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同僚との別れ、培ってきた人脈がパー、妻や両親が反対…どうすればいいんだ!
転職の心残りを振り切る方法
内定を得た後で心に去来するもの。一緒に頑張ってきた社内の同僚、お世話になった顧客や関係者、愛着のある会社……との別れに「心残り」が生まれてしまう。そんな「迷い」へのアドバイスを、ヘッドハンター、恋愛ライター、ギャンブラー作家の3人に伺った。ほかのシチュエーションにも使えますよ。
(取材・文/総研スタッフ 高橋マサシ イラスト/沼田 健)作成日:08.09.18
Part1 会社の同僚や顧客などの関係者……転職で別れるのがツラい
 退社を迷ったときのアドバイスをお二人に聞いた。ひとりはヘッドハンター。転職希望者が登録する転職エージェントと異なり、見ず知らずの人材を口説き落とすプロだ。もうひとりは恋愛系の女性ライター。会社を移る転職と恋人を変える恋愛に、かなりの類似性があると思うからだ。
エンジニアのヘッドハンター 森博禎氏
森博禎氏 本当に転職したいのですか? 何に迷っているのかわかっていますか? その対象を見つけて解決するか逃げるかを決めるだけでも、決断は早くなります。われわれがヘッドハントする方の多くは、2週間ほどで転職するか否かの決断をしていますよ。
サーチファーム・ジャパン株式会社 常務取締役。機械、化学、工業品などのメーカー、特に自動車業界に強みをもつヘッドハンター。依頼内容から絞り込んだ「候補者」に年間200人ほどに会う。著書に『ヘッドハンターが教えるチャンスの扉を開く人覗く人閉じる人』(アニカ)がある。
恋愛・美容ライター にらさわあきこ氏
にらさわあきこ氏 新しい恋に飛び込みたいけど気持ちが煮え切らず、ずるずるとそのまま。多くは自然と別れてしまいますが、その間に年齢を重ねています。あなたは昔のままのつもりでも、レベルアップをしていなければ、周囲が見るあなたへの条件は厳しくなっていますよ。
NHKディレクターを経てフリーとして活動。女性の幸せな生き方を追求し、取材・執筆活動を精力的に行う。著書に、『3つのHでオトコをつかむ』(マガジンランド)、『必ず結婚できる45のルール』(マガジンハウス)、『人に優しくされる技術』(中経出版)など多数がある。
【社内編】仲のよい仲間と別れるのは正直ツライ!
森博禎氏  いい職場環境のようですから、動く必要はないのでは? ただ、同僚や友人は転職するかもしれませんよ。自分が思うほどに周りはあなたを重要視していないのかもしれないので、もっと客観的な目をもちましょう。最悪なのは何に迷っているのかがわからないケースで、これがはっきりしない人は転職をやめたほうがいいですね。
 伝えたいのは、最終的に決断するのは自分自身ということです。われわれは、候補者を口説いたりはしません。もちろん相談には乗りますが、積極的にお勧めするのはすべてにおいて条件がよい場合のみ。それも一度しか言いません。それでも皆さん、2週間ほどで結論を出していますよ。
にらさわあきこ氏  昔の恋人に戻るなら、戻るなりの覚悟をすべきだと思います。それは決して楽な道ではなく、より修練が必要になるからです。2人で一緒に成長するといった気持ちがなく、一時の情や思いやりだけで関係を続けても、結局は別れてしまうもの。相手に求めるだけでなく、自分が求められるという視点をもつことが大切です。
 余裕があるせいでしょうか、彼氏のいる女性はモテるんです。「昔の彼女がラク」という安直な気持ちで、「付き合っている意味」を考えないと、誰かに彼女を取られてしまうかもしれませんよ。ちなみに、こうした決断は女性のほうが早いですね。男性はなかなか自分を客観視できませんから。
【関係者編】築いてきたネットワークがなくなる!
