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ビジネスに特化したSNSとしては世界最大手ともいわれる「LinkedIn」の日本語サイトが10月20日に公開された。「LinkedIn」が、エンジニア転職に与える影響とは?人材コンサルタント常見陽平氏がリンクトイン・ジャパンを直撃取材する!
(取材・文/常見陽平 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/栗原克己)作成日:11.12.09
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2011年10月、ついにLinkedIn(リンクトイン)の日本語サイトが公開された。この日本語サイトの公開はかなり前から噂されていた。特に人材ビジネス業界関係者、人事担当者からは「LinkedInで日本の雇用は変わる」「ソーシャルリクルーティング時代が本格化する鍵はLinkedInの日本上陸にあり」などの声が上がっていた。また、フリーランス、ノマドワーカーからも「LinkedInが働き方を変える」などの期待する声をよく聞いた。英語時代から熱心なユーザーがいたことも注目したい事実である。
人材コンサルタント
常見 陽平氏 |
ただ、盛り上がりに水を差すわけではないのだが、この手の意見にはいつも曖昧な不安を感じてしまう。前回の高野秀敏氏との対談でも触れたが、この手の「ネットが社会を変える論」は、新しいサービスが上陸するたびに叫ばれる。ただ、これまでのネットサービスの歴史を振り返ってみると、一時的に熱狂的な盛り上がりを見せるものの、実際変わるのは一部の層だったりするし、変化も少しずつだったりする。そして、ウェブが描く未来はバラ色になるとも限らない。2006年に梅田望夫氏が「ウェブ進化論」なるコンセプトを紹介したが、実際その通りに進んだ部分もあるのだが、少し経つと中川淳一郎氏が言うところの「バカと暇人のもの」になっていく。今回も一部の熱心なユーザーと、人材紹介、採用関係者のお祭りになって終わるのではないかと心配になったりもする。 ただ、物事の未来は自分で目撃し、聞いてみなければ意味がない。リンクトイン・ジャパン株式会社のビジネスオペレーション管理部長キャサリン・ポーター氏(以下C.P)に話を伺った。 |
リンクトイン・ジャパン株式会社
ビジネスオペレーション管理部長 キャサリン・ポーター氏
2010年にLinkedIn にビジネスデベロップメント担当者として入社し、数々の収益化プロジェクトをリード。2011年に来日後、日本法人の設立を果たし、事業開発及びオペレーション全般を管理。 LinkedIn入社前は、IT系ベンチャーキャピタルにて投資担当、GoogleやOracle等のIT企業にてマーケティング、事業開発、業務推進を経験。日本との業務経験は
約7年に及ぶ。
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LinkedInではビジネスやキャリアを発展させる多くのツールが利用できる。
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C.P |
LinkedInにプロフィールを載せるということは、プロフィールを閲覧している人からどのようなビジネスパーソンかを理解してもらうために「自分は○○のスペシャリストです」と明示することになります。これは、自分が何の専門家なのかということに一層意識が高まると同時に、周囲からもその専門性を必要とされ、新しい仕事を任されたり、企業に採用されるようになります。その結果として、その仕事での経験がさらに厚くなり、最終的に専門分野でのキャリアを追求していくことにつながると思います。 日本では、そのアイデンティティを確立させるために、経験を継続させたいと思っていても、社内で異動にあったりすると、キャリア形成への可能性が制限されてしまうということを耳にしたことがあります。このような状況では、自己実現が難しい環境で仕事を続けることになってしまいます。欧米などでは、このような場合、多くの方が転職をするのですが、日本でも個人がスペシャリストとして専門性を発揮できるようになってくるのではないかと思っています。 |
常見 |
日本の雇用の流動化が進むとか、ゼネラリストからスペシャリストへといった議論は前から、それこそ私が学生だった90年代もよく議論されていたと思うのですが、LinkedInによって変化を起こす可能性を秘めているということでしょうか? |
C.P |
