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Let`s快汗エンジニア☆週末スポーツのすすめ Vol.1 気力体力急上昇!「パラグライダー」で極上の爽快感を パラグライダー
エンジニアのみなさん、いい汗かいてますか? 新連載「スポーツのすすめ」第一弾は、物理が好きな方なら、なお楽しい「パラグライダー」。エンジンなしでも数時間滞空できる、そのメカニズムと魅力を探る。
(取材・文/ぱうだー 総研スタッフ/山田モーキン)作成日:08.05.12
パラグライダーとは
パラグライダーは、動力なしで人間が空中遊泳を楽しめる数少ないスカイスポーツのひとつだ。パラシュート状のグライダーを装着し、丘や山頂から斜面の向かい風を利用して離陸。空中では通気性のない超軽量ナイロンの翼を炭素繊維のラインで操作し、空気の力を利用した加速・減速・旋回が可能である。20年ほど前に始まったまだ新しいスポーツで、日本での愛好家(JHFフライヤー会員登録者数)は現在2万人弱となっている。専門的な技術と知識を使うため、単独飛行には教習(飛行技術と航空理論、法規及び気象学)や技能証(パイロット証)が必要である。フライトは全国に約300カ所ほどあるフライトエリアで行う。
パラグライダーは、上昇気流に乗ってこそ!
早野伸一氏
早野伸一氏
ながとろパラグライダースクール校長。都心の近くにありながら、自然に恵まれた長瀞でスクールを運営して5年目。パラグライダー歴は16年。空に生きる、自称「へそ曲がり」の39歳。

ながとろパラグライダースクール http://www.airkassy.com/nagato
ro/index_pc.html
東京都心から約2時間、荒川のすがすがしい源流に出合える長瀞へ。こちらの「ながとろパラグライダースクール」では、自然に恵まれた環境の中で、空の楽しさに触れる機会を多くの人に提供している。あいにく取材当日は強風で飛べなかったが、そんなときはよい風が吹くまで、空を愛するフライト仲間と楽しく過ごせる、気さくな雰囲気あふれるスクールだ。
今回はこちらのスクールの校長として、初心者からベテランまで多くのフライヤーへのパラグライダー指導、そしてその普及活動に力を入れている早野氏に、パラグライダーならではの特徴と魅力について伺った。
パラグライダーとは、どんなスポーツ?
パラグライダーは、いちばん安く手軽に空を飛べるスポーツです。たまにハンググライダーと間違われますが(笑)、パラグライダーのほうがこうして椅子に座っていられるぶん、気軽だと思います。

安全飛行には専門の知識と技術が必要なので、パラグライダーは資格制度がとられています。単独で飛ぶためのパイロット資格をとるにはだいたい2年くらいでしょうか。もちろん資格がなくとも、こちらのようなスクールであれば、専門家のサポートを受けながら安心して飛行を楽しむことができます。
意外にコンパクトに収められているバッグの中に装備が。重量は約20kg。
パラグライダーフライヤーの特徴は?
パラグライダーフライヤーの年齢や職業はさまざまですね。ほかのスポーツに比べると、座った姿勢でそれほど体力を消耗しないので、年を重ねても十分楽しめます。実際に今、75歳で現役飛行をしている人もいるんですよ。

最近、フライヤー人口が減っているのが残念ですね。バブル時代は「フライヤー登録人数」が3万5000人ほどいたんですが、今は1万5000人くらい。個人ジェット機と比べると安い(笑)。とはいえ、装備一式の費用(60万円くらい)が不況の中でネックになっているのかもしれません。
これがパラグライダー装備一式
どうやって空を飛ぶ?
最初は斜面にパラシュートを置き、向かい風を利用してパラシュートを頭上に持ってくる練習をします。そしてうまく頭上に上がったパラシュートに身を任せたら、もう滑空が可能です。慣れてきたら、山頂にある離陸場から飛び出します。ある程度高さがあるところから滑空し、うまく上昇気流をつかめば下降だけじゃなく、なんと上昇も可能なんです、意外でしょう? 上昇を続ければ、動力なしで何時間でも空にいることができるんですよ。
上が浮力に欠かせない、空気の取り込み口。下は「命綱」でもあるグラスファイバー製の糸。これ1本で100kgの荷重にも耐えられる。
パラグライダーの基本的プレー説明

