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まったくの別世界からヒントを見つけて、新しい価値をつくり出す

SEだからこそできる! ユニークな企画実現ノウハウ

SEに求められる能力は何も技術力だけではない。最近はSE自身がアイディアを企画し、形にしていく能力が求められている。そこで今回、2つの事例を通してSEが企画力を高めるためのヒントについて探ってみたい。

(総研スタッフ/山田モーキン) 作成日:11.05.18

流行りのサービス&興味のないジャンルからアイディアの種を見つけ出し、すぐ形にする
頓智ドット株式会社 大崎氏のケース

セカイカメラの可能性に触発されて転職


頓智ドット株式会社
頓智・エンジニア
大崎 浩崇氏

AR技術を活用した新しいサービス「セカイカメラ」で一躍世界から注目を集めた頓智ドット株式会社に2009年、転職した大崎氏(29歳)。その転職理由を聞くと、大崎氏がすでに企画に対して強い思いを持っていることがうかがえる。
「入社前の、まだセカイカメラがリリースされる前に、CEOの井口と話す機会があって、その時初めてセカイカメラのプロトタイプを目にしました。これまでみたこともないような全く新しい世界を形にするセカイカメラの技術や可能性に、純粋に『面白い!』と感じたのが、転職した理由。面接のときには、『セカイカメラを使ってこんなことをやりたい』というアイディアがいくつかあって、井口に意見をぶつけていましたね」

入社後、わずか3カ月後にリリースされるセカイカメラのバックエンド側の仕様策定や開発を大崎氏一人で担当することになったという。
「入社時、エンジニアは社内にわずか2人で私がなんとかしなければいけないような状況でした(笑)。しかし前職でも大手ポータルサイトのサーバサイドの開発や運用を担当していた経験があったので、なんとか乗り切ることができましたね」
リリース後、大崎氏は面接時に語っていたセカイカメラを使った新しいアイディアを次々に実現させていくことになる。
「例えば『セカイライフ』という機能は、自分自身や自分がフォローした他のユーザーの行動履歴を、タイムラインの形式で表示できるもの。ソーシャル機能とセカイカメラを融合させることで、より使いやすいサービスに仕上げました。またパソコンのブラウザからエアタグを投稿できる『AMS(エアタグマネジメントシステム)』というツールを開発し、企業向けに提供しています。指定した地点にエアタグを浮かべて製品や店舗の宣伝ができたり、ミュージシャンが新曲のPVや歌詞をエアタグとして浮かべることができます。とにかく『あったら面白いな、便利だな』と思うものは、片っ端から企画して実現させる努力はしていますね」

興味のない本も読んでアイディアを生み出す。そして欲しいと思ったら、プロトタイプを作って巻き込んでいく


入社後、次々に自分のアイディアから新しいサービスを実現させてきた大崎氏は普段、どのようにアイディアを生み出し、そして実現可能なレベルにまで昇華させているのか。そのキーワードは、「興味のない分野にアンテナを張る」「欲しいと思ったら、プロトタイプを作ってみる」だ。
「いつも意識しているのは、アイディアの種を探して、そこから形にできそうなものは自分の手で形に落とし込んでみること。例えば個人的に興味のない本をあえて読むことで、普段の発想からは出てこないアイディアの種を探します。また今、流行りのWebサービスも常にチェックして、何か面白いものがないか探っていますね。最近では『Livlis(リブリス)』というTwitterでモノをあげたりもらったりできるサービスに注目しています。モノと人がつながるソーシャルというアイディアは、セカイカメラにも十分活かせるヒントが詰まっているので、非常に役立っていますね」と、アイディアの発想手段について語る大崎氏。

さらに大崎氏は、実際に面白いアイディアを発見したら、すぐに形に落とし込んでみることを心がけているという。
「特に『技術者なんだから形にしなくちゃ』というような義務感は全くないんです。自分が欲しいと思うから、そのままの流れでとりあえず作ってしまった方がいいと判断して、気がつけば自然と体が動いていますね」
アイディアを技術力によって形にできるSEという特性を最大限に活かすことで、言葉よりもプロトタイプという形あるものを通して社内で議論し、実現への近道を築いていく。これこそ、企画力を持つSEだけが持つ価値の高さを証明していると言えるだろう。
最後に、今後の目標に関して、大崎氏はこう語る。
「近い将来、町中をはじめあらゆる生活シーンで携帯端末を「かざす」ことが当たり前のような行為になるように、もっともっと面白く便利なサービスを生み出していきたいですね。そしてたった一人でもかまわない、ユーザーが大絶賛し、一生使ってくれるようなサービスを生み出せたら本望だと思っています」