LinkedInは、グローバルなプロフェッショナルネットワークです。今回、日本語サービスを開始したことは、日本のユーザーだけでなく、世界中のユーザーにも注目されています。なぜなら、世界中の企業が、日本の優れた技術者と一緒に仕事をしたいと思っていても、これまで連絡する手段がなかったからです。LinkedInに日本のユーザーがプロフィールを公開しておくことで、世界中のユーザーが日本の人材や企業にアプローチする機会が増えるので、日本人がよりグローバルな舞台で活躍することにつながるのではないでしょうか。 |
常見 |
一方、LinkedInによって、逆に日本のゼネラリストも脚光を浴びるのではないかと思っています。「なんだかんだ言って、大手企業の若手はやはり優秀」というような名前のつかないスキルが評価されたりしますが、こういうスキルがLinkedInによって脚光を浴びる可能性はありますか。 |
C.P |
日本のビジネスパーソンは、全体的に非常に勤勉で優秀ですので、世界のどこかで必ず必要とされると思います。グローバルでも日本と同じく、みんなどうやって自分のキャリアにインパクトを持たせることができるかを考えています。経済的にもワールドデファクトの時代になりましたので、日本人のイノベーティブな発想やキャリアも必要です。特に日本には自動車や家電など、イノベーティブな大手メーカーがたくさんあります。そのイノベーティブな価値を提供している企業でのキャリアをぜひ世界に発信してほしいと思います。 |
常見 |
LinkedInはビジネスに特化したSNSであって、別に転職支援サービスというわけではないですよね。ではLinkedInの上陸により、転職マーケットや仕事をつくる上で最も得する人は誰でしょうか。 |
C.P |
LinkedInはエコシステムなので誰が勝つというものではないと思いますが、企業・ユーザー・広告主の三角形のパイがどんどん大きくなるということだと思います。 |
常見 |
概念上はそのとおりかと思いますが、特にお伺いしたいのはLinkedInがあることで可能性が広がる求職者は誰なんでしょうかということなんです。全てに注目が集まると言いつつも、私は最も得するのはエンジニアだと思います。ネットサービスに親和性が高く、スキルが比較的可視化しやすく、どうやって転職したらいいのか分からず埋もれている人が多いという点においてです。 高野秀敏氏との対談でも話題になりましたが、多くのエンジニアたちは意外にもFacebook上でスキルを公開していない。でも、ソースコードを書いて公開している人にはオファーが来ているらしいです。日本の雇用慣行にも影響を受けにくいのはエンジニアの一部だと思います。だからこそ、そこから広がっていく可能性を感じるのですが。 |
C.P |
LinkedInはプロフェッショナルのプラットフォームです。LinkedInのプロフィールには、特別なプロジェクトや取得した特許の情報を載せることができます。サイトのコンテキストがビジネスに特化しているので、ビジネスでの人材を探している方は、LinkedInで必要な技術や専門性に関するキーワードを通して検索し、求めている人材を見つけることができます。 エンジニアに関しては、スキルやキャリアが可視化されることでわかりやすくなりますし、言語の壁が最も低い職種ですので、海外転職は可能性もあると思います。それ以外の職種については実際のスキルが見えにくいこともあり、ケースバイケースになると思います。 エンジニアの方が登録する時のポイントとしては、プロフィール欄の「スキル」という項目にビジネス経験の選択肢があるので、それをできるだけ過去の経験全てについて選んでおくと検索されやすいというのがあります。「免許・資格」欄、「特許」欄も重要です。 |
常見 |
日本企業は個人のSNSに対して厳しい規制を置く傾向があるので、「これまでのプロジェクト経験を記載することは職務規程に反する」といった不安についてはどう思われますか。 |
C.P |
その場合は、会社のガイドラインに従って使って頂くのがよいと思います。名刺に書いているタイトルや部署名については大丈夫だと思われますが、中には社名すらSNSに記載不可という企業もあるようです。反対にむしろSNSで社員がどんどんプロジェクト経験を記載することが会社のブランディングにつながるということで促進している企業もあります。後者のような企業の場合、人材そのものが企業のブランディングになりますので、こんなに有能な人がいるということが認知されることがセールスポイントになると考えていらっしゃいます。このように企業によって、ソーシャルメディア使い方やガイドラインが異なりますので、企業の方針に合わせて情報を公開するのが得策かと思います。公開する情報については、プライバシー設定で個人が公開する情報を制限できますので、雇用者側のガイドラインに合わせて利用するとよいでしょう。 |
