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タイトル、CC・BCCの使い分けetc.陥りやすいミスを徹底分析 ビジネスメールのやりがち失敗 危険度チェック付
日々のビジネスにおいてもはや、欠くことのできない存在になったメール。しかしその一方で書き方のミスによるトラブルも多発している。そこで今回、改めてエンジニアのための正しいビジネスメールの使い方について検証してみたい。
(取材・文/周防美佳 総研スタッフ/山田モーキン)作成日:07.04.05
はじめに まずは、あなたの“ビジネスメール危険度”チェック!
 パソコンの普及に合わせ、急速な発展を遂げたメールは、今やビジネスにおいて重要なツールのひとつ。しかしその一方で、トラブルを生む原因にもなってしまっている。そこで、まずは自分自身のメール常識の誤りによる“危険度”をチェックしてほしい。
ビジネスメール危険度チェック (下記の10個の質問に「Yes」「No」でお答えください。)
アンケート分析 エンジニアのミスは、「タイトル」「送信先」「本文」の3つに集約
 テストの結果は、いかがだっただろうか?「自分が正しいと思っていたメール常識が、思いのほか間違っていた」という人も多いだろう。それもそのはず、今回、ビジネスメールでミスした経験のある100人のエンジニアにアンケートした結果、非常に多くのエンジニアが、自分が意図しないところで、メールでのトラブルを経験していることが判明したのだ。トラブルの内容はさまざまだが、そのほとんどが「タイトル」「送信先」「本文」にまつわること(下表参照)。つまり、メールを構成しているすべてのものが、トラブルの原因になっているのである。

そこで、正しいビジネスメールの送り方を、メールマガジンのコンサルティングなどを手がけるアイ・コミュニケーション代表、平野友朗氏に伺うことにした。平野氏は、『あなたの仕事が劇的に変わるメール術』(ビジネス社)など、メールにかかわる著書を多く持ち、メールとは何たるかという答えを独自に導き出した、いわばメールの達人。実際にビジネスマンのメール添削なども行っており、エンジニア特有のメールトラブルなどにも精通している。それではさっそく、具体的なトラブル事例とエンジニアが実践している対処法をご紹介しながら、平野氏の回答を伺ってみることにしよう。
図1 1日あたりの平均ビジネスメール送信数
図2 ビジネスメール送信先として最も多い相手
ビジネスメールにおける典型的ミス
平野友朗氏
今回のアドバイザー 平野友朗氏
 有限会社アイ・コミュニケーション代表。現在までに、1万人規模のメールマガジンを50誌以上プロデュース。顧客は、起業家から中小企業・上場企業までと幅広い。また、年間2〜3冊のペースで発行される著書は、新聞、雑誌、テレビなどあらゆるメディアで話題になっている。 著書
ビジネスメールに潜むミス1タイトル編
タイトルミスの典型例
過去のメールを引用してメール作成をした際、件名の修正を忘れてしまい、本文と内容が一致しないメールになってしまった。(通信インフラ設計・31歳)
英語の自動返信メールをそのままの件名で転送したところ、スパムメールだと思われ破棄され、処理が大幅に遅れてしまった。(システム開発・39歳)
タイトルがわかりにくかったため、返信を放置されてしまった。(システム開発・28歳)
チェック!タイトルミスの傾向:たった数十文字に振り回されるエンジニア
 タイトルに関してのトラブルは、具体例からもわかるように、単純なケアレスミスから本文との食い違いまでさまざまであった。中には、タイトルが原因で、何回もメールをやりとりする羽目になったり、すぐに電話で対応を迫られたりするケースもあり、たった数十文字のタイトルにエンジニアが振り回されているという事実が浮き彫りになった。対処法としては、メール機能をフルに活用したものもあったが、ほとんどが「送信前に再度確認する」という基本的なものであった。エンジニアといえども、タイトルでのトラブルを回避する有効な手段は、まだ見つかっていないようだ。 タイトル
アドバイザーの分析 :スパムメールに勘違いされないよう最大の努力を!
