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ソフトウェア系部門長が語る、東芝におけるシステム・ソフトウェアの未来
東芝の半導体・ストレージ事業を創るソフトウェア技術
大規模なエンジニア採用を続ける東芝セミコンダクター&ストレージ社(S&S社)。今回は、ファームウェア、ソフトウェア関連部門の部門長に、「半導体・ストレージ事業の未来を創るソフトウェア技術」というテーマで話し合ってもらった。半導体を活用したシステム開発において、ソフトウェアエンジニアが果たす役割は何か。これからのソフトウェア技術開発力の強化にあたって、東芝はどのようなビジョンを描いているか。最先端を追求する仕事の魅力についても議論が広がった。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/伊藤理子 撮影/刑部友康)作成日:15.5.20
出席者プロフィール
東芝 セミコンダクター&ストレージ社
統括技師長附
大場 玲子氏
同 半導体研究開発センター(CSRD)
次世代ソフトウェア開発部
部長
森 健一氏
同 メモリ事業部
SSDシステム技術開発部
主幹
伊藤 隆文氏
同 システム・
ソフトウェア推進センター(SSC)
センター長
古森 誠司氏
東芝のソリューション開発をリードする人たち

──本日は、東芝の半導体・ストレージ事業部門でシステム・ソフトウェア開発の部署を統括する部門長クラスの方々にお集まりいただきました。東芝の半導体・ストレージ事業の未来を創りだすうえで、システム・ソフトウェアがいかに重要かというテーマですが、その前に自己紹介を兼ねてそれぞれのご経歴と担当されるお仕事の概要を伺います。

大場

1981年の入社以来、基本的にソフトウェア畑を歩いてきました。コンパイラなどプロセッサの開発ツールづくりや、OS周りなどが経験としては長く、お客さまにより近い応用技術も4〜5年担当しました。その後再びソフトウェアに戻り、システム・ソフトウェア推進センター(SSC)の初代センター長を務めた後、今は統括技師長をアシストする統括技師長附という立場でS&S社全体のソフトウェアのあるべき姿を考える立場にいます。

 森 

学生時代から3D CGを趣味としており、その開発にタッチできる会社ということで、1990年に東芝を就職先に選びました。最初の配属先の総合研究所(当時)では、家庭用ゲーム機向けのプロセッサ開発に関与。その後、PC用のメディアアクセラレータ「SpursEngine™」やテレビ用システムLSIのファームウェア開発のリーダーを務めました。ロジックLSI開発部の部長を経て、今年の4月1日付で、半導体研究開発センターに新設された次世代ソフトウェア開発部の部長に就任しています。

森 健一氏
森 健一氏

私の部署は、次世代ソフトウェア開発部とありますが、ソフトウェアだけでなく、ハードウェアやボードの開発を行えるエンジニアがそろう部署です。ウェアラブル機器向けやIoT向けデバイスのハードウェア・ソフトウェア開発および次世代の画像認識LSIのためのソフトウェアも開発しています。

伊藤

1985年に入社し、初めは東芝の青梅工場にあった情報処理系の研究所に配属されました。ここでは、今でいうタブレット端末の原型となるような端末の試作にも携わっていました。その後SDメモリーカードにかかわり、それに伴ってメモリ事業部の大船事業所に異動。eMMCやSDカードの責任者など、ここでもさまざまなことにかかわりました。昨年からはSSDコントローラー開発の主幹を担当しています。経歴としてはソフトウェアだけをやっていたわけではありませんが、現在はソフトウェアを中心に全体の技術を見るようにしています。また、ファームウェア技術者の採用活動にも携わっています。

古森

私が担当するシステム・ソフトウェア推進センター(SSC)は、ひと口でいえば、半導体の「利用技術」を極めるプロ集団です。具体的には、システム・ソフトウェアの共通技術を開発し、それを社内に提供するというのがミッション。研究所で生まれた技術シーズを製品化するときに、ソフトウェア工学の知見を活かして、その品質を担保するなど、製品の応用分野を広げていく役目があります。

