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カリスマプログラマ・Web企業経営者・人気ITサイト記者etc.

「創り続け、学び続ける」
エンジニアリーダーの条件

エンジニアとしてある程度のキャリアを積めば当然、その次にあるのが「リーダー」というポジション。エンジニアがリーダーとして活躍するための条件とは何か?IT/Web業界の著名人からの意見を通して、探ってみたい。

(総研スタッフ/山田モーキン) 作成日:13.12.27

10名の著名人がイメージする「理想のエンジニアリーダー」を紹介

 2013年冒頭、Webエンジニアに対して今後、どのような働き方を求め、またどのような活躍や成果を期待しているのか?IT・Web業界の著名人の方たちからそれぞれ独自の観点からご意見をいただいたこちらの記事

 
それから早くも1年が経過し迎える2014年。今回は「エンジニアがリーダーとして活躍するために求められる条件とは?」というテーマに対して、前回同様にIT・Web業界の著名人の方たちからご意見をいただいた。
その一部を紹介していきたい。
 
 
今回ご意見をいただいた皆様(※あいうえお順)
伊勢幸一氏(株式会社データホテル 情報環境技術研究室 執行役員CTA室長)
太田智美氏(@IT統括部)
倉橋一成氏(iAnalysis  代表・最高解析責任者(CAO))
清水亮氏(株式会社ユビキタスエンターテインメント 代表取締役社長兼CEO)
萩本順三氏(株式会社匠BusinessPlace 代表取締役社長)
橋本健太氏(クックパッド株式会社 執行役CTO)
平山宗介氏(株式会社リブセンス システム開発部部長)
福野泰介氏(株式会社jig.jp  代表取締役社長)
増井雄一郎氏(miil Inc. & Toreta, Inc. CTO)
湯川鶴章氏(IT評論家)

理想のエンジニアリーダーの条件とは?

清水氏
「あえて開発現場から一歩引いた視点で現場を見つめる」
 
エンジニアがリーダーシップをとる場合、その大前提となるものは、エンジニアリングに関する知識だけでなく、想定される市場や顧客、コンピュータの歴史、産業史などについて十分な知識と教養を持っていることが望ましい。
「過去のプロジェクトはなぜ成功し、今の自分のプロジェクトは歴史的にどういった位置づけにあるか」常に把握していることが大事だと思います。
その上で、自分は開発の現場から一歩引いた視点で現場を見つめ、必要に応じて助け舟を出すなどの臨機応変な対応が必要です。私は例えエンジニアとしてのリーダーであっても、自らコードを書くのが正しいとは思っていません。できるだけコードを現場に任せ、自分はコード全体のバランスを調整したり、どうしても部下の能力だけでは解決できない場合にのみコードを見てアドバイスしたりすることが、結果として部下を育て、部下の能力を引き出すことにつながると思っています。
 
 
橋本氏
「最大で成功した状態と、現状の自分との間にある大きな差異を自覚する」
 
「メンバーの技術力をエンドユーザへの価値を高めることにつなげられる人」。
「メンバーの技術的な成長を後押しし、その方向性を長期的な組織の成長に結び付けられる人」
「技術で世界を良くするという情熱があり、それをメンバーに伝えることができる人」
と考えています。
人に教わったことをそのままやって身に付くというものではない。自分が最大で成功した状態を想定し、現状の自分が実現していることと大きな差異があることを自覚する。その上で、より成長に向かう行動を楽しむことが大切です。
 
 
伊勢氏
「学習し続け、事実を咀嚼・解釈する」
 
エンジニアは客観的かつ論理的な話しか信用しない。そのためリーダーは十分な技術的経験を持ち、新旧問わず常にさまざまな技術に関する内容、適用適合性、問題、課題、そしてその技術を取り巻くマーケットや利用者の状況を理解・把握し、それらに対する論理的、客観的見解、解釈、判断を示す能力が求められる。
そのためには常に技術動向や市場での需要、利活用状況について学習し続ける事と、それらの事実を個人の事情や心情のフィルターを介さずに咀嚼し解釈する事が必要だ。
 
 
湯川氏
「自分のしたいことがわかっている」
 
自分のしたいことをわかっている人間。
したいことを実現するために、今何をすべきかを考え、実践できる人間が、リーダーに向いているのだと思います。
人から言われた仕事だけをするのではなく、自分のしたい仕事をするための技術を常に学び続けることが重要です。
 
 
倉橋氏
「クリエイティブな人」
 
クリエイティビティや自己批判、自分からの提案ができる力が必要です。
リーダーでなくてもエンジニアには、ただ指示された事をコーディングするだけでなく、指示されたものを超えるものを作る事が期待されています。技術面だけでなく、UIやUXなどのデザイン面もとても大事です。
特にリーダーはほかのエンジニアよりもそういった力が必要になってきます。マネジメントなどの力だけでなく、そういったクリエイティブな人に、人はついて行きたいのではないでしょうか。
そうした力を身に付けるためには、コーディングのような技術的なものだけを学ぶのではなく、芸術的なものや各種エンターテインメント、旅行などから得られるものが大きいと思います。いわゆる“文系的”なものがとても大事ですので、そういった事にも興味を持つことをお勧めします。
 