(左上から時計回りで)
@まずは大きく羽根を広げる A滑空体制に入る B勢いよく走りながら風を羽根に集める C浮力がついたらいすに座り、そのまま滑空
パラグライダーをプレーする最も難しいポイントは?
何といっても「見えない空気を読む!」ところですね。パラグライダーの醍醐味である「よい上昇気流をつかむ」のは本当に難しい。数人で飛んでいるときは、ほかの人がすいすい上がっているところには上昇気流があるとわかりますが、ひとりのときは手探りです。大きな積雲の下とか、とびが回りながら上昇しているとか、崖に面しているとか……経験を積みながら自然がくれる小さなサインを見逃さない、観察力を磨くことが大切だったりします。

また風が強くても、そして風向きが悪くても飛べないので、貴重な休日によい風が吹くかどうか、プレーヤーは天気図チェックに余念がありません(笑)。でも「いざ!」と思ってフライトエリアに到着しても、いきなりの雨や強風で飛べないこともあるんですね。自然に左右され「開催率が最も低い」なんて揶揄されるスポーツですが、飛べないときはさっぱりあきらめて、よい風を待ちながら仲間内で盛り上がったりしているんですよ。
標高500mにある離陸場。秩父の山々が連なる
そんなパラグライダーのいちばんの魅力とは?
道具の仕組みはシンプルなのに奥が深いところですね。上昇気流をうまく見つけて乗り継げば、離陸地点から100km以上離れた場所まで移動できてしまう。平面の移動だけではなく、高さも500〜2000mまで変わる。三次元でこれだけ動けるスポーツはそうそうないと思います。
この上昇気流の乗り継ぎで長い距離を移動することを「クロスカントリー」といい、パラグライダー資格の中では最高位になります。現在の日本最高記録は、移動距離153km、滞空時間4〜5時間。この布と紐で?エンジンもないのに?と思うとちょっと驚きですよね(笑)。
安全飛行のためには欠かせない、通信機器
新しくパラグライダーを始めるエンジニアへ
ふだんオフィス街で仕事をしていると、なかなか空を見上げる機会は少ないのでは? 実は空って広い!ということを、ぜひご自身で体感していただきたいですね。パラグライダーは体への負担が少ないスポーツなので、年をとっても十分続けられるうえ、長年の経験が飛行に生きてくる面白さがあります。
もちろん飛行機でも空は移動できますが、「乗せてもらっている」ではない「自力で飛んでいる」感覚は何物にも替え難い。機会があれば、皆さんぜひ、その感動を実感してみてください。

スキューバではタンクの酸素量=海に潜れる時間ですが、パラグライダーには限界なし!(笑)。燃焼機関を必要としないので、エコなスポーツでもあると思います。ヨーロッパに比べるとまだまだプレーヤーが少ない日本。これからまたどんどん愛好家が増えていくとうれしいです。
「自力で飛ぶ面白さを体感してほしい」と熱く語る早野氏。
パラグライダーにハマるエンジニア、その魅力を語る!
エンジニアプロフィール
片山さん(仮名・37歳)
組み込みエンジニア
2ヵ月に1度、週末は車で都心から伊豆にある、パラグライダー飛行場に直行。
エンジニアから“パラグライダーフライヤー”に変身する。
これがきっかけでパラグライダーにはまった!
10年前にゴールデンウイークに同期の社員に誘われたのが、パラグライダーを始めたきっかけでした。最初は伊豆でやっていた2日間の体験コースに。道具の使い方から始まって、機体を上げる練習をしました。パラシュート部分が斜めになって浮いてしまわないよう、まっすぐに維持するんですが、それがなかなかむずかしくて。でも最後は初めてでもなんとか20mくらい飛ぶことができました。
そのときは「こんなに浮くのか!」と結構驚きましたね(笑)。パラシュート自体を操縦して、進路を曲げたりできるというのもかなり新鮮でした。
パラグライダー、ここが楽しい!
やはり上昇気流に乗って上がることですね。私はいま「パイロット資格」をもっているので、地上からの無線指示なしで単独飛行できるんですが、上昇気流をつかまえて長時間滞空できたときはものすごく気持ちいい。いまの自己ベストは2時間です。
滞空しているときに、上空から見る景色もおすすめです。上昇するときは秒速3mくらいの速さで見える景色がどんどん変わっていくんです。私がよく行くのは伊豆。ここでは離陸と着陸で500mくらいの差があるんですね。その高低差が見せる景色の変化は飽きないですよ。