各事業部はそれぞれ必要なハード・ソフトを開発しているわけですが、それぞれの技術をピックアップして組み合わせ、新しい製品の芽を提案することも、ミッションですね。例えば、モーターとメモリと画像認識を組み合わせて自律移動機器の可能性を探ったり、なんてこともしています。

私たちは、LSIを基板に乗せたり筐体に組み込む実装技術や回路設計技術も研究します。いわば新製品のプロトタイプづくりですね。プロトを開発することで、逆に次のLSIに求められる要求仕様が見えてくる。そうやって製品開発のサイクルを回していくこともミッションに挙げられます。

顧客にソフトウェアを組み合わせたソリューションを提供

──大場さんは、全体を俯瞰するお立場で東芝S&S社のソフトウェア戦略を考えていらっしゃると思います。S&S社におけるソフトウェア技術の立ち位置というのはどういうものでしょうか。

大場 玲子氏
大場 玲子氏
大場

半導体が普及し始めたころは、チップさえ作ればお客さんが自らソフトウェアを開発してくれたものです。つまり東芝としては、長い間チップだけのビジネスができていた時代がありました。メモリ製品は特にそうでしたね。ところが、ロジックLSIの開発あたりから市場が変化してきます。

ロジックLSIは、ソフトウェアあってのものなので、単にチップだけを持っていっても使えない。一方で、技術の動きが速いですから、顧客はソフトウェアを一から作る時間がない。つまり私どもがソフトウェアを一緒に提供する必要が出てきたのです。

さらに、ここに来て、コンピュータ市場の主力プレイヤーの顔ぶれが変わっており、米国を中心とする大手サービスベンダーが市場を牽引するようになってきました。そうなると、求められるのはサービスの機能を実現するモジュール。チップがどうのとか、ソフトがどうのとかは関係なくなってしまうのです。

私たちがもしこの流れについていけず、半導体のチップ開発しかやらないと、2次請け、3次請けのビジネスに留まってしまう。そうなると最終顧客からの距離は遠くなってしまい、市場でのポジショニングも難しくなってしまいます。

もちろんこれからも私たちは先端半導体を作り続けるのですが、顧客へは部品ではなく、ソフトウェアも組み合わせたソリューション、つまりは顧客が求める機能を提供できることが大切になります。従って、私たちが求めるソフトウェアエンジニア──社内ではむしろ「システム屋」という言い方をすることが多いんですが──には、顧客により近いスタンスで、ハードウェアと顧客のギャップを埋める役割があります。

私たちは世間には半導体メーカーと認知されていますから、新卒採用もキャリア採用でも、半導体のプロセス開発などハードウェアの技術についてはある程度人が集まります。ところが「ソフトまで含めたものをシステムとして提供している」というイメージがまだまだ浸透していないものだから、ソフトウェアエンジニア、システムエンジニアの方がなかなか来てくれない。

ご存知のように、東芝S&S社は大規模にキャリア採用活動を展開中ですが、なかでもソフトウェアエンジニアへのニーズは日増しに高まっています。私たちには、ハードウェアやチップの技術に関しては分厚い蓄積を持っています。ところが、チップの上に乗せるソフトウェア技術となると、技術者の育成が立ち後れていたことは否めません。これから人を育てるのはもちろんですが、短期的には、チップを「使う側にいたエンジニア」をどんどん迎えたいと考えています。

キャリア採用で迎えたいソフトウェアエンジニアの数はハードウェア系エンジニアと遜色ないぐらい大規模になります。ソフトウェアを通して半導体を使いこなすように設計する仕事は、非常に面白いと思うんです。それを広く伝えることができたらいいなと思っています。

ビッグデータ、IoT、ウェアラブル、自動車、産業機器、医療機器などに注力

──ソフトウェア戦略ということで、特に注力している市場はありますか。

大場

半導体は何にでも使えるのでターゲットを絞るのは難しいのですが、それでも最大ターゲットはストレージということになります。ビッグデータやIoTの盛り上がりでストレージ製品の需要は高いのですが、私たちは単にデータを記録する媒体としてのストレージを部品として売るのではなく、データを統合して活用するためのストレージ・システムを提供していきたい。ただストレージ製品をサーバーメーカーさんに売るのではなく、クラウドサービス事業者と協業しながらストレージ・システム全体まで作ってしまう、そういうイメージですね。

