報系の募集だと一向に書類が通らないんです。営業系は、少しは通過するのですが、何故ダメなんでしょう?

「営業系の募集なら書類を通過する」というのは、完全にポテンシャル評価ですね。遠山さんはまだ27歳とお若いですし、ブランクはあるものの2年の営業経験があります。営業としての素養があると見込まれて、面接に呼ばれているのでしょう。…面接の結果は、どうでしたか?

それが、ほとんど一次面接で落ちています。営業経験があると言っても、大した実績を挙げていないので、そこが面接でばれてしまったのではないかと。

うーん…やはり書類の段階で、企業が知りたいことがほとんど書かれていないことがすべての要因ですね。営業職の面接では、書類に書かれていないことについて質問が飛ぶから、うまくコミュニケーションが取れなかったのではないですか?そして、本命の広報・PR系は経験が問われる職種。書類の中に「面接に呼ぶための材料」が見当たらなかったから、書類で落ちている…ということなのでしょう。

???

これが原因!

「やったこと」だけアピールされても評価は難しい。顧客の課題をどうつかみ、それを解消すべくどうプランニングし、どんな結果を得たか…という一連の流れを伝えよう

やってきたことは書類にちゃんと記したつもりなのですが…。

確かに、「PR担当として何をしたか」は書かれています。先ほどおっしゃっていた、広報素材の選定からニュースリリースの作成、メディアとの折衝…というところですよね。でもね、それだけではただの「作業した人」という印象ですよ。

ええ!?

クライアントの広報PRにおいてどんな「課題」があり、それを解消するための「目標」はどれほどのレベルで、その目標を達成するためにどんなプランニングを行いどんな提案をして、何を実行してどんな結果を得られたのか…。この一連のプロセスを伝えることが何より重要。そこから「あなたという人柄」が伝わるんです。現状だと、この一連の流れの中の「実行」部分しか説明されていないから、「遠山さんが介在した価値」が見えず、評価のしようがなくて書類の段階で落ちているのだと思いますよ。「実行」の部分は、方法論の一つにしかすぎませんからね。

でも、実は「結果」の部分は明確に覚えていないんです。反響数字などは、前の会社にすべて置いてきてしまったので…。

本来ならば、数値化できるものは数字で示したいところですが、それが難しいようでしたら、「クライアントの声」のような定性的なものでもいいですね。「遠山さんが関わったことでこんな効果があった、と評価された」という事実も、立派な成果ですよ。

なるほど…わかりました!

営業時代の実績も、同じように詳しく説明してくださいね。現状だと、「売っていたシステムの説明」に終始していて、ピントが完全にずれていますよ。

いや、実は…営業時代は本当に全然売れなくて、アピールできるようなことがほとんどないのです。例えば、ソフトウェア会社には1年在籍し、プロモーション用システムを売っていたのですが、一千万円もする高いシステムだったうえ、このシステム自体マーケットに受け入れられなくてほかの営業担当者も全然売れなかったんです。その中で、私はどうにか1件の受注を獲得しましたが。

売れたならば、それを書きましょうよ!

でも、たった1件だし…。

何も書かれていないと、「1年間営業として何をやっていたんだ?」と思われてしまいますよ。ここでも同様に、「1システム1千万円と高価で、多くは売れなかったけれど、こんな工夫を凝らして、このようにプレゼンした結果、1件ではありますが販売できた」という一連の流れを伝えましょう。システムの内容をただ長々と説明されるよりも、よほど遠山さんの働きぶりが伝わります。面接でも、その実績・経験をベースに会話ができるから、「結局いくら売れたの?」などと突っ込まれてシドロモドロになることも減りますよ。

なるほど…成果のアピールだけでなく、全体的に「私なりに工夫したこと」の説明が抜けていたんですね…。

そうです。そこを意識して、もう一度職務経歴書を作り直してみてください。遠山さんは確かに、年齢の割には転職回数が多いですが、まだ27歳とお若いのは大きな強み。直近の会社には2年超勤めているし、前職を辞めた理由も経営不振と明確です。「どうせ転職回数が多いから…」と弱気になりすぎることはありませんよ。

わかりました!さっそく全体を見直します!

職務経歴書の初めに、簡単な職務要約を入れるといいですね。その場合、広報バージョンと、営業や営業企画バージョンの2通り作ること。広報の場合は、「2年のPR経験をもとに今度は企業で自社サービスや商品を広報PRしていきたい」ということ、営業系ならば「2年のPR経験で培った顧客認知・普及策の提案力を強みに、反響がダイレクトに跳ね返ってくる営業の仕事に再挑戦したい」と伝えれば、非常に納得感がありますよ。


診断を終えて…

PR担当者として、顧客企業の課題を見つけて戦略を練り…という一連の流れは、当たり前過ぎて書かなくてもいいのでは?と思っていましたが、書かないと企業には伝わりませんよね。やってきたことをしっかりアピールするべく、一から見直します。(遠山さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
TAKE

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