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コードの美しさを語らせたら止まらない、時間が経つのを忘れる…
スゴ腕?下請け任せ?SEのプログラム愛情度チェック
SEって、実際どのくらいプログラムができるものなのか?SEの仕事は人それぞれ。毎日プログラミングだけの人もいれば、下請けまかせでプログラムなんて全然理解できない人もいる。そこで、SE300人のアンケートから、そのプログラミングスキルを4つのタイプに分類してみた。
(取材・文/総研スタッフ/宮みゆき イラスト/絵理すけ) 作成日:07.09.07

Part1.SEの仕事風景とプログラムスキルで4つに分類!

 SEは実際に日々の業務でどれだけプログラムに携わっているのか。今回22〜35歳のSE300人にその仕事風景や、プログラムに対するこだわり、悩みを聞いた。まずは、仕事でのプログラム業務比率と、回答者の自己申告によるプログラミングスキルから4つにタイプ分けしてみた。

CASE1 最新プログラムも上流工程も僕におまかせ!スーパーSE
現場でも、技術でも頼れるリーダー。業界を牽引するスゴ腕SE

 まずはじめに紹介するのは、現場のプログラミングから上流工程まで、何でもこなせるスーパーSEタイプ。主に先端ベンチャーでどっぷりと新しい技術にひたっていたり、大手Web系企業でプロジェクトマネジメントをしていたりする。SE全体の中でも数少ない「希少種」エリート、と言えるかもしれない。
 このタイプの場合、プログラミングに限らず、仕事は何でもできるうえ、何をやらせてもレベルが高く、会社からの評価も高い。そのため、必然的に任される仕事も上流工程が中心。重要なポイントや、チーム内のリリーフ的にプログラミングをすることもあるが、あくまで仕事の一部で、メインではない。
 でも、実のところプログラミングは大好きで、なおかつ、こだわりも人一倍。プライベートでプログラムを組んでフリーウェアとして配布していたり、技術誌で最新の技術動向について記事を書いたり、自らブログやフォーラムを立ち上げて情報発信したり、コミュニティを作ったりと積極的に活動する人も多い。

生息率7%
プログラムに対するこだわりは?
  • プログラムコードの美しさについて語リ出したら止まらない!(31歳・汎用機系)
  • 最新の技術や手法を積極的に取り込んでいる(34歳・オープン系)
  • 技術フォーラムやサークルに参加して、プログラムについて語り合うのが大好き(33歳・ファームウェア系)
日々の情報収集はこんなところから?
  • 言語のフォーラムに参加。新しい技術は積極的に取り入れるようにしている(30歳/大手ベンダー/年収500万円)
  • 技術系のブログや書籍は常にチェック。最新技術にはきっちりついていく(30歳/大手ベンダー/年収500万円)
  • 技術を持っている人の話を聞くこと(28歳・オープン系)

こんなSE/プログラマは許せません!
  • あいさつできない、コミュニケーションできない、向上心がない人(35歳・Web系)
  • 妙に自信だけが強くて、他の意見に耳を傾けない人(31歳・汎用機系)

CASE2 仕事はほぼプログラミングオンリー!「オレは職人」SE
プログラミング大好き!寝食忘れてプログラムと付き合える職人タイプ

 SEの中でもかなりプログラマ寄りのタイプがこちら。仕事の大半はプログラミングで、なおかつそれが大好き。納期に悩まされることも多く、体力的にも結構キツいのだが、今の仕事には一定の満足感を得ているタイプ。
 どちらかというと一人で根を詰めてする仕事のほうが得意で、コミュニケーション力は?と聞かれるとイマイチ自信がない人もいるが、技術の話になるともう誰にも止められない。エキサイトして、同僚と朝まで生討論になることもしばしば。
 プログラミングに対しては一家言持っている人が多く、同僚や後輩に教えるのも好き。でも、口下手でうまく説明できないこともあるのが玉にきず。

生息率32%
プログラムに対するこだわりは?
  • プログラミングしていると時間があっという間に過ぎる。プライベートでもプログラムを組んでいる(34歳・オープン系)
  • 他人のプログラムを見ていて、気になる処理を見たら実現方法をそのつど調べることにしている(26歳・パッケージソフト開発)
  • いつ自分が抜けてもいいように、誰が見ても分かる「きれいなコード」を書く(32歳・Web系)
プログラムに関係する仕事で、しんどかったシーン
  • 政治的な問題とかで、マイナーな言語やフレームワークを使わざるを得ないとき、情報がネットを探してもほとんど出てこないことが多々ある。(32歳・Web系)
  • プロジェクトのメンバーが突然いなくなって、その尻拭いをしなくてはならなかったとき。(32歳・オープン系)
  • 一人設計、一人開発、一人デバッグ。相談できる相手がまったく皆無だったこと。(31歳・オープン系)