一方でコンシューマー分野の半導体製品はコモディティ化しており、アジア諸国との価格競争が厳しい。今は、ソフトウェアもインド・中国で開発できていますしね。だからここで価格競争に勝っていくのはなかなか難しいものがあります。

そこで私たちとしては、日本が強みを持つ品質やセキュアな機能が重視される分野、代表的なものとしては自動車、産業機器、医療機器などですが、この分野へのソリューション提供力を強めていこうとしています。

 森 

私はこの前までロジックLSI開発部を担当していたのですが、その経験からソフトウェア開発について考えていることを少し述べてみます。

ソフトウェア技術というのは改めて定義するとなかなか難しい。狭義の意味としては、プログラミング言語でプログラムを組むことですが、私たちが考えているソフトウェア技術は、ハードウェア、ソフトウェアを組み合わせてシステムを組むというところに主眼があります。

処理速度がゆっくりでいいなら、その処理をPC上のソフトウェアだけでやってもいいのですが、きわめてハイスピードの処理が必要なときには、処理のかなりの部分をハードウェアでやらなければならない。そこでソフトとハードを跨いだシステム開発が必要になります。3Dゲームや高精細テレビはまさにその世界ですね。車載の画像認識装置でも、高速で近づく障害物を的確に認識するためには、ソフトウェアだけではなくハードウェアも協調して高速な演算処理をしなければなりません。

現在は、半導体研究開発センターという次世代技術研究部門に移りましたが、そこではこうしたシステム開発の次世代のあり方を考えています。次世代といっても、遠い未来ではなく、3〜5年先の製品技術。3年後となると、今から要素技術を仕込まないと、到底ビジネスになりません。

先ほど研究部門が今後注力するターゲットとして、ウェアラブル端末やIoTを挙げました。こうしたものづくりでは、東芝グループ内での協業関係が重要になると思います。コーポレートの研究開発センターが東芝全社をターゲットに開発したデータ圧縮・画像認識・セキュリティといった先端技術を、S&S社の視点でソフトウェアとハードウェアの合わせ技でLSI上に実現することが当部門のミッションになります。アプリケーション開発や端末開発では、東芝の別の社内カンパニー、インダストリアルICTソリューション社やヘルスケア社との連携が重要になります。

もう一方では、社外企業との連携も重要。ゲーム機器やテレビの市場でも、部品を自社製品のみならず社外向けにも提供してきた歴史があり、社外連携を通して世界的規模のイノベーションをリードするのはS&S社のDNAの一つとも言えるものです。

NANDを使いやすくするコントローラー。ハード・ソフトのエンジニアが協業する職場

──伊藤さんは、SSDシステム技術開発部でSSDコントローラーの開発を率いているわけですが、その立場からソフトウェア技術の重要性をどうお感じになっていますか。

伊藤 隆文氏
伊藤 隆文氏
伊藤

NAND型フラッシュメモリはいま東芝全体のなかでも最大級のビジネスに育ってきていますが、実はこのメモリはシステム側から見ると必ずしも「使いやすい」ものではないんですね。それゆえ、メモリを使いやすくするコントローラーの役割はきわめて重要になります。

コントローラーを開発するうえでは、NAND型フラッシュメモリそのものを設計している人たちのすぐそばで仕事ができるというのが、当社の優位性になっています。ハードとソフトの技術者が毎日のようにディスカッションしながら、NAND型フラッシュメモリの細かな動きを確認し、問題を解決するようにしています。

また今後は、BiCSと呼ばれる3次元構造も強化していくわけですが、そこにどんな機能を盛り込んでいくのかを企画するときには、私たちコントローラー開発者も必ず意見を求められます。いわば私たちの問題意識が、次期製品の企画を決定する大きな要素になる。それはソフトウェア技術者としては大きなやりがいにつながると思います。

──古森さんが先ほどおっしゃった、半導体やソフトだけでなく、最終製品のプロトタイプまで作ることがあるというお話は興味深いですね。

古森

半導体+ソフトウェア+αでシステムを設計し、より製品に近いものを作っています。私たちの実験室にはいろんなデバイスやハードがたくさん転がっていますよ。ただ、自分たちで量産はせず、あくまで顧客にリファレンスモデルとしてプロトタイプを提案するところまでですね。

