社内中に「ありがとう」がちりばめられた職場はOK？

今回のターゲットは、日本最大級のQ&Aコミュニティサイトを構築・運営する企業。いざ職場に足を踏み入れると、そこには至るところに「ありがとう」の言葉があふれていた…

（取材・文／宮尾有希　総研スタッフ／山田モーキン）作成日：07.04.20

「エンジニアにとってこれ以上ない、理想の職場を探し出すこと」を使命に、鋭い突っ込みと癒しの笑顔を使い分け、その職場の特徴を浮き彫りにするＴｅｃｈ総研公認レポーター。
家電やモバイル製品など最新の技術に関心が深く、さらにアニメやゲームをこよなく愛する“アキバ系”の素顔には、エンジニアとの共通点も多い。
そんなテックハニーも２年目を迎え、衣装も新しくパワーアップ。毎週エンジニアのことを学習しているハニーブログも深みを増すテックハニーから、今年も目が離せない!?

天然のはちみつに、“きゃんち”の癒しの想いが込められた、程よい甘さのキャンディー。
効能：疲労回復　モチベーションアップ

エンジニアのみなさん、こんにちは！　テックハニーきゃんちです。
フレッシュな新人さんが入社したり、社内異動があったり、4月はそわそわする季節ですよね。みなさんの中にも、「この機会に、なにかを始めたい！」という方、いらっしゃるのでは？　魅力的な職場を伝えることで、私もみなさんのモチベーションアップに少しでも貢献できたらいいな、と思います♪

さて、本日突撃するのは、日本最大級のQ&Aコミュニティサイトを構築・運営されている開発企業さん。社長さんがユニークな方で、社訓がすごくハートフルなんだそうですよ。
では、行ってきます☆

1999年設立。登録会員72万人を超える日本初、最大級のQ&Aサイト「OKWave」を運営するほか、「OKWave Quick-A」「OKWave ASK-OK」などのFAQソリューションを企業向けに開発・販売している。自然文による検索機能とそのAPIを公開するなど、ユーザーへの技術還元も積極的に行う。ミッションは「世界中の人と人を信頼と満足でつなぐ」こと。代表取締役は兼元謙任氏。

http://www.okwave.co.jp/

今回ターゲットとなるエンジニアは開発本部ディベロップチームの伊藤佑輔さん。2006年9月に、モバイルサイト開発を行うベンチャー企業から転職してきたばかり。「オウケイウェイヴの魅力はノンビリした空気」と言いつつ、将来の独立を目指して技術を磨くのに余念がない、静かに熱いエンジニア。

