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最新! 8つのエンジニア職種から採用動向がわかる!職種別 採用天気予報 [12年10〜12月期]
秋口から年末までのエンジニア転職市場はどう動くのか。Tech総研では技術系職種を大きく8つに分け、3カ月間の短期予想を載せた。各分野のベテランアドバイザーたちが、この3カ月の求人動向を予報する。
(取材・文・総研スタッフ/高橋マサシ)
来年の動向は不透明、今年中の内定を目指して早めの行動を
 ヨーロッパの信用不安が収まらない。ECB(欧州中央銀行)は市場の新国債買い入れプログラム(OMT)を発表したが、支援を受けるためには厳格な条件があり、経済に窮する各国の反応はさまざま。少なくとも、欧州全体の急速な経済回復は見込めないだろう。
 一方、アメリカの雇用統計(8月)は増加幅が前月を大きく下回り、市場予測を大幅に下回った。FRB(連邦準備制度理事会)による金融緩和も決まったが、こうした追加支援の原因がオバマ大統領の「失策」とされる可能性もある。次期大統領選を見据えて、どこまで本格的な経済政策を打ち出せるのか。
 日本では尖閣諸島などの領土問題、震災復興、製造業の失速などが目前の課題だ。領土問題は日本経済にも悪影響を与えつつあり、解決の糸口はまだ見えていない。「六重苦」と言われる製造業を中心とした大手企業では、数千人単位のリストラが発表されたが、業績回復への足がかりになるかどうかは不確実だ。

 そんな中、エンジニア転職市場は前回(7〜9月期)とは大きく変わらないものの、少々元気を失ってきたようなイメージを受ける。
 ハード系職種で求人を引っ張るのは自動車関連と特定派遣会社。ただ、電気・電子、半導体、化学・材料の分野では総じて開発職の募集は少なく、キャリアアドバイザーたちはFAE(フィールドアプリケーションエンジニア)への転身やキャリアチェンジを含めた、応募職種や応募先企業の再検討を勧める。
 ソフト系職種は全体的に堅調。通信キャリアを起点としたネットワーク系職種の募集拡大があり、コンサルタントも相変わらず好調だ。金融系を主とするSI企業の開発案件も続伸しているようで、SAP(ソーシャルアプリケーションプロバイダー)ではコンテンツプロバイダー各社の募集が続く。
 ただ、IT系求人の牽引役であった大手プラットフォーマーに、多少の一服感が出てきたようだ。厳選採用が主体となり、かなりの狭き門となっている。

 キャリアアドバイザーたちが薦める転職時期は「年内」が多い。理由のひとつは、企業が現在の募集人員を今年中に採用した場合、来年から同様の新規求人を始めるかどうかが不透明なこと。もうひとつは、リストラによる退職者が転職市場に流入することで、徐々に競争率が上昇するという予測だ。
 ここで考えるべきことは、よくも悪くも「身の丈を知る」ことではないか。誰もが行きたい花形企業や人気職種を狙うのは自由でも、それが内定を得られない理由になる場合も少なくない。視点や範囲を変えれば、「意外にお得な情報」が見つかりやすくなるものだ。
ページ内の各技術分野へリンクします。
制御系SE 晴れ/曇り
電気・電子系 曇り
アプリ系SE 晴れ
機会・メカトロ系 晴れ/曇り
コンサルタント 晴れ
半導体系 曇り/雨
ネットワーク 晴れ/曇り
科学・材料系 曇り/雨
業界別求人人数の推移と今後の予測
 ※2011年7月の「IT通信・インターネット業界」の求人人数を0値として、職種ごとの求人数の推移をグラフ化した。
 ※リクルートエージェントのデータ(2012年8月まで)を基にTech総研編集部が作成。
制御系SE
晴れ/曇り
自動車関連、ソフトハウス、特定派遣会社が好調
狙われるのはこんな人 C言語での組込み開発経験、ハードウェアの業務知識
 自動車業界が好調を続けており、募集企業のすそ野が広がってきました。完成車メーカーとサプライヤーで新しい企業が採用をスタートさせ、従来求人が多かった東海圏以外に、関東圏の企業も現れました。サプライヤーはTier3(3次部品サプライヤー)までの幅広い企業があります。
 加えて、ソフトハウスと特定派遣会社でも求人が増加しています。ソフトハウスでは自動車だけでなく、携帯電話やカーナビなどの案件もあります。求人数のおよその割合は、メーカーを1とすればソフトハウスは2倍、特定派遣会社はその3倍です。