 タイトルは、内容以上に重要です。最近では、スパムメールと勘違いされたことによるトラブルがとても多くなっています。スパムメールのタイトルは、さまざまな人に対応するものですから、それを逆手に取り、相手と一対一になるタイトル、つまり品名や型番など、相手と自分を特定するようなタイトルをつければ、確実にメールは開いてもらえるでしょう。それと同時に、依頼なのか、質問なのか、それとも確認なのか、相手に起こしてほしいアクションを含めて付け加えると、より自分が望んでいたとおりの返信がもらえます。後から見たときでも、内容がひと目でわかりますから、相手にも親切です。また、「!」など重要度を表す機能は、スパムメールも多用していますから、使わないほうが無難でしょう。もしどうしても付け加えたいのであれば、【重要】【要返信】などと冒頭に加えてください。まとめる能力が高い人は最初に、そうでなければ最後にタイトルをつければ、より本文の内容に適したタイトルをつけることができるでしょう。
タイトルミスの防止策
タイトルを見て、重要度や内容がわかるようにする。(コンサルタント・39歳)
タイトルには、振り分けがしやすいよう、テーマごとにネーミングルールをつける。(社内情報システム・30歳)
タイトルと本文の内容が合っているかどうかを、送信前に再度確認する。(品質管理・36歳)
ワンポイントアドバイス
ビジネスメールに潜むミス2送信先、CC、BCC編
送信先ミスの典型例
VBAとBASP21で自動的にメールを送信するプログラムを作成して使用したところ、一度に大量のメールを送信したことが原因で、メールサーバが固まってしまった。(システム開発・36歳)
メールソフトのアドレス保管機能を過信していて、同僚に転送するはずの発注情報を、同姓のクライアントに転送してしまった。(システム開発・29歳)
自分も含め、社内の人間がむやみにCCやBCCをつけるので、クライアントに一日数百通ものメールが届くことになってしまった。(システム開発・28歳)
チェック!送信先ミスの傾向:大惨事を巻き起こす「ケアレスミス」
 送信先のミスでは、同姓やアドレスが似ている人への送信間違いが、群を抜いて多かった。メールを送った側はただのケアレスミスだと思っていても、受け取った側から不快感を示されたり、受け取った側の信頼を損なってしまったりすることもあるようだ。それらのトラブルを経験した人の多くが、本来そういった間違いをなくすために使用する「アドレス帳機能」を使っていたことは興味深い。また、CC、BCCのミスでは、送ってはいけない情報や相手に知らせる必要のない情報を送ってしまったというものが多かった。内容が内容だけに、深刻なトラブルになりやすく、ただの間違いではすまされないことが多いため、早急な改善が求められている。 送信先、CC、BCC
アドバイザーの分析 メーラーをうまく使って送信先ミスを撲滅!
 まず、TO、CC、BCCの定義を、改めて確認しましょう。TOは「返信の義務がある」、CCは「見てほしい情報だが、返信の義務はない」、BCCは「見てほしい情報をこっそり教えているので、返信の義務はない」。この三つの定義に、内容とほしいアクションを照らし合わせて使い分ければ、まずは問題ないでしょう。そして、ここからが問題。CCを入れる際、メール本文の相手先の名前の横に(CC:○○様、△△様)と入れていますか?メールを開いた後に、CCの欄をチェックする人はまずいません。それに気がつかず、無意識に『全員に返信』ボタンを押し、トラブルが起きてしまうのです。また、アドレス帳も頼りすぎないほうがいいですね。同姓異人に送ってしまう可能性が高いですし、登録したときからメールアドレスが変わっているかもしれません。送り先から受け取った最新のメールに対して返信するのが、いちばん確実な方法です。そんなとき活躍するのが、振り分けしやすいメーラー。企業や担当者名ごとに振り分けるよう設定すれば、最新のメールもすぐに見つけられますよ。
送信先ミスの防止策
メールソフトの振り分け機能を使い、送信者単位でフォルダを分ける。(社内情報システム・33歳)
「誰に何を伝えたいか」ということや、伝えたい優先順位などを考慮して、CC、BCCを使い分ける。(システム開発・28歳)
送信先を間違えないよう、本文を先に書き、最後にアドレスを入力する。(社内情報システム・27歳)
ワンポイントアドバイス
ビジネスメールに潜むミス3本文あいさつ・表記編
本文あいさつ・表記ミスの典型例
本文冒頭の相手の名前を、間違えて入力してしまった。(システム開発・38歳)
長々とあいさつが続き、肝心な内容にたどり着くまでが長くなってしまった。(システム開発・36歳)
改行の設定がうまくいかず、意味不明な文を送ってしまった。(機械設計・34歳)
チェック!本文あいさつ・表記ミスの傾向:やりがちな名前間違いと頭を悩ますあいさつ文
 相手の名前、特に漢字表記での間違いは、ついついやってしまうもの。同じ「や」であっても、「谷」「屋」「野」などがあり、一人ひとりを完璧に覚えるなど至難の技である。しかし、やられたほうは、「間違えられる度に訂正することが面倒なだけで、非常に不愉快な思いをしている」ようだ。また、季節や内容によってそれぞれ異なるあいさつも、頭を悩ませている要因のひとつ。そろそろ「エンジニア=技術職だから日本語が苦手」というイメージを払拭しても、よいのではないだろうか。それらの内容に直接関係ないミスは、一刻も早く解決してしまいたい。 あいさつ文
アドバイザーの分析 本文表記で重要なのは縦と横の黄金比!
