鉄道出張を楽しめ！　移動時間を無駄にしないテク40


	エンジニアの中でも多くが利用するであろう出張時の鉄道。「移動時間が退屈だから嫌い！」と思っている方に、鉄道だからこそ、とことん出張が楽しめる“ちょっとした”ノウハウを紹介しよう。（総研スタッフ／山田モーキン　イラスト／内山弘隆）作成日：08.02.19

今回、一般エンジニア500人にアンケート調査を実施したところ、右図のように全体のおよそ7割が、鉄道を利用した出張経験があると回答している。
またさらに掘り下げて、「出張時、鉄道を利用して移動するときに何か自分なりの楽しみ方をもっているか？」（左下）との質問に対しては半数のエンジニアが「もっている」と回答している。そしてその「楽しみ方」（右下）としては、乗る車両や車窓、駅弁や車内サービスなどが挙げられている。
では早速、多くのエンジニアが実践している、鉄道出張を楽しむテクニックの数々をご紹介したい。




	鉄道の大きな醍醐味である車窓。最も多かったのは東海道新幹線の車窓から見える富士山を毎回、楽しみにしているエンジニアが相当数存在すること。富士山を「ベストポジション」で鑑賞するためのひと工夫に精を出す姿を想像すると、富士山の存在は出張による疲れを癒す大きな力になっているといえる。また富士山と同じくらい多かったのは通過する街並みが、時間の経過とともに変化していく様子を事細かにチェックしていること。もしかしたら日進月歩で技術進化するエンジニアの世界とダブらせながら観察しているのかもしれない。




	ご覧のとおり日本各地、ご当地名物駅弁や食べ物のオンパレードとなった。それそれ「お気に入り」の駅弁を目当てに毎回、短い乗り換え時間を効率的に活用しながらゲットしている様子が回答コメントから垣間見られた。中には「列車を一本遅らせてでも目当ての駅弁をゲットする！」といったツワモノも。慌ただしい日常の中で車内で駅弁とビールを堪能するひとときが、多くのエンジニアにとって出張時の数少ない楽しみなのかもしれない。




	特に鉄道好きエンジニアにとっては移動時に乗る車両そのものも、鉄道出張ならではの楽しみのひとつ。中でも人気の高かったのは新幹線の最新型車両である「Ｎ700系」。大きなカーブ走行時、車体を傾斜させながら高速走行する瞬間を体感したり、数多く設置されているコンセントを使ってPCなどを利用することで思い思いに楽しんでいるようだ。またＮ700系と負けず劣らず人気があったのが、山陽新幹線内を走行する「ひかりレールスター」。普通車なのにグリーン車並みのゴージャスな居住空間を擁していることから、事前に予約して乗車するエンジニアが多いようだ。短いようで長い移動時間を少しでも快適に過ごしたい意向を反映しているといえるだろう。




	移動時にひとつの「アクセント」をもたらしてくれる車内サービスもまた、鉄道ならではの魅力。数ある車内販売において意外？に人気があったのが「アイスクリーム」。しかも回答例にあるようにどのタイミングで回ってくるのか、あらかじめ把握したうえで利用している「常連」エンジニアが多く見受けられた。また車内の過ごし方としては、「読書」「ゲーム」「飲酒」が大半を占め、まるで自分の家のようにくつろげる大事な空間として、鉄道車内は多くのエンジニアに利用されているようだ。

エンジニアが普段実践している「出張時の鉄道を楽しむテクニック」の数々を見ていると、鉄道好きであってもそうでなくても、普段多忙なエンジニアにとって少しでも「ホッとできる」時間を、ちょっとした工夫で得られる鉄道は、実はとても頼もしい存在ではないだろうかと思えてくる。
最後に今回、500人のエンジニアに「鉄道が好きか？　またその理由」について質問してみたところ、実に6割近い回答者が「好き」と答えている。
その代表的な理由は下記のとおり。

・	機械設計者にとって、新幹線以外は技術のカベを破るイメージがないので設計したいとは思わないが、新幹線は設計してみたい（40歳・機械設計）
・	見ることにも乗ることにもロマンを感じる。このスタイリングの美しさはほかの乗り物にはない（34歳・システム開発Webオープン系）
・	機械、電気、土木、建築、電子……すべての技術が集まって構成されていて興味が尽きない（38歳・システム開発汎用機系）
・	子供のころから鉄道が好き。仕事で鉄道の車内表示システムを担当したときはとても興奮した（35歳・システム開発マイコンファームウェア）
・	鉄と機械の塊であるがその性能のよさ、ecoであり優れたデザインであるところ（43歳・サービスエンジニア）
・	長距離移動の原点だと思う（35歳・社内情報システム）
・	飛行機では短時間であんまりのんびりできないが、電車の長距離移動は景色を楽しみながら自分の時間をもつことができる（25歳・生産技術）
・	移動を演出してくれる乗り物。レールでいろんな地域がつながっており、いろんな形式の車両があって楽しい（31歳・回路システム設計）
・	早くもなく遅くもなく適度な所要時間で、出張の疲れを癒せる（37歳・社内情報システム）
・	鉄道に限らず乗り物はエンジニアとして注目に値する対象。世界に類を見ない正確な運行、安全性、大量輸送、快適性を兼ね備えているところにモノづくりの一端を担う者として親近感を覚える（40歳・回路システム設計）

このように多くのエンジニアが、鉄道ならではの魅力をそれぞれに感じている。
そして鉄道でしか得られない数々の「癒し」や「楽しさ」を、今回ご紹介したテクニックで思う存分味わうことができたなら、きっと出張先でも最大限のパフォーマンスを発揮できるのかもしれない。

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山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ

前回掲載したこちらの記事に引き続いて、鉄道をテーマにお届けしてみました。たとえ仕事が目的の出張とはいえ、私自身は鉄道を使った移動は日常の中の「気分転換」として大いに役立っていると思っています。今回ご紹介した手段を使って出張してみると、もしかしたら出張先の仕事もはかどるのではないか？と、鉄道好きの私は真剣に考えています。