実録 求人魂!知られざるエンジニア採用の舞台裏 Vol.23 |
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マイクロソフト専業型SIerが |
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設立時、わずか15名だった企業が5年後、10倍の規模に。今回の求人魂では、年間平均30名前後のエンジニアを採用するSIerに注目。不況期でもコンスタントに採用できる理由について探ってみた。 (総研スタッフ/山田モーキン) 作成日:10.10.29
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【今回の求人魂】 アクセンチュアとマイクロソフトの融合で誕生したSIer
今回紹介企業
アバナード株式会社
アバナードは2000年、アクセンチュアとマイクロソフトの出資による戦略合弁企業として米国で設立された。マイクロソフトが有する最先端技術によって生み出されるビジネスソフトウェアやソリューションと、アクセンチュアが持つ豊富なコンサルティングノウハウを結び付けることで、独自のソリューションを提供できるのが、アバナードの強みだ。事実、設立されてから10年強で3,600社以上のクライアントにサービスを提供し、98%(同社調べ)に上る高い顧客満足度を得ている。
2005年、日本市場への本格参入を目指して日本法人が設立されたのが、今回紹介するアバナード株式会社だ。そもそもマイクロソフトの、日本市場における基幹系システムのシェアは、欧米に比べ低かったのが実情。しかし、マイクロソフトテクノロジーに対する信頼性の高まり、システム投資に対するコスト削減のプレッシャーからマイクロソフトソリューションへの期待は年々増している。またアジアを中心としたITの海外展開やITガバナンス強化等のビジネスニーズによって、アバナードによる高品質なビジネスソリューションに対するニーズは高まる一方となっている。
【求人背景】設立時、15人から5年で150人規模に。年間30人採用を維持する
アバナード株式会社
ディレクター
和田玄氏
「2005年、社長と共にこのアバナードの設立に携わってから早5年。設立当時は社員15人程度の本当に小さな規模でスタートしましたが、現在では約150人と5年で10倍の規模にまで大きくなりました」と語るのは、アバナード設立に携わり、現在は現場のプロジェクトを指揮しつつ、人材育成・採用部門の責任者でもある和田氏。
しかしわずか数年で、しかも世界的な経済危機による不況の影響もある中、なぜこれほどまで成長することができたのだろうか?
「ひと言で言えば、アバナードが提供する価値を多くの顧客に高く評価していただいてきた結果だと考えています。アクセンチュアもマイクロソフトもグローバルマーケットで確固たるプレゼンスを築いていますが、日本市場でのマイクロソフトソリューションの提供という意味では両社がアプローチしきれていない領域が顕在化してきており、欧米での前例を見ていてもある程度のマーケットニーズが高まっていることは認識していました。ただ、実際に日本での事業を開始してみると、予想以上にクライアントからのニーズが高いことを実感し、その期待に応えつつ、新しい市場を開拓するためには人材の採用・育成が重要課題と考え、毎年コンスタントにエンジニアを採用してきました」と、和田氏はその理由を語る。
アバナードならではの強み、そこに年間30人採用を維持する大きな鍵があるようだ。その強みについて、さらに探っていきたい。
【求人魂1】 マイクロソフトソリューションの切込み隊長?
変化の速いIT市場に新たな価値を生み出すチャレンジ
マイクロソフト、アクセンチュア、そしてアバナード3社のメリットを集結させることで、独自の価値を提供する
アバナードの営業スタイルは特殊だ。グローバル企業として日本でも大きな存在であるマイクロソフトとアクセンチュア、両社が持つクライアントとのパイプラインをマイクロソフトソリューションでさらに太くするのがアバナードの役割でもある。つまり、両社の顧客企業の中で、マイクロソフトの最新技術の適用可能性がある案件に対してアプローチすることから、案件化につなげられるのである。“両社が対応しきれないニーズ”、そこにこそ大きなビジネスチャンスが存在する。では世界有数のIT企業であるアクセンチュアとマイクロソフト、双方にはなくてアバナードにはある強みとは何なのか?