きゃ：	こんにちは、テックハニーきゃんちです。さっそく伊藤さんのお仕事内容を教えてください！
伊藤：	オウケイウェイヴで有名なのは、ユーザーさんが質問を書いて、それにみんなが回答するQ&Aのコミュニティサイト「OKWave」なのですが、僕がやっているのは企業向けASP開発のほうです。FAQページやユーザーサポートをシステム化することで、ユーザー対応に関するオペレーションを軽減することができるという、なかなかスグレモノのシステムなんですよ。
きゃ：	伊藤さんは、そのなかでどんなお仕事をされているんですか？
伊藤：	サーバの設定と運用、それにお客様の要望を実装・リリースするシステム開発ですね。サーバ運用は僕の部署の仕事じゃないんですけど、何でもできるようになりたいので、進んでかかわらせてもらってます。
きゃ：	いろいろなことに興味がおありなんですね♪　失礼ですが私、「OKWave」を使ったことがなくて。この左の写真（①）が、伊藤さんのパソコンをお借りした、初の「OKWave」質問体験でした。どんな答えが返ってくるのか楽しみです☆
伊藤：	なんて書かれたんですか？
きゃ：	「春の新アニメで注目すべき作品は？」って……すみません、くだらなくて（笑）。
伊藤：	僕のほうがくだらないですよ。「マンガなどで無銭飲食したときの定番は、どうして“皿洗い”なのか？」って質問しましたから。そうしたら「学生さん向けのサービスとしてこの店は皿洗いしたらタダで食べられるよ」とか、思いがけない実用的な答えが返ってきました（笑）。
きゃ：	面白ーい！　どんな答えが返ってくるのか、わかりませんね！
伊藤：	そこが楽しいんですよ。これは社長の考えですが、質問と回答のデータを集めて「世界知識資産」を作っているんです。僕は半年前に転職してきたばかりですが、そういう部分には共感できます。
きゃ：	真ん中の写真（②）は、その「OKWave」から書籍化されたものですね。ドラマにもなったから知っています。「今週、妻が浮気します」……すごいタイトル、怖いなあ（笑）。これは、実際に質問されたことなんですか？
伊藤：	そうです、僕は書籍化される前に、「OKWave」で読みました。人が集まるところにはドラマが生まれますよね。ほかにもこんな種が埋もれているかもしれないし、コミュニティは大事に育てていきたい。本当は、コミュニティに関する開発の仕事もやりたいんですよ。残業時間でもいいからかかわっていきたくて。
きゃ：	今でもお仕事たくさん抱えているのに！　チャレンジ精神が旺盛なんですね。ところで一番右の写真（③）は何ですか？　テキストファイルに見えますが……。
伊藤：	お恥ずかしいのですが、僕のメモです。新しいロジックを学んだとか、なにかの機能を使えるようになったとか、一日に必ずひとつ新しいことを学んで、メモに残しているんです。前の会社から続けているので、けっこうな長さになりました。私の学んできたことが凝縮されている、大切なファイルです。
きゃ：	すごいですよ！　誰にも言われずに努力を重ねられる人、尊敬します！
伊藤：	ありがとうございます。開発者がみんなで、技術的な向上心を強くもって切磋琢磨し合えたら、もっと会社も個人も発展していけるんじゃないかと僕は思っていて。定期的に勉強会を開いて、教え合う空気をつくっていくことが今期の目標です。
きゃ：	伊藤さん、思ったよりずっと熱い人なんですね。ステキです☆

きゃ：	続いて職場環境ですが……。私、ここまでスケルトンな職場は始めて見ました。会議室の壁もすべてクリアなガラスです！　開放感があって明るいですね。
伊藤：	ガラスのホログラムが、ウェイブ、波を表しているんですよ。
きゃ：	なるほど～、キレイですね☆　社長室までガラス張りにしてあるところがすごいと思います。在室かどうかひと目でわかるし、逃げも隠れもできません。左の写真（①）は、その会議室のドアに張ってあったのですが……「ありがとう」。なにかの標語ですか？
伊藤：	いえ、会議室の名前です（笑）。
きゃ：	えっ？　部屋の名前なんですか？　ほかの会議室はというと、「グラシアス」「カムサ」「謝謝」「サンクス」、本当だ、各国の言葉で「ありがとう」って名づけられているんですね！
伊藤：	社員に会議室の名前を募集したときに、そういう案があって決まりました。この会議室で、営業サポートの人を集めてセミナーを開催したりしているんですよ。
きゃ：	真ん中の写真（②）にもありがとうって書いてありますよね。「ありがとうカード」。こちらは何ですか？
伊藤：	これは身近な人に対して感謝を伝えるためのカードです。毎週金曜に回収されて、ボードに張られるんですよ。アメ玉をもらったとか、些細なことでも書いていいんです。開発は孤独な作業で、殺伐とした雰囲気になりやすいんですが、そんなとき「伊藤くん、運用を手伝ってくれてありがとう」なんて書かれると感動しますね。僕も他人の親切に対して自覚的になりました。おかげで、職場にすごく居心地のいい空気が流れていると思います。
きゃ：	「ありがとう」が徹底してますね！　私も後で「ありがとうカード」書かせていただきます。この「ありがとう」って、会社の理念なんですか？
伊藤：	はい、バリューと呼んでいます。ポジティブ、ポッシブル、チャレンジの真ん中に「ありがとう」がある。右の写真（③）は、そのバリューを社員に浸透させるために社内報を作っているところです。
きゃ：	社内報を作成中のみなさんにお話を伺ったら、営業、総務、開発など、それぞれに別のお仕事があるのに、時間を割いて集まっていらっしゃるそうです。
伊藤：	みんな面白そうなことが好きなんですよ（笑）。
きゃ：	伊藤さんも、開発だけではなくサーバ運用を手伝っていて、自主勉強もなさっていて、さらにコミュニティサイト運営にもかかわりたいそうですし、チャレンジ精神の旺盛な方が多いんですね。私も刺激を受けちゃいます☆