 これが悩みなら転職しましょう。コネクションやネットワークは切れませんから、大丈夫です。仕事の関係者から見れば、あなたの転職先というアカウントがひとつ増えたようなもので、逆に喜ぶのではないでしょうか。転職時の契約で一定期間の接触が禁じられても、一生ではありません。
 エンジニアの転職では、「あなたの技術力が欲しいからうちの会社にぜひ」と言われているわけです。われわれならクライアントの求める人材を、業界→企業→部署→人員構成→個人へと絞り込んでご連絡をして、それでも会えるのが10人中3〜5人でしょうか。最終的には50人にお会いして5人が残るなどです。こんな有望株には向こうから寄ってきますよ。
森博禎氏
 この場合は、女性が彼氏のネットワーク(友人・知人)の中に入るほうが多いと思います。でも、別れた後で遠慮して連絡しないのは、男性のほうが多いようですね。いずれにせよ、気にすることはありません。思い切って連絡をすればよいのです。
 自分と友達とその恋人と、一緒に遊んだり仕事で付き合ったりして楽しく過ごす。友達が別れたら、その恋人に連絡するのをためらう気持ちはわかります。しかし、相手も同じく残念に思っているかもしれない。自分から動きましょう。メリットは多いですし、仕事でつながりや共通点があるならなおのこと。向こうは意外と気にしていなかったり、あなたからの連絡に喜ぶかもしれませんよ。
にらさわあきこ氏
Part2 “常打ち賭人”の人気作家、森巣博氏の「やめる決断」
 ギャンブルとは決断の連続だ。その時々の現状を把握し、分析し、判断する。その連続が勝負を左右していく。オーストラリア在住でギャンブラーとして生活する「兼業作家」の森巣博氏に、「決断」について原稿を寄せていただいた。
リスクを冒さないのは、最大のリスク
 資本主義の成立は16世紀から、17世紀にかけてでした。
 資本主義の本質は、ギャンブルですね。「未来の収益に対して投資する、あるいは賭ける」という考え方です。
 資本主義経済の根幹をなす株取引は、17世紀のロンドンにあった「コーヒー・ショップ」を、その起源としているそうです。当時のコーヒー・ショップって、15世紀にエジプトから紹介されたコーヒーという香り高い飲料を供する場であったことは確かなのですが、実体は、法律で禁止されたカード・ゲームで賭博をする場所でした。いま流に言えば「アングラの賭場」です。
 そこでは、サウスシー(現在のインドネシア周辺の海域)に胡椒を取りに行く船の権利を、危険分散のために分割して販売しました。船が1着で戻ってくれば莫大な収益をもたらし、一方海の藻屑と消えてしまえば、リターンはゼロとなる。出航した船が戻ってくるまでに、マジ・ガセ入り乱れて、いろいろな情報が飛び交います。そこで株が、賭けの対象となって売買された。

2万ドル(約200万円)ヒットの瞬間(左側が森巣氏/オーストラリア、ケアンズのリーフ・カシノにて)
2万ドル(約200万円)ヒットの瞬間
(左側が森巣氏/オーストラリア、ケアンズのリーフ・カシノにて)
  その起源からも推察できるように、資本主義を勝ち抜く鉄則は、
 HIGH RISK, HIGH RETURN.
だと思います。
 リスクを冒したくない、というのは、それはそれでひとつの生き方です。
 ただしそうであるなら、栄光は求められません。
 なぜなら、必然的に、
 NO RISK, NO GLORY.
 となるからです。
 ただ、いつもいつも、崖っぷちで勝負をしていたら、人はいつか必ず負けてしまいます。従って、勝負どころを見切ることが重要となるわけです。
 負ける勝負は仕掛けない。勝つ可能性が高い勝負だけを挑む。

 話は変わりますが、ロッククライミングでは、「最も安全な登り方」として「三点確保」法をまず教えられます。手脚三点でしっかりと地点を確保し、残った1本の手か脚で、より高い基点を探っていく方法です。
 実はこれより安全な方法があって、それが「四点確保」法です。手脚4本で、安全な地点にへばりついている。確かに安全です。ただしこの方法には、上にも下にも進めないという重大な欠陥があります。そのうち疲れて、ずるずると落下してしまうのでしょう。
 経済社会のパイが拡大の一途であるなら、全体が右肩上がりとなるので、「四点確保」法でも、全体にへばりついたまま上昇する可能性はあるのでしょうが、「未来の収益」がどうなるかまったく見えない現段階での資本主義状況では、「四点確保」法は避けるべきだろう、というのが私の理解です。
 郵貯だってどうなるかわからないし、日本国債なんて紙くず同然になる可能性がかなりあります。
 リスクを冒さないと、じり貧となっていく。
 私の言葉で言うと、
 ――リスクを冒さないのは、最大のリスクである。
となります。

勝てば幸運、負ければ実力
 さて、いつ、どこで、どういうリスクを取っていくのか?