 相手の名前を正確に入力するのは簡単、ただ署名から名前をコピーすればいいのです。これなら、間違えようがありません。次にあいさつ文ですが、メールは手紙や書面とは別次元のものですから、季節のあいさつなどは必要ありません。「いつもお世話になっております」「はじめまして」「お疲れさまです」「ご苦労さまです」の四つを使っていれば、問題ないと思いますよ。また、改行でお悩みの方も多いようですね。その最大の原因は、一文が長いこと。メールは熟読せず、視覚的に内容をとらえています。スクロールと同様に、目を縦に動かして読んでいるんですね。ですから、横20〜25文字で改行してください。縦も3〜4行で1行あけ、大きく話題が変わるときは2行あけましょう。そうすれば、ぐっと読みやすくなるはずです。目の動きを補足するために、記号を入れたり、罫線を使ったりするのも効果的です。しかし一方で、記号や罫線は、入れれば入れるほど見にくくなるという性質を持っていますから、注意してください。
本文あいさつ・表記ミスの防止策
相手先のフォルダ振り分けを丁寧に行い、そこを参照しているメールは関連づけたテンプレートから作成できるように設定している。(テクニカルサポート・35歳)
あいさつ文、締めの文は辞書登録している。(システム開発・30歳)
●◆等の記号を使うことによって、プレーンなテキストメールが見やすくなるような工夫をしている。(システム開発・30歳)
ワンポイントアドバイス
ビジネスメールに潜むミス4本文構成・内容編
本文構成・内容ミスの典型例
長文で経緯を説明したところ、内容がほとんど伝わっていなかった。(システム開発・34歳)
文章の意図がうまく伝わらず、マイナスにとらえられてしまった。(システム開発・26歳)
メールで反論を送り、口頭で伝える以上のきつい印象を与えてしまった。(セールスエンジニア・39歳)
チェック!本文構成・内容ミスの傾向:何が正解!? 対処法が見つからない!
 本文構成のミスは、表記のミスと重なるところはあったが、長文で説明しているうちにどんどん論点が変わってしまい、最終的には何を言いたいのかさっぱりわからないものになってしまったというケースがほとんどであった。また、内容にまつわるトラブルは、ニュアンスの問題であったり、相手のとらえ方次第であったりするため、意図しないでトラブルになる確率がいちばん高かった。前者に関しては、何らかのテクニックがあれば改善されるだろうが、後者はこれといった対策や正解がないため、自分自身で改善するのは非常に難しい。実際このトラブルに関しては、具体的な対処法を持ち合わせていないエンジニアが多かった。 本文構成・内容ミス
アドバイザーの分析 基本の形さえ覚えればメールなんて怖くない!
 メールの構成は、「相手の名前」「あいさつ」「主旨」「本文」「あいさつ」「追記」「署名」というパターンが基本です。エンジニアの方に多いのが、要件のみしか伝えないケース。メールはコミュニケーションツールでもあるので、きちんとこの形は守りましょう。本文がどうしても長くなってしまう人は、A4用紙一枚にプリントアウトできる量を目安にしてみてください。「結構です」「いいです」など二つの意味で使える言葉も、使わないほうがいいですね。「〜日までにご返信ください」と期限をつけるのも効果的です。また、トラブルの原因になりやすいネガティブな内容は、メールで伝えず、電話や相手先を訪問して伝えましょう。どうしてもメールで伝えるときは、自分に送信するか、プリントアウトして読むと、客観的に見ることができますよ。トラブル事例にはありませんでしたが、今や署名も重要な項目。相手に応じて使い分けるテンプレートを作り、定期的に見直して更新すれば、何カ月後かには確実にレベルアップしているでしょう。
本文構成・内容ミスの防止策
最初に結論など伝えたい内容を簡潔に書き、その後に詳細な内容を記述する。(システム開発・36歳)
メールを一度保存し、少し時間を置いてから再度読み直す。(社内情報システム・33歳)
へたにかしこまった文は使わず、ほかの人の文言を参考にする。(システム開発・38歳)
ワンポイントアドバイス
最後に これだけは守りたいビジネスメールのルール
 解説中にもあったように、メールは今や重要なコミュニケーションツール。本来ほかのコミュニケーションと同じように、慎重に扱うべきものなのである。しかし私たちは、メールに頼りすぎた生活に慣れ、そのことを忘れてはいないだろうか。自分の力を過信せず、平野氏から指南された基本の形を守り、きちんとしたタイトルづけを行えば、トラブルになることはまずない。だがそれにとどまらず、そこから一歩進んで、良い人間関係を築いていくひとつのツールとして、メールを見直してみてはどうだろう。言葉足らずにならず、心あるメールを送れば、それ相応のメールが返ってくる。ビジネスに感情は無用といっても、あくまで一緒に仕事をするのは人間同士。きっと新たな発見や出会いがあるはずだ。このレポートを通してそのことに気づくことができれば、「コミュニケーション能力の高いエンジニア」という評価を得られる日も近い。
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山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ 山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ
今回挙がった多くのミス、実は私も同じミスを過去にけっこうやらかしてます。「話したほうが簡単でわかりやすく正確に伝わるのにな」と思いながらメールを打つこともしばしばありますが、文章にするからこそ相手に伝わるメリットもあります。今回のアドバイスをひとつの参考に、これからまたひとつ、メールを打ちたいと思います。

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