きゃ：	気になる人間関係についてお聞きしたいんですが、「ありがとうカード」みたいな制度があると、人間関係にもいい影響がありそうですよね。
伊藤：	転職を決めたのも、そんな社風があるからです。言葉で言うと抽象的ですが、空気が柔らかくて、居心地がいい。
きゃ：	仕事のことでケンカしたり、言い合いになったりはしないんですか？
伊藤：	うーん、仕事の方針について疑問をぶつけることはありますよ。納得いく答えが返ってくるまでは私も質問しますが、それで雰囲気が悪くなったことはないですね。ちゃんとフォローしてくれますし、人間関係には満足しています。
きゃ：	伊藤さんみたいに、転職して来られる方は多いんですか？
伊藤：	というより、今までは中途しか採用していないんです。経験を積んで、20代後半～30代前半で転職してくる方が多いので、全員が即戦力ですね。2008年度から新卒を採用することになるので、ずいぶん会社の雰囲気も変わるだろうなと、楽しみにしています。
きゃ：	新卒さんの採用が始まると、会社が新しいステージに入る感じがしますね！
伊藤：	本当にそうですね。僕が入社試験を受けたころは上場していなかったし、その後も書籍が次々に出版されたり、ドラマになったり、社長がたくさん取材を受けたり、僕が入社したあと10人以上も社員が増えたり、勢いを感じます。だけど、社内の雰囲気は相変わらずのんびりしていますよ。このまま一緒に成長していきたいです。
きゃ：	ずいぶん個性的な経歴をおもちの社長さんですが、お話ししてみて、いかがですか？
伊藤：	月に一度、部門ごとに、社長と話せる機会を設けてくれるので、言いたいことがあればそのときに話すことができます。バイタリティはすごい人ですけど、気さくで話しやすいし、信念にも共感します。それに、面接のときに「いずれ独立したい」と話したら、イヤな顔をするどころか応援してくれたんですよ。
きゃ：	えーっ、普通は「育ててやるのに出ていくつもりか？」っていう反応なのでは……。
伊藤：	社員の意気込みや、やる気を認めてくれているのだと思います。
きゃ：	がんばりやの伊藤さんにピッタリの会社なんですね☆　伊藤さん、今日はありがとうございました。これ、ハニー“きゃん”ディーです。モチベーションアップにどうぞ！
伊藤：	こちらこそ、ありがとうございます。いただきます！

　オウケイウェイヴでの目標は、あと２年以内をめどに個人的に新しいサービスを作ることです。詳しい話はできませんが、携帯電話関連のサービスを考えています。コミュニティサイトで大きくなってきた会社はどこでも、技術者がみんなで切磋琢磨して新しいサービスを意欲的に開発し、機能をどんどん付け加えていると思うので、僕もユーザーに喜んでもらうサービスを積極的に開発していきます。
　そしていずれは独立するか、一緒にやっていきたい人を見つけて共同で何かを始めるか……まだその辺りは具体的ではありませんが、今は学べることを学んで、盗める技術は身につけて、自分を常に向上させるよう頑張ります。

　最初に驚いたのは、会議室にもオフィスにも壁がなくて、全部クリアなガラスでスケルトンになっているところ！　開放感があるから、みなさんのコミュニケーションも取りやすいのかな。部署同士の壁が少ないところも、お仕事しやすそうです。一般の人たちのコミュニケーションにかかわるコミュニティサイトを運営しているためでしょうか、いわゆる会社っぽくない、なごやかな雰囲気を感じました。
　あと、社長さんが気さくにお話ししてくださったことにも感激しました。本当によく「ありがとう」っておっしゃって、会社の理念を体現しておられるんですよ。私も日々「ありがとう」を心がけて、周囲をなごやかな雰囲気にしていきたいと思います☆