実はこんなことで悩んでます…
  • 出向しているので、上司の目が届かない分、出世できないのではと不安に思っている。(32歳・Web系)
  • 今後、歳をとってからも同じ仕事を続けていけるのかどうか不安。(34歳・オープン系)
  • ズバリ、出世。(27歳・オープン系)
  • 日進月歩の進化についていけるか不安。特にセキュリティ関連の話は今現在の時点で既に頭痛の種。(31歳・Web系)

CASE3 プログラムは下請けにお任せ!発注オンリーSE
技術よりもコミュニケーション重視。みんなの憧れ?の発注側SE

 システムを作る側、というより発注して使う側のSEがこのタイプ。どちらかというとユーザー系企業に多いタイプのSEと言えるだろう。
 仕事のメインは、社内でのヒアリングから要件定義、あとは納品された後のシステムをどう使い、動かしていくかを考えること。そのため、自分の手でプログラミングをすることはほとんどないのがこの人々。当然、ベンダー管理やプロジェクトのハンドリングなど、「仕切り屋」としての仕事が多くなる。PLやPMもタイプとしてはココに近いかも。目下の関心事は「どうやってマネジメントスキルを上げるか?」。
 ビジネス全般についてはよくわかっていても、プログラムについては意外と知識・経験が足りなかったりする。そのため、たまにヌケた発言をしてベテランプログラマーに裏で何か言われているような気がしてしまうこともあるなど、実はプログラム知識が不足していることを気にしている。
 日々納期と「お客様」のムチャな要望に悩まされている一般のSEはこの「発注側SE」になりたいとひそかに願う人も多いらしい?

生息率28%
プログラムへのこだわり
  • こだわりというよりも、プログラムの経験と知識が不足しているのが実は不安(27歳・オープン系)
  • 新しいプログラム技術の勉強をするのがちょっとしんどい。プログラムは趣味程度がいいと思う(29歳・社内SE)
  • プログラマではないので、こだわりはない(28歳・ネットワーク構築/Web系)
自分の将来キャリアはこう考えている
  • さらに上流工程に行きたいが、マネジメントスキルが未熟なのが不安(30歳・オープン系)
  • プログラムの現場で仕事がしたい。でも上流工程を担当しないと仕事がなくなりそう(34歳・社内SE)

こんなSE、プログラマが苦手です
  • タイピングだけが早いタイプ(30歳・汎用機系)
  • やたらと、トリッキーな書き方をする人。大きなシステムでは、メンテナンス性が非常に大事なので、レベルが低そうでも、誰にでも見れるソースコードの方が望ましい。(34歳・制御系)
  • 基本的に技術しか知らない技術者はビジネスマンとして失格だと思う。(33歳・社内SE)
  • 自分の仕事を減らしたいがため、何を尋ねても「難しいです」と回答するプログラマ。(34歳・汎用機系)

CASE4 プログラムもSEもこなす!客先で活躍SE
生息率最多の一般的SE。システム設計が主な仕事なんだけど…?

 最後のタイプは、客先でのヒアリングや要件定義、システム設計が主な仕事の「フツーのSE」。実際には、プログラミングやバグフィックス、ユーザーへの教育にサポートまで、ほとんどの作業に何かしら関わることになることもしばしば。  納期に追われる中で、忙しく日々が過ぎてしまうことも多く、新しい技術にキャッチアップできていない、という焦りも感じている。
 いろいろな仕事を担当する(させられる?)せいか、キャリア志向も十人十色。プログラムの現場にいたい、という人もいればコンサルやPL/PMなどの上流志向の人もいる。
 ある意味で、一番SEらしいSEのタイプと言えるかも?

