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小野和俊、山崎晴可、Yappo、べにぢょが飲んでハジけた ギーク座談会2!水耕栽培、料理と仕様書、言語は便器
ご好評をいただきました「ギーク座談会! 嫌いな言語、10年後の姿、幸せって?」。満を持して(?)第2回目の開催です。今回はとある会議室を予約、お酒と料理を持ち込んで、前回と同じく好き勝手におしゃべりしてもらいました。それにしても、何でこんなに話が面白いんだろう……。
(取材・文/総研スタッフ 高橋マサシ 撮影/関本陽介)作成日:11.03.29
序幕 ヤバいゲームツール、アングラソフト……自己紹介の始まり
一同 乾杯!

編 ほとんどの方が初対面ですよね? 自己紹介、どうぞ!

お アプレッソという会社の代表取締役で、メインの開発プログラマでもある、小野和俊です。ネットだと「lalha」で、プライベートではゲームがすごい好き。前に取材していただいたときは、「1日15時間ゲームする」ってタイトルが付いた(笑)。

や どんなゲームですか?
お 今だと「ブラウザ三国志」。プログラマー同盟っていうのを作って、各種のツールを使って運営側から注意を受けたりとか、2chだと僕の名前ばっかとか(笑)。アメリカの大学の先生などもいる優秀なプログラマの集団なので、皆でツールを開発するんですよ。
 僕は盟主としての仕事をしていたので、開発に参加しませんでした。だって、「こんなのいいね」というと2時間後にはできてしまうので。最近引退したんですけど、皆からメールをもらって復活しようかなと。
や どんなツールを作っていたんですか?

お いちばんヤバイので言うと……(←10分ぐらい話が続いたのですが、本当にヤバイのもあるのでカット)。それと、趣味ではお酒が好きで、日本酒専用の冷蔵庫とかワインセラーもあるし、毎晩のようにシェーカーを振ってます。食べるのももちろん大好きで、けど、もっぱら消費者側で料理はしません。

や ダイアモンドアプリコット電話研究所という会社を経営しています、山崎晴可と申します。ええと、今はWindowsクライアントが中心で、1980年後半くらいからどうやって電話で遠距離通信できるのかを考えていて、何と言うか、そもそもは電話のタダ掛けですね。ニフティサーブが高かったので、いかに安くするとかね。
 もうすぐ発売できると思うのですが、今は携帯電話のビジーを取るプログラムを書いています。簡単に言うとですね、御主人が浮気をしているようだと心配している奥さんがいて、誰から電話が掛かってくるのか知りたくなる。そこで、ご主人の携帯の中のメモリを吸い出しておいて、電話が掛かってきたときにこのソフトを使うと、メモリにある人をガーっと調べて、誰がビジー状態なのかが概ねわかるというものです。
Y ワン切りみたいになるのですか?

や いえ、音は鳴らないし何の表示も出ないので、本人は調べられたこともわからない。

お どういう仕組みですか?

や それはね……(←詳細な説明がありましたが、もちろん書けません!)。いちばん初めは留守電を再生するときの暗証番号を抜くソフトを作ったんですよ。その後は電話予約でのチケットを取るソフトを作って……
(詳しい内容は「山崎晴可@DAブラックホールは、SF小説を執筆中!」で)

お さっきWindowsクライアントって言いましたけど、それ関係なくて、携帯のグレーなソフトってことですよね(笑)。正式に売ったりしているんですか?

や もちろんです。キャリアさんがお客さまだったりもしますから。

一同 えー、そうなんですか?
や というか、こっちがメインの仕事で、なぜだかアングラソフトのほうが目立ってしまう(笑)。帯域を長い間使わないとかいろいろな配慮もしていますし、ソフトにしてもお客さんの用途には踏み込まない。あくまで解析ツールであって、どう使うかはユーザーの自由です。

お やっぱりそうだ。Windowsクライアントは使いやすかったってだけじゃないですか(笑)。

Y ですよね。回線がつながれば何でもいいんでしょ(笑)。
ギーク座談会の出席メンバー
小野和俊さん 山崎晴可さん Yappoさん べにぢょさん
第一幕 長すぎる自己紹介、家庭菜園の次は何が来る?
消費者と生産者の境はどこにあるのか
や パソコンて、操作と開発を同じマシンでできるでしょ。iPhoneではできない。そこが特殊で、ここが気に入っていて、しかも誰かのためではなく自分のためにプログラムできる。だからやっちゃうんだよね。

