転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 営業経験が評価され書類は通過するものの、一次面接が突破できない
(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2010年6月23日
富岡修二さん |
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学習塾の講師を経て、商品先物の営業を8年近く勤めるが、倒産により失業。その後、生命保険会社の営業職に就くが、経営不振により雇用形態が業務委託に変わり、退職。営業職、コンサルティング職に幅広く応募しているが、一次面接がなかなか突破できない。 | |
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商品先物の営業に、長く携わっておられたのですね。
はい。大学時代にアメリカに留学したのですが、向こうでは商品先物取引がとても活発で。でも、日本ではまだまだ未開拓領域ですよね。そこに可能性を感じて、入社したんです。その前に勤めていた学習塾では非常勤講師の扱いだったので、正社員になりたいという思いもありました。
なるほど。(応募書類を見ながら)でも倒産してしまったのですね。
ええ、2年前に。次は、先輩の誘いで生命保険の営業職に就いたのですが、ここも経営不振で、1年後に「業務委託契約に変更してくれ」と打診されたんです。家族もありますし、社会保険がないのは辛いと思い、退職。再び転職活動を始めたのですが、なかなか決まらなくて…。
どういうところに応募しているのですか?
営業職と、コンサルタントです。コンサルタントは未経験ですが、法人営業のキャリアが活かせると思いまして。この3カ月で50社以上に応募して、書類通過は4割といったところですが、そこから先が進まないんです。
4割!それはすごい!書類が通っているのは、どういうところですか?
経営コンサルタントと、IT営業、そして保険代理店営業の3分野ですね。でも一次面接でほとんど落ちてしまうんです…。
商品先物の営業は、ほかの営業に比べてもハードでタフな仕事です。その現場で8年近く勤め続けた富岡さんは、それだけで「高い営業力がある」と評価されているのでしょう。だから、まずは一度会ってみようと思う企業が多いのだと思います。一次面接で落ちている理由って、自分でどう分析されていますか?
実は、全く見当がつかないんです。決して盛り上がらなかったわけではないし、質問には的確にこたえているつもりです。
うん、こうやってお話ししていても、営業経験が長いだけにコミュニケーション力はしっかりしているし、話し方にも安定感があります。となると、やはり面接での発言内容に、何らかの理由があると思うんですよね。面接では、どんなことをよく聞かれますか?
今までの職歴と、前職の退職理由、そして志望動機ですね。職歴は、今までのものを要約して短めに、退職理由は事実をありのままに、志望動機は応募企業に合わせて話しています。
志望動機、具体的にはどのように話していますか?
コンサルタントの場合は、前職でたくさんの経営者とやり取りしてきた経験が活かせると伝えています。生保の営業ならば、今までの経験がフルに活かせることと、評価体系に魅力を感じたということを。IT営業ならば、時代の変化に対応する仕事に魅力を感じると伝えています。
なるほど、そこだな。
??
生保やIT、コンサルと幅広く当たるのはいいのですが、やりたいことの軸がブレている気がする。それが面接の場で伝わってしまっているのだと思いますよ。まずはご自身の中で一つ軸を決めましょう。並行して、応募書類も少しブラッシュアップすることをお勧めします。
富岡さんが一番就きたい仕事は何ですか?
コンサルタントです。商品先物時代の営業先は、中小企業の経営者がほとんど。経営についての課題を聞き出し、商品先物を中心とした資産運用を提案してきました。そこでのやりとりで、資金繰りや税金対策などの相談もよく受けていたのですが、商品先物でやれることには限界があるんですよね。顧客の経営課題にこたえ切れないというジレンマを常に感じていたんです。
軸、決まっているじゃないですか。すごく筋が通った志望動機ですよ。顧客企業は何社ぐらいあったのですか?
150社ぐらいです。今も個人的なお付き合いをさせていただいているところが多いんですよ。
なるほど、その人脈は強い。ぜひ、数字とともに書類の段階からアピールしましょう。「私がコンサルタントになったら、この150社の顧客に提案できる」と示せるじゃないですか。しかも、「前職では、顧客の課題にこたえ切れなかった。だからコンサルになりたい」という動機づけも非常にしっかりしている。だから経営コンサルタントとして、経営全般を見て、アドバイスできる立場になりたいんですよね?この部分こそ、志望動機として伝えるべきことです。
面接では、ここまで具体的には話していなかったなあ。経験を活かせます、なんてきれいにまとめて終わっていました。
富岡さんはもう35歳ですし、長く営業経験も積んでおられる。ベテラン営業らしく、経験と人脈、そしてアグレッシブさをドーンとアピールしましょうよ。応募先企業も、きっとそれを期待しているんだと思いますよ。加えて、「150社の人脈を持って来られる」と伝えれば、どんな会社だってぐっときます(笑)。150社だけでなく、営業力を活かしてもっと案件を取って来られる…ともアピールできるのでは?
確かに、その自信はあります。今までは具体的なアピールと、押しが弱かったのですね…。
今のままでも面接には呼ばれていますが、書類の内容をもっとコンサル寄りにすれば、さらに書類通過率が上がり、面接突破の確度も上がります。
本当ですか!?
150社の顧客を持っていたという数字、企業経営者のグリップをつかむのが得意という自信、顧客の経営効率化を常に考え、課題を解決するならばコンサルタントだ!と気づいたこと…これらを前面に、書類でアピールしましょう。
なるほど、これらを伝えれば、コンサルタントを志望する裏づけとなる経験、実績と、志望理由が説明できますね。
ちなみに、これってIT営業の書類でも同じことが書けますよ。例えば、私ならこうアピールします。――中小企業から経営効率化の相談を受けるたび、ITリテラシーの向上がカギだと常々思っていた。IT業界は未経験分野だが、営業力と提案力があるし、私が御社のIT営業に就くことで、150社の経営者が皆喜ぶと思う。…どうでしょう?「時代の変化」だとかいうより、全然いいでしょ?(笑)。
確かに(苦笑)
書類に書かれていないことは、面接の場で一から説明しなければならないですよね?本当に言いたいことまでたどりつけない恐れがあります。富岡さんがアピールすべきは、営業力と人脈、そして志望動機。これらを的確に、書類の段階で伝えておけば、それをベースに面接で会話ができます。今の書類を見直すことで、面接の精度をもっと上げていきましょう。
早く転職先を決めたくて「数打ちゃ当たる」戦略を取っていましたが、完全に間違っていましたね。方向性を絞ったら志望動機も明確に見えてきました。書類をもう一度見直して、経営コンサルタントを中心に当たりたいと思います。(富岡さん)
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- 伊藤理子
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