転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 26歳で2度目の転職。営業職に就きたいが書類がなかなか通らない
(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2010年3月24日
河口善文さん |
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人材派遣会社で営業を半年経験後、業務部に異動し与信管理を1年半担当。営業に戻りたくて専門商社に転職するが、急激な業績不振で昨年11月試用期間中に会社都合で退職。以来、約50社に応募するが、書類通過は10社、二次面接に進めたのは1社という状況。 | |
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新卒で人材派遣会社に入社し、半年間営業として働きました。新人の中でトップの営業成績を収め、私の地元である福岡での支店開設メンバーに選ばれました。その後、業務部に異動し、半年後の支店開設に備えて企業の与信管理を学んでいたのですが、業績悪化で開設計画が白紙に。「ならば営業に戻りたい」と希望を出し続けたものの、営業担当者を削減する流れにあったので希望は叶わず、1年後に専門商社に転職したんです。
(書類を見つつ)でもその会社を3カ月で退職されているのですね。
はい。入社後に急激に業績が悪化して人員削減をすることになり、試用期間中だった私が真っ先に退職勧告を受けまして…。昨年11月末に退職して以降、営業職を中心にもう50社以上に応募していますが、なかなか書類が通らないんです。何度かまとめ方を見直し、自己アピールもブラッシュアップしているのですが、効果がありません。何が原因なのか…。
うーん、河口さん、本当に営業職に就きたいの?
もちろんです!そのために転職したぐらいですから。とはいえ営業経験は初めの半年だけと短いので、応募書類では、その間に挙げた成果を最大限アピールしています。
この、「新規開拓営業の目標値を220%達成」とか「顧客満足度を重視した最適な提案で成果を挙げた」などの部分ですね。
そうです。短い期間であっても、営業として実績を挙げ、素養があることをアピールしたくて。
率直な感想を言うと、職務経歴書全体からリアリティーが感じられないんですよね。
!?それはどういう意味で…?
河口さんの思いが伝わってこない、と言えばいいのかな。一見、読みやすくきれいにまとめられてはいますが、福岡支店の開設計画のことが記されてないから、営業半年、与信管理1年半、転職して営業3カ月…と職歴がブツブツ切れているなという印象しか残らない。
じゃあ、支店計画がとん挫したいきさつを書けば、イメージが変わりますかね?
うーん…原因はそれだけではないですね。アピールすべきポイントを大幅に見直したほうがいいと思いますよ。
一番の問題点は、営業の実績をアピールし過ぎている点ですね。
ええ?でも営業志望ですし、営業実績以外に何をアピールすれば?嘘をついているわけでもないですし…。
その意見はごもっともですが、営業経験と言ってもわずか半年ですよね。短い経験を過剰にアピールされても、そうそう信用することはできませんよ。支店計画とん挫のことをつけ加えたところで、「じゃあ何で白紙に戻った時点で営業部に戻さなかったの?本当に優秀だったの?」と疑う人は多いでしょうね。そのうえ、営業を志望している割には、与信管理業務についてもけっこうな文字量を割いて説明している。書類全体に筋が通っておらず、つじつまが合わないんです。営業に行きたいのか、業務部門に行きたいのか、わからない。
そ、そうですか…。
河口さんは社会人3年目とまだ若いし、営業に携わった期間も短いのですから、成果や実績ばかりをアピールするのは逆効果。それよりも、「めちゃめちゃ営業がやりたいんです!」という思いを伝えるべきです。新人ながら営業として実績を挙げ、支店開設メンバーに選ばれたこと、その準備のために業務部に異動して与信管理を学んだものの、途中で計画がとん挫してそのまま業務部に籍を置いたこと、その間何度となく営業に戻りたいと訴えたものの経営環境的に叶えられなかったこと、思いを叶えるために転職したものの業績悪化で退職を余儀なくされたこと…。今教えていただいた一連の流れを、書類の始めに「職務要約」としてまとめておきましょう。そうすれば、一貫性のない職務経歴に1本筋が通りますし、営業への並々ならぬ思いも伝わります。
なるほど、大した経験でもないのにアピールしすぎましたね…。実績数字などは、すべて削除したほうがいいんでしょうか。
いやいや、新人とはいえ営業として結果を出し、新しい支店の開発要員に選ばれたのは事実です。数字は伝えたうえで、その実績を挙げるためにどんな努力をし、どんな工夫を凝らしたのかもアピールしましょう。どうでしょう、実際どんな工夫をされたのですか?
新規開拓部隊だったので、とにかく数多く企業に飛び込みまくりました。効率的に動けるよう1日の行動計画を立て、ほかのメンバーが1日30〜40社の中、僕は60〜80社は回っていました。競争が激しい業界なので当然他社の営業も来ているのですが、名刺を渡して終わりという人が多い中で、直筆の手紙を添えた資料を渡したり、業界動向をリサーチして雑談に盛り込んだりして名前を売りました。
ほう、それはすごい!頑張りましたね。
はい(笑)。大変ではありましたが、努力した分、成果につながるのが嬉しくて。…一方で、派遣スタッフの登録状況を常に確認して、顧客企業のニーズに合いそうなスタッフの有無を常に頭に入れておくようにもしました。「こんな人にすぐ来て欲しいんだけど」という急な要望にも、その場で「大丈夫ですよ」と即答できるので、商機を逃さずにすみました。
なるほど。こうやってうかがうと、この高い営業実績が「たまたま」ではなく、「しっかりとした計画性、地道な努力によるもの」だとわかります。ぜひこの努力、工夫を、自己PRとしてまとめてください。「営業に就きたい」という思いにさらにリアリティーが増して、「当社でも頑張って実績を挙げてくれそうだ」と感じてもらえますよ。
わかりました!さっそくまとめ直してみます。これで少しは面接の機会が増えるかなあ。
もちろん、少なくとも今よりは書類通過率は上がるでしょうし、おそらく面接もスムーズに進むようになるはずです。書類の内容が胡散臭いと、面接の受け答えも猜疑心を持って見られてしまう。いくら河口さんが素晴らしいアピールをしても、すべてがウソっぽく聞こえてしまう場合があるんです。
そうか…そこまで考えていなかった。本腰を入れて、見直します!
今回指摘されるまで書類に問題はないと思っていました。短い経験を最大限アピールしようとしすぎて、何がやりたいのかわからない書類になっていたんですね。営業に就きたいという思いを大切に、書類で効果的にアピールしたいと思います。(河口さん)
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- 伊藤理子
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