失敗しないための『転職完全マニュアル』

■退職編 STEP1 円満退社のためのスケジュールを確認しよう STEP1 STEP2
円満退社の基本は、会社に迷惑を掛けずに辞めること。仕事の引き継ぎやあいさつ回りなど、やらねばならないことは山ほどある。
退職日までに何をすればいいのか、スケジュールを立てて退職の段取りを整えよう。
POINT1 退職までのスケジュールを確認しておこう
「明日の最終面接がんばるぞーっ!!」「内定出るかも」
「ところで退職の時期や入社の時期の設定はしたの?」
「あっ 退職願出してないや!」「退職願より前に口頭で上司に伝えなくちゃ!引き継ぎ期間を考えると最低3カ月見るのが普通よ」
「そうか じゃあ入社は半年先にしよう!」「なんで?」
「せっかくだから退社と入社の間に3カ月ゴルフざんまい…」「するなーっ!!」
退職を決めてから退職日まで、一般的には2カ月は必要とされる。「そんなに必要?」と思うかもしれないが、上司に報告をし、引き継ぎ資料を作り、取引先にあいさつ回りをし、転職のあいさつ状を作り……と、日常業務のほかにこれだけの「仕事」が待っている。スケジュールに余裕を持ち、ダンドリよくこなそう。
退職スケジュール例
●やるべきこと
2カ月前
直属の上司に退職の意思表示をする
退職手続きに関して就業規則を確認する
上司に話す前に同僚などに話さない
家族に退職の意を伝え、納得を得る
転職に伴うお金の準備を整える
1カ月半前
退職日をいつにするか上司に相談する
退職願を出す前に上司と話し合う
会社に退職願の専用フォーマットがあるか確認する
退職願の日付、印鑑、誤字などの不備はないか確認する
1カ月前
退職願を提出する
退職手続きに関して就業規則を確認する
上司に話す前に同僚などに話さない
家族に退職の意を伝え、納得を得る
転職に伴うお金の準備を整える
20日前
業務引き継ぎ文書の作成
後任者と引き継ぎに関する話し合いをする
部署内、関連部署への引き継ぎ文書を整理する
現状報告など、転職先へときどき報告をする
あいさつ状の手配をする
10日前
得意先へのあいさつ回り
取引先のリストアップをする
後任者を連れて取引先にあいさつをする
自分宛郵便物の送付先を変更する
退職日当日
退職に関する手続き
担当業務をすべて処理したことを確認する
業務にトラブルが生じた場合に備え、退職後の連絡先を上司と後任者に伝える
健康保険証を返却する
身分証明書、社章、通勤定期券など会社から貸与されたものを返却する
会社が保管している場合、年金手帳と雇用保険被保険者証を受け取る
源泉徴収票を受領する
住民税の支払方法を確認する
社費で購入したものをすべて返却する
会社貸与のパソコン内に入っているデータを整理する
離職票を受領する(転職先が決まっていない場合)
社内で世話になった人にあいさつして回る
退職後
退職金の受け取り、保険などの手続き ※いずれも転職先が決まっていない場合
求職の申し込みをする
失業給付受給資格を確認する
国民年金の加入手続きをする
任意継続被保険者制度の加入手続き、または国民健康保険の加入手続きをする
退職願・あいさつ状の書き方
●退職願の基本的な書き方 ●あいさつ状(はがき)の書き方 ●あいさつ状(メール)の書き方
退職願 あいさつ状(はがき) あいさつ状(メール)
□  白地の縦書きの便せんに、黒インクの万年筆かサインペンで書く
□  表題は必ず「退職願」とし、1行目のほぼ中央に書く
□  退職理由は「一身上の都合」とだけ記入
□  退職日は上司と相談して決めた日付を記入
□  所属部署と名前を書き、その下に捺印する
□  あて名は社長名。自分の名前の位置は社長の名前より下にする
□  白地の縦長の封筒を使用。表の中央に「退職願」、ウラには部署名と氏名を書く
□  季節のあいさつから始める
□  退職の年月、在職中の厚情に関する感謝の言葉を入れる
□  転職先や転職月日など退職後の予定を報告する
□  今後の変わらぬ付き合いのお願いを入れる
□  書中でのあいさつの言葉を入れる
□  相手の幸せを祈る言葉も盛り込む
□  自宅、転職先などの新しい連絡先を入れる
※  メールのあいさつ状の場合は「季節のあいさつ」などかしこまった表現は向かない。
自分らしい言葉で、退職や転職に伴う今の気持ちや決意などを盛り込もう。
退職で返却するもの、受け取るもの一覧
返却するもの
受け取るもの(※は会社が保管している場合)