常見 |
なるほど。中には「ウチに在籍していたことを公言するな」と圧力をかけてくる企業もありますけどね(笑)。社員が本出す時にも社名は伏せろとか言い出しますし。でも、そんなことも少しずつ変わっていって欲しいですね。私、日本企業はもっと社員が目立つというか、社員の顔が見える企業になって欲しいなって思っています。 |
常見 |
新たな働き方として、個人個人のスキルがつながって新たなプロジェクトができるという期待についてはどうでしょうか。 |
C.P |
エンジニアの方であれば、仕事以外の時間にLinkedInを通して、同じ興味関心を持ったパートナーを見つけ、専門技術を活かしたプロジェクトを立ち上げることができます。LinkedInのプロフィールにご自身の経験や専門職についての情報を記載することで、コンタクトされる場合や、各専門分野についてのディスカッションを活発に行っているグループの中で、それぞれのコードや特殊な技術、分野で同じ興味を持った人を見つけることもできます。 |
常見 |
日本人から立ち上げたLinkedIn内の面白いプロジェクトは何かありますか。 |
C.P |
プロジェクトという意味ではまだご紹介できるものはないのですが、グループは既に増えていて、全世界に100万以上ありますが、日本の場合だと大学や企業の同窓会が一番活発ですね。エンジニアの場合ですと「特殊な技術について話し合いたい」という仲間を他のSNSでは見つけられないけれど、LinkedInなら新しい技術について考えている全世界の仲間とディスカッションできるというチャンスがあります。LinkedInは世界のプロフェッショナルのプラットフォームですので、グループに入れば世界中の専門家に直接質問したりできるという利点もあります。 |
常見 |
なぜFacebookではなく、LinkedInなら可能なのでしょうか。 |
C.P |
LinkedInはビジネスに特化したプラットフォームですので、ユーザーの皆さんは、プロフェッショナルとしてコミュニケーションを行っています。内容も専門的になりますので、プロフェッショナルな情報と個人的な情報を少し区別したほうが、信頼できる情報になると思います。世界の人もLinkedInのグループにはプロフェッショナルな情報を求めていて、会社や仕事や好きな専門家について、といった話題が中心です。 個人的なSNSサイトでは、私生活での経験を共有しています。ペットや子供、ランチの写真を載せたり、つながりも家族や友達が中心でリラックスした雰囲気です。LinkedInは、ビジネスに特化していますので、社会人の顔とプライベートの顔を使い分けて頂くのが良いと思います。 |
常見 |
なるほど、ビジネス文脈でプロとしてつながっていくのがLinkedInということですね。 |
常見 |
最近LinkedInのコンタクトのつながり申請(つながりリクエスト)が来るようになりましたが、まだユーザーは “様子見”なのかな、という印象があるのですが。 |
C.P |
皆様によくお伝えしているのが、大体コンタクトが50名程度になると、使える機能(例としてInMapというコンタクトのネットワーク構成図を生成するアプリ)が増えると同時に、面白さや便利さを実感できるようになります。私自身もLinkedInではビジネスパートナーや大学時代の同窓生、先生、前職の上司、メンターといった人々とばかりつながっています。LinkedInでは、プライベートの個人としてではなく、ビジネスパーソンとして、つながっている皆さんと仕事に関する連絡をやりとりしたり、仕事で何かを達成したり、成功したという報告や昇進のお知らせに対して「おめでとう!」といったお祝いのメッセージを送ったりしています。 |
常見 |
ちなみに、今後、日本法人の規模を拡大される予定とのことでしたが、それこそLinkedInの社員はLinkedInで集めるべきですよね。 |
C.P |
そうですね、LinkedIn Japanでも既にLinkedIn上で人材募集を行っています。弊社のみならず、LinkedInを使って採用活動をしている企業も多くあります。採用する側としても、プロフィールや前の上司や同僚からの推薦文を確認できますので、より信頼して採用することができるのだと思います。LinkedInは、プロフェッショナルなネットワークですので、転職以外にもビジネスパートナーのプロフィールやつながっているコンタクト、推薦文といった情報は非常に大切で、新しく取引をされるお客様についてバックグラウンドや経歴、人柄などを知る上でも有効です。 |
