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湘南は名古屋や京都にも負けない、成長企業の集積地だ──というニュースを耳にした私(ストーカー改め)ウオッチャー三浦は、居ても立ってもおられず、2003年10月を最後に停止していた生息圏ウオッチング活動を再開した。 いざ湘南へ。といっても、厳密にこのエリアが「湘南」と定義されているわけではない。神奈川県による行政区分では、平塚市、藤沢市、茅ヶ崎市、秦野市、伊勢原市、高座郡寒川町、中郡大磯町、中郡二宮町となっている。湘南ナンバー対象エリアは、さらに広範になる。そこで今回は最も湘南らしさが感じられる大磯〜藤沢までの海沿いの地域を探索することにした。 |
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AM10:00 大磯に着く。 | |
東京・新宿を9時に出発し、まず、向かったのは大磯町。大磯といえば頭に浮かぶのが大磯ロングビーチ。1970年半ばから80年代前半にかけて青少年期を過ごした読者みなさんなら、覚えているのでは、大磯ロングビーチでアイドル水泳大会が開催され数々の名場面が生まれたことを……。でも大磯はもともと伊藤博文氏や吉田茂氏、大隈重信氏など政財界の要人の別荘地として発展、その後、それらの建物は古河電気工業や東京電力など大手企業の保養所として使われるなど、かつてのエンジニアにとっては、まさに憧れのリゾートだったわけだ。 海を見下ろす高台には、バラのアーチに飾られた瀟洒な邸宅が並ぶ。大磯は昔ながらの別荘地の雰囲気を今に伝えている街。そんな大磯には隠れた(?)見どころがある。照ヶ崎海岸の「アオバト」だ。アオバトは日本列島と中国の一部で見られる、世界的に珍しい鳥。この海岸はアオバトが集団で訪れる水のみ場となっているのだ。 アオバトと青い海を満喫した後、エンジニア生息圏の中核をなす茅ヶ崎へと車を走らせた。 |
AM11:00 茅ヶ崎駅に到着。 | |
茅ヶ崎も大磯と同じように政財界の要人たちの別荘地として注目され、その後、交通機関が便利になるととともに東京のベッドタウンとして発展した歴史をもつ。 茅ヶ崎駅では、生息圏度の高さを表す(?)モニュメントを発見。それは2005年に打ち上げられたスペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗した野口聡一宇宙飛行士の手形だ。この手形をきっかけに宇宙や宇宙船に関連する技術について、彼女(彼氏)や家族に語ることもできる。実は茅ヶ崎駅北口は、「ちがさき手形ロード計画」が地元の有志で進められているのだ。野口飛行士のほかには、俳優であり歌手の加山雄三氏の手形もある。 また駅北口ロータリー界隈には、昭和テイストなスタイルの模型店もある。 モノづくり魂をくすぐられる街だ。 |
サザンビーチ ソフトエンジニアにはなじみのある「C」マークに出合う。 | |
茅ヶ崎駅南口を南下し国道134号線を渡ると、サザンビーチに到着。ビーチの入り口に茅ヶ崎の頭文字Cをシンボルにした「茅ヶ崎サザンC」のモニュメント。Cの文字の切れ目にカップルが立つと「円」として完結することから、縁(円)結びの輪として有名だという。ソフトエンジニアがこのモニュメント付近で仕事を思い出してしまうかもしれない。目と鼻の先にはサザンの歌でも有名な烏帽子岩、その左後方には江ノ島が見えるというナイススポットで、「サザンCでプラプラ→C++」と一発おやじギャグを飛ばして、彼女のハートをわしづかみ(凍えさせる?)するのも一興だろう。 サザンビーチの近辺には海を眺めながら食事できる店も多いが、中でもお勧めなのが、「サザンビーチカフェ」だ。白を基調にしたおしゃれな外観。わんちゃんOKのテラス席もあれば、室内にはゆったりしたソファ席もある。彼女(彼氏)、家族と日ごろの疲れを癒すのにはもってこいのスポットだ。 |
湘南企業の雄:アルバックを訪ねる。 | |||||||||||||||
ビーチを離れ、湘南企業の強さの秘訣を探るべく、茅ヶ崎に本社を構えるアルバックを訪ねた。アルバックがなぜ、茅ヶ崎に本社を構えたのか、またアルバックのエンジニアたちは、この地で働くことをどう感じているのか、取材した。 | |||||||||||||||
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PM 3:00 藤沢市に到着。最終探索開始。 | |
アルバックを出て、本日の最終探索地藤沢市へ向かった。藤沢は湘南地域最大の人口を抱えた中心都市。藤沢駅にはJRや小田急江ノ島線、江ノ島電鉄が通っており、横浜や東京へはもちろん、江ノ島などの観光地へのアクセスも便利である。駅周辺には、家電量販店や大型書店などの商業施設が集積しており、生息圏としての満足度も高そうだ。 藤沢駅と鎌倉駅を結ぶ江ノ電は「鉄好き」だけじゃなく、「リゾートにのんびりと出かけたい」というエンジニアにとっても心揺さぶられる乗り物だ。藤沢駅から江ノ電に揺られること約10分で、江ノ島駅。ウインドサーフィンやヨットなどマリンスポーツに興じる人々の姿が見える。 また藤沢にはIT分野における最先端の研究を行っている慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)がある。キャンパスの地域内には、SFC発の技術シーズを活用したITベンチャーおよび、大学との連携により起業を目指す人を支援する施設「慶応藤沢イノベーションビレッジ」が設置されている。ITベンチャーを育成する土壌も用意されているというわけだ。起業して成功すれば、江ノ島を自分のクルーザーでクルージング……なんてことが現実になるかも。 そのほか、大手企業の藤沢への集積も目立つ。2008年2月には日本精工が藤沢新工場を竣工、2010年には武田薬品工業も藤沢市に新薬の研究開発をする中央研究所を新設するという。これらから判断しても、藤沢はエンジニア生息圏に適しているといえそうだ。 |
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