 
萩本氏
「IT業界よりも歴史のある業界から学ぶ」
 
1.ビジネスを「見える化」する力
ビジネスに興味を持ち、ビジネスの仕組みを知り、ビジネスのモデルを見える化し、そのビジネスの中で活かすためのIT活用法をビジネス企画段階で提供する力。
2.システム開発プロジェクトのビジョンやミッションを掲げ、エンジニアを引っ張る力
プロジェクトリーダとしての魅力や技術力を持ち、さらにプロジェクトメンバーたちのモチベ―ションを高めるようなプロジェクト・ビジョンを掲げる事ができ、プロジェクトとしてのミッションも明確に語れる能力。
3.ユーザを巻き込むためのコミュニケーション力。ユーザビジネスや戦略を見える化するためのモデリング力。ユーザをプロジェクトに巻き込むためのファシリテーション力。などが必要とされ、それらは、すべてビジネス視点で考える事が重要であり、エンジニアがITという牢屋に入って思考していては、いつまでたっても自分たちの技術を洗練化することができないと思います。
そのために、まずは自分の得意分野のITだけに留まらず、さまざまな業界のビジネスパーソンと会話をしたり、IT業界よりも歴史のある自動車業界やファッション業界などから学ぶ(パンフなどを見ながら)事も重要。その中で、エンジニアリングとビジネスがどのようにつながっているのか考えてみるように僕はしました。
 
 
太田氏
「変態力」
 
「変態力」です。変態力とは、「コードゴルフで短いコードを書くことに全神経を集中させた結果、漢字や記号を盛り込んだ文字化けのようなコードを完成させNo.1の座を勝ち取った」とか、「懇親会ではビールと唐揚げさえあれば他は何もいらない、ということを1時間熱く語れる」とか、そういった力のことです。変態でいることは周りから理解されにくく、非常に難しいことだと思います。しかし、自分の変態力を武器にする「変態エンジニア」と呼ばれる皆さんは、なぜかワクワクしています。このワクワクが、これからの社会を引っ張っていくエネルギーになるような気がしています。
 
 
福野氏
「創り続ける」
 
エンジニアとしてリスペクトされる技術を持っていることと、リーダーとなる覚悟があること。前者はとにかく創り続けるのが一番で、後者はちょっとの勇気があればOK!
「創り続ける」ということに関しては、私のブログ「一日一創」(Create Every Day)で実践しています。
 
 
平山氏
「自身の存在によってまわりに影響を与えることのできる能力」
 
エンジニアがリーダーとして活躍していくためには「個人として立ち、まわりをリードできる能力を付けること」が重要だと思います。それは、組織の中の開発リソースとしてではなく、個人の能力をベースにまわりのチームや会社、さらには世界にうって出ることを可能にする能力です。
技術力を軸として、エンジニアチームをリードするような“チームリードとしての力”をつける、プロダクトないしはプロジェクトをリードできるような“プロダクトリードとしての力”をつける、その人しか持ち得ない技術により価値を提供する“テクニカルリードとしての力”をつける。方向性は色々ありますが、従来の俗にいうマネジャー=リーダーという認識ではなく、自身の存在によってまわりに影響を与えることのできる能力こそがリーダーシップであり、それが身に付けているひとがこれからの時代は特に必要とされるように思います。
そのリーダーシップを付けるためにもまわりの世界を意識することが大事だと考えています。ただ漫然と日々の業務をこなすのではなく、今自分はどのようなポジションにいるのか、自分の存在はまわりにインパクトを与えることができているのか、そう考えることを意識すると今の自分に足りないものも自然と見えてくると思います。
 
 
増井氏
「人の管理+技術をリードしていく存在」
 
エンジニアのリーダーとしてチームビルドを優先するか、テクニカルリードを優先するかという、二つの方向性があると思っています。リーダーというと前者が強く連想されますが、技術についても一級であることは大事です。リーダーとマネジャーが一緒にされがちですが、エンジニアのリーダーは人の管理だけでなく、技術についてもリードしていくことが理想なのではないかと思います。

理想のエンジニアリーダーといえばこの人!

清水氏
究極のところ、理想的なリーダーとはただひたすら、結果を出す人物のことだと思います。どれだけ人格的に優れていようが、人望が厚かろうが、結果を出せないリーダーは失格です。そういう意味で、理想的なリーダーとしてはWindowsNTの開発を指揮したデイビッド・カトラーや、アイデアパーソンの立場に徹し、Xerox Altoという革新的なコンセプトを作り上げたアラン・ケイを挙げたいと思います。
 
 
伊勢氏
データセンター、ホスティングに関するあらゆるコンポーネントの機能、技術、正当性、市場動向を踏まえた上で技術の導入や事業経営の判断をされている、さくらインターネットの田中邦裕氏です。
 
 
湯川氏
「コード・フォー・ジャパン」「shinsai.info」などすぐれた活動を幾つも継続されている、日本を代表するエンジニアである関治之氏です。
 
 
倉橋氏
ありきたりだと思いますが、ジョブズを思い描きます。部下に対しては厳しい態度で接していても、みんなが彼のビジョンや発想に惹かれます。その結果、エンジニアはたとえ苦しくても彼の理想を実現しようと頑張っています。私もそういうリーダーになりたいと思い、日々努力しております。
 
 
萩本氏
ソニックガーデン代表 倉貫義人氏
エンジニアでありながら経営的視点を以前から重視されている。現在は経営者でもあるが、いまだにエンジニアリングを愛し、SI業界をよりよくするための独創的なアイデアを出されている。

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