Y 最初のきっかけが、「自分で何かしたい」ですからね。

お 資格を取るとかのくだらない理由じゃなくて、なにやら暗い情熱がある(笑)。

や だから、誰かの仕様を元にするのではなく、例えば問題が起こったら自然と頭で仕様書を書いているような人が、プログラミングにハマるのでしょう。
Y ホントにそうだと思います。僕はYappoです。真面目なサラリーマンで、みなさんみたいに濃いキャラじゃないです(笑)。今日も会社でJavaScriptのコードを書いてました。
 趣味はここ5〜6年、庭で野菜を育てる家庭菜園をしています。祖父も同じようなことをしていて、小さいころから身近だったんです。この前は急に芽ネギが食べたくなって、水耕栽培で種を蒔いて、芽が出たばっかりです。こんな感じ(と、iPhoneでブログを見せる)。おいしいから、自分で作った野菜はほとんど生で食べますね。
や 僕も物凄く好き! こんな仕事していたら運動不足になって、汗をかかないとナトリウムがたまっちゃうでしょ。スイカをたくさん食べるとカリウムやマグネシウムが摂れるんですけど、結構いい値段がする。思う存分スイカを食べたくて、水耕栽培という手があるぞと、前に住んでいた家で始めました。

 水の上で育てることの難しさと「土の偉大さ」を知りましたね。まず、水耕だと生えても倒れちゃう。逆に土の中ならほっておいても根は伸びていくし、土には保水能力もあるんですね。つまり、土は支持体であり、栄養を持ち、保水もできるわけです。これって凄いこと。例えば、無農薬の有機栽培って簡単に言うけど、やれるもんならやってみろって(笑)。Yappoさんは農薬使ってます?

Y 使ってないですね。虫が寄らないとか葉が元気になると聞いて、木酢液は使っていますけど、あんまり効果はないかな(笑)。

お あの、ごめんなさい。僕は生産者にはなれない。プログラミングは得意だからツールを作ったりはするけど、食べるものは違って、米もとげないんですよ。無人島に言ったら死んじゃうみたいな(笑)。
Y 食べ物を手に入れるにはどうすればいいかってことは、われわれが電源を奪われたときのリスクマネジメントにつながるのかなと。だから、マグロやカツオを一匹買ってきて、自分でさばいたりもしていますよ。

お 僕は料理は奥さんに任せて、皿を拭いたりしています。

や 日本人は基本的に農耕民族なので、野菜なんかを育てるのは楽しいんですよ。数千年前に「農耕って楽しいわい!」って感じた先祖のDNAが入っているようですね。それと、去年まで滅茶苦茶ハマっていたのは酒造りで、ビールとワインと焼酎は一通り……。

お 何だか電話のソフトと似ているなあ(笑)。

や いえいえ、仮の話ですよ。仮の話として進めましょう。
アクティビティのベクトルはどこに向かう
や 僕はもともと酒はそんなに好きじゃなくて、銘柄とかわからなかったんですよ。ビールならアサヒがどうとかキリンが何だとか言うじゃないですか。僕は「何でも一緒じゃないか」と思っていたのですが、自分で造っていくと誤差の大きな部分に気づくのかなあと。
 1年くらいたって、お店で出てきた生ビールの味の違いがわかる自分に驚く、のかなと。野菜もそうで、徐々にナチュラルな「土の味」がわかるようになるんです。野菜って、土を食べているのと同じですから。

Y 同じ気持ちですね。機械工業的な作り方をしているスーパーの野菜とは違いますものね。最近はスーパーでも有機栽培など少し高めの野菜を売っていますけど、それほどのものとは思わないです。

や ただね、酒を造って酒好きになったかというと、そこはあまり変わらないのでは。

お 聞きたいんですけど、好きなものに一生懸命になるとか、その生成過程が知りたくなるのはわかりますよ。好きでないものにどうしてそこまで……。
Y 時計が目の前にあったらとりあえず分解したくなる感じですか? でも、時計に特別な興味はないとか。

お そうしたらこの机も割り箸も、万物に対して興味がわくわけでしょ。それがなぜ電話やお酒なのか。アクティビティのベクトルはどこにあるのか。

や それは凄く鋭いところで、多分僕は心のどこかで、「俺にはこれは無理なんだ」と思い知りたいんですよ。人って凄い生き物だと思っているので、僕にできないことができるお前は大したものだと思いたい。だから、今までいろいろなチャレンジをしてきましたが、尊敬できなかった対象はひとつもなかったですね。