「技術者だからこそ、いい企画を出せる」新しい技術をシンプルにサービス化する
CROOZ株式会社 小俣氏のケース

専門分野以外の技術にも入り込んで、企画力を高める。あとは技術さえあれば、いいサービスを生み出せる


CROOZ株式会社
取締役 技術統括担当執行役員
小俣 泰明氏

2年前からモバイルインターネットコンテンツを提供するCROOZ株式会社で活躍している小俣氏(33歳)はキャリアをスタートさせた当初、サーバやネットワーク系のインフラレイヤーのエンジニアであった。しかしその一方、プライベートでWindows モバイルのアプリを開発・リリースしたり、また朝までユーストリーム上で小俣氏本人がラップするというかなりユニークなアプリを企画・開発するなど、企画力を駆使してきた。
職種の枠に縛られない働き方をしてきた小俣氏は、その理由について語る。
「企画を生み出していくためには一つの分野にとらわれるのではなく、さまざまな技術分野を広く網羅していくことが必要不可欠だと考えています。ただ現実は、技術のレイヤーが日に日に細分化&分業化しているため、普通に業務をこなすだけでは技術全般を網羅することは不可能。そのため業務外でも、自分から進んでほかの分野に関心を持って取り組んでいかなければならないし、私自身もネットワーク分野に縛られずに他分野に進出してきた結果として、企画力を高めることができたと考えています」

そんな小俣氏にはひとつのポリシーがある。「技術がない人間は、企画する資格がない」という、かなりシビアなものだ。
「企画というものは単に面白いアイディアを出せばいいというものではありません。企画をどういう手段で実現するのか、また実現後の運用スタイルまで緻密なプランを練った上で企画しなければならない。そうなるとアイディアを具現化するノウハウと技術を持つエンジニア自ら企画し、実現させた方が結果的にいいサービスが生まれるのは自明の理。そしてエンジニアに必要なのは『サービスを作りたい!』という熱意だけ。それさえあれば、形にする技術がすでにあるのだから必ず実現できるはずです」

新技術は企画の宝庫。新技術を追い求めるだけで、新しいサービスを次々生み出せる


実は小俣氏、CROOZ入社後は新技術領域で開発を担当し、企画職を全面に出したポジションにいるわけではない。しかしそこにも大きな意味があった。
「今世間をにぎわせているソーシャル系のサービスやアプリにしても、何か特別ユニークな企画から生まれたわけではありません。新しい技術が生み出された時、そこにちょっとしたひと工夫をしてサービス化したものがほとんど。例えば「コロプラ」に代表される位置ゲーはGPS技術を元に、また「顔ちぇき!」は顔認識技術を元に、それぞれのコア技術にひと工夫してサービス化させているんです。つまり、何かしらの新技術に携わっていれば、自ずとその技術を活用するアイディアが生まれるため、技術領域にいても新しい企画はどんどん出せる。逆に新技術と密接に関わるポジションにいるからこそ、企画ができるといってもいいでしょう」

新技術の中核に関わりつつ、そこから新しい企画を生み出す小俣氏。つい最近も画像を使ってつぶやくサービスを企画・リリースしたそうだ。
「それまでTwitterでつぶやきまくっていたのですが、言葉よりも画像の方が断然早く人に伝わるんですよね。そこで画像にひと言、言葉を埋め込んでつぶやくことができればもっと早く、わかりやすく自分の思いが伝えられると思い企画し、わずか3〜4日でリリースしました」
欲しいと思ったアイディアをすぐに実現できるのは、企画した人間が技術者だからこそ。またCROOZでは「多産多死」という、リリース後3カ月でダメなら次の企画に移れる制度があったり、社員全員を技術者にして企画させる目標を掲げていることから、企業側がエンジニアに対して自由に企画しやすいようにサポートしている点も大きい。
「今後はリアルタイムでコーディングできるサービスだったり、ニッチな領域に特化したサービスだったり、自分が欲しいと思うものをできる限り早く実現させていきたいですね」

本レポートは総合転職サイト「リクナビNEXT」連動コンテンツです。 Supported by リクナビNEXT

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