それに、パラグライダーって理論的なんですよね。フライト資格をとるときに勉強する揚力や浮力なんて、完全に昔学校でやった力学の世界。安全に飛ぶためにはかなり理系の知識を駆使するので、エンジニアはすんなり入れたり、「懐かしい知識!」と思ったりするのでは?
これからも続けるパラグライダー
最近、フライトは2カ月に一度くらいかな? もう行く日が決まると何日も前から天気図チェックですよ。私なんか天気図だけじゃなく、現地固定カメラのライブ映像も見ています(笑)。
フライトには仲間数人で行くことが多いので、ちょっとした小旅行気分ですね。ふだん働いている高層ビルから下を眺めるとちょっとした開放感を感じるんですが、フライトのそれとは比べ物になりませんね。飛んでいるときは仕事のことはまったく考えません。非日常な感じがいいんです。

今度はさらに上の資格(クロスカントリー)に挑戦したいですね。そしてクロスカントリーのレースにも出たいと思っています。
やってみるとわかりますが、パラグライダーではそんなに体力や持久力はいらないんですね。今から初めて、年配になっても続けていられるスポーツだと思っています。年を取るとトラブル時でも慌てず冷静な対処ができるなんていう話もありますし。
私も年配になるまで(笑)、ずっと続けていくつもりです。エンジニアの方にもぜひおすすめしたいですね。
まとめ:パラグライダーは、エンジニアの頭脳と体を爽快に刺激する!
降下を楽しむだけと誤解していたパラグライダーのなんと奥が深いことか。どちらかというと体力より知力・判断力が試されるパラグライダーは、ふだん頭脳勝負をしているエンジニアには入りやすいスポーツといえるかもしれない。仕事での冷や汗、脂汗だけでなく、さわやかな風を感じて流すすがすがしい汗を、ぜひこのレポートをきっかけに感じてみてはいかが?
さあ早速、今週末からLet’s 快汗!
パラグライダーを実際にプレーできる場所は、そのプレースタイルから山中や海沿いなど、自然にあふれた郊外を中心に、全国各地に点在している。
また多くの施設では低料金で気軽に楽しめる、初心者向けの「体験コース」を用意している。
まずは下記に紹介した窓口から最寄りの施設を探したうえで、パラグライダーならではの「爽快感」を体感してほしい。
社団法人 日本ハング・パラグライディング連盟
http://www.hangpara.jp/
NPO法人 日本パラグライダー協会
http://www.jpa-pg.jp/
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山田モ―キン(総研スタッフ)からのメッセージ 山田モ―キン(総研スタッフ)からのメッセージ
今回からスタートした、エンジニアにオススメのスポーツシリーズ。今回のパラグライダー、残念ながら強風の影響で体感できなかったのですが、インストラクターの方に撮影のために少しだけ飛んでいただいたのを間近で見て、「心地よい爽快さ」をちょっとだけ体感できた気がしました。
次回以降もさまざまなスポーツの魅力を紹介していきますのでぜひ、読者の皆さんからも、普段プレーされているスポーツについてご意見いただければ幸いです。

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