 開発言語の基本はJavaや.NETではなく、やはりCです。前職の仕事内容は当然評価されますが、「Cでの開発経験があれば応募可」という企業もあります。ただ、総じてメーカーは業務知識と技術力の双方の採用基準が高いので、ハードウェアの知識は必須です。
 回路設計図が読めるなど少しでもハード寄りの知識があれば、転職により有利です。逆に言えば、ハードウェアに関する知識や理解がない状態で、メーカーへの転職は難しい。ソフトハウスや特定技術者派遣企業を視野に入れた応募活動をお勧めします。

 ほかには半導体製造装置メーカーや産業機械メーカーなどの求人がありますが、さほど伸びてはいません。また、重電メーカーも見かけなくなりました。一方、特定派遣会社には勢いがあり、10月までに求人が止まらなければ、このまま今年度末まで求人が続くと思われます。
 キャリアアドバイザーの立場から制御系エンジニアの求人倍率を見ると、「これまでより内定が出やすい数字」であることは間違いありません。しかし、ミスマッチが起こっているために、なかなか採用に至らない人が多いのです。

 先に述べたように、ハードの知識がない人がメーカーを受け続けても内定はかなり難しい。また、新卒では減りつつある「大手志向」を持ち続ける人が多いことも、内定を得られない理由のひとつでしょう。
 募集人員が1名など数は少なくても、優良な中小企業からの求人はあります。業態は地味でも業界シェアの高い、従業員200〜300人規模の、装置の部品メーカーや医療機器メーカーなどです。将来性もあり、狙い目だとお薦めはするのですが、「とりあえず大手企業で」というお返事がほとんどです。
 メーカーを狙いたい、大手企業に入社したいという気持ちはわかりますが、市場の動向などをにらんだ検討をして、応募先企業を考えることも大切です。
制御系SEの求人情報 リクルートエージェント
カスタマーサービス統括部
キャリアプロモーション一部
技術系CA3グループ
キャリアアドバイザー
畑中澄夫氏
畑中澄夫氏
アプリ系SE
晴れ
SAPとSI企業、10月からの求人にも注目
狙われるのはこんな人 SAPはLAMP、SI企業はJava、C♯、.NETでの開発経験
 アプリ系エンジニアの求人は高止まりを続けており、衰える傾向はありません。ただ、SAPの中でも大手プラットフォーマーは一時ほど求人が多くなく、「戦力となる人がいれば」というピンポイント採用となっています。
 一方、SAPの中でもコンテンツプロバイダー側は採用が堅調です。求めるスキルはLAMP(Linux、Apache、MySQL、PerlやPHP)が中心。単に知っていればよいのではなく、ある程度の経験は必要ですから、ハードルは高いと思ってください。
 ただ、大量採用をしている企業の中には、プログラミングの経験があれば「言語や環境を問わずに応募可」というところもあり、狙い目なケースもあります。

 採用を続けるコンテンツプロバイダーの特徴は、業績がよいか、事業の立ち上げ期にあること。ただ、こうした企業の顔ぶれは頻繁に変わりますし、数週間や1カ月で採用を中止する企業もあります。希望する求人を見つけたら、早めに動くことをお勧めします。
 前回お伝えしました、大手ゲームメーカーからのソーシャルゲーム開発経験者の募集は、一段落したようです。今は厳選採用に変わっています。
 また、社内SEの募集も引き続きあります。求人企業の規模は従業員数100〜1000人までとさまざまですが、採用は1名程度がほとんどです。社内SEを希望者する登録者の方も多いので、狭き門となっています。

