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本格的なグローバル展開の屋台骨を支える技術者ニーズが急増
「攻め」の情報システム部門が描く“未来の姿”
日本国内はもとより、世界の通信業界にも事業を展開するソフトバンクグループ。「情報革命で人々を幸せに」という経営理念を掲げ、モバイルインターネットNo.1を目標に成長を続けている同グループの土台を支えるのは、情報システム部門だ。グループのさらなる成長のため、常に挑戦を続ける彼らの「志」を探る。
(取材・文/臼井隆宏 総研スタッフ/伊藤理子 撮影/刑部友康)作成日:13.07.26
イノベーションを起こせるエンジニアを積極採用

 ソフトバンクグループは、言わずと知れた通信業界の雄だ。2001年に当時世界最高速のADSL環境を低価格で実現したYahoo! BBを提供することで日本の一般家庭にもブロードバンド化の波を起こし、2008年には米アップル社のスマートフォンiPhoneを日本で最初に販売。通信業界のリーダーとして、マーケットに変革を起こし続けている。
 同グループの中核を成すのは、ソフトバンクモバイル、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコムの各通信事業者。最近ではPHS事業を中心とした「ウィルコム」、ADSLやモバイルデータ通信で知られる「イー・アクセス」がグループ入り。つい先日にはアメリカの大手通信事業者・スプリント・コーポレーションのグループ入りが決定。本格的なグローバル展開の年となる。そんな中、同グループのビジネスを支える情報システム部門は、人材の増強を図っている。その背景について、常務執行役員兼CISOの鬼頭周氏はこう語る。

「私たちは、『情報革命で人々を幸せに』という経営理念のもと、日々顧客満足度の向上に取り組んでいます。そのためには社内のシステムも、単に安定して稼働することに満足するのではなく、さらに上を目指して努力を続けなくてはいけません。そこで、ソフトバンクグループの屋台骨を支える、優秀なエンジニアを求めています。組織に新風を吹き込み、次なるイノベーションを共に起こせる人材に来ていただきたいと考えています」(鬼頭氏)

鬼頭 周氏
常務執行役員兼CISO
鬼頭 周氏
通信インフラを支える、ソフトバンクの情報システム部門

 ソフトバンクグループの情報システム部門は、通信各社にまたがった横断的組織になっており、現在はソフトバンクモバイル、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコムの3社が中心となっている。

 情報システム部門が担当する領域は顧客管理や料金精算を行う基幹システムをはじめ、コールセンターや店舗の運営システム、お客様が直接利用されるオンラインショップシステム、社員が使用するDaaS(Desktop as a Service)やメールなどのコミュニケーションインフラ、さらにはクラウドサービスなど、開発、運用するシステムやサービスは多岐にわたる。

吉田 浩士氏
ソフトバンクモバイル株式会社
情報システム統括IT管理統括部
IT企画部 IT企画課 課長代行
吉田 浩士氏
渡邉 宏之氏
ソフトバンクテレコム株式会社
情報システム統括 IT管理統括部
IT企画部
渡邉 宏之氏

「今、私たちが具体的に取り組んでいるテーマは3つあります。ITコストの削減、開発のスピードアップ、そして、当然ながらシステムの安定稼働です。その実現に向け、最新技術の積極的な活用、システムの内製化、標準化に取り組んでいます」(情報システム統括 IT管理統括部・吉田浩士氏)

 企業における情報システム部門は、縁の下の力持ちとして、ビジネスの展開を下支えする重要な役割を果たす。ソフトバンクグループにおいて、それは大前提。特に、通信事業者という社会全体のインフラを担う立場である以上、そこで動くシステムは安定稼働していなければならない。

 しかし、ソフトバンクグループの情報システム部門でエンジニアに求められるのは安定稼働だけではない。先に吉田氏が挙げたようにコストの削減、開発のスピードアップ、さらにはその結果得られる「カスタマー・エクスペリエンス」の向上を目指しているのだ。

