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HTML5、KVMなど注目テーマにハイパーエンジニア多数参加 リアル勉強会潜入!究極の技術&エンジニアに遭遇せよ
エンジニアを対象にした勉強会が活発に開催されるようになって久しいが、最近、勉強会の目的や開催する企業側の意図に変化の兆しが見受けられるようになってきた。そこで今回、2つの事例を通して今どきエンジニア勉強会の裏側を探ってみた。
(総研スタッフ/山田モーキン)作成日:11.07.25
ブランディングアップのための勉強会by NHN Japan株式会社
インターネットゲームポータルサイト「ハンゲーム」で知られるNHN Japan株式会社。これまでもエンジニアを対象にしたセミナーや勉強会を定期的に開催してきたが、昨年から新たな意図を持った勉強会を開催するようになった。
その新たな意図とは、「NHN Japan」のブランディング強化だ。「ハンゲーム」や関連サービスの「NAVER」などの知名度は年々向上している一方、運営元のNHN Japanのブランド認知度、特に同社が持つ技術力の高さに関して、業界内のエンジニアでも意外に知られていないことに課題感を持っていたという。その課題解決への取り組みとして新たな勉強会を開催することに。
そこで今回、勉強会を通してエンジニアに対してどのようなことを伝えていこうとしているのか?勉強会運営責任者である柳氏に伺った。
NHN Japan株式会社 HR(ハートフルリレーション)室 HR企画推進チーム柳 喜俊氏
NHN Japan株式会社
HR(ハートフルリレーション)室
HR企画推進チーム

柳 喜俊氏
定量的採用から定性的採用への転換で問われる、新たな課題解決のための勉強会?
NHN Japan本社で開催された勉強会風景。この日のテーマは「NHNプラットフォーム」
NHN Japan本社で開催された勉強会風景。
この日のテーマは「NHNプラットフォーム」
先ほど触れたように、NHN Japanが昨年から新たに開催している勉強会の真の目的は、『NHN Japan』のブランディング強化にある。その背景について、柳氏は“技術に親和性が高い優秀なエンジニアへ親しみと認知を上げ、応募へのハードルを下げる”ことにあると語る。
「これまで当社は急成長に伴う“定量的採用”のフェーズにあり、一定水準の土台があることを条件に、多くのエンジニアを採用していく方針をとっていました。しかし昨年からサービスのクオリティをさらに上げるべく“定性的採用”への転換を通じ、当社が本当に必要とするエンジニアを採用していく必要に迫られたのです。そのため、必然的にエンジニア採用の難易度が高くなることから、戦術の一環として新たな取り組みが必要と判断しました」

そこで昨年から始めた勉強会につながるのだが、そもそもなぜ勉強会という形式になったのか。実はそこにこそ、勉強会の目的である「『NHN Japan』のブランディング強化」と密接に関わっているのだ。

「当社が求めるエンジニアは、新しい技術やサービスに対して自ら進んで挑戦していける方。そして当社には、そうした方が活躍できるアグレッシブな環境があります。しかし世間ではその点に関する認知度がいまいち低いのではないか、という課題認識がありました。そこで勉強会を通じて、NHN Japanが大手有名Web企業と比較してもそん色のない技術力を持ち、かつ面白い挑戦をしている企業であることを、一人でも多くのエンジニアのみなさんに知ってほしいと考えたのです」
最終目的は「NHNの勉強会は“ハズシがない”」とエンジニアに認知されるレベルまでブランド力を向上させること
これまでに3回開催してきた勉強会では「HTML5」のような、最新技術に関する旬なテーマから「プラットフォーム」という、技術力のベースとなる重要なテーマまで幅広く扱っている。これまで50人〜100人程度の参加があったという同社の勉強会では、大きく2つのこだわりがあると柳氏は語る。
「まずどんなテーマに関しても必ず、成功事例と失敗事例をセットで紹介するということです。成功事例だけでは決して見えない物事の本質を、失敗を通してどのように改善し、ハードルを乗り越えたのか?その点をできる限り細部まで包み隠さず話すからこそ、NHN Japanの技術力を、説得力を持ってアピールできるはずだと考えています。

