「その場所」を探せば、あなたのスキルは必ず活かせる |
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やっぱり技術!中国企業が求める
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日本人エンジニアを求める中国の大手メーカー
機械、電気、生産技術……日本人エンジニアに学びたい
RGF HR AGENT
Japandesk Manager
呉 清宏氏
エンジニアに要求されるスキルはさまざまだ。リーダーシップやコミュニケーション能力、年齢が上がればマネジメント能力も重視されてくる。しかし、いつも場合も欠かせないのは本来の「技術力」ではないか。その好例を、世界で最も勢いのある中国企業で紹介したい。
電気自動車のBYDや白物家電のハイアールなど、世界的な知名度を誇る企業も多い中国。実は中国のメーカーでは今、日本人エンジニアが引っ張りだこだ。上海、北京、広州、深せん、香港など中国での就職をサポートする人材紹介会社、RGF HR AGENT(リクルートグループの中国現地法人)の呉清宏氏は次のように語る。
「膨大なリソースを投入して独自開発を進める企業もありますが、中国では極めて少数派。中国のメーカーは、技術力ではまだまだ日本が上だと思っています。その技術を自社に取り込みたいと、日本人エンジニアの獲得に必死なのです」
その一例となるのが、大手白物家電メーカーからの求人で、冷蔵庫やクーラーなどの設計開発エンジニアが求められている。また、国策としてインフラ整備を猛進していることから、建設機械メーカーの勢いも止まらない。ここでも設計開発職が求人の中心だ。こうした機械・メカトロ系や電気・電子系だけではなく、工場勤務の生産技術、品質管理のエンジニアニーズも強いという。
飲料、化粧品、太陽電池など化学・材料系にも熱い視線
加えて、化学・材料系のエンジニアへのニーズだ。中国では誰もが知る大手飲料メーカーでは烏龍茶など飲料の製品開発エンジニア、有名・大手企業の生まれていない化粧品メーカーであれば、なおさら材料系エンジニアへの期待が高い。「中国で一番成功した日系企業」と呼ばれる資生堂などから、技術を吸収したいところだそうだ。
「太陽電池メーカーさんからもお話がきています。CIGS化合物を使った太陽電池を開発するための求人でしたが、CIGSのわかるエンジニアは日本でも市場に少なく引っ張りだこ。さすがにご紹介は難しかったです。最近では、海外の有力メーカーと組んだ『合弁系企業』よりも、純国産の『民族系企業』からの求人が多くなってきました。民族系メーカーは総じて技術力では劣るものの力をつけつつあり、徐々にシェアを拡大しています」
中国メーカーに転職する条件、待遇、強みと弱み
年収1000万円、通訳つきでも欲しい「日本の技」
中国メーカーではどのような日本人を求めているのか。普通に考えれば、「30歳前後でリーダー経験あり。マネジメント経験があれば尚よし」といったエンジニア像だが、50歳以上のシニアエンジニアが圧倒的な人気だという。
「中国では『現場の技術力』が求められています。ですから、何年もマネジメント職にあって技術の仕事から離れている人は難しい。年齢がどうではなく、しっかりとした技術力が大前提です。同時に、現地の若いエンジニアに技術を教えてほしいという要望もあります。『プロジェクトを引っ張るマネジャー』ではなく、『後輩に技を伝える職人』という立場です」
先端的で安定した技術を自社に取り込むと同時に、若いエンジニアを変えてほしいという狙いだ。対象者にはすでに中国で働いているエンジニアも含まれるが、母数が格段に違うので日本にいるエンジニアがターゲットとなっている。そのためか、迎え入れる条件や待遇も破格だ。
企業により差はあるものの、年収は約1千万円。通訳、自家用車、住宅なども用意してくれるという。ちなみに中国人であれば、工場長や管理職クラスでも年収は160万円ほどとのこと。
「通訳がつきますので、中国語は話せなくても構いません。シニアの方なのですでにお子さんが独立されている方も多く、奥さんと2人で来られる方もいます。感覚的には単身者と家族同行は半々ですね」
勤勉な国民性は武器、言いたいことははっきりと
中国の有名大学の理系学部を、優秀な成績で卒業する若者も多いはず。しかし、彼らの多くは世界的に知名度が高く、中国企業より技術力に優れた、欧米や日本の大手企業に就職したがるという。しかも、中国ではなく本国で勤務し、最先端技術に触れることを望む。
一方の外資系メーカー側も、近年では中国人学生の獲得競争を過熱させている。自社を支えるコアな人材としてだけでなく、将来は中国の現地法人プロジェクトを任せたいと考えているからだ。こうした「相思相愛」の結果、中国企業には優秀な若手が集まりにくいという。
「もちろん、それだけではありません。日本人エンジニアの強みは、高い技術力に加えて勤勉な国民性。これは大きな武器です。逆に弱みは見つからないのですが、しいて挙げれば暗黙知でしょうか。『あうんの呼吸』や『空気を読む』などの習慣は中国にはないので、意見はストレートに出してください。そのほうが相手も喜びますから」
RGF HR AGENTに登録する日本人エンジニアは約8割が若手層、残りの2割がシニア層だという。若手層の登録者数は横ばいだが、シニア層では増加しており、中国企業からの引き合いは依然として上昇中だ。
場所により、時により、変わる状況を調べておこう
エンジニアなら「自分の場所」を探すことができるはず
このように製造業で人気の日本人エンジニアだが、ソフト開発などIT系企業からのニーズはほとんどないという。理由は、若い中国人エンジニアを雇い、育てているから。考えてみれば、中国はオフショア開発のアウトソース先でもある。自動車、家電、精密機械など多くの分野で世界を牽引してきた日本のメーカーだからこそ、その「技術力」が渇望されているのだ。
振り返って、不況期から脱せない日本のメーカーに勤める、50歳以上の「現場のエンジニア」はどう見られているか。ひょっとしたら、年齢が理由でスキルを活かせない境遇にあるかもしれない。あるいは、技術力には定評があってもマネジメント能力に長けていないという理由から、早期退職の対象者になっているかもしれない。
しかし、探した方次第で「求められる場所」は見つかるもの。これは、年齢や職種に限らず、すべてのエンジニアに言えることではないか。ただ、そのタイミングは状況で変わりやすい。
10年、20年後は中国メーカーが世界のトップに
例えば中国。上述のニーズがいつまで続くかどうかは不明だ。呉氏はこのように語る。
「中国人は人口が多いですから、優秀な人材も相対的に多くなります。そして今、そんなエンジニアが育ってきています。10年後、20年後に世界を席巻しているメーカーのほとんどは、日本や欧米ではなく中国の企業が占めるのではないか。私はそう思いますし、中国にいてそれほどの勢いを感じています」
本レポートは総合転職サイト「リクナビNEXT」連動コンテンツです。
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