エンジニア川柳大賞！聞け、現場の心の叫び！

日本経済は大崩れ状態で、エンジニアの職場や生活にも深刻な影響を与えている。そんな現場の声を集めるべく、Ｔｅｃｈ総研ではアンケート調査を実施。趣向を変えて、「川柳」と「漢字」で現状を表してもらった。どの回答からも泣き笑いの現実が浮かんでくるが、他人事ではない……。

（取材・文／総研スタッフ　高橋マサシ）　作成日:09.05.29

　エンジニア300人に川柳をつくってもらいました。最初は「今の気持ち」を表す川柳です。いきなりつくれと言われても難しいので、以下の単語を、上の句、中の句、下の句のどこかに使ってもらうようにお願いしました。もちろん、強制ではありません。

　作品はどれも力作ぞろいでしたが、すべては掲載できません。そこで、Ｔｅｃｈ総研の編集スタッフ7人が、その中から各自10点を選びました。その「ベスト5」の大賞発表です！







仕事は増えた、減った？　残業禁止はどこも同じようで……
多かったのは「仕事量」に関する作品。「ああつらい　仕事増えども　金増えず」や「不況なのに　どうして減らない　仕事量」といった、仕事量の増加や現状維持を嘆く作品が47点。逆に、「退屈だ　案件をくれ　今すぐに」などの仕事減を憂う作品が33点。ただ後者には、「世界不況　おかげで土日が　休めるぞ」といった歓迎派も見受けられます。　不況なのに仕事が減らない理由も作品から見えてきました。「仕事量　減らずに人が　減っていく」という人員削減、「エンジニア　仕事が増えるよ　コストダウン」といった経費削減、中には「仕事量　減らすための　仕事増え」という皮肉な事情もあるようです。　エンジニアらしいというのか、「残業」への言及も少なくありません。多くは「ああつらい　残業ゼロの　給与明細」といった残業規制への反応ですが、「やる気なし　残業させろ　この野郎」「Ｓ残は　あるとウンザリ　なけりゃ悶々」という哀しすぎる叫びも聞こえてきました。　プライベートへの影響を語った作品も。「がんばるぞ　昇進よりも　玉の輿」（女性）、「お父さん　会社は休みと　聞く子供」、「ああつらい　アラサー結婚　貯金ゼロ」……。このように生活への影響も多大ですが、やっぱり、「心まで　入れさせません　世界不況」ですよね。なぜなら、「もうだめだ　そう思ったら　先がない」ですから。

　Part1と同じように、「今の職場」をテーマに川柳をつくってもらいました。ここでも以下の単語を、上の句、中の句、下の句のどこかに使ってもらうようにお願いしました。

　Part1の「気持ち」では考え方やとらえ方が分かれるのに比べて、「職場」では人間関係が発生するためか、その相手へのメッセージ（？）には強烈なものが目立ちました。「ベスト7」をどうぞ！







社長、上司、部下へは厳しいものの、同僚への視線は2とおりに
結構、攻撃的な作品もありました。特に会社や上司に向けられたもの。「この会社　内部留保で　社員切る」「ああ上司　株価で機嫌を　変えるなよ」「副社長　リストラ断行　バカンス決行」「コストダウン　社長だけは　カンケーネー」……。でも、そればかりじゃありません。数は少ないのですが、こんな作品も。「社長さん　こういうときこそ　頑張れよ」「おお上司　あなたでよかった　いい先輩」。　部下を詠んだものには上のように「すまない」系もあるのですが、多いのは逆でした。「オレの部下　残業規制で　仕事も規制」「オレの部下　『仕事がない』と　遊び出す」「オレの部下　携帯ゲーム　アキ時間」……。中には「オレの部下　やる気失くして　辞表出す」人もいれば、「オレの部下　転職成功　次は俺」と動き出した人もいるのは、「この会社　何となくだが　冷たいな」などの気持ちがあるせいかもしれません。　一方、同僚への見方は2とおりに分かれるようです。一緒に頑張ろうという気持ちが表れた、「仲間たち　みんなで分かつ　無理難題」「夢のため　ひとつに集まる　仲間たち」「効率化　しようじゃないか　仲間たち」などが全体の半分。残りの半分は、シニカルというか厳しいというか、以下のようなものでした。「仲間たち　危機感あまり　ないのよね」「仲間たち　笑っているが　みんな仮面」「仲間たち　仕事できねば　仲間じゃない」。　私がいちばん好きなのはこれです。「仲間たち　元気いっぱい　ありがとう」。

　年末になると恒例のように発表される「今年の漢字」。エンジニアに質問したのは「今の漢字」です。言いたいことを「漢字一文字」で表してもらい、併せてその理由を聞きました。300人から集まったのは147の漢字。多かった順に「ベスト7」を、コメントとともに発表します！

●	今の時期を耐えれば必ずチャンスがくる。
●	ぐっとがんばるときだから。
●	今は給料が少なくなっても耐え、景気がよくなったときに新商品を出せるように開発し、スタートダッシュを決める。

●	あらゆるところにしめつけを感じる。
●	収入が激減し、毎月赤字生活が続くから。
●	働いても働いても、お金はたまらない。

●	いろいろ疲れた。
●	この不況で人や予算は減るのに仕事は減らないから。
●	新工場をつくっているので休みがなく疲れている。でも完成したら仕事が減るので、気疲れしそう。

●	やる気が出ないです。
●	仕事がうまくいかず、家庭にも悪い空気が流れ、周りの人間すべての気持ちを表している。
●	明るいニュースがなく、先を考えると憂鬱なことばかりが増えている。

●	トップの判断で昨年始めた新規事業がことごとく大赤字で、設備投資を回収する前にリーマンショックから大幅受注減。判断ミスがなければここまで大きく傾かなかった。
●	品質の低下に伴い、お客様が怒っている。

●	受注が先送り、決まっても短納期・激安価格。
●	不況、円高、経営悪化などと騒がれても一般職には何もできません。眼前の仕事をやるだけです。

●	給料も福利厚生も経費も、削減、削減だから。
●	経費減り、給料減って、やる気減り。でも仕事量だけは減らないんだよなぁ。

●	なにもかも無くなっていくから。
●	金も無く、人もいなく、仕事も無く、すべてが無くなりつつあるから。

　ランキングの上位には入らなかったものの、ちょっとユニークな漢字と選んだ理由を紹介したいと思います。どれからもキツい現状が浮かび上がっていますけれど……。

凹	：	今年は昇給も賞与もないと会社から言われたから。
耗	：	コストを減らされ、すり切れた気持ち。
眠	：	派遣切りなどで正社員の負荷が増え、毎日午前様。
白	：	プロジェクトやプログラムの仕様に悩む日が続いて、白髪の発生率が増えた気がする。
斬	：	給料カットが上乗せされ、人員もカットされて、負担が増えた。それなのに、いらない顧問とか非常勤者がまだ居座っている……早く斬れ。

　とはいえ、悲惨な現状を語るエンジニアばかりではありません。最後に、少しでも元気を出してもらうために、以下の漢字を紹介します。エンジニアは不況なんかに負けません！

零	：	もう一度初心に戻り、ゼロから頑張りたいと思っているから。
閃	：	パッとよいアイデアをひらめいて、不況ムードに光を差したい。
光	：	これからの世代に明るい未来があることを固く信じて。あきらめたらそこで終わりなので、絶対にあきらめません！！
革	：	不況でピンチのときは、逆に変わる（改革の）チャンスでもある。
愛	：	何があっても、愛だろ、愛。