「まず“マイクロソフト技術に特化したSIerである”点が挙げられます。多くの企業がWindows環境を利用する中で、マイクロソフトソリューションの親和性は非常に高く、マイクロソフト・プラットフォームを導入することでコスト削減だけでなく、システム統合やユーザビリティの維持・向上が同時に実現できるのです。
また “製品ではなくソリューションを軸としている”点が挙げられます。当社は、マイクロソフト製品を販売する会社ではありません。マイクロソフト技術を最大限に活用して、顧客の課題を解決することがミッション。マイクロソフト製品のさまざまな特徴を含め、可能なことや困難なことを踏まえた上で、顧客が求めることを分析し、ソリューション提案できることが当社のアドバンテージだと思います。だからこそ、マイクロソフト製品を導入したものの、活用に困っている顧客に対しても、真のパートナーとして力を発揮できる。それがマイクロソフト、アクセンチュアだけではなく、他社との決定的な違いだと思っています。」
マイクロソフトはB to C向けだけでなく、B to B向けの新製品も活発に開発・リリースしているが、欧米と比較すると日本での展開は遅れている。その中で半ば「切込み隊長」のようなポジションで、未開拓の巨大市場で新しいビジネスにチャレンジしていくアバナードに対するマイクロソフトの期待も大きいだろう。
【求人魂2】オールマイティな存在だからこそ“次のポジション”が必ずある!
若いエンジニアも現場で活躍し、アバナード社内に活気を生み出している
このように手つかずの領域にチャレンジできることが、アバナードの大きな強みとなっているわけだがその分、担当する案件の多くが大規模で難易度の高いものになる。
「クライアントの多くは、いわゆる社員数数千〜数万クラスの大企業がメインであるため、新規に導入しようとするシステムの規模も必然的に大きなものになります。その上、私たちが提案しようとしているのは、マイクロソフトによって生み出された最先端技術をベースにしたソリューション。当然、最新技術に対する理解度が十分備わっていなければベストな提案もできないため、難易度の高いミッションになります」と、アバナードならではの仕事の難しさを語る和田氏。
だからこそ、エンジニアにとって、より上のポジションへキャリアアップしていくための環境が整っているといえる。
「クライアントが抱える課題を、マイクロソフトの最新技術とアクセンチュアのコンサルティング力、グローバルネットワークをバックボーンにして、アバナードならではの付加価値を加えることで、クリアしていく。オールマイティに対応できるアバナードでキャリアを積むことは、今後のキャリアの選択肢を大きく広げると考えています」
【今後の展望】顧客のビジネスパートナーとしての確固たる地位を確立する
「壁を乗り越え、より上のステージに上る意欲を持つ方に来てほしい」と語る和田氏
同社はマイクロソフト技術のスペシャリスト集団として出発し、その後テクノロジー・インテグレーターとして、アバナードならではのソリューションを提案することで、順調に事業を拡大させてきた。
そして今後、「ビジネス・ソリューションプロバイダー」としての日本における地位を確立することを目指していくという。
「主軸である業務アプリケーションのカスタム開発に加え、ポータル、BI、CRM、ERPパッケージであるDynamicsシリーズの導入など今後、ビジネス領域に一歩踏み込んだサービス展開を加速していきたいと考えています。もちろん、他社にはない、アバナードならではのソリューションで実現していくという姿勢に変わりはありません。」
またエンジニア採用に関しても引き続き、積極的に行っていく。同社が求める人物像は、シンプルだが「新しいチャレンジに前向きな人」だ。
「これまでも、そしてこれからも私たちアバナードは新しい市場を開拓し、マイクロソフトソリューションで解決できない課題はないという情熱を持って顧客にベストな提案をしていくことで、存在感を高めていくつもりです。未知の分野を開拓していくということは業務上、“見えない壁”が多々存在するということ。その壁にぶち当たり、悩み、苦労しながら乗り越えることで初めて、クライアントの期待にこたえることができる。そうした困難な壁に対して躊躇せずに挑戦し続け、それがキャリアアップにつながる、という視点を持っている人、壁自体に何らかの価値を見いだせる人に仲間になってほしいと思っています」
壁を壁として意識せず、新しい価値を見出すことに貪欲なエンジニアであれば、アバナードのビジネスフィールドはかなり魅力的なポジションとして映るだろう。
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