一同 ほっほー。
や 僕は雑誌に寄稿もしているのですが、文章の推敲で誤字や脱字に気づくのは全体の80%程度が限界だそうです。その80%と90%に上げるのには同じ労力が掛かってしまう。
 90%から95%も、95%から97%も同じ労力で、こうしてギリギリのところまで目指すのは日本人の特徴でもあるようで、ほかの国なら「8割行けばいいじゃん」と止めてしまいそうですよね。でも、仮にそのように努力しても、やっぱりうまい酒には届かないのでしょう。しかし、完成した酒の味は自分にしか出せなかった味でしょうし、二度と同じものは造れないのだと思います。

お 推敲の話はプログラムのデバッグと似ていますね。ただ、プログラミングなら同じ物を再現できる。でも、全く同じものを作るにはゾーン状態みたいな集中力が必要で、そこまで集中できる状態を意図的に作れるかというとそれは難しい。
や 簡単なアルゴリズムなら再現できるだろうけど、僕らの場合、前日にへこんだりしたら、変数名が変わってきたりしますからね。

お え、それはかなり特殊です。変数名に私情を持ちこむのはダメですよ(笑)。例えば「会社」のクラスがあって「company」、セットネームで「ore kanashii」とかを付けちゃうんでしょ。
第二幕 言語に対するこだわりって、こだわりじゃないのかも
Perl vs Java? 結局それは便器ってこと?
編 ところで、好きな言語や合わない言語ってありますか?

や 食べてる場で言うのも何ですけど、言語って便器なんですよ。洋式が好きとか和式が合ってるなどはあっても、使えば慣れる。「こんな古い型の便器を使うのか」や「ここをひねって流すのか」などもありますけど、5日くらいあれば慣れます。

Y 手になじんでいる安心マクラ的なものを考えたら、僕はPerlかな。

お 僕はJavaとかC#みたいな、固い言語系のほうが好きですね。大人数で大規模なコードを書くときに便利で、安心感があって、ほかの人のコードの推測可能性も高いから。逆に言えば、クリエイティビティとか個人の「必殺技」は出しにくいけど。
Y Perlが好きなのは言語仕様ではなくて、Perl に精通している人が周りに一杯いるからかな。仕事で困ったらその問題を一般化させて「誰か何とかしてくれよ」と聞くと、1日で答えが返ってきたりする。コアレベルでも何とかしてくれる。だから、こうしたことが全部なくなったら、Perl はそれほど魅力的でないのかもしれない。

お 実は昔はPerlで凄い書いていて、学生時代もアメリカで働いていたときもPerlで、当時Tシャツにひとつだけ言語の名前を書いていいよと言われたら絶対「Perl」だった。勤め先はサン・マイクロだったけど(笑)。
 当時はひとりで開発していて、誰にも読めないコードが自慢だったりした。「このコード意味わかんないんですけど」と聞かれて、「うん、君にはわからないだろうね」みたいな嫌なヤツ(笑)。でも、後で思い切り怒られて、反省もした。社会人のチーム開発だったら、さっき言ったみたいな理由で固い言語になっていきますよ。
 よく、短く書くのが美しいって聞くけど、それは少し昔の話だなと個人的には思っています。「こんな簡単なことを何でこんなに長く書くんだ」という人もいるけど、今はIDなどのエコシステムが発展しているから、全部を打っているわけではないですし。

や 僕はまだ誰もやったことない、「できるかわからない」ものを作ることが多いんですよ。というのは、シリアルポートとかイーサーにつながっている、機械を動かすような制御系のプログラムを書くことが多いので、まず動くかどうかがわからないわけです。
 だから、ちょっと書いてはテストしてを繰り返す癖が付いてしまっている。まずは言語そのものよりも、デバッグできる環境がそのときに合っているかどうかを見る。

お ライブラリとかデバッガーなどの環境で選ぶのもひとつで、逆に言えば、目的に合わせて言語を変えられないプログラマはいないはず。環境がイーブンで好きな言語を趣味で選べと言われたら、僕はやっぱり固い系が好きですね。
小学生が自転車で走りながら脳内プログラミング
編 そもそも、どうしてプログラミングを始めたんですか?