 SI企業の中途採用も続いており、その理由が銀行、証券、保険、カードなど金融系案件の増加であることは前回と同様です。求人数が多いのはプライム企業ではなく、2次請けベンダーになります。業務形態は客先常駐の形になります。
 求められる知識はOSはWindowsが中心、言語はJavaに加えてC♯や.NET、少ないながらCOBOLもあります。COBOLは汎用機時代の金融系システムで多用されていたので、今でも一定のニーズがあります。実際、保険会社のシステム構築を請け負っていたCOBOLエンジニアの方が、2次請けのSI企業に入社しました。
 今回お話した状況は年内まで続くと思います。10月からは下期が始まり、フレッシュな求人も出始めますので、この時期に転職活動を始めるのもよいでしょう。
アプリ系SEの求人情報 リクルートエージェント
カスタマーサービス統括部
キャリアプロモーション一部
技術系CA1グループ
キャリアアドバイザー
越前谷匡史氏
越前谷匡史氏
コンサルタント
晴れ
大手事業会社からの求人が継続、アウトソーシングベンダーも注目
狙われるのはこんな人 ITの知識、グローバルプロジェクトの経験、英語力
 前回と同様、大手事業会社からのコンサルタント経験者を求める求人が続いています。ただ、こうした募集は求人充足のスピードが速く、企業の顔ぶれは日々変わっています。例えば製造業の場合ですと、完成車メーカーの募集が終われば、次は部品メーカーや食品メーカーなどで始まるといった具合です。業種はさまざまですが、最近では消費財、アパレル、化粧品、文具、寝具などの求人活動が活発です。
 キーワードはグローバル。具体的には、M&Aを前提とした相手企業の評価、海外拠点とのシステム統合、内部統制、世界的な営業統括などです。以前はこうした作業はコンサルティングファームにほぼお任せしていましたが、最近では全てを一任せず、自社に担当者を置いてきちんと戦略を立て、同時にファームとの窓口になるような人材を必要としているのです。

 こうした求人はコンサルタント経験者が主な募集対象になります。コンサルタント出身でなくても構わないのですが、ITの知識、コンサルティング能力、グローバルなプロジェクトの経験、高い英語力などを持つ人材となると、やはりコンサルタントになるからです。
 英語は読み書きができるのは当然で、普通に会話もできる人。ただ、海外現地法人や海外拠点などの関係者を含めたプロジェクトの経験者であれば、多少英語力が足りなくても採用の可能性はあります。
 また、コンサルティングファームの求人は大手外資系、特にIT系ファームを中心に、SE募集が続いています。SI企業のシステム開発業務に参入しているため、自社でSEを抱える必要があるためです。

 アウトソーシングベンダーの採用意欲も高まってきました。以前から募集はしていたのですが、BPOやクラウドのニーズが高まり、コールセンター業務やオフィスインフラのソリューションを行う企業が多くあります。
 後者は、オフィス内のPC、サーバー、プリンタなどの台数や、電力消費状況、個人情報管理などを最適化する仕事で、募集企業にはプリンタメーカーやセキュリティベンダーがあります。
 募集する人材像は、顧客の要望を抽出して整理し、それを自社のソリューションやサービスに結び付けられる人。こちらもコンサルタントが主な対象になりますが、別の職種の方でも構いません。
 事業会社、コンサルティングファーム、アウトソーシングベンダーといった求人は、年内一杯までは続くと見ています。ただし、採用が出来次第どんどん充足して行きますので、来年からは募集人数が少なくなると見ています。その意味では、早めに動いた方がいいと思います。
コンサルタントの求人情報 リクルートエージェント
カスタマーサービス統括部
プロフェッショナルサービス一部
1グループ
コンサルタント
垣見大介氏
垣見大介氏
ネットワーク
晴れ/曇り
通信キャリアのネットワーク整備が本格化、2次請けまで波及
狙われるのはこんな人 VMwareやCitrixなど仮想化の知識、各種の技術資格
 ネットワーク系エンジニアの求人は好調で、求人数は前回より微増しています。上期は中規模クラスの企業が10〜30人採用するケースが目立ちましたが、このまま下期も続くと思います。
 現在の求人の中心は通信業界。モバイル系通信キャリアが基地局を増やすなど、ネットワーク環境の整備や通信品質の向上を進めており、ネットワークやサーバーのエンジニアを募集しています。