「より良いカスタマー・エクスペリエンスを提供するために、ユーザー目線でシステムを考え抜いた上で、システムを構築していかなくてはなりません」(吉田氏)

 通常、企業の情報システム部門は、社内各所からの提案やオーダーに合わせてシステムを開発し、提供、運用する。だが、ソフトバンクグループでは違う。社内のオーダーありきでシステムを作るのではなく、自ら率先して提案を行い、現場と協力しながら開発を進めていくのだ。

「例えば、ソフトバンクショップで使用している顧客向け受付システム。契約や機種変更など各種手続きの際に用いるものですが、ユーザインタフェースを顧客目線から見直したり、システム全般の運用を見直したりなどの提案を私たち情報システム部門からも行いました。その結果、現在導入されている新システムでは、紙の申込書に記入する必要がなくなり、約60分掛かっていた手続きがわずか5分にまで短縮されるなど、大きな成果を生み出しています」(吉田氏)

 現在、情報システム部門で取り組んでいるのが、システムのさらなる内製化である。自分たちで開発・運用することにより、開発スピードと提案力を強化するのが目的だ。

 自分たちですべてのシステムを理解し、必要なときに素早く新しいシステム、改良したシステムを投入できるようにしなくては、とかく進歩の早い通信業界にあっては、事業の立ち後れにつながる。「情報革命」を実現するためには、まず足元をしっかり固める必要があるというわけだ。

「グループの規模もどんどん大きくなっています。各社の個別システムを統合し、標準化されたシステムとして運用できれば、より効率化が図れます」(情報システム統括IT管理統括部・渡邉宏之氏)

社内SEでも、チャレンジング。新しいことに挑戦し続ける環境

 社内の情報システム部門というと、仕事の波がなく安定した環境で仕事ができるが、一方で刺激が足りない職場、というイメージを持つ人もいるかもしれない。しかし、ソフトバンクグループの情報システム部門は、そのイメージとはかなり異なる。

 いわゆる社内SEとして、システムを安定稼働させ社内の仕事に影響を出さないようにすることはもちろんだが、彼らにはもうひとつ、「新しいことにチャレンジする」ことも求められているのだ。それを端的に表すエピソードが、一つある。彼らが通称「20%ルール」と呼ぶ、「常に自身の業務の20%を割いて、新しいことを考え、チャレンジする」というルールだ。実際には、それが仕事時間の2割を常に使うことにはなかなかつながらないというが、「新しいことをしよう」と常に考え続けることが、新しいアイディアにつながると彼らは語る。

「エンジニアにとって、とにかく仕事が楽しめる環境だと思います。貪欲に知識を吸収したいという人にとっては特に最高の職場ですよ」(渡邉氏)

 例えば同社では、Hadoopを使った分散処理を、料金計算システムに応用する実証実験が行われている。通常、ミッションクリティカルなシステムでは、技術面でも保守的になりがちだ。しかしソフトバンクでは違う。こうした部分でも新技術への挑戦を繰り返しているのだ。

「ミッションクリティカルなシステムにもOSSを使うなど、新技術を試すことはよくあります。もちろん、本番環境に導入する場合には、きちんと実験・実証してからですが。『これ、本当に試してもいいのか?』と思うほどですよ」(吉田氏)

 挑戦はないが安定した職場という一般的な社内SEのイメージは、ソフトバンクグループの情報システム部門には当てはまらない。それだけ、技術的にもチャレンジングな仕事場なのだ。

「トップのみならず、社員一人ひとりが常に『変革』の意識を持っているのが弊社の特徴。よどむことなく、活性化され続けている職場です。私たち自身も『イノベーター(変革者)』たれ、といつも言われていますし、昨日と同じことをしていたらそれは退化していくことと変わりありません」(吉田氏)