●健康保険証(健康保険被保険者証)
健康保険証は、組合管掌あるいは政府管掌保険であっても、勤務先を通じて返却する。退職日の翌日から使用できなくなる。
●年金手帳※
転職時や、国民年金に切り替えるときに必要で、生涯にわたり使用する大切なもの。厚生年金基金に加入していた人は、同基金加入員証も受け取ること。
●身分証明書、社章、名刺
社員としての身分を証明するものはすべて返却。仕事で会った人からもらった名刺も、会社の資産として会社に置いていかねばならない。
●雇用保険被保険者証※
雇用保険に加入していたことを証明する、名刺大のカード。雇用保険の受給手続きの際に必要で、転職先にも提出する。
●制服、作業服
洗濯するかクリーニングに出してから返却する。退職当日まで着用していた場合は、退職後に返却すればいい。
●源泉徴収票
所得税の年末調整や確定申告の際に必要。年の途中で退職し、その年のうちに再就職した人は、転職先で年末調整を受けることになる。その年のうちに再就職しなかった人は、住所地を管轄する税務署で確定申告をする。
●データ、資料など
社費で購入した書籍、資料、文具類などは会社の備品。業務で作成したデータ、図面、顧客リストなども忘れずに返却する。
●離職票
雇用保険の失業給付受給手続きに必要。受給額算定の基準となる過去の給与支給額、離職理由などが記されている。転職先が決まっている人は必要ない。
●通勤定期券
会社から現物支給されたものでも、通勤手当で自ら購入したものでも返却するのが原則。
エンジニア読者が証言!
「転職活動中に大きなプロジェクトをまかされてしまった〜」 「無理矢理やめず円満退社したほうがいいよ」「なるほど」 「立つ鳥後を濁さず!(パタパタ)」 「あとは仮病を使ってプロジェクトを外れる手もあるよ(ゴホゴホ)」「それはやめとくよ!」
円満退職は大事です
転職活動中に、新たな大規模プロジェクトをまかされてしまった。プロジェクト中盤で希望していた会社に合格が決まったが、無理やり退職すると後に予想しないビジネス上の付き合いがあるときがあるので、円満に退職することを優先した。おかげで転職後もいいお付き合いできています。
(34歳/システム開発(Web・オープン系) )
今のお客さんを最後まで大切にする
プロジェクトリーダーが辞める場合、いかにお客さんが困らないようにするかが課題。どこでまた縁があるかわかりませんし。私はプロジェクト完了直後に会社を辞めたので、辞めた後の連絡先もお客さんに教えて、問い合わせにはできるだけ対応しました。スムーズに転職するには、その辺のフォローに関して、お客さんも交えて工夫していくことが必要だと思います。
(35歳/その他)
部下に転職理由をきちんと説明
辞表を提出後、部下たちの間で「会社がイヤになって辞めるのでは」というウワサが出始めて、このままではチームのモチベーションが下がってしまう。そこで、全員を集めて、なぜ転職するのか、どうしてこの時期になったのかを説明しました。最後にはみな納得してくれて、退職するまで何のトラブルもなく過ごせました。
(35歳/コンサルタント)
引き継ぎの成功はキーパーソン選び
システム開発・保守は個人のノウハウに依存する面が多く、引き継ぎを行った時に利用者の業務に支障が出ることが少なくない。
ユーザの中から一人キーパーソンを選び、業務におけるシステムの位置付けや概要、トラブル時の対処法などをしっかり理解していただいた。その方にエンドユーザ教育や簡単なトラブル対応などを担当していただき、後任者の負担をある程度軽減できた。
(30歳/システム開発(Web・オープン系))
STEP2 「保険、税金、年金の手続きをしよう」へ
Part1 転職活動準備編
1.転職の目的、キャリアの棚卸をしよう
2.転職の流れ、手段を理解しよう
3.会社研究・情報収集をしよう
Part2 レジュメ作成・応募編
1.履歴書を作成しよう
2.職務経歴書で経験を魅力的に伝えよう
3.スカウトサービスを有効活用しよう
Part3 面接編
1.前日までに面接の準備をしておこう
2.面接で何を聞かれるのか把握しておこう
3.効果的な「逆質問」で企業の本質を探ろう
Part4 退職編
1.円満退社のためのスケジュールを確認しよう
2.保険、税金、年金の手続きをしよう

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