Y 小学生1年くらいのときに、従兄のお姉ちゃんが高学年生向けの『科学』を持ってきて、その付録にプログラムの冊子があったんです。それがきっかけで、家で作文用紙を縦にして、ずっとBASICを書いていました。近所のスーパーにMSXがあったので、その冊子と作文用紙を持っていって、店の前でプログラムを打ち込んでました。

お それすごいね。普通はマシンで動かしながら差分を取って、ちょっと変えてみたりして覚えていくじゃないですか。動くかわからないのにスクラッチでいきなりって、まず動かないでしょ。

Y 小学生だからスーパーに行く時間は限られますよね。だからプログラムを書いて、自転車でスーパーに行くまでの時間に、脳内で実行して反芻するわけです。小学生だからたいしたプログラムじゃないですしね。最初に手に入れたパソコンは作文用紙と鉛筆というわけです。
お それ、パソコンじゃないでしょ(笑)。頭の中にバーチャルマシンがあるわけだ。多分それって、ゲームを買ってもらえないから自分で作るしかなかったみたいな話でしょ。消費者になれないから自分で生産者になるしかないっていう。

Y その通り(笑)。

や 言語と言えば、頭の切り替えはどうやっているんでしょうね? 僕は今でも、自分がプログラムを書ける理由がわからなくて、例えば要求された状況を見てこれはサーバーサイドとか、クライアントサイドだと思った瞬間に言語を決めてしまっている。理由がわからないからいつか突然ブロックされて、コードが書けなくなる瞬間があるのかと心配です。

お 例えば作曲家なら、曲の発想が出てこないこともあるだろうけど、よほど難解なものでない限り、全くプログラムが書けないことって少ないじゃないですか。なぜ書けるのかわからないって感覚は、僕にはわからないですね。
や コードを雑誌に載せたりしているんですけど、仮に初心者の人が読んだときに、どこまで理解してくれるかを加味しないとまずいというか、かつそれは初心者だけの問題ではなく、例えばペアプロで自分の突っ込みが間違えているんじゃないかなどと考えてしまう。相手とは見てきたものも育ってきた環境も違うわけだし。

お 僕は基本的にペアプロなんですけど、確かにリテラシーとかセンスの差はありますね。

Y 原稿書くのは確かに難しいですね。僕も1年くらい連載やっていたのですけど、8割くらい書き直したこともありました。言いたいことは一杯あるので文字数はオーバーしてしまうし、本気で書いて1カ月くらい掛かっていた(笑)。
第三幕 べにぢょ登場! 料理とプログラミングの関係とは?
料理ができない人にレシピを書いてほしくない
べ 遅くなってすみません! べにぢょと申します(と、入場)。

一同 こんばんは〜。とりあえず、乾杯!

や 今、ちょうど自己紹介が終わったところで、統一された見解は小野さんは消費者側で、僕とYappoさんは生産者側だと。で、好きな言語の話になって、今のところはPerl優勢。あと、ローカルルールで手酌で飲む(笑)。

べ 料理と言えば、料理とプログラミングって似ているという話がありますけど、どうですか?

お 料理というか、料理のレシピと仕様書が似ているというエントリー? 海外では料理(プログラミング)の腕がある人がレシピ(仕様書)を書くのに、日本の特にSIerは、料理はできないのにレシピを書く専門家がいるという。それでいい料理ができるのかという指摘はあるよね。だけど、われわれは誰もSI に勤めていないので、欠席裁判的な要素が出てしまうかも(笑)

一同 ははははははは!

Y 茹で上がったパスタをフライパンに移して、野菜と混ぜるときに、「トマトやっぱりやめておこう」とか「塩を少し足してみよう」なんて感覚はプログラミングでもありますね。
や 最近は僕も仕様書を作ってスケジュール管理するようになって、成果物を残していくことや、要所要所で報告書を出すことの大切さがわかってきた(笑)。SIer式もそんなに悪くない。

お でも山崎さんだって、プログラミングしたことのない人に仕様書を書かれるのは嫌でしょ。

や 嫌だな〜〜(とかなりの嫌悪感)。自分で作ってみないと仕様書は書けないよ。
お 山崎さんは会社を経営していて、僕も会社を作って10年くらいたつけど、ベンチャーの怖いところは、開発したものが売れるかどうかわからないところ。Webサービスと違って特にパッケージソフトだと投資してからお金が入るまでには、穴の空いたバケツみたいにお金が出ていく。
 で、日銭を稼がなきゃいけなくなると、手っ取り早いのが受託開発なんですよね。人月単価で人を張り付けておけば、仮にプロジェクトが失敗してもお金が入ってくる。すると考え出すのは、まず受託開発で始めてノウハウを蓄積して、それをライブラリ化して、最終的に製品にすると。でも、これ直してあれを変えてなどと言われて、結局はSIで終わるのが日本のベンチャーのひとつのアンチパターン。
トリッキーなコードははた迷惑?
べ さっき言語の話が出たんですよね? 小野さんはPerlなんですか?

