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コアスキルに自信をもつ中堅ネットワークエンジニアの転職

総合ソリューションで躍進する日本ビジネスシステムズへ

ITインフラ構築を基軸にコンサルティングからアプリ開発、運用保守までのソリューションを提供する日本ビジネスシステムズ。近年はネットワーク部門にも注力し、躍進著しい。顧客には有名企業が名を連ねる。そんな同社に応募した中堅ネットワークエンジニアの1次面接をリポートする。
(取材・文/須田忠博 総研スタッフ/高橋マサシ)作成日:07.09.03
日本ビジネスシステムズ
応募したエンジニア 企業の面接担当者
杉森正宏さん
杉森正宏さん
(当時29歳)
松井 友明氏
技術本部 技術二部 部長
松井 友明氏
当時の職種
社内SE
募集職種
ITエンジニア(ネットワーク)
業務内容
自社クレジットカード業務にかかわるアプリケーションシステムの開発管理。
仕事内容
IPネットワークインフラやボイスシステムなどの設計・構築・導入支援。
職務経歴
大手メーカー系SI会社でネットワークエンジニアを7年半。大手クレジットカード会社で社内SEを4カ月。退職後に転職活動を開始。
応募資格
大卒以上。ネットワーク技術の実務経験3年以上。ファイヤーウォール、ロードバランサに詳しい方、英語力ある方はなお可。
志望動機
ネットワーク構築をコアから手掛けたい。マネジメントスキルを向上させたい。
募集背景
ネットワーク事業部門の増強に伴う即戦力の採用。
面接の流れ
部門長(部長クラス)全員がすべての応募書類に目を通す。
部門長1〜2人で面接する。所要時間は約1時間。
技術本部長が1対1で面接する。所要時間は約1時間。
社長が1対1で面接する。所要時間は約1時間。
3次面接から1週間以内に連絡する。
【通過率:4〜5割】
【通過率:3〜4割】
【通過率:8〜9割】
Part1
職務経歴と得意な技術
ネットワークの経験を積んだ7年5カ月の業務
松井:
 本日はわざわざご足労いただき、ありがとうございます。
杉森:
 いえ、こちらこそ。お忙しい中、お時間を割いていただきありがとうございます。
松井:
 杉森さんの応募書類は読ませていただきました。非常に関心があります。【Point1】最初に、社会人になってから今日までの業務経歴を簡潔に説明してください。
杉森:
 新卒で入社したのは○○○(大手メーカー系SI会社)でした。初めの2年間は、主に地方自治体のネットワーク構築を行いました。そのあと、大手商社系のネットワーク専門のSI会社へ出向し、そこで2年強、あるロードバランサ(負荷分散装置)製品に特化した、導入技術支援を担当しました。プリセールスから構築、保守、ポストセールスまで一貫した形です。お客様はポータルサイト運営会社、通信キャリア、地方自治体と多岐にわたりました。
 出向から戻ってからは、レイヤ4の知識を生かして、別のロードバランサ製品やSSL-VPN製品を扱い、大手通信キャリアと放送局のWebサービス構築を担当しました。そのときにはサブリーダーになっていましたので、要件定義から運用保守まで実行しました。それが3年間です。
松井:
 そうすると、○○○には出向期間を含めて7年5カ月。間をおかずに×××(大手クレジットカード会社)に転職したわけですね?
杉森:
 はい、そうです。
松井:
 ×××はわずか4カ月で辞めていますね。そのへんの事情はあとから伺いますが、具体的にどんな仕事をしたのですか?
杉森:
 社内SEとして自社Webサイトの運用管理、社内業務のシステム化調整、ベンダー予算管理などです。技術スキルを駆使するというものではありませんでした。そのため、現在、再転職活動をしています。
ロードバランサの最大規模はサーバ約150台
松井:
 【Point2】杉森さんはロードバランサに詳しいようですが、具体的に扱ったのは何ですか?
杉森:
 プリセールスをしていたのはCisco Systems社の製品で、その後も市場シェアの大きなベンダー3社のロードバランサは扱ってきました。この4社の製品とも自信をもって扱えます。
松井:
 そうすると、杉森さんが最も得意とするソリューション分野はやはりロードバランサですか?
杉森:
 そうですが、【Point3】ロードバランサはHTTPに特化する部分が大きいですから、ECサイトや社内イントラにアクセスするための、Webベースアプリに強いとお考えください。
松井:
 【Point4】これまでにロードバランサの導入を手掛けた案件の中で、最大規模はどのくらいですか?
杉森:
 某ポータルサイトさんの案件で、サーバが約150台でした。
1週間の泊まり込みでミスのないことを証明
松井:
 なるほど。【Point5】それでは、ご自分でバランシングした案件のうちで、障害対応に最も苦しんだというエピソードを話してもらえませんか?