 ソフトバンクグループの特徴としてよく言われるのは、事業におけるスピード感。それ以外にも、皆が言いたいことを言う、やりたいことを気軽に言える社風も大きく作用していると両氏は口を揃える。ソフトバンクグループには、いろいろなバックグラウンドを持つ人材が集まっているといえる。中途入社者でも組織になじみやすいばかりでなく、自分にない価値観に触れられる刺激的な職場だ。

組織に新風を吹き込む、イノベーションを起こせる人材を求める

 彼らの求める人材像としては、スキル、経験を持ち合わせていることは当然の上で、新しい技術への取り組みができるエンジニアだという。

 彼らが中途入社する社員に求めるのは、今いる人材にはない「違う目線」からの意見だ。新しく、違った要素が入ることで組織全体に風を吹かせ、揺らぎを生み、そこから新しい気づきが得られる、と考えているのだ。
 では、具体的にどういう経歴を持った人材が望ましいと考えているのだろうか。参考事例として、と前置きした上で、両氏はこのように語った。

「SIer出身の方なら、上流から下流まで一通りの経験があるほうが望ましいでしょう。上流工程はもちろんですが、設計などの場面で自らも手を動かせる人。また、サーバ構築やネットワーク等のインフラ系の知識や経験も有効に活用できると思います」(渡邉氏)

「若い方であれば、基礎的な技術力はあると仮定した上で、やる気とポテンシャルを重視します。20代後半の方には、リーダーとしてのマネジメント能力も期待したいですね。もうひとつ言えるなら、『現場力』のある人でしょうか。自分から現場に出向き、face to faceで情報を取り、現場と一体となって業務を進めることが求められますから」(吉田氏)

「自ら稼げる」情報システム部門を目指して

 ソフトバンクグループの情報システム部門は、社内システムの開発だけでなく「自分たちで売り上げを上げられる」分野を確立すべく動いている。

「情報システム部門には、クラウドサービスを開発・提供する部門もあります。ここでは、社外のお客様にも使っていただけるサービスを開発しています。つまり、サービスを外販して『自分で稼げる』情報システム部門です。上層部からも『自分たちで使えるだけではなく、外に売れるものを作れ』と言われています」(吉田氏)

「加えて、私たちは常にソフトバンクの企業理念である『情報革命で人々を幸せに』という言葉を意識して仕事をしています。目先の業務で手一杯になることもありますが、ユーザーに対していいものを作ることこそが、大切なことだと信じています」(渡邉氏)

 自分が携わったサービスが世に出る、それも数多くの人に影響を及ぼすことは、ソフトバンクグループで働くことの醍醐味だろう。

 現在、移動体通信事業において、国内3社で約4200万件の契約を抱えるソフトバンクグループは、米スプリントを合わせればその契約数は約9710万にも達する。「世界3位規模の携帯通信会社」のシステムに携わる緊張感や刺激は、ほかではなかなか味わえない。まして、この規模の仕事を日本でできる企業はほかに多くない。社内のさまざまなシステムから出力されるデータも桁違いの量。社会からの注目度は段違いだ。そしてそのやりがいは計りしれないほど大きいだろう。そんなソフトバンクグループでは「イノベーター」として活躍できるような、変化をチャンスと捉えられるような人材を求めている。

「当社の情報システム部門は、自分で未来を切り開ける、可能性に満ちた職場です」(吉田氏)

ソフトバンクテレコム株式会社 情報システム統括 IT管理統括部 IT企画部 渡邉 宏之氏

新卒で日本テレコム(現在のソフトバンクテレコム)入社。基幹システム畑で顧客管理、料金管理システムなどを担当。その後管理部門へ。

ソフトバンクモバイル株式会社 情報システム統括IT管理統括部 IT企画部 IT企画課 課長代行 吉田 浩士氏

開発会社の情報システム部門を経て、2007年ソフトバンクモバイル入社。管理部門に所属し、2010年より情報システム部門の戦略立案や企画業務を担当。

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