また、今当社が取り組んでいるテーマに関して、できる限り“深く濃い内容”を伝えることで、面白い内容にこだわるということ。どんなにすごい内容であっても、それがエンジニアにとって面白いものでなければ意味がない。そこでまだ日本では導入されていないサービスのデモをしたり、勉強会の後の懇親会では当社の社員が多く参加して、かなり際どい内容も話していますね。どちらも詳細に関してはちょっとここでは話せませんが(笑)」

その結果、開催後の反響としては「中身が濃かった」「面白かった」などおおよそ好意的な感想がFacebookやtwitter等で書きこまれた。まだ現時点で採用にまで至ってはいないが、応募数が上がっていることからも、応募者のNHN Japanに対する理解度は着実に上がっているようだ。
今後の目標について、柳氏は「NHNの勉強会は“ハズシがない”」という認識を、一般エンジニアの共通理解レベルまで引き上げることだという。そして今後、勉強会に参加した中から、NHN Japanの求めるエンジニア採用に結びつけようとしている。
無線LAN解放などオープンな環境下で、できる限りの“濃い内容”を伝えることでブランディングの向上に力を入れている
無線LAN解放などオープンな環境下で、できる限りの“濃い内容”を伝えることでブランディングの向上に力を入れている
インフラエンジニアのための勉強会by株式会社ハートビーツ
株式会社ハートビーツ 取締役 技術統括責任者 馬場 俊彰氏
株式会社ハートビーツ
取締役 技術統括責任者

馬場 俊彰氏
2009年7月から月に一度のペースで開催しているのが、株式会社ハートビーツが主催・運営しているインフラエンジニア勉強会「hbstudy (http://heartbeats.jp/hbstudy/)」だ。Web系や開発系の勉強会に比べ、インフラ系の勉強会が少ない現状に対して、同社代表取締役の藤崎氏と取締役の馬場氏の両氏が中心になって新たに開催。現在では多い時で1回につき100名ものインフラ系エンジニアが参加するという、おそらく国内では最大規模のインフラエンジニア勉強会だと思われる。
そこで自身も現在、インフラエンジニアとしてサーバー・ネットワーク設計&構築などを担当している馬場氏に、hbstudyの詳細について伺った。
出会いがない、孤立するインフラエンジニアを結びつける場を創出した結果、2年間で900名が参加
「hbstudyを立ち上げたきっかけは2年前、Web系の勉強会に参加した時に、『インフラ系エンジニアにも、同じような勉強会や交流の場があったらいいのに』と思ったこと」と、勉強会立ち上げのきっかけについて語る馬場氏。
馬場氏自身がインフラエンジニアであったことが、そうした思いを抱かせたと言える。実はhbstudyのようなインフラエンジニア向けの勉強会は、純粋な技術セミナーを除けばあまりなかった。そこに、インフラエンジニアならではの悩みや問題が潜んでいたという。
「Web系や開発系のエンジニアと違って、インフラ系のエンジニアは基本、あまり表に出ない職業。特に保守や運用をメインにしていればなおさら社内でインフラ系専任者は一人だけ、ということも少なくないから孤立してしまうんですね。このhbstudyでは、最新技術を学ぶことも目的のひとつですが、それ以上に孤立したインフラエンジニア同士を結び付ける場にしたかったのが、私の本音です」