ソフトウェアエンジニアの活躍範囲は広い。自分の要素技術をアピールしてほしい

──ところで、SSDシステムのコントローラー開発といっても、世の中にそれに熟達したエンジニアはそう多くはないですよね。どういうところからエンジニアを採用しようとしているのですか。

伊藤

NAND型フラッシュメモリのコントローラーを書いたことがある人は、社外にはまずいないと言っていいでしょうね。ただ、ストレージとPCのインターフェイスというように範囲を広げれば、SATAやPCI-e周りの知識がある人はけっこういるはず。その経験は当社でも役に立つと思います。さらに範囲を広げて、自動車、テレビ、家電などにおける組込ソフトウェアの深いスキルがあれば、十分活躍できるでしょう。NAND型フラッシュメモリそのものについては、当社に入ってから研修やOJTを通じて知識を身に付けることができますから。

 森 

コントローラーには、エラー訂正やインターフェイスなど数多くの機能がありますよね。だから、自分の持つ要素技術をアピールしていただければ、思わぬところでそれが活かせる・・・ということも十分あり得ます。たとえ設計側ではあまり必要としない技術であっても、品質保証のフェーズで活かせたりすることもあります。

古森 誠司氏
古森 誠司氏

例えばPCのインターフェイス周りでドライバを書いたことがあるとか、暗号処理アルゴリズムを組んでいた人など、ご自身が持っている技術がS&S社で活かせる分野は予想より広いはず。ぜひ、広くアピールしていただければと思います。

何より私が強く求めるのは、自分で実際に手を動かして、ソフトウェアを書いた経験ですね。PM経験も重要ですが、若いころであっても、実際にプログラムを書いていない、システムを開発していないとなると、現場の感覚からズレてしまうと思うのです。

もちろん、研究部門では単に仕様通りにプログラムを書くだけが仕事ではありません。ウェアラブル、IoT、画像認識が私たちの目下のテーマですが、当然、その先のテクノロジーも考えなくてはなりません。むしろ、今流行りでない技術にこそ、目を向けることができる。そういう視野の広さがあるといいですね。さらにいえば、「オール東芝」の技術開発を俯瞰して、そこから生まれる新技術を構想できるような人であれば、理想的です。

東芝が求める組込系エンジニアの要件
大場

今回の座談会に出席している部門長たちが共通して求めるのは、組込ソフトウェアの技術だと思います。組込系の人にとっては当然ですが、開発にあたってメモリなどリソースが限られる。そういうところでソフトウェアを開発してきた経験が重要になります。ハードウェアの特性を知り尽くし、それを叩いて特性を引き出していく。ソフトウェア技術のなかでも非常に泥臭い分野ですよね。そこができる人がいいですね。

古森

おっしゃる通り、共通項はやはり組込。ですが私たちのSSCだとモデルベース設計の経験も歓迎します。MATLAB/Simulinkとか制御理論がわかっている人も必要。また、組込のエンジニアリング、開発手法・管理技術に特化した経験を持つ人なら、面白い仕事ができると思いますよ。組込ソフトウェアの開発手法としては、ウォーターフォール型もAgile型も、私たちには経験があります。そのノウハウをさらに広げていただけるような人は大歓迎ですね。

大場

その一方で、例えばクラウドアプリをJavaで書く、といった仕事しかしたことがないという人は活躍できない、ということはありません。なぜなら私たちの顧客の中には、前述したようにクラウドを駆使してサービスを提供するベンダーさんも多くいるからです。ユーザーサイドに立って「メモリ・ストレージに何が必要か」がわかることが必要です。

 森 

同じような例を挙げれば、組込系は全くやったことがない、現在はスマートフォンのアプリを書いている・・・というような方であっても、私たちと一緒に仕事ができる可能性が皆無か、といったらそんなことはない。アプリの下のレイヤーでネットワークやOS、ハードがどう動いているのか、そういうところに関心があることが重要ですが、十分活躍の可能性があると思っています。