 ただ、通信キャリアの募集は厳選採用であり、人数も限られています。求人のボリュームゾーンは通信キャリアから受注した大手ITベンダーと、ITベンダーから仕事を直で受けるベンダー、SI企業です。2次請けという形ではありますが、従業員数が1000〜2000人規模の企業になります。
 大手通信キャリアから仕事を受けているベンダーやSI企業は、インフラ部隊強化のために求人数を増やすというピラミッド型の構図ですが、ステップアップのチャンスが広がっているのは事実です。
 経験が浅くても、あるいは運用保守のみの経験者であっても、採用される可能性があります。ネットワークの設計・構築経験を積むよい機会ですし、今後のキャリアを考えて転職をされる方も多くなっています。

 一方、SAPの大手プラットフォーマーはサーバーエンジニアを募集していますが、採用は落ち着き始めました。今は採用基準の高い厳選採用となっています。
 社内SEも求人が続いていますが、1〜2名の募集がほとんどです。ネットワークだけではなく、サーバーやDBを含めた全体を見られる人を募集しています。
 全体的なキーワードとなるのは変わらず仮想化。VMwareやCitrixの知識は高評価となります。これらの資格に加えて、Cisco、Juniper、Oracle、Microsoft、RedHat(LPIC)などの資格も重視されます。
 通信キャリアから派生している「通信バブル」は、今後1年くらい続くと思います。スマートフォンの普及などで通信量が増加する中、通信障害を起こさず、かつ将来に向けた環境を整備する必要があるからです。
 これだけ採用が増加し、継続が見込まれる分野はまれだと思います。今がチャンスです。
ネットワークの求人情報 リクルートエージェント
カスタマーサービス統括部
キャリアプロモーション一部
技術系CA1グループ
キャリアアドバイザー
高山淳子氏
高山淳子氏
電気・電子系
曇り
新領域から求人が出始めるが、今年中に動いた方が賢明
狙われるのはこんな人 職人技が求められる製品や設備の開発経験
 電気・電子系エンジニアでは新しい求人が出始めました。いくつかをご紹介すると以下のようなものです。
 国内系の医療機器メーカーはデジタル・アナログ回路設計、玩具メーカーは玩具用のアナログ回路設計、キッチン用品関連メーカーは商品開発職で電気系エンジニア、完成車メーカーは生産技術の電気制御職、カメラ部品の関連メーカーは電気制御エンジニアを求めています。
 セールスエンジニアでは、太陽光パネルの設置会社やメーカーの造船関連部門からの求人があります。

 このように新たな募集企業が出てきた一方、従来からある東海圏の自動車サプライヤーは相変わらず強い。業務内容はインバーターやECU系が中心です。また、装置メーカーも元気で、半導体製造装置メーカーなら電気設計、検査装置メーカーなら回路設計の求人があります。プラントメーカーの電気設計職も多少増加しています。
 品質保証系の求人も増えてきました。企業はPC周辺機器メーカーや携帯電話の部品メーカーなどで、購入する部品のチェックなどが主な仕事です。
 総じて重視されるのは、製品や設備の開発の経験です。職人技が求められ、個人に依存するスキルが高いからでしょう。

 一方、特定派遣会社からの求人も続いており、感覚値ですが電気系エンジニアの求人数の半数以上が特定派遣会社からのものです。メーカーからの求人が開発系で1社1〜2人、セールス系ではもう少し増えて数名単位なのに対して、特定派遣会社は1社で十数人、通年では百名単位の大量募集もあります。
 エンジニアの特定派遣会社への考え方も変わってきており、ほかのメーカーに転職できても、あえて特定派遣会社を選ぶ方が増えてきました。業績が悪化すればリストラもあり得るメーカーより、顧客企業が一定数いる特定派遣会社のほうがリスクが少ないと感じているのでしょう。