お 昔はPerlが好きだったけど今はJavaなどの固い言語で、その理由はクリエイティビティは出しにくいのだけど、コードの推測可能性などが高いから。それに、簡単なことでクリエイティビティを出しても仕方なくて、難しいことをどう簡潔に書くかがプログラミングだと思う。
 例えば、「まさか、ここで、この言語の特性を使ってこうくるか!」というのもありだけど、そんなコードは大抵は可読性が低くて、言語の裏の裏を知らないと読めなかったりする。

べ そういうコードを見ると「さすがだな」と思うんですか?

Y 僕は違うと思うな。トリッキーなコードをヲタク的な視点で見る。すると「カッケー」と思うときもあるけど、半年くらいして見返すと、「何これ、書いたヤツおかしいんじゃない」って思う(笑)。
お デザインパターン、あるいは四字熟語なんかもそうだけど、覚え始めは使いたくなってやたらと試す。けど、人に間違いを指摘されたりして、「すみません」って徐々に使い方を身につけていく。こうして適切なデザインや言葉を肌感覚で学んでいって、それであえて使うのはいいんだけど、大事なプロジェクトや急ぎの仕事でやられると「この野郎……」。

や 語弊はあるけど、僕は○○を使っている人って苦手で、エッジが経ち過ぎていると思う。自慢するためにコードを書いているというか、それでいて下から目線で卑屈な感じもする。あくまで印象なんだけど、うまくコミュニケーションできる人に会ったことがないんです。
 プログラマのスキルを評価するときに、初対面で使っている言語を聞くこともあると思うけど、それでいうとアンパイが△△なんだよね。僕は好きだな。
 (この話、ほかの言語まで広がったのですが、過激なのでお開きに)
第四幕 熱くなる話題はやっぱりプログラミング、どこまで続く
言語の差は文化の差、コミュニティ・カラーにも影響
や この前、セキュリティ関係の勉強会に出ていて感じたんだけど、今の人ってバイナリーコードに興味がないのね。僕はCから入って、その前はマシン語だったんだけど、僕の世代は困ったらバイナリーコードを見て、次がダンプコードって順番だった。今はバイナリーコードを見る習慣すらないんだよね。
お 「マシン語を知らない子供たち」って(笑)。

や 昔は異常系から入っていったけど、ここ20年くらいは正常系から入って、正常系を広げながら異常系をフォローしていくように見える。僕にとっては、コンパイルした後は触らない、実行環境中は触れない、という人たちが付き合いやすい。

Y ソースを書いていて問題があったら、デバッグオプションのフラグを渡して、コンパイルし直すような人ではないわけですね。合う合わないの話もあるけど、言語によってコミュニティのカラーが出ると思うんですよ。

べ Perl はキャラが立っているとか(笑)。
お 言語の重力って言うのかな、それはあるよね。例えば、Perl は言語としての自由度が高くて、Javaや.Netはルールが厳しいから自由度は低い。だから、Perl には自由でユニークな気質の人が集まってくるだろうし、Javaの人はメーリングリストでも「きちんと調べたんですよね?」みたいに、かちっとしていて真面目で固め。
 ブラウザ三国志の前はWoW(World of Warcraft)ってゲームにハマっていたのだけど、そのときのプラグインはLuaで書かなくちゃいけなかったのね。Luaのコミュニティは滅茶苦茶緩くて、ひと言でいえば「動けばいいんじゃない?」。実際にLuaがそうで、どんな書き方もできるし、パフォーマンスは悪くても動くことが大事みたいな言語。Javaでは絶対に許されない。

