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CODE VS、Tech-Tokyo──学生イベント開催リポート <前哨戦>
学生GEEK集まれ!天下一武道会とシリコンバレー登竜門
パソコンとスマホがあれば、お金はほぼゼロ、人数も1人から3人程度でスマホアプリやウェブサービスを開発し、世界で販売できる時代。そんな中、学生ギークが集結する熱い2つの学生向けコンテストのリポート<第一弾>をお届けする。
(取材・文/富岡修 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/佐藤聡・関本陽介)作成日:11.12.01
【Part1】“お題”は、タワーディフェンス。プログラミングコンテスト「CODE VS」

 技術力だけではなく、ユニークな発想やサービス開発で知られるチームラボ。同社は、学生にプログラミングの楽しさをもっと知ってもらい、日本のソフトウェア産業の裾野を広げるという目的で、学生向けのプログラミングコンテスト「COVE VS」が開催される。その概要を技術力だけではなく、ユニークな発想やサービス開発で知られるチームラボに取材した。

目指すはドラゴンボールの「天下一武道会」
タワーディフェンス

「理想とするイベントのイメージは、鳥山明さんの名作漫画『ドラゴンボール』に出てくる『天下一武道会』。ひたすらプログラミング技術を競うことにこだわっています。元々は社内イベントとして始めて、これまでに7回開催しましたが、そのうちの3回は学生が優勝するなど、学生のプログラミング技術の高さに驚いています。今年は新卒採用の一環として行う目的もあり、大々的に開催することにしました」とイベントを主催するチームラボの竹井卓哉さんは言う。

 コンテストの“お題”は、タワーディフェンスというゲームの対戦アルゴリズムをプログラミングすること。タワーディフェンスとはシュミレーションゲームの一種で、砲台を配置して侵攻してくる敵から本拠地を防衛するというシンプルだが、奥の深い人気ゲーム。このゲームを通常は手動でやるプレイロジックをプログラム化し、クリアできるステージ数を競うのだ。

プログラムへの愛があれば誰でも参加できる

「新しいゲームをゼロから作るとなるととっつきにくい。今年はより多くの人に参加してほしいと思ったので、敷居を下げました。とは言え、ゲームのステージ数は全部で1000あり、腕に覚えのあるプログラマにとっても挑戦のしがいは多分にあります。参加資格はプログラミングが好きなこと。プログラムへの“愛”があれば、誰でもOKです(笑)。プログラム言語の種類も問わないので、多くの学生に参加してほしいですね」と取締役の田村哲也さんは言う。

 イベントの進行も天下一武道会さながら、参加者はもちろん観戦者にも楽しめる工夫がされている。「12月1日から1月7日まで行われる予選の様子はウェブで見ることができます。予選参加者のランキングも随時掲載されるので、その動向を観ているだけでも十分面白いと思います」(竹井さん)。決勝戦は、予選で人数を10名程度に絞った後、1月14日に一同が集結して行う。

「新卒採用イベントの一環ではありますが、就活に関係のない大学1〜2年生から中高生まであらゆる学生に参加してほしい。このイベントをきっかけにプログラムの面白さを知ってくれたら」と田村さんは言う。

学生の技術力は高い。自信を持って参加しよう

 さらに田村さんは続ける。「学生の技術レベルはすごく高いですよ。社会人のように万遍ない知識はなくとも、また得手不得手もありますが、1つの技術に特化して深堀りしたり、短期間で集中して作り上げたりする力は抜群です。だから、自信を持って参加してほしい」
 社会人は決勝戦には出られないが、予選なら参加できる。仕事では自分ひとりでプログラムを描いたり、純粋に勝負に熱中できたりすることはそうそうはない。社会人にとってもコンテストに参加することで学生の熱気を感じ、プログラミングに憧れた学生時代の初心にかえるまたとない機会となる。

田村 哲也さん
チームラボ株式会社 取締役
田村 哲也さん
竹井 卓哉さん
チームラボ株式会社 経営情報管理室
竹井 卓哉さん
【公式HP】応募の詳細など→ http://info.codevs.jp/
【Part2】“異職種のチーム戦”で競う「位置情報を使ったウェブアプリ」──Tech-Tokyo

 チームラボのイベントがプログラミングという“個人技”を競う大会だとしたら、Tech-Tokyoが開催するイベントは“団体戦”だ。個人戦もあるが、メインはプログラマだけではなく、デザイナーや企画役のディレクターとチームを組んでアプリやサービス開発を行い、優勝チームを決める。