 電気系エンジニアの求人数は今年の1月から下がり続けているのですが、ようやく下げ止まりつつあります。今後、年末まではこの状態が続くと思いますが、プレイヤーが少ないことが懸念材料です。
 もしかしたら、年明けからは求人が減るかもしれません。景気がよくなって求人全体が底上げされるような期待を持ちにくいからです。今年中に動いたほうが賢明でしょう。
電気・電子系の求人情報 リクルートエージェント
カスタマーサービス統括部
キャリアプロモーション一部
技術系CA3グループ
キャリアアドバイザー
南 浩司氏
南 浩司氏
機械・メカトロ系
晴れ/くもり
東海圏の自動車関連、外資系企業、特定派遣などが幅広く求人
狙われるのはこんな人 TOEICで500〜600点の英語力があれば転職に優位
 機械・メカトロ系の求人で元気があるのは東海圏の自動車サプライヤーです。地元ではなかなか採用が決まらないため、東京で転職フェアを開く企業も増えてきました。職種は機械設計が中心で、生産技術もあります。
 一方、関東圏の求人は自動車サプライヤーが2割弱で、多くを占めるのは計測機器や工業用の特殊部品、医療機器などの中小のニッチトップメーカーです。ただ、人員不足理由からの募集は少なく、プロジェクトを引っ張れるような人材を求めており、かつ多数のエンジニアから応募があるため、採用条件は厳しいです。勤務地にこだわらないのであれば、転職実現度が関東より高い、東海地方の企業がお薦めです。

 メンテナンスを行うサービスエンジニアの求人も多くあります。募集しているのはB to Bで長く使用される、医療機器や産業装置のメーカーです。仕事内容には満足しても、3〜5年毎に転勤がある会社が多いので、二の足を踏む人が多いのですが、大手企業も多くあります。また、福利厚生や手当が充実しており、設計職の方からも転身先として注目されています。
 外資系企業の日本支社も堅調です。主な企業は自動車サプライヤーやバルブなどプラント用の部品メーカーで、職種は機械設計とセールスエンジニア。英語力が必要になりますが、TOEICで600点程度です。英語が苦手な人でも努力すれば手が届くレベルだと思いますので、外資系企業を望む人にはチャンスです。
 一般的に英語ができれば、他の応募者より有利になります。しかも、文系職と比べればハードルが低く、TOEICで500〜600点程度です。英語力はエンジニアの一般的なスキルになりつつありますから、勉強しておいて損することはありません。

 特定派遣会社からの求人は、現在まだ活況です。派遣という言葉に以前は難色を示す方もいましたが、実は中小のメーカーより給与水準が高いこと、リーマンショック時にも人員削減を行わなかった企業が多いこと、時代の流れに左右されない技術力が身につけられること、残業時間がそれほど多くなく労働環境が整っているなどの理由から、登録者の方の考えも変わってきたようです。
 メーカーへの転職であれば、その企業の製品か、製品に近い知識が必要になります。一方、特定派遣会社の場合は派遣先として幅広い業界・職種に行ける可能性があるため、経験や知識をそれほど限定しない傾向があります。また、充実した研修制度を持つ特定派遣会社も多いため、「3D-CADが使えれば応募可」とする企業もあります。
 求職者の変化で感じるのは、「大手神話」が崩れつつあること。このためか、業界シェアが高く、高収益を出している、少数精鋭のベンチャーなどの人気が高くなってきました。ただ、こうした50人規模のベンチャーを狙う人も増えたので、倍率も高くなっています。
機械・メカトロ系の求人情報 リクルートエージェント
カスタマーサービス統括部
キャリアプロモーション一部
技術系CA2グループ
キャリアアドバイザー
山田乃理子氏
山田乃理子氏
半導体系
曇り/雨
求人数が減少、FAEも候補にすれば転職先企業の幅が広がる
狙われるのはこんな人 今後の大手企業のリストラを考えれば、早めに動くべき
 半導体系エンジニアは求人数が少し下がってきました。職種では開発職は少なく、あってもメモリメーカーが多いです。逆に、感覚値ですが、FAEの募集は開発職の3倍はあります。
 大手半導体メーカーを希望退職した方が転職市場に現れていますが、FAEはその受け皿にもなっています。ベテランの域にある方でも、大手装置メーカーや外資系半導体商社などのFAEに転職しています。優秀な大学を出て、合併前から大手電機メーカーで技術を磨いてきた人たちですので、評価が高いという理由もあるでしょう。
 半導体業界のエンジニア求人は確かに少ないのですが、FAEやアプリケーションエンジニアといったセールス系職種まで応募範囲を広げれば、4〜5社は候補企業が見つかる可能性があります。