生息率33%
プログラムに関係する仕事で、しんどかったシーン
  • 外国人と一緒に仕事をしたが、仕様がうまく伝わらず、納品されたプログラムを1から作り直した。(35歳・オープン系)
  • 仕様書の存在しない数十年前のコードの解析、および改修作業。(28歳・制御系)
  • 納期が、突然半分になった。(31歳・汎用機系)
実はこんなことで悩んでます…
  • オフショア開発の広まりで外国人技術者に仕事をどんどん奪われているような感じがして心配。(35歳・Web系)
  • 眼精疲労で頭痛がひどい。(34歳・パッケージソフト開発)
  • 今の会社が今後業界内で生き残っていけるのかが一番不安。(29歳・汎用機系)
  • 管理職ではなくスペシャリストの道を歩んでいくつもりだが、給与面が不安。(34歳・制御系)

将来はこんなキャリアアップがしたい
  • 管理側には回りたくない。技術者でありたい。(34歳・オープン系)
  • コミュニケーションスキルを見につけてコンサルになりたい。(26歳・システム運用)
  • 技術を磨き続けて、PMを目指している。(29歳・Web系)
  • プログラミングより上流工程にいきたい。新しいプロジェクトに関わりたい。(27歳・Web系)

勤務先企業で大きく変わる?「SEのプログラムスキル」MAP

 ここまでのまとめとして、アンケート回答者300人の企業規模と全業務に占めるプログラミングの割合をベースとして、SEのタイプ別にプログラミングスキルを比較してみよう。

 はっきりと分かるのは、ユーザー系企業でのプログラミング業務が少ないということ。当然、技術的にもプログラミングスキルそのものはあまり要求されない。

 一方で技術がウリのベンチャー系やソフトハウス系のSEはプログラムに関わることも多い。もっとも、これらの企業は規模が小さめのところが多く、人が少ないのでやらざるを得ない、という側面もあるだろう。

 ベンダー系SEはばらつきがあり、はっきりとした傾向をつかむのは難しいのだが、平均するとちょうど真ん中くらい、大まかには下記の図のように分布される。実際には担当するプロジェクトによってプログラミング比率が多かったり少なかったりするようで、「前の仕事では必要とされなかったのに、今度は急にプログラミングの技術が要求された」というようなこともあるようだ。

「SEのプログラムスキル」MAP「SEのプログラムスキル」MAP
「SEのプログラムスキル」MAP「SEのプログラムスキル」MAP

Part2 プログラム知識の習得は、仕事に必要?それとも…?

 Part1で見てきたように、SEにも多かれ少なかれプログラムの知識が要求される。当然、仕事を続けていくためには、たえず最新のプログラミング知識やスキルを習得しなくてはならないだろう。そこで、アンケート対象者に聞いてみた。「プログラムスキル、磨いてますか?」
 もっとも多いパターンの回答は、仕事上必要だという意見。「常に技術が進化し続けるため、日々スキルアップして取り残されないようにしたい(アプリ開発/27歳)」「少しでもプログラムから離れていると、すぐ腕がさびてしまう(アプリ開発/32歳)」「プログラムを知らなければ有効な設計ができない(オープン系/29歳)」などの声が多く寄せられた。他には若手を中心に「いつでも転職やキャリアアップができる状態にしておきたい(汎用機系/25歳)という、積極的な理由も目立った。
 一方で「最新技術についていくのもきついが仕事上しかたなく(制御系/33歳)」というお疲れ気味の意見や、「最新技術ばかり追っても使うところがない(Web系/28歳)」「プログラムは考え方だけ分かっていればいい(汎用機系/28歳)」「SEの業務は開発だけじゃない。コミュニケーション力のほうが大事(オープン系/28歳)」という考え方もあるようで、このあたりは担当している仕事の内容によっても違うようだ。

 最新技術を見につけるために努力していることは?との問いには「毎日家で勉強する時間をとっている(汎用機系/31歳)」「最新情報を書籍やネットで常にチェックしている(Web系/31歳)」「好きな言語のフォーラムには必ず参加している(オープン系/28歳)」という答えが。思いのほか、最新技術にキャッチアップしている人も多い。いくら仕事で必要とは言っても、なかなかできることではない。最新技術を追う裏には何があるのだろうか?
「プログラムが好きだから(アプリ開発/34歳)」「最新知識を知っていることがうれしい(アプリ開発/31歳)」という意見に代表されるように「好きな技術に関わっていたい」という気持ちが、彼らを後押ししているようだ。

SE300人に聞いた「今後もプログラムスキルは磨いていきたい?」

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宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ 宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
「世のSEの実際のプログラムスキルはどのくらい?」を調べたかったのですが、SEの仕事はまさに千差万別で答えは出し切れませんでした。興味深かったのは、自身には技術スキルを高めていきたいと声が多い反面、一緒に仕事をするSE、プログラマに対しては、技術よりもコミュニケーション力を求めていること。技術を認めてもらうには、やはりコミュニケーション力もやはり欠かせないものなんでしょうね。

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