 優勝賞品は豪華。昨年の例で言えば、MacBookが各メンバーに1台ずつ、アマゾンのギフト券30万円など賞品総額は100万円を超える。加えてシリコンバレーへのツアー(?)もある。
「チーム開発は面白そうだけど、デザイナーやディレクターができる友人なんていない」という方も心配無用。このコンテストの一番ユニークなところは、チーム編成は運営側が責任を持ってやってくれること。つまり、1人で参加しても“団体戦”に出場できるのだ。イベントを運営するTech-Tokyoの八木誠さんは、その意図を説明する。

社会人さながらの“異職種のチーム戦”で競う
八木 誠さん
Tech-Tokyo
八木 誠さん

「社会に出たら、1人ですべてを開発することはなく、様々な役割を持ったメンバーが集まったチームで行うことが大半。実際のビジネスさながらで行うチームで開発を行う楽しさや難しさを、学生に知ってもらいたい」
 イベントの発案者である濱田広大さんも言う。「例えば、シリコンバレーと比べて、日本の学生の技術力が劣っているかと言うと大差はない。単に活躍の場がないだけ。僕らは、学生にその場を提供し、社会に羽ばたくための“きっかけ”づくりをしたい」

 団体戦のテーマは「位置情報を使ったウェブアプリ」。アンドロイド端末が無償貸与される特典付きだ。スケジュールは、11月19日(土)にチーム発表が行われ、12月11日(日)にチームによるプレゼン。1月15日に最終審査を行い、優勝チームを決める。

 11月12日(土)に開催されたプレイベントで、外村仁氏による基調講演が行われた。外村氏は、故スティーブ・ジョブズ氏が率いたアップルコンピューター・ジャパンでマーケティング本部副本部長などを経て、シリコンバレーで複数の会社を立ち上げる。現在はエバーノートの日本法人会長を務めている。

「のぼせもんのススメ」夢中になる何かを探せ

 講演のテーマは「のぼせもんのススメ」。のぼせもんとは、何かを溺愛し、夢中になること。ジョブズ氏の例がまさにそうだが、夢中になることで感性や能力をフルに発揮し、その結果大きなことを成し遂げられると言うのだ。

 外村氏は、米国と日本の両方で働き、ベンチャーキャピタルをしている経験から、シリコンバレーと日本のエンジニアの違いを説明する。
「エンジニアとしての技術力や創造性といった能力は変わらない。ハードワーカーぶりも互角。でも、日本が圧倒的に負けているのが“起業文化”の欠如。10年前から状況は改善されていない」(外村氏)。

 その象徴がプロジェクトの進め方に表れている。「米国なら大筋がOKだったら、とりあえずやって、問題があったらその都度直していくというスタンス。前に進み、走りながら考える。一方、日本ではあらゆる角度から検証して問題がないと保証されるまではやらない」
 外村氏はこれを“先回り心配症候群”と読んでいる。確かに慎重を期して進める方が適している事業もあるかもしれないが、起業には致命傷にもなりかねない。

濱田 広大さん
Tech-Tokyo
濱田 広大さん
“Geek Meritocracy!”(ギーク至上主義!)

 外村氏は強調する。「今ほど“Geek Meritocracy”(ギーク至上主義)とも言えるほどソフトウェアビジネスの起業環境が恵まれている時代はない。「App Stores,CloudService,OpenSourse, SocialMedia,FreeMillennium。これら5つの条件が揃っている今はエンジニア1人でも世界で勝負できる」

 Tech-Tokyoのイベントはまさに“シリコンバレー的”と言える。「毎日クーポン」というサービスを開発し、昨年の大会で優勝。シリコンバレーに行った小林さんは言う。「現地に行くまでは、シリコンバレーの技術力がすごく高いと思っていたけど、そうでもなかった(笑)。日本人の学生の技術レベルでも十分勝負できる。このイベントに参加して良かったことはチームメンバーからはもちろん、勝負を競うライバルからも刺激を得られたこと。仲間との良い競争が発奮材料になり、僕も起業しました」 チームエントリーは締め切られているが、個人戦のエントリーやプラン発表会のオーディエンス参加の申し込みには、まだ間に合う。

 両者のイベントとも去年以上に盛り上がることは必至。Tech総研では今後も2つの熱いイベントの様子を引き続きリポートしていく。乞うご期待。

Tech-Tokyoイベントスケジュール
2011年11月19日(土) チームメンバー、メンター企業発表会 場所:T'sフラッグ渋谷
2011年12月11日(日) 第一回プラン発表会 場所:未定
2012年 1月07日(土) 最終プラン提出
2012年 1月10日(火) プランリリース
2011年12月15日(日) Tech-Tokyo本番 場所:時事通信ホール(仮)
【公式HP】http://tech-tokyo.com/
【Facebookページ】http://www.facebook.com/Tech.Tokyo
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