常見 |
TwitterもFacebookも勝間和代さんのようなオピニオンリーダー層が始めてブレイクしたという見方があります。Twitterは津田大介さんのようなカリスマユーザーがいますが、今、日本のLinkedInには面白い使い方をされている方や、カリスマ視されている日本人ユーザーはいますか? |
C.P |
はい、LinkedInを使っているオピニオンリーダー、ビジネスリーダー、政治家、アーティストなど多岐に渡る分野の方も多くいらっしゃいますよ。そのようなユーザーの皆さんは、LinkedInでのコンタクトを面識のある方に限定しているようです。アメリカではオバマ大統領はじめ、ほとんどの政治家がアカウントを持っているような状況です。業種職種問わず有名無名問わずみなさんが利用していますので、いずれ日本もそうなるのではないかと思います。 |
常見 |
無名の人で、LinkedInを使いこなして、「その他大勢」の学生やエンジニアから一つ上のステージに上がる人が出てくるかもしれませんね。 |
常見 |
LinkedInでの転職や、人脈形成のためには(1)レジュメの充実、(2)推薦文、(3)グループ内での発言、この3つが大事だと思うのですが、どうですか? |
C.P |
他にもTwitterと連携して情報を発信していくというような、コミュニケーションの機能もあります。さらに、話題のニュースに対してLinkedInユーザーがどのような発言や更新情報をアップしているかを検索することができる「Signal」(シグナル)という便利な機能もあります。また、エンジニアの方達はITイベントで講演した実績を「slideshare(スライドシェア)」というアプリで講演内容を載せたり、研究発表内容を載せたりしてアピールすることができます。 |
常見 |
LinkedIn内で自分の情報を「盛る」人が出てきたりはしませんか? 日本のFacebookは結構残念なことになっていて、学生などは経験がないので、サークル活動などいろいろなことを盛りまくって書いていたりします。それこそ、プロフィールを盛りまくりで、自己啓発系のツイートでセルフブランディングしようとする「意識の高い学生」が注目を集めたり……。日本の新卒採用ではスキル面でアピールしづらいというのもあるのですが。こういう行動はどうやったら是正されると思いますか。 |
C.P |
LinkedInのプロフィールは、同僚や上司、ビジネスの関係者が全てネットワークに関係しているため、実際の情報と異なる内容を掲載するのは難しくなっています。例えば、経歴に記載した会社の同僚や上司がコンタクトとして承認されていれば、その会社で働いていたということを意味します。また、働いたことのない企業を経験に入れた場合、その企業の社員が虚偽としてレポートするシステムもあります。その他、推薦文を上司や同僚、部下からもらうことで360度評価をされます。実際の経歴と異なった内容を記載している人に推薦文を書くことは、推薦した本人の信頼性も問われることになりますので、推薦する側も慎重になります。このようなシステムによって、LinkedInのネットワークは、高い信頼性を維持しているのです。 |
常見 |
日本のエンジニアにこう使って欲しい、あるいはこんな風に使っている人もいますという事例はありますか。 |
C.P |
まずはグループで知見を共有し合う、盛り上げていく活動を体験していただきたいですね。現時点では英語のディスカッションが非常に多いかもしれませんが、まずは技術用語やプログラミング言語等で検索していただければ、世界中のたくさんのグループが見つかります。検索してなければ日本語で自らグループを作っていただくのも良いと思います。 海外で仕事を探したい方だったら、求人で「engineer」と検索すると世界中の企業の求人広告を見ることができて便利です。また、会社の企業ページがありますので、そこをフォローすると新製品・新技術情報が受け取れます。LinkedInでは社内の人事情報やその他の動きも見ることができますので企業動向を知るのにはいいと思います。 |
常見 |
確かに、LinkedInは“日本の雇用を変える黒船”というイメージが強かったのですが、そもそも転職サービスというわけではないですしね。 |
C.P |