そうした経緯を経て2009年7月から月に1回のペースで開催することになったhbstudy、これまでの2年間で合計、900名前後のインフラエンジニアが参加したという。
「20〜30代の方がほとんどで、わざわざ地方から出席していただく方もいます。1回の勉強会で60〜100名程度、その後に開く懇親会でも30名前後の方に毎回参加していただいています」
(上)hbstudyの開催風景。毎回60〜100人ものインフラ系エンジニアが参加。勉強会後に開かれる懇親会にも30名程度が参加し、各々の関心&専門分野を中心に活発な交流が行われている(下)hbstudy(http://heartbeats.jp/hbstudy/)の告知サイト
(上)hbstudyの開催風景。毎回60〜100人ものインフラ系エンジニアが参加。勉強会後に開かれる懇親会にも30名程度が参加し、各々の関心&専門分野を中心に活発な交流が行われている
(下)hbstudy(http://heartbeats.jp/hbstudy/)の
告知サイト
最大のメリットは「taRgrey」「KVM」「cgroups」等最新技術や専門技術を軸に、ハイパーエンジニアたちが集結し、刺激を受けること。将来的には一緒に仕事をしたい
「勉強会を通してインフラエンジニアを応援することで、エンジニアも世の中もみんなが幸せになればいい」と、今後の夢を語る馬場氏
「勉強会を通してインフラエンジニアを応援することで、エンジニアも世の中もみんなが幸せになればいい」と、今後の夢を語る馬場氏
では実際にhbstudyを毎回、開催するようになって実感できたメリットは何だろうか。馬場氏曰く「インフラ系のハイパーエンジニアたちが交流する価値」だと語る。
「hbstudyは単に最新技術の勉強をする場ではなく、参加者が自分の考えや意見を語り合うことで生きた知識や情報、そして交流を深めることが真の目的。そこに魅力を感じたインフラエンジニアが、予想以上に多くいたことは驚きでしたね。しかも参加者の中には、日本のトップクラスの技術や実績を持つハイパーエンジニアも数多く含まれています。『taRgrey』『KVM』『cgroups』などの最新技術、そして各ハイパーエンジニアたちの専門領域に関する密度の濃いライブな情報や見識を共有できる。これはとても刺激的だし、個人的にも交流が広がり、仕事に対するモチベーションも飛躍的に上がりました」
また実際の勉強会の現場では、最新技術を取り入れて試してみたシステムをその場でデモンストレーションすることで、意見を言い合いさらにブラッシュアップしたり、特定のネットワークシステムのコアなトラブル事例を共有し合うなど、通常のセミナーや独学では不可能な体験ができるのも、hbstudyならではの魅力となっているようだ。
そんなhbstudyを今後も運営する上で、馬場氏が思い描く理想とは?
「実は参加するエンジニアの中に、一緒に仕事をしてみたいと思う方も複数いらっしゃいます。そうした方といつか同じ仕事ができればなと。それにhbstudyを通して多くのインフラエンジニアを応援していくことで、エンジニア自身が少しでも仕事に対するモチベーションを高めてもらいつつ、幸せなワークスタイルを築いていただけたらいいですね。きっとそうなることで、『インフラエンジニアならではの技術力で世の中を幸せにする』ことが、究極の理想なんです」

“hbstudyでハイパーエンジニアと出会えることは、お金以上の価値がある”と断言する馬場氏。今後、勉強会を通して経済的な利益を生み出すことよりも、これまで出会うことのできなかった多くのインフラエンジニア同士の交流から生まれる、まだ世にない価値を創出していくことに主眼を置いて取り組んでいくという。その中で今後、hbstudyを主催するハートビーツにとっては、hbstudyでの出会いをエンジニア採用にも活用していく予定だ。
おわりに
今回紹介した2つのケースに共通していること、それはどちらも「勉強会」というリアルなコミュニケーションスタイルでなければ実現できない目標を達成するということだ。
最新技術やサービスに対してどん欲に挑戦していく姿勢を持ったハイパーエンジニアたちとの出会いを、採用企業側が積極的に勉強会という形にして取り組んでいる。転職する・しないにかかわらず、新しい技術ノウハウや人との出会いを通して刺激を受けたいエンジニアにとって、これからの勉強会はより最適なチャンスとなるはずだ。
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山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ 山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ
勉強会というと、黙々と講義を受けるイメージを持っていたのですが、かなり活発な意見交換がされていたり、懇親会でもフランクに仕事で抱えている課題や悩み、また新しい発見など語り合ったり、参加者にとっては非常に刺激的な環境だと思います。今後のキャリア形成の場として、さらに勉強会の位置づけは重要になってくるはず。ぜひ今後も気になる勉強会を取り上げていきたいと思います。

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リアル勉強会潜入!最新技術に遭遇せよ

エンジニアを対象にした勉強会が各地で活発に行われていますが最近、勉強会の目的や開催意図に変化の兆しが。リアル勉強会に潜入して、その真の目的を探ります!

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