入口も出口も幅広い。セットメーカーではなく、半導体企業に転職する意義

──組込エンジニアにターゲットを絞るとなると、自動車部品や電機製品、産業機械、あるいは医療機器など、セットメーカーとしてそういう製品を作っている企業との人財の奪い合いになりますね。

大場

大変難しい部分ですが、一つ言えるのは、半導体メーカーのソフトウェア技術者には「出口」がたくさんあるということです。つまり、何にでも使えるし、どこにでも入れるし、顧客や市場の幅がものすごく広い。一方で、例えば自動車など、あるジャンルに特化したセットメーカーだと、一生そのジャンルの製品にかかわらなければならない。その製品そのものを必要としなくなる技術革新のパラダイムシフトや市場の構造的変化はこれからも起こるでしょう。そのとき、どちらがより息の長い仕事ができるのか、という点もぜひ考慮していただきたいと思います。

それから東芝S&S社は異動を通じてキャリア構築ができる会社でもあります。いまはメモリのコントローラーを書いていても、数年後にはストレージの応用技術などより顧客に近いところでビジネスを起ち上げるような仕事を任されることもある。IoTなどこれからの新市場を深掘りするためのテクニカル・マーケティング的な仕事に就くかもしれません。半導体の仕事とひと口にいっても、実はその「入口」も幅広いというのが当社の特長だと考えています。

 森 

そのとき活かせるのが、総合電機メーカーとしての東芝グループの大きさですね。時代の流れの中でスキルを活かせる部分を探していけるし、これまで培った技術を次の分野に投入することもできる。昨年東芝ヘルスケア社が誕生したときも、私たちの部門からヘルスケア社に技術者が多数移りました。グループ内での人財の流動化はこれからも進むと思います。

伊藤

先ほども触れたように、フラッシュメモリは東芝全体の利益のかなりの部分をたたき出す事業。なかでもファームウェアやソフトウェアの重要性は経営トップも強く認識していて、期待も大です。組織の規模もどんどん大きくなり、キャリア採用者もどんどん入ってくる。キャリアの人も、実力を発揮すれば、すぐに大きな権限が与えられ、ポジションも上がります。そういうところでは、新卒かキャリアかという区別は一切ないですね。

海外オフショアの流れの中で、国内エンジニアは最先端にこだわる

──すでに組込系ソフトウェアの開発も海外にオフショアするという流れが出ています。国内で仕事をするエンジニアは一抹の不安も抱えていると思うのですが。

大場

不安に思う必要はないんじゃないでしょうか。当社もインド、ベトナム、中国にソフトウェア開発会社も持っている。これからの少子化社会を考えると、やはりそちらでもエンジニアを育てないと間に合いません。新興国の人件費の安さ、若者の多さも魅力であり、その意味で国際化は必須です。だからこそ、国内のエンジニアは海外オフショアをがんがん活用して、開発の規模を大きくすることが可能。海外と日本のブリッジ的な役割も、これからのエンジニアに必要な資質になると思います。

 森 

海外オフショアが進むのに、それでも国内で人を採ろうとするのは、「先端技術分野は容易に海外移転できない」ということが挙げられますね。

伊藤

私も最先端の開発は日本でしかできないと思いますよ。技術のコアな部分は、デバイス・顧客・ソフトが近くにいて協業しないとやっていけないですし。

古森

キャリア採用者に求めるのは即戦力で、教育の基本はOJTということになりますが、すべて現場任せでいいとは思っていません。キャリア採用エンジニアの東芝におけるキャリア開発という視点で、中長期的に見た教育体制をこれから充実させていきます。ソフトウェアエンジニア向け教育プログラムの拡充もまた、SSCが担当しています。

 森 

私の部署に転職してきたエンジニアの話を聞くと、東芝の教育体制はおおむね高い評価を得ています。技術はもちろんのこと、東芝グループ全体で実施する研修システムでは、語学やコミュニケーション、マネジメントなどビジネススキルを身に付けられる講座が豊富に用意されています。転職エンジニアには、そこで学んだスキルを活かして、社内の人脈を広げていって欲しいと思います。

──今回の座談会を通して、東芝S&S社における、システム・ソフトウェア技術者の像がクリアになってきたのではないかと思います。ありがとうございました。

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