や 僕は「メモリの中に何を置くか」という尺度でプログラミングを見てしまう。だから、言語を見ると流行るかどうかがなんとなくわかってくる。それは、言語を作るという大変な作業を始めようと思った人やグループが、何が得意か、どんなポジションでプログラミングをしてきたか、何を見てきたかの差なのだと思う。特に索引を見ると差がよくわかりますね。
お イヌイットの人たちは「雪」を表現する単語が多いと聞きますが、日本人は「水」に関する表現が豊からしいんですよ。身近な生活の中で接してきた文化などに起因するのでしょうけど、プログラミング言語も同じで、コアAPI、フレームワーク、設計思想などが変わってくるのでしょうね。

や まさにそうで、その人たちの文化が自分の整合性に合うかどうかで、本来は言語を選ぶべきなんでしょうね。言語というよりライブラリやフレームワークの問題かもしれないけど、フレームワークってクッションの役割だと思う。その下の基盤を見たときに、言語は基本的に収縮せずに拡張するものだから、最初に出したときの作り方で将来性が想像できるというか。

お 言語って結局はそんなに差がないとも思うけど、Luaを考えると言っている意味はわかります。ただ、設計思想の差が思い切り出ているのはポインタくらいじゃないですかね?
変化していくプログラミングの世界……だっちゅーの!
や PC系雑誌の見出しに出ているような言語って、「今度こそ完成させる」とか「これは困った」とか、ある意味で危機感を持たれているものだと思うんです。最近ではCとかC++が出ているんだけど、個人的には何でかなと思う。

お さっき「マシン語を知らない子供たち」って言ったけど、今は深度が上がっているのか下がっているのか、「C言語を知らない子供たち」「ポインタを知らない子供たち」になっているんですよ。だけど僕は、「マシン語を知らない子供たち」がいても別にいいと思っていて、対象を制御するのではなくクリエイトする方向になってきているから、バグがなく安定して動けばいいのかなと。

Y わかりやすく言うと、C言語は機械のON/OFFを扱うため、C++はソフトウェアと通信するために作られた言語。その差もあるってことですよね。

お もっと上級言語になると、複雑なものを簡単にするために作られていて、生産性を高めるためにLLが出てきたりとかした。
や 昔、ワープロ専用機ってありましたね。なぜマイコンが流行らずにOASYSとか書院が爆発的に売れたのか。もし打った内容をプリントしてパソコンの外に出せなかったら、皆があれほど使ったかということです。

Y 使っていないですね。

や メールも通信で外とコミュニケーションできるから普及したわけで、情報が箱の外に飛び出ることが重要なのだと思う。僕はCからC++に行かずにVB、.Net、C#に行ったんですよ。オブジェクトを考える必要がなかったからで、C++は一応書けますけどね。
 だから的外れなのかもしれないけれど、今、オブジェクトを使っている人って、人間というオブジェクトをどこまで考えてくれているのだろうかと。そこまで考えて言語を選択してくれているのだろうかと、ちょっと心配です。
お 紙という現実世界に反映されるから普及したというのは、重要なポイントだと思います。今ならWebサービスや検索なのかもしれないけど、Web2.0と呼ばれた時代は閉じた世界でも、今はTwitterみたいなリアルタイムの情報だけでなく、foursquareやコロプラのように位置情報と連携したサービスがあり、現実的なメタデータも蓄積されている。
 だから、プログラマが現実世界を知ったうえで言語選択をしているかというより、そうせざるを得ない状況にあると思うんです。だから、そこはあまり心配ないのかな。
編 そろそろ部屋の時間が終わりなので、みなさんそれぞれの写真を撮っていいですか?

や お、もう終りなんだ。いいよ、こんな感じでどう?

お 僕はちょっとまじめ風に……。

Y (料理の皿を持ち上げて)俺はこうだ!

べ このワイン飲んじゃっていい? こうだ!

編 最後にみんなでいきましょう!

べ なんかこのポーズ、だっちゅーの、みたいだね(笑)。

一同 だっちゅーの!
▲だっちゅーの???
小野さん、Yappoさん、べにぢょさんはこの後、朝まで飲んだとか……
▲途中、一応名刺交換とかしてました
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高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ 高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
この企画、最初の仮タイトルはこうでした。「飲み食い大好き!ギーク座談会2」。ただの2回目じゃ面白くない。そこで飲むことや食べることが大好きなギークを探したわけです。でも、途中から関係なくなって、タイトルも変えちゃった。ちなみに残った料理は、深夜まで仕事をしていたリクルート社員のお腹の中に消えました。第三弾もやりたいです。

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