 前回もお話しましたが、半導体メーカーではなく、半導体を使うユーザー企業への転職も勧めています。半導体ではなく回路設計者などへのキャリアチェンジで、簡単ではありませんが、車載用マイコンメーカーなど自動車サプライヤーなど応募先企業が広がります。
 一方、電気系や機械系の職種では特定派遣会社からの求人が多いのですが、残念ながら半導体職種はあまり見かけません。人材を派遣する先の企業が限られるためだと思いますが、ここでも逆風を感じます。
 半導体の開発を続けてきた方は特に抵抗感が強いのかもしれませんが、開発職の募集が少ない今、広い視野で応募先を考える必要があります。

 先のような希望退職された方でなく、現在半導体メーカーで働いている方でも、将来が不安という理由で転職活動を続けているケースが多くあります。また、今後も大手企業がリストラを断行する予定なので、転職市場に出てくる人数は増えるはずです。
 半導体系エンジニアの求人増が期待できないこともあり、できるだけ早めに動いた方がよいと思います。
半導体系の求人情報 リクルートエージェント
カスタマーサービス統括部
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南 浩司氏
南 浩司氏
化学・材料系
曇り/雨
事業会社の化学部門、化学メーカーはFAEやプラントエンジニア
狙われるのはこんな人 キャリアチェンジも想定し、柔軟に転職先を考えられる人
 事業会社の化学・材料部門からの求人が増えてきました。一般的に原材料を扱う化学メーカーは、化成品メーカーや電子材料メーカーに素材を納入して、こうしたメーカーがその材料を加工し、自動車メーカーなどの事業会社に「半完成品」を納品します。これらの電子材料メーカーなどと折衝をし、社内では新開発製品のための新規材料を検討するような人材の募集です。
 ただし、切迫感の強い求人ではありません。「戦力となる人がいれば採る」というスタンスの企業が多いので、その素材にピンポイントな知識や経験があり、技術的なスキルも高いという条件です。人気があるのは電子機器に使われる機能性フィルムなど、高分子系の素材です。
 ほかの化学系エンジニアの求人には、化学メーカーや商社からのFAEがあります。

 化学メーカーからは化学系開発エンジニアの求人は少ないのですが、機械系のプラントエンジニアの求人が多くあります。化学メーカーではいくつものプラントを稼働させており、このプラントのための人材です。
 機械系学部を出た方は就職先に化学メーカーをあまり考えないようで、もともと人材が払底しているのです。そのため、入社は歓迎されますし、責任のある仕事に就け、年収も高めです。まさに狙い目と言えます。
 一方、外資系化学メーカーからの求人はかなり減っており、前回お話ししました、特定派遣会社からの求人も頭打ちの状態です。化学メーカーなどからの派遣の発注が一段落して、新規の増員が必要なくなったためだと思います。

 化学系の求人は好調とは言えません。中国などの新興国が安い価格で材料を提供しているので、日本の化学メーカー各社は高付加価値な製品に注力しています。そのため開発職であれば、新卒入社から研究開発一筋の自社の社員を超える人材でないと、採用する意味がないのです。
 こうした事情から若い方にはキャリアチェンジを勧めていますし、状況を総合的に高める転職は難しいと思います。仕事内容、給与、勤務地、福利厚生など、転職の理由はいくつかあると思いますが、不満な部分は向上できても、ほかのところは我慢するといった、総合点は同じでも悩みの部分を解消させるような転職です。
 全体的な求人数は前回と変わらず、年末まではこの状態が続くと思います。
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花本直和氏
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