杉森:
 とてもシビアなお客様のケースなのですが、100万回に1回の割合で負荷分散の振り分けミスが起こるので、どうしてくれるかという話がありました。最初はちょっと驚きましたが、パケットを解析してみました。1週間、ほぼ徹夜の泊まり込みで作業した結果、サーバ側のつくり込みに原因があるとわかりました。障害対応では、それがいちばん厳しかった経験です。
松井:
 その際に解決の手順はどう踏んだのですか?
杉森:
 まず設定の見直し、次に設計の見直し、そのあとでお客様から指摘されている事象について、メーカーへのエスカレーションをしました。それからログを解析したのですが、それでも原因を突き止められなかったので、最後の手段としてパケットキャプチャを取りました。それをお客様に示して調整を施す形で、一件落着となったわけです。
松井:
 規定どおりに振り分けられていることが証明されたというか、振り分けのミスではないと?
杉森:
 はい。【Point6】それで納得いただきました。
松井:
 それからお客さんはどうしたのですか?
杉森:
 サーバの問題個所にパッチを当てるか設定を変更して対応するという話となり、私の手を離れました。
Point1
[面接官]業務経歴の説明を口頭で求めるのは、わかりやすく説明できる能力があるかどうかを見たいからです。具体的に、補足を交えて、イメージをより鮮明にして説明する能力は、入社に不可欠の条件と考えています。また、経験内容と当社の業務が大枠でマッチしていることも確認します。
[応募者]2回目の転職でしたし、今回の転職活動でも既に数社の面接を受けていましたから、冒頭で職歴説明を求められることは予期していました。特に暗記して準備するようなことはしませんでしたが、簡潔な答え方にも慣れてはいました。
Point2
[面接官]得意分野をもつネットワークエンジニアを採用したいというのが、杉森さんを選考したときの考え方でした。得意分野のロードバランサは採用条件にかなっていますが、ひとつの特定製品しか知らず、しかもそれが当社であまり扱わない製品では困ります。そこでこの質問をしました。
Point3
[応募者]当時の私の「売り」はロードバランサでしたが、それだけと受け取られては困るとの判断がありました。ほかのネットワーク技術も使えるし、もっと広げていきたいという考えだったからです。。
Point4
[面接官]ロードバランサの技術レベルは、扱った規模からほぼ確実に判定できます。大規模なものを扱った人ほどレベルが高い。杉森さんの「サーバ150台」という規模なら申し分ありません。
Point5
[面接官]この質問に対する答えからはいろいろな点がチェックできます。論理的な思考力や判断力、技術力、筋道の通った説明能力などです。さらには、トラブル発生時には本人の本質的な部分が見え隠れする場合があり、人物タイプまで把握できることがあります。
[応募者]この質問の意図は特に考えませんでした。しかし、こうした質問から、かなり突っ込んだネットワークも手掛けている会社なのだという印象を受けました。
Point6
[面接官]システムに障害が出た場合、お客様は往々にしてネットワークに原因を求めたがります。しかし、実際にはサーバ側のコーディングミスだったりすることが多い。ですから、構築したネットワークにミスがないことを証明し、お客様に納得してもらうところまでもっていけるスキルは貴重なのです。
Part2
武器になる技術アイテム

ロードバランサ以外のネットワーク技術
松井:
 【Point7】ロードバランサ以外に扱ったネットワーク関連製品には、どんなものが挙げられますか?
杉森:
 ファイヤーウォールですね。それから、少し特殊な機器ではあるのですが、帯域制御装置にもよく触れてきました。また、純粋なネットワーク機器ではありませんが、SSL-VPNは新製品評価にアサインされたのを皮切りに実際の構築で用いました。この3つについてはロードバランサと同じくらいにやり込んできたと自負しています。
松井:
 スイッチやルータの取り扱い経験はどうですか?
杉森:
 【Point8】L2、L3を実際の構築で取り扱ったことはありません。テスト環境をつくる際に使用した程度です。
松井:
 【Point9】経歴書にはサーバOSの経験としてWindows、UNIXと記載されていますが、これはどういう場面で使用したのですか?
杉森:
 主にメールサーバとDNSサーバの構築で使いました。私が所属していたネットワークの部署に依頼があったためです。そのほか、検証環境としてWebサーバやプロキシサーバを立てる必要があって、サーバOSは経験しました。
松井:
 ロードバランサでの振り分けを確かめるための検証ということですね?
杉森:
 そうです。
Point7
[面接官]杉森さんがロードバランサに精通することはわかりましたが、それ以外にどんな武器を使えるのか。答えを聞くと、レベルはともかくとして多様な経験があり、好ましく感じました。
[応募者]この質問はぜひしてほしいと思っていました。もし出なかったら、自らアピールするつもりでした。
Point8
[面接官]この答えからは、少なくともL2、L3の知識はあると判断できます。その程度でよしとしたのは、L2、L3なら実務で使えるエンジニアが社内に十分そろっているからです。
Point9
[面接官]ネットワークエンジニアにとって、サーバOSはサブスキルにあたります。直接的には知らなくて構いませんが、よりよい仕事をするには知っていたほうがいい。ネットワーク構築に反映される部分もあるからです。
Part3
技術キャリアの志向性
どんな考えで転職するのか?