 これに関して、一般的で定式化できる法則はないと考えます。
 いや、ある。とばかりに手軽な解決法を教授する本が、巷には溢れていますが、あれはみんなウソです。手軽な解決法を教授する本を書いた著者を、よく観察してみてください。エアコンもない西日の当たる4畳半の部屋で、汗まみれになりながらパソコンと格闘していたりします。
 一般的で定式化できる法則はないのですが、これまで三十余年をカシノという「合意の略奪闘争の場」で生きながらえてきた私という個の経験則は、語ってもいいだろうと思います。
 それは、大きな勝負手を仕掛ける際に、理論も確率もあまり参考にはならない、という点です。
 これは、理論や確率を無視してもいい、ということにはつながりません。理論と確率を十分に理解したうえで、状況を検証し精査し、それでも最終的には理論と確率を忘れ去って、エイヤッ、と眼をつむって跳ばなくちゃいけないときが必ずある、ということなのです。
 怖いです。
 恐ろしいです。
 怖くて、当たり前。
 恐ろしくて、当然。
 結構じゃござんせんか。
 上等じゃないのよ。
 そう腹を括って大勝負は戦うしかないのです。栄光は、そうしないとつかめません。
 リスクを冒さないのは、最大のリスクなのですから。
 そして、その大勝負に勝てば、ただただ幸運だったのです。一方、負けてしまえば、それが実力なのです。
 ――勝てば幸運、負ければ実力。
 これも資本主義経済のエッセンスではないのでしょうか。
森巣 博氏
1948年生まれ。オーストラリア在住のと博奕打ち兼作家。英国出身で日本研究者の妻と天才息子について自ら綴った『無境界家族』や、オーストラリアのカシノを描いた『越境者たち』、姜尚中と共著の『ナショナリズムの克服』、日本のマスコミを憂える『ご臨終メディア』(森達也と共著)など、ジャンルを超えた著書が多数ある。2007年3月刊行の小説『二度と戻らぬ』では、再びギャンブラーの世界を描いた。
森巣 博氏著書
Part3 会社への愛着、家族の反対……内定を喜んだのはいいけれど
 再び、森氏とにらさわ氏にシチュエーション別のアドバイスを聞いた。Part1は人間関係についての「心残り」だったが、ここでは会社への愛着と家族の反対をテーマにした。前者は自分でも気づかないうちに大きくなっている気持ち、後者は企業の人事担当者も悩む内定辞退の大きな要因だ。
【会社編】長く勤めた会社から出るのが不安になった!
森博禎氏  転職すれば社風や仕事のプロセスが変わるのは当然です。なぜなら、転職とは仕事の仕方を変えることだからです。ただ、エンジニアには汎用性の高い「技術」という腕がありますから、最初は違和感があってもすぐに慣れるでしょうし、移った先の社風やシステムのほうが性に合っていることもあります。営業職のほうが何倍も大変なんですよ。
 私は、最近のエンジニアが骨抜きにされているように思います。変にシステマチックに動かされていて、「自分の腕を生かす」という人が少なくなったと感じます。技術の領域は無限に広がっていますので迷うのは当然としても、おじけづいてほしくない。転職の目的をもう一度はっきりさせてください。
にらさわあきこ氏  解決法は2つあると思います。相手に合わせるか、自分のスタイルを貫くか。例を出せば、前者ではお金持ちの女流漫画家さんと結婚した、ごく普通の男性のケース。彼は奥さんのサポートを自分の仕事と決めて、家事や子育てを引き受けたんですね。初めは不安でしたが、やってみたらこれが苦にならない。「意外に楽しい自分」を発見したわけです。
 後者では、著名な女流作家さんと結婚した会社員の旦那さん。お二人の仲はとてもよいのですが、彼は彼女の仕事にタッチせず、出版パーティなどにも出席しません。そこは自分流なんですね。ですから、まずは飛び込んでみて、どうしてもダメなら自分流。いずれにせよ躊躇する必要はありません。
【家族編】女房や親が反対する気持ちもわかる!
 いちばんの難問です。私はメーカー担当なので、転職者にとっては勤務地が大きく変わることが多くあります。ご家族、特に奥さんが遠く離れた初めての土地に不安を抱くのは当然ですから、現地の家の手配や学校や病院の案内はもちろん、手当の増額をクライアントに提案することもあります。調べてあまりに条件が悪いと、転職を勧めませんけど(笑)。
 大切なのは不安材料をヒアリングして解消するように努力すること。できることとできないことをはっきりさせること。そこまでして無理なら無理なんです。ただ、半分、あるいは半分以上の方は納得して転職を決めています。
森博禎氏
 家族が評価する基準は年収や外見など「条件」が多いのに対して、当人が恋人を選ぶのは「気持ち」。だからギャップも起こるわけですが、その家族が本人の幸せを考えているのか、家族全体の幸せを考えているのかによって対応は異なります。
 本人の幸せをいちばんに考えての反対なら、いかに素晴らしい恋人か、いかに自分が幸せかをアピールすればわかってくれるはず。愛している人なのですから、熱意をもって説明できるでしょう。家族全体の幸せが理由なら、共同体としての将来や方向性を話し合うよいきっかけになります。そのうえでアピールし、どうしても無理なら、個人的な幸せを選ぶこともできると思います。
にらさわあきこ氏
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高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ 高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
森巣さんにお願いした理由は、私が氏の作品の大ファンだから。ご紹介いただいたクーリエ・ジャポン編集部(講談社)に感謝いたします。にらさわさんも知人の紹介。とてもすてきな方で見てのとおりの美人ですから、取材中は緊張しまくりでした。森さんは「信頼できる紳士」。親切かつ丁寧な対応に頭が下がりました。こんな素晴らしい人たちと接せられる編集者という仕事、いいものですよ。

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