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定額給付金がいよいよ支給される。支給時期は市町村によって違うが、4月末までに市町村の9割が支給を終える見込み。ただ、大都市圏では5月連休以降にずれこむところもある。エンジニア500名を対象に、その使い道について緊急アンケートを行った。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき イラスト/絵理すけ) 作成日:09.04.28
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定額給付金とは「景気後退下での住民の不安に対処するため、住民への生活支援を行うことを目的とし、合わせて住民に広く給付することにより、地域の経済対策に資するもの」(総務省発表)。自民党・公明党の与党協議によって打ち出された新総合経済対策の一環だ。アメリカ、台湾、タイなどでも類似の政策が行われているが、全国民に現金を支給する日本の政策は珍しい。 日本に住民登録している者と、日本に適法に在留する外国人が対象だ。国籍や納税義務の有無はこの際関係ないが、日本人でも在外邦人は対象外。一人につき12,000円。65歳以上、18歳以下については20,000円。赤ん坊でも住民登録がされていれば受給できる。例えば、70代のおじいちゃんとおばあちゃん、夫婦に、中学生と小学生の子どもがいる6人家族の場合なら、総額104,000円になり、結構な臨時ボーナスだ。日本全体では約2兆円の支給額になる。 この政策については財源確保の問題や経済効果、給付事務の地方への丸投げなど、これまで一定の批判があった。野党などは選挙を意識したバラマキ政策だとかみついていた。しかし、いざもらえるとなれば申請してみようというのが当たり前であろう。残業抑制、無給休日、はたまた基本給カット、最悪の場合リストラされるなど、昨年来の厳しい経済情勢の下で苦しんできたエンジニアにとっても、関心は高いはずだ。そこで、聞いてみた。「定額給付金、あなたならどう使いますか? どう使いましたか?」 |
今回の全国のエンジニア500人(有効回答404人)に聞いたアンケートでは、定額給付金の使用目的で最も多かったのが、「貯金する」26%だった。次いで「旅行」19%、「買い物」16%、「食事に行く」14%、「生活費にあてる」9%、「税金の支払い」3%、「親にプレゼント」2%、「ローンの返済」1%となった。使い道が「未定」の人も10%いる。 |
■ランキング エンジニア500人に聞いた「定額給付金」の使い道 |
他のネット調査と比較すると、ちょっと面白い。調査会社マクロミルが4月10日に発表した定額給付金の使い道調査では、1位は「外食」で28.0%だった。2位が「普段の生活費の補てん」(22.1%)、3位が「旅行」(21.7%)となっている。gooリサーチが4月初めに実施した調査でも、1位は「外食」の32.4%。貯金が1位になったTech総研調査よりも、やや享楽的傾向というべきか。エンジニアの財布の紐は意外と堅いというべきか。 その意識を探るべく、アンケートに寄せられた自由回答からいくつか拾ってみることにしよう。 |
まずは、定額給付金という政策そのものへの意見を拝聴してみよう。手厳しい意見が噴出する。もちろんそういう人でも、定額給付金の受け取りを拒否しているわけではない。“懐疑的受容”が大方の態度というべきだ。「金額として中途半端」「12,000円もらってもねえ」という金額が少ないことへの不満も多い。中には、仕事もからんで、二重に嬉しい人もいた。 |
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具体的な使い道で多く挙げられたのは、「待ってました!」というほどの金額ではないため、普段の支出の延長という感じだ。それだけにそれぞれの生活の様子がうかがえて、興味深い。定額給付金の本来の趣旨である消費を、正しく実行しようとする人も多かった。また、意外と多いのが、税金支払いに回すという意見。もとはといえば、定額給付金は国民の税金が財源。それを再び税金として戻すのはどうなのかと疑問が残るが、これもまたやむをえずの選択なのだろう。 |
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定額給付金政策には異論の多いエンジニアたちだが、景気回復を望む気持ちはみな同じだ。「定額給付金以外に景気回復対策として、国や行政に今すぐして欲しいこと」も聞いてみた。 多いのは「減税」を求める声。「内需拡大のため消費税や住民税などの減税」「所得税の減税、食品&日用品類の消費税廃止」といった声が随所から湧き起こる。減税とは少し違うが、「高速道路完全定額制」や「高速道路の無料化」を求める声も少なくない。次に多いのが「雇用対策」だ。中には悲愴感さえ漂う声もあった。女性だけでなく男性からも「少子化・子育て対策」を望む人や、そのまま政府にぶつけたい具体的な政策を提案する人もいた。公務員の報酬や公益法人の運営、官僚の天下りに対する不満も根強いものがあるようだ。 |
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世にもまれな愚策なのか、これしかないのか、あるいは意外といい施策なのか、よくわからないところのある「定額給付金」。その経済効果はともあれ、これをきっかけにエンジニアたちに政治への前向きな関心が生まれたのだとすれば、それはそれで得がたいことなのかもしれない。 |
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