企業の新たなイノベーションの創出やサービスやプロダクトの進化には、エンジニアなくしては語れない。エンジニアにごきげんに仕事をしてもらい、いかに優秀なエンジニアが採用できるか、企業側は日々策を講じている。

例えばパソコンやサーバー、技術書などの開発環境はもちろんのこと、通勤や食事の面をサポートするための住宅手当や社員食堂の福利厚生や、資格取得支援制度などを整備し、エンジニアの技術力向上やサポートを行う企業が増えているという。優秀なエンジニア採用の一助になればと期待する採用担当者も多い。 　一方、エンジニア側はそうした開発環境や福利厚生が充実している企業にどのくらい魅力を感じているのだろうか。そこでＴｅｃｈ総研では、20代から30代前半のエンジニアに対し、勤務先の福利厚生に対する意識調査を実施した。 　まずは、現状の勤務先の福利厚生に対して、どう感じているのか。「充実していると思う」58％、「充実していると思わない」42％と、半数以上のエンジニアが充実していると答えている。（DATA1）

DATA1　勤務先の福利厚生は充実してる？

　次に会社から支給されている住宅手当や食事に関する手当、支援制度の有無について聞いてみた。今回の調査はソフト・通信ネットワークなどのソフト系エンジニア（以下、ソフト系）500人、電気・電子・機械・素材などのハード系エンジニア（以下、ハード系）500人に対して行っているが、住宅手当に関してはソフト系が、社宅・寮、社員食堂に関してはハード系のほうが手当・制度がある比率が高い。（DATA2）

　さて気になるのは、こうした住宅手当、食事手当、社員食堂の有無に関する福利厚生が充実した企業に対し、エンジニアが転職先として魅力を感じるのかどうか。最も多かった回答は「何社かで悩んだら支給されているほうを選ぶ」50％、「参考にするがあまり気にしない」29％、「支給しない会社には転職しない」16％、「まったく気にしない」5％という結果になった。もちろん仕事内容や給与などの諸条件のほうを重視する人のほうが多いと思われるが、少なくともないよりは福利厚生が充実している会社のほうが魅力的だと感じているようだ。（DATA3）

　ちなみに、勤務先の住宅手当、食事手当、社員食堂に満足しているかどうかについては、「満足している」38％、「満足していない」62％と、不満を感じているエンジニアのほうが多い。（DATA4）満足派・不満足派それぞれの理由を見てみると、やはり手当については金額、社員食堂については美味しいかどうかに尽きるようだ。

　最後にエンジニア向けの開発環境や、技術習得のための支援制度に対する満足度を聞いてみたところ、「充実していると思う」44％、「充実していると思わない」56％と、やはり不満を感じているエンジニアのほうが多い。（DATA5）

　技術は日々進化し続けるし、エンジニアにも技術知識取得のための努力や自己投資は必要である。しかし、会社が必要とする資格取得や研修、仕事で必要な専門技術書の購入などは、やはり会社でサポートしてほしいと思うのは当然だろう。そして、スキルを高めたエンジニアに対し、厚く遇するという制度があればエンジニアのモチベーションも高まるし、エンジニアとしての成長をサポートするのではないだろうか。