LinkedInは世界のビジネスパーソンの生産性を上げるためのツールです。例えば社会起業をしたい人にも向いているかもしれませんね。これだけ日本の若者の社会貢献志向が強い今ですし……。災害のことでは、みなさん気持ちはあってもどうしていいか分からない状態でいるのかなと思います。LinkedInでは直接連絡をして相談したり、メンターをお願いすることも可能です。 |
常見 |
最近、『働きながら、社会を変える』(慎 泰俊 英治出版)という本が出て話題になっています。働きながらNPOを設立される方も増えています。震災の後も外資系金融機関で平日バリバリ働いている人が、週末気仙沼で炊き出しをやっていましたし。 |
C.P |
LinkedInには「ボランティアの経験」欄もあります。 |
常見 |
それは大きい。日本では、ボランティアの経験は評価されるのかというのがずっと課題になっていますので。技術を使ったボランティアで評価される時代が来ることに期待したいです。ところで、LinkedInが転職活動を変えていく可能性としてはどんなことが考えられますか。 |
C.P |
OB・OGの訪問が簡単に出来るようになると思います。企業と学歴を入れて検索すればすぐに出てきますし、行きたい企業のページを開くと「同窓生」というタブがありますので、それをクリックすると自分の大学のOB・OGを一覧で見ることができます。他のSNSの場合は友達でないとコンタクトできない場合やプライベートモードで利用されている方もいると思いますが、LinkedInであれば社会人としてのプラットフォームですから失礼に当たらないと思います。 |
常見 |
LinkedInのプロフィールを埋めるのが楽しくなってきたらうまくまわりそうですね。 |
C.P |
様々なSNSがありますが、プロフェッショナルとしての生活がますます大事な時代になってきていますので、LinkedInという世界的なネットワークを使って自分の情報を管理して、立派なプロフィールを作成すればキャリアアップにつながっていくと思います。 LinkedInは実は自分のキャリアアップ等のためだけでなく、他人のために何ができるかをお知らせする場でもあります。特に転職を目的としていなくても、「自分はこんなことができるので、お役に立てるかもしれません」というスタンスで登録しておけば、世界中の人が見ていますので、相談やボランティア等を通じて“世の中に必要とされている”という喜びを得ることもできます。どちらかと言えば、日本人の方はこういうスタンスのほうが向いているかもしれません。 |
常見 |
就職、転職に限らず、個人の可能性を広げるツールというわけですね。本日はありがとうございました! |
取材を終えて、私の知らなかったLinkedInの可能性を感じることができた。
その後、LinkedInは盛り上がっているのか?正直なところ、Twitterでフォローしてくる人の数、Facebookの友達申請ほど、LinkedInの申請はまだ来ない。私はまだプロフィールを充実させていないし、積極的に申請もしていないのだが。
ただ、そもそもこの友達申請が多いかどうかという部分だけで、LinkedInが日本でブレイクするかどうかを論じるのはもちろん危険だ。「毎日のようにバンバン申請メールがくる」という状態はLinkedInの場合、よい状態ではないかもしれない。つながりの数ではなく質が問われる時代に既になってきている。そして、この手のSNS系のサービスは、どれが良い悪いという話ではなく、使い分ける時代に入っていくのだろう。
LinkedInの日本上陸成功というのは、単にユーザー数が伸びたかどうかではなく、適切な広がり方をしたか、またそこで生み出された新たな可能性の数と質だと思う。そして、取材でもあったが、これらの使い方は仕掛けるものではなく、むしろユーザーが洗練させていくものだろう。このツールを使って、どんな新しいつながりが生まれるのか、期待することにしよう。
常見 陽平氏
人材コンサルタント。1974年生まれ。北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒。リクルート、玩具メーカーを経て株式会社クオリティ・オブ・ライフに参加。『くたばれ!就職氷河期』(角川SSC新書)など、就活、キャリア関連の著書、連載多数。
近著に『就活の神さま~自信のなかったボクを「納得内定」に導いた22の教え~(WAVE出版)』『「キャリアアップ」のバカヤロー 自己啓発と転職の“罠”にはまらないために(講談社)』 常見陽平公式ブログ『試みの水平線』 http://blog.livedoor.jp/yoheitsunemi/ |
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