転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 事務やIT系など多くの職を経験。転職回数のせいか面接に進めない
(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2010年4月21日
田沢華子さん |
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派遣社員として事務やコールセンター業務を担当した後、システム開発会社に転職しテクニカルサポートを5年経験。その後、派遣や契約社員として事務やテクニカルサポートに従事するが昨秋に契約満了。転職活動を始めて半年になるが、書類の段階で落ちてしまう。 | |
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大学卒業後、派遣社員として事務やプロバイダーのコールセンター業務などを経験した後、システム開発会社でテクニカルサポートを5年間担当しました。その後、アパレルの販売を経て、IT会社のテクニカルサポートや営業事務に携わりましたが、昨年9月で任期満了につき退職し、今に至っています。一番の悩みは、派遣を含め転職回数が多いためか、なかなか書類が通過しないこと。次の転職先では長く勤めたいと思っているのですが…。
いろいろな職場を経験されているのですね。一番長いのは、システム会社のテクニカルサポートの5年、ですか?
そうです。物流管理システムを扱っていました。メイン顧客は大手ではなく、中小の小売店や街の個人商店が対象。なので、問い合わせがあったらすぐに駆けつけて不具合を確かめ、修理まで行っていました。そういうお店は修理にあまりお金をかけられないので、要望を聞きつつできるだけ安い部品を探して見積もりを出したりしていましたね。システムに詳しいわけではなかったので初めはとまどいましたが、見よう見まねで独学で覚えました。
ほう、修理までできるとはすごいですね!では、応募しているのはテクニカルサポート中心ですか?それともエンジニア?
いえ、テクニカルサポートのほかは、営業事務や総務などの事務系職種です。IT業界が長かったのですが、エンジニアになりたいという気持ちはなく、「誰かのサポートをしたい」という志向が強いので。でも…今までに20社ぐらい応募したのですが、面接に進めたのは1社だけでした。
昨年の秋から活動していて20社だけというのは、かなり少ないですね。今、転職活動している人の多くは、30〜40社は応募されています。多い人は100社以上に上りますよ。
本当ですか!でも、なかなか都内で応募できる求人案件がなくて。これを最後の転職活動にしたいと思っているので、応募前にネットで会社の評判を調べているのですが、悪口ばかり書かれているような会社はやはり躊躇してしまうので、ますます応募できなくて。
うーん。それでは応募先が限られてしまいますね…。視点を変えていかないと、応募できない状態が続いてしまいますよ。それに(応募書類を見つつ)、今までの経験をすべて説明しようとしているから、盛りだくさんすぎて読みづらいし、内容もつかみづらい。
でも、いろいろ経験してきたのは確かだし、私という人物をわかってもらうには、まずは書類で説明するしかないじゃないですか。
とはいえ、読み手の立場に立って伝え方を工夫することは必要ですよ。応募先についても、併せて再考してみましょう。
まずは、応募先をもっと増やすことを考えましょう。田沢さんは、都心の会社がいいのですか?
いえ、そういうわけではないのですが、今住んでいるところから通いたいので。
田沢さんのご自宅は、都内ではありますが千葉や埼玉にも近いですよね。都心に出るのではなく、郊外にある中小企業などにも目を向けてみては?交通の便がいい都心の企業は、どうしても応募者が多く集まります。事務系も、テクニカルサポートも、契約を打ち切られた派遣や契約社員が多い職種ですから、さらに競争率が高くなる。その中で、転職回数が多く年齢も比較的高い田沢さんはどうしても不利です。不便な場所にある小さな企業のほうが、相対的に見て競争率が低い。
でもそういう求人案件、決して多くはないのでは?
確かに、数は少ないです。でも、都心の企業の激戦にもまれるよりは、勝ち残れる可能性は高いはずです。都心の企業を受けてももちろんいいのですが、こういう企業にも目を向けて、1件でも応募社数を増やしましょう。
わかりました。検索対象に加えてみます。
加えて、都心でも郊外でも、なるべく少人数の企業を狙ったほうがいいですね。社長含め数人ぐらいの規模のほうが、田沢さんに向いていると思いますよ。
なぜですか??
ごく少人数の会社が事務を採用する際、「単なる事務員」は要りません。事務を中心にさまざまな働きをしてくれる人が望まれます。だからこそ、転職経験が多く、事務やIT周りなどさまざまな仕事をこなしてきた田沢さんの経験が、フルに活かせると思うんです。事務関係の業務は幅広くこなせるし、接客の経験もある。加えて、IT周りのインフラ整備もできますよね?客先まで出向いて顧客と直にコミュニケーションを取った経験も活かせるはず。今までの経験をすべて、ご自身の売りとしてアピールできます。
なるほど…言われてみれば…。
しかし、ご自身の経歴をただただ説明している今の応募書類では、長いだけで「売り」が伝わりません。職務経歴の始めに、3〜4行で職務要約をまとめましょう。それを受けて、「このようにさまざまな経験をしているからこそ、まだ企業規模の小さい御社ならばお役に立てると考えた」と志望動機につなげれば、筋が通ります。
そういう風にまとめれば、書類通過率は上がるでしょうか?
今よりは確実に上がると思いますよ。もし、「このまとめ方で大丈夫かな?」と迷った時は、自分では精一杯アピールしたつもり…という気持ちを横に置いて、応募先企業の社長や人事になった気持ちで読み返してみるといいですよ。例えばですが…社員が数人しかおらず、自分が事務処理も営業も見ていたが、そろそろ事務周りを任せられる人がほしい。そんな思いで求人している社長が応募書類を読むとき、どんなことが書いてあったら嬉しいでしょうか?
そうですね…。事務周りが一通りこなせて、気も利く人。そして、自身の業務範囲にとらわれず、臨機応変にどんな業務にもチャレンジしてくれる人…かな。
そうです、そんな感じ!そうやって具体的に想像していけば、アピールすべきことは見えてきますよね?…そして、今おっしゃっていたことって、田沢さんはぴったり当てはまるじゃないですか。やっぱり小さな会社を狙ったほうが、勝率が上がると思うし、「誰かのサポートをしたい」という田沢さんの志向にも合うんじゃないかな。テクニカルサポート時代のエピソードは、田沢さんの臨機応変ぶり、フットワークのよさ、「誰かのサポートをしたい」という思いを示すいいエピソードだと思うので、自己PRに加えるといいでしょう。
確かに…書類、見直してみます。
応募先企業にとって魅力的か、そして「田沢さんらしい」内容になっているか。この2点に注意して、書類をまとめ直してみてくださいね。
今までの経験をまんべんなくアピールしていたつもりだったんですが、応募先に合わせてもっと要点を絞らなければならなかったんですね。経歴が多いのでなかなか難しいですが、相手の気持ちに立って強みを整理し、構成を考え直してみます。(田沢さん)
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