松井:
 ところで、【Point10】杉森さんは○○○からクレジットカード会社の×××へ転職しています。これはどう考えての行動だったのですか?
杉森:
 ひとつには、それまでの経験を生かして、自社の巨大なネットワークシステムをコアのところからつくってみたいと思ったからです。事業会社に入れば、SI会社ではタッチできない部分から携われるのではないかと考えました。もうひとつには、年齢的にマネジメントスキルをしっかり学びたいと思いました。
松井:
 【Point11】そういう考えで転職した×××を短期間で辞めたのはなぜですか? 仕事内容が事前のイメージと違っていたとか?
杉森:
 ずばり、そのとおりです。入社前の話とはまったく違う仕事内容で、ネットワーク技術を使うところは皆無でした。それで、ネットワークエンジニアとしての鮮度がよいうちに再転職すべきだと決心し、4カ月で退職しました。今は希望に沿ったことができる会社かどうかを慎重に見極めようと思っています。
松井:
 転職では多少のイメージギャップもあるでしょう。
杉森:
 いえ、あまりにもギャップがありすぎました。7年以上も蓄積した技術を全然生かせず、初心者に戻るというのは苦痛以外の何物でもありません。
松井:
 わかりました。杉森さんとしては、あくまでもネットワーク技術を自分のフィールドにしていきたいのだと?
杉森:
 はい、そうです。
 [【Point12】ここで松井氏は、日本ビジネスシステムズが成長してきた理由や今後の事業方針、現在進行中の案件、社内の雰囲気などについて説明した。杉森さんは途中、詳しい説明を求める質問を差し挟んだ。そのあとで雇用条件などのやり取りを経て、面接は終了した]
Point10
[面接官]過去に転職経験があれば、理由や目的を必ず尋ねます。その答えから探りたいのは、人物像もありますが、それよりもキャリアビジョンについてです。転職理由の中には本人の希望がリアルに現れますが、当社でそれが満たされるのかどうか。その擦り合わせは重要な審査要件です。
Point11
[応募者]前回の転職はだれが考えても失敗が明瞭ですから、それを隠すつもりはありませんでした。もしマイナスに受け取られるのであれば、仕方がないと思っていました。
[面接官]杉森さんのようなケースがマイナスに働くことはありません。むしろ、希望が揺るがず一貫していることを評価しました。
Point12
[応募者]前回の転職が失敗だっただけに、会社説明を質問しながら聞けて安心しました。ネットワーク事業部門を、本気で増強したいと考えていることがわかったからです。
[面接官]会社説明をしているときの応募者の表情や反応はまちまちです。心の内側が垣間見えることもあります。応募者に当社のイメージを強くしてもらううえでも、最後の会社説明は効果的だと思っています。
面接官はココを見た!
●論理的な思考をするか。
●得意とする技術のレベルはどのくらいか。
●希望する仕事内容と会社が進もうとしている方向が合っているか。
 基本的な素養として論理的思考力を重視する。わかりやすい説明ができるか、どんな手順でトラブルに対応したかなどから判断する。技術面の判定は、まず得意とするコアスキルを確認し、次にそのレベルをチェックする。同時にサブスキルの内容も見る。そのうえで、コアスキルとサブスキルのバランスが取れているかどうかを探る。志向性の点では応募者とのマッチングを必ず確かめ、希望する仕事内容と会社の事業ベクトルを擦り合わせる。
杉森さんはコレで決めた!
「希望と仕事内容とのマッチングを最重視して行った今回の転職活動。
面接では丁寧な事業説明をしてもらい、希望に沿うことを確信しました。
社内の空気が明るいこともわかり、働きやすそうにも感じました」
 希望と仕事内容のギャップで転職に失敗した身としては、マッチングを最重視して転職活動をしました。面接にも当然、その意識で臨みました。そうしたところ、ネットワーク事業を伸ばす考えや現在抱える案件について丁寧な説明があり、私の希望とぴったりであると確信できたのです。また、面接官の表情にもオフィス内の雰囲気にも明るさが感じられ、働きやすそうに思われました。若い人が多い会社であり、中堅としての存在価値を発揮できるとも思いました。
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高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ 高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
会社の雰囲気ってありますよね。社風といった堅苦しいものではなく、社員が発している雰囲気。日本ビジネスシステムズさんは若い人が多いせいか、とっても和やかで明るく、話しやすいんですね。ただ……フロアに犬が2匹いて、とてもかわいいのですが、私は犬が苦手なんです! ごめんなさい!

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