転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 不動産会社を退職し5カ月。同業種転職を目指すが一次面接から先に進めない
(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2009年4月29日
早坂敏雄さん |
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不動産関連会社3社で、賃貸マンションなどのプロパティマネジメントに12年間携わる。業績悪化による退職勧告を受け、昨年11月に退職。以降、同業界同職種をメインに応募するが、書類通過率が低くて悩む。面接に進んだところもほとんど一次で落ちてしまう。 | |
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不動産関連会社3社で、賃貸マンションの管理業務に延べ12年間関わってきました。設備管理、入居者の募集活動、オーナーへの賃料アドバイス、仲介業者とのやり取り、入居者の審査・契約業務など、賃貸管理に関するあらゆることを手掛けてきたので、次も同じような仕事に就きたいのですが、なかなか内定につながらず悩んでいます。退職してから5カ月が経つので、一日でも早く再就職したいのですが…。
なるほど…。(応募企業のリストを見ながら)でも、書類通過率は高いと思いますよ。応募した企業の、3割は面接に呼ばれていますよね。これって、今の環境下ではかなり高い数字だと思いますよ。
そうなんですか? しかし、面接に呼ばれても、そこから先が進めないんです。だいたい、一次面接で落ちてしまって…。やはり43歳という年齢がネックなのでしょうか。
少なくとも、書類が通過した会社においては、年齢はネックではありませんよ。何人か候補がいる中での、相対的な評価で決まっているのだと思います。何か面接で困っていること、悩んでいることはありますか?
面接で、ガチガチに緊張してしまうのが悩みですね。人とコミュニケーションを取るのは得意なほうだと思っていたのですが…。なかなか自分が出せないのです。
全然そんな印象は受けないですけどね。話し方は穏やかだし、会話のキャッチボールもできているし、好印象ですよ。
「このチャンスを逃せない、ここで決めなきゃ」と力んでしまうせいでしょうか。なるべく冷静さを保つよう努力しているのですが…。受け答えの中で、その「焦り」が先方に伝わってしまっているのかもしれません。事前にホームページをじっくり見て、募集の背景をつかんだり、具体的な質問を用意していったり、給与などの条件面などは面接の最後に聞くようするなど、面接を滞りなく進めるよう努力しているのですが。
うーん、条件面は、一次面接では聞かないほうがいいですね。それが「焦り」と取られてしまっているのかもしれません。
ええ?そうなんですか?
はい。加えて、面接ではもっとご自身の介在価値をアピールしたほうがいいですね。ベテラン層なのですから、「御社で○○ができる」と言い切ることで、ほかの応募者との差別化を図りたいところです。応募書類も、もう少しブラッシュアップすればさらに通過率が高まるはずですよ。
条件面を一次面接時に切り出さないほうがいいのは、なぜですか?
企業の立場に立って考えてみましょう。一次面接の段階では、まだ応募者の実績やスキルを把握し切れていません。どんな経験があり、どのように自社で活躍できそうかを知りたいと考えているときに、条件面を質問されると「仕事の内容ややりがいよりも、条件が気になるのか」と感じてしまいます。これが「焦り」に取られてしまっているのかもしれません。決定的なマイナス要因ではないですが、こういうちょっとした差で、ほかの応募者に競り負けてしまってはもったいないですよね。
なるほど…。家庭があるので、条件面は早めに聞いておかねばと思っていました。それがマイナス要因だったのですね。
マイナスとまでは言いませんが、まずは「この人は当社で活躍してくれそうだ」と思わせてから、条件面に進んだほうが得策です。一次面接では、自分の強みを最大限アピールする。この1点に集中しましょう。
…実は、「これには自信がある」と言い切れないんです。完ぺき主義なので、よほど自信があることでないと胸を張ってアピールしづらくて…。自信を持って「できる」と言い切った挙句、ほかの人とあまり変わらないスキルだったら、恥ずかしいですし。
お気持ちはわかりますが、それでは面接は通りませんよ。12年の間一つの仕事に責任を持って取り組んできたのですから、「賃貸管理・契約全般に関わった」だけではなく、その中で何らかの強みを軸にアピールする必要があります。では、早坂さんが関わった仕事の中で、何に一番力を入れてきましたか?
部下の育成ですね。不動産系の会社って、「人を育てる」という認識が薄い傾向があるんです。即戦力を採用して、とにかく現場を回らせる…という企業がどうしても多い。その中、「ずっとこの仕事に関わって行きたい」という人を育てることが、業界の発展にもつながると思い、教育制度を作るなど個人的に努力してきました。…このことは一応、職務経歴書にも書いてアピールしました。
ふむふむ(書類を見ながら)、でも「部下の教育に力を入れた」との一文だけでは、アピール不足ですね。その成果までアピールしないと、評価のしようがありません。例えば、離職率が軽減した、育てた部下がこんな実績を挙げたなど、早坂さんが部下の育成に注力した結果まで書き入れたら、「このようなベテランにうちの若手も育成してもらいたい」と思う企業が出てくるはず。手掛けてきたことの羅列だけでは、もったいない。
確かに…。
ただ、メインにアピールすべきなのはあくまで「賃貸管理・契約業務」。どんな方法で建物を管理し、どんな工夫で空室を埋め稼働率を上げてきたのか、ご自身ならではのポイントがあるはず。責任を持って取り組んできたことがあるならば、もっと自信を持ってアピールしては? そしてそれをもっと書類に盛り込みましょう。
自信のなさは、自分の仕事を客観的に見ることができていなかったせいかもしれません。もう一度、キャリアを棚卸ししてみます。
それをお勧めします。そして職務経歴書の初めに数行で、アピールポイントを入れるといいですよ。その後、職務経歴欄で、手掛けてきた仕事内容だけでなく、ご自身の立場や実績、部下の数なども書き入れ、早坂さんの仕事ぶりをより明確にイメージしてもらうようにしましょう。そうすれば、面接の機会も増えるはずですよ。
わかりました!早速書き直してみます。
ちょっとした差が、合否を左右するんですね。少しでもマイナス要因は消していきたいと思います。失業期間が長くなり、どうしても焦ってしまいがちですが、自分の仕事にもっと自信を持って面接に